2019/02/24:
●地震・津波・台風・豪雨…日本の自然災害増加って本当?
●自然災害における死者・行方不明者数が多かった時期はいつ?
●過去の書物を見ると、異常気象の頻度が増加している説は怪しい
●地震・津波・台風・豪雨…日本の自然災害増加って本当?
2019/02/24:
自然災害で"国が補償してくれる"は誤解だ プレジデントオンライン / 2019年2月23日 11時15分という記事の表題の件は、
地震・津波・台風…自然災害で日本政府が被災者を支援…は誤解?の方で書いています。
この記事は、冒頭のつかみの話でも興味深いところがありました。2018年は、大阪府北部地震、死者が200人を超えた7月の西日本豪雨、100の観測点で観測史上最大値の風速を記録した9月の台風21号、土砂崩れなどで41人が亡くなった北海道胆振東部地震と災害が続きました。近年の災害の多さは異常なように見えます。
ところが、ファイナンシャルプランナーの清水香さんは「伊勢湾台風から阪神・淡路大震災まで36年。高度経済成長期には大災害がほとんどありませんでした。すると恐ろしいことに災害がないのが当たり前、今まで起きなかったものはこれからも起きないという意識になってしまったのです」と指摘。
家を持つ文化は偽伝統だとも言われますが、日本全国に持ち家主義が根付いたのも、ちょうどこの時期。たまたま大災害が少なかった時期に安全だと勘違いして、リスクが高すぎる危険な持ち家文化が増えてしまったというニュアンスです。
●自然災害における死者・行方不明者数が多かった時期はいつ?
文字で見ているとわかりづらいのですけど、私が驚いたのは、自然災害における死者・行方不明者数のグラフ。当時とは災害対策が異なるというのはあるとはいえ、被害者の多い災害は明らかに昔の方が多かったようです。以下は災害で1000人以上亡くなった年をすべて挙げたものです。
<平成20年~>
東日本大震災 2万2199人
<平成10年~19年>
なし
<平成元年~9年>
阪神・淡路大震災 6437人
<昭和50年~63年>
なし
<昭和40年~49年>
なし
<昭和30年~39年>
洞爺丸台風 1761人
伊勢湾台風 5098人<昭和20年~29年>
三河地震 2306人、枕崎台風 3756人
南海地震 1443人
カスリーン台風 1930人
福井地震 3769人
南紀豪雨 1124人●過去の書物を見ると、異常気象の頻度が増加している説は怪しい
これが気になったのは、過去に
寛喜の飢饉の異常気象対策、朝廷と鎌倉幕府・北条泰時で大違いなどをやっていて、「異常気象由来で最近だけおかしい」という認識をちょっと疑っていたため。過去の文献を見ると、昔もかなりすごいのがあったという話なのです。
例えば、吾妻鏡では、以下のような壮絶な異常気象の話がありました。
・美濃国蒔田荘(現岐阜県大垣市)および、武蔵国金子郷(現埼玉県入間市)で、降雪が記録される異常気象。
・その後も長雨と冷夏。
・現在のグレゴリオ暦でいう9月1日には、早くも霜降があり、ほぼ冬のような寒さに陥った。
・更に大洪水。直後に暴風雨の襲来とその後の強い冷え込みと災害。
・同年の冬は極端な暖冬となり、他の作物の作付にも影響を与えた。
・翌年の春になると、収穫のはるか前に、わずかな備蓄穀物を食べ尽くして餓死者が続出し、「天下の人種三分の一失す」と語られる。
・今度は酷暑年で旱魃に見舞われる。
・北陸道と四国でも凶作。
これだけで「最近は災害が多い」説を否定できるわけではありませんし、先程も少し書いたように、前半の死者数の話は、災害対策が進んで大勢亡くなることが少なくなっただけとも考えられます。逆に「現在はやはり異常なのだ」とわかる客観的データなども含めて、もっと信頼性の高い話が見つかれば、追加していきたいです。
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