2014/7/4:
●ネットではますます価格競争激化…と思いきやそうではない?
●最安値よりも安心感・信頼感を重視する方向へ
●価格.comは価格比較サイトではなく口コミサイトだった?
●荒れるのが宿命の掲示板…カカクコムはなぜ荒れづらいのか?
●ネットではますます価格競争激化…と思いきやそうではない?
2014/7/4:鎌田剛・カカクコム上席執行役員は、インタビューで価格.comについて「デジタル家電の価格下落を主導してきた」と言われて、最初に「たしかに、サービス開始初期は出品する販売店が『日本最安』を標榜して1円単位でしのぎを削り、入札合戦のようになっていた」と答えています。
ところが、意外なことに、「ただ、ここ数年で、そこまで利益を削らず配送などでユーザー評価を高める方向に注力する傾向が強くなっている」と続けていました。ネットではますます価格競争が激しくなっている…というイメージと違い、価格じゃないところで競争しようという流れになっているんですね。以下のようにも言っていました。
「価格競争が激しかったのはパソコンや液晶テレビがよく売れていた時期に重なる。(中略)左から右へ商品を流せば売れていく状況で、販売店も1円でも安くして目を引こうとした。こうした時代が終わりパソコンも薄型テレビも市場成長が一巡したため、高く売れる優良商材は見あたらない。販売店の側も取引ごとにきっちり利益を出しながら売るための価格戦略をつかんできた」
(
口コミで確認、賢く選ぶ 鎌田剛・カカクコム上席執行役員 2014/2/28 2:00 日本経済新聞 電子版より)
●最安値よりも安心感・信頼感を重視する方向へ
消費者側の変化として、以下のような指摘がありました。
「サービス開始当時はいわゆるネットリテラシーの高い層。ある種マニアック人が多かったが、今では女性の比率も高まり、主婦など一般層にまで広がった。一般層にはやはり店に対する安心感、信頼感を重視する傾向がある。大手家電量販店などが価格.comに出店し始めたこともあり、多少値段が高くても、配送や決済などの利便性などに優れた店が選ばれるようになってきた」
「よく言われることではあるが、ここ数年の消費者に目立つのが、納得感があれば最安でなくとも買うということだ。たしかに一定の割合で最安の価格を追いかける人もいる。ただ、大部分の人は納得いく値段であればよりよい物を買いたいという意識だと思う。価格は安くても高くてもそこには理由が必要になってきている」
●価格.comは価格比較サイトではなく口コミサイトだった?
ここまでは元記事のタイトルになっていた「口コミで確認、賢く選ぶ」の話。ただ、個人的に一番おもしろかったのが、口コミの話でした。「海外と比較して、日本の特殊性はあるか」と聞かれて、以下のように答えています。
「海外にも類似サービスはある。ただ、あくまでも値段を比べるだけのものが多いようだ。価格.comほど口コミの機能が発達していない。日本の消費者は品質へのこだわりが強く、海外の消費者に比べて口コミを重視しているのではないかと思う」
「価格.comは価格比較サイトと呼ばれるが、価格比較と同じくらい口コミ機能が重要だ。口コミの欄には家電のプロのような詳しい人が製品の機能の評価などを詳細に書き込んでいる。価格.comのサービスが浸透したことで、調べないまま買い物すると割高な商品、性能が劣る商品を買ってしまうのが怖いという感覚になったのではないか」
口コミという観点で言うと、同じカカクコムで運営している食べログはモロに口コミサイトです。カカクコムの二本柱である価格.com、食べログとも大きくくれば口コミサイトということになります。
(なお、カカクコムでは他に旅行・ホテル・ツアー・航空券のクチコミと料金比較の
フォートラベルという価格比較&口コミサイトをやっています。他の有名サービスでは、
スマイティという不動産住宅情報サイトもありますが、こちらは口コミ要素はなさそうです)
●荒れるのが宿命の掲示板…カカクコムはなぜ荒れづらいのか?
カカクコムと口コミという話題ということで検索してみると、結構古いものですが
価格.comのCOOが“荒れない口コミ掲示板”成立までの歴史語る(インターネットウォッチ( 森田秀一 )2009/02/06 11:56)という記事を見つけました。記事そのものは、以下のようなテーマです。
<オンラインゲームおよびコミュニティがテーマのカンファレンス「OGC 2009」で5日、カカクコム取締役COOの安田幹広氏による講演が行われた。「価格.comにおけるコミュニティの価値」と題し、最安値情報の提供と並んで重要なコミュニティ機能、中でも口コミ掲示板について、その歴史や位置付けなどを語った>
安田COOによれば「価格情報を参照したユーザーの約半数が、同時に口コミ掲示板も参照している」とのこと。"商品の口コミ情報を提供するサービスも大きな柱"ということで、やはり価格.comは本質的には口コミサイトだという話です。
気になる“荒れない口コミ掲示板”については、「当初から戦略的に設置されたものではなく、微調整を繰り返しながら徐々に進化していった」と過程で培われたとのこと。1997年は"創業者が1人で価格情報を収集していたため"、"それを補足する意味で一般ユーザーが口コミを寄せるためのもの"でした。この後、"「Windows 98特設掲示板」がオープンし"ますが、まだ現在の形とは異なります。
本格化したのは2000年でしょうね。"製品型番別に口コミ掲示板が設置され、製品に関する質疑応答が個別に行われるようにな"りました。ただ、“荒れない口コミ掲示板”のポイントだと言えるのはこの後、2005年の"ID制を導入する大幅リニューアル"だと考えられます。
責任がより明確化されたことの影響か、掲示板マナーや書き込みの質が結果的に向上する成果もあったという。また、書き込みの荒れによって中断していたショップ評価機能もこのタイミングで復活。いずれも現在に至るまで運用され続けている。
このほか口コミ掲示板には初心者マーク機能も付加された。書き込み時の自己申告によって若葉マークを表示、他のユーザーの配慮を促しているという。安田氏は「書き込みの90%は質問」と説明しており、より多くのユーザーが気軽に利用するための施策も欠かせないようだ。
これだけだとそんなものか?という感じですが、価格ドットコム特有の事情もあるのかも。安田COOは"荒れが少ない理由について、最終的には読み手側のスキルに要求されるとしながらも「参加意識の高いユーザーが多く、書き込みの絶対数もまた多いため、結果として中立的な書き込みだけを読み進めることができるのではないか」と分析"しているそうです。
参考になるようなならないような感じですが、結果的に「価格.comの掲示板は荒れることが総じて少なく、情報源として大きな信頼を得ている」のですから成功ですね。
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