★2014/7/11 野依良治ら理研がデータ解析公表に圧力、竹市雅俊は資料検閲
★2014/7/19 理研職員アンケート「検証実験より論文の疑義調査」わずか4割
★2014/7/25 小保方晴子の検証実験参加で追加費用、税金の無駄遣いの可能性
★2014/8/30 野依良治理事長ら理事は誰も辞任せず 竹市雅俊センター長は交代
★2014/9/9 理研・野依良治理事長の責任を問う声 辞任なしの判断に疑問
★2014/10/24 理研・野依理事長、給与10分の1自主返納 辞任なしで幕引きか?
★2014/12/28 理研と野依良治理事長は責任逃れ STAP細胞問題より特定法人か?
★2015/1/21 STAP細胞問題 理研最大の罪は調査への消極的姿勢、隠蔽や調査否定繰り返す
★2014/7/11 野依良治ら理研がデータ解析公表に圧力、竹市雅俊は資料検閲
タイミングを逃した話が多いSTAP細胞問題。今日は迷って再び理研の話。「隠蔽」というテーマだけで豊富にネタがあります。
4 : 名無しゲノムのクローンさん[] 投稿日:2014/06/03(火) 09:23:09.08
平成 26 年 5 月 27 日
役職員各位
総務担当理事 最高情報セキュリティ責任者
古 屋 輝 夫
職務に関わる情報の取り扱いについて
今般のSTAP細胞論文の問題に関する報道やインターネット上において、公表
されていない重要な情報が所定の手続きを経ることなく所外に出ているのでは
ないかと思われる記述が見受けられます。この状況は極めて遺憾であり、業務
の円滑な遂行を妨げるだけでなく、研究所の信用を著しく傷つけることにもな
りかねません。
STAP細胞論文の問題に限らず、研究所の役職員は、法律や諸規定により秘密
保持義務が課せられているとともに、これには罰則規定があることも再認識し、
業務に精励されるよう改めて周知いたします。
以 上
参考:
○独立行政法人理化学研究所法 (平成 14 年 12 月 13 日法律第 160 号)
[...中略...]
第 15 条 研究所の役員及び職員は、刑法(明治 40 年法律第 45 号)その他の罰
則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第 23 条 第 14 条の規定に違反して秘密を漏らし、又は盗用した者は、1 年以下
の懲役又は30 万円以下の罰金に処する。
○定年制職員就業規程(平成 15 年 10 月 1 日規程第 33 号)
[...中略...]
第 54 条 定年制職員が次の各号の一に該当するときは、譴責、減給、出勤停止、
昇給停止若しくは制限又は役職剥奪若しくは降格に処する。
(7) 研究所の重大な秘密情報等を所外に漏らし、又は漏らそうとしたとき。
[...後略...]
理研職員のSTAP論文情報の提供は『公益通報』である
http://www.logsoku.com/r/life/1401753402/4
上記は理研にとって不利な情報がマスコミに流れるのを防ぐために、理研内の研究者らに圧力をかけていたのでは?と思わせる文章です。
これは2ちゃんねるで広くコピペされていたものであり、本物かどうかは怪しいものではあります。ただ、理研ならやりかねないなと思わせるものがありました。理研の研究不正に対する対応が極めて悪かったためです。
何が悪いって言うと、もう一から十まで悪いのですが、私はそもそも不正疑惑が出て調査を始めた最初の段階から不信感でいっぱいでした。これから調査をするところなのに「研究成果そのものに問題はないと考えている」とコメントしていたためです。これでは「結果ありきの調査をします」と宣言するようなものでした。
理研の隠蔽というネタは今までにも書いてきており、最近だと
STAP細胞検証実験に小保方晴子が立ち会い また理研CDBがこっそりがそうです。今月に入って「3ヶ月ぶりの出勤」「実験参加」と報道されていましたが、非公式になら以前から訪れて実験に関わっていたようです。
それから、以下も「隠蔽」というテーマの話です。
白紙・STAP論文:/1 データ解析、結果公表に圧力 募る不信、理研を断罪 改革委「軟着陸」許さず
毎日新聞 2014年07月03日 東京朝刊
6月6日正午ごろ、STAP細胞の論文不正を受け、理化学研究所改革を検討する改革委員会の委員が、1本のメールを発信した。「2人を委員会に正式に招へいするというのはいかがでしょうか」
宛先は委員会の他のメンバー。「2人」とは、遠藤高帆(たかほ)・理研上級研究員と若山照彦・山梨大教授。2人はSTAP細胞の存在にかかわる解析をしていたが、結果は発表されていなかった。(中略)
これらの結果は、毎日新聞など一部メディアが報じたが、理研から改革委に正式な説明はなかった。さらに、理研はこれらの公表に横やりを入れていた。
http://mainichi.jp/shimen/news/20140703ddm041040134000c.html
遠藤高帆上級研究員の場合、5月22日には解析結果の論文発表を計画していることを、理研本部へ報告していました。しかし、"本部は理研内の研究者組織「科学者会議」と議論してから投稿するよう"にと、「極めて異例」の注文をつけました。
若山照彦山梨大教授の場合は、6月3日に"野依良治理事長ら幹部約30人が並ぶ理研改革推進本部の会合で解析結果を報告し、早期の公表を希望し"ていました。ところが、「発表は早すぎる」と口々に難色を示されました。そして、"野依理事長もそれに同意"しています。結局、"押し問答の末、理研発生・再生科学総合研究センター(CDB)が結果を確かめるまで公表しないことが決まった"そうです。
冒頭のメールは、改革委委員が「2人の解析結果公表に圧力がかかった」と判断したため送られたようです。委員の一人は6月上旬、「理研がなぜ(情報を隠そうとするなど)後で非難されることをするのか分からない」と記者に漏らしており、改革委委員にも「情報を隠蔽する理研」という意識ははっきりとあったようです。
この不信感は相当なもので、「発表を後日にすると、理研が内容に口出しする恐れがある」と、"最終会合でまとめた提言書はその日のうちに発表"したほどでした。
理研CDB解体の提言は行き過ぎの声は大きく、私もその意見は理解できるのですが、内容を見ると理研CDBどころか理研本体の頭から全部腐っている状態です。
そもそも「当初は組織改編まで踏み込むつもりはなかった」委員らに、解体という過激な文面を書かせたのは、この理研の隠蔽姿勢でした。
上記の他にも、「理研本部も論文全体の疑義の調査を拒み続けた」「委員の求めで配布した資料を事務方が回収しようとした」という悪いエピソードがあります。理研が腐っているという話は事欠きません。
理研CDBというピンポイントなところでも、"CDBの竹市雅俊センター長がSTAP研究の残存試料などの解析に消極的な姿勢を譲ら"なかったというのがあります。私も記者会見で竹市センター長が同様の答えをしていたことに驚愕した覚えがありました。
竹市センター長に関しては、毎日新聞の別記事でもSTAP細胞問題の主犯の一人なんだなというところがよくわかります。
万能細胞:STAP論文問題 調査報告の一部削除 竹市センター長「推測発言を整理」
毎日新聞 2014年07月08日 東京朝刊
STAP細胞論文問題で、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB、神戸市)の竹市雅俊センター長が今年4月、理研改革委員会(解散)にCDBの内部調査結果を報告した際、「信頼性がないと私が判断した(職員らの)発言や資料は削除した」と述べていたことが分かった。改革委の元委員によると、削除された発言内容などは不明だが、センター長の姿勢が問題視され、センターをいったん解体すべきだという厳しい提言(6月12日)につながったという。【根本毅】
http://mainichi.jp/shimen/news/20140708ddm041040042000c.html
これは「検閲」と言って良いでしょうね。やらなくて良いというより、やってはいけない行為でした。
竹市センター長が検閲したのは外部識者4人らによる「自己点検検証委員会」へ渡された資料です。一応、これの場合こっそりではなく、「関係者の発言であっても推測は消すべきだ。私が整理して危ないと思うところは全部デリーション(削除)した」と宣言していたようです。しかし、当然出る"委員から異論"にも関わらず、"竹市センター長は姿勢を変えなかった"そうです。
というか、「危ないと思う」という表現も不思議ですね。それは誰にとって危ないことだと思ったの?と深読みしたくなる言い方です。
竹市センター長は検閲について、「後から検証委の外部委員に説明し、再調査してもらった部分もある」と弁解めいた説明をしていますが、すべてを説明したわけではなく今もなお証言の一部が伏せられたままになっているところがあるようです。
一つ目の毎日新聞の記事では、「どんな不正が起きたか分からない限り、改革案など作れない」という改革委の不信感も伝えていました。
解体だけでなく、幹部の辞職についてすら「研究不正が起きるたびに辞めるなんてあり得ない」という声がありますが、このような対応の悪質さが、STAP細胞問題を著者らだけの問題ではなく、理研の問題へと変えてしまいました。
★2014/7/19 理研職員アンケート「検証実験より論文の疑義調査」わずか4割
研究者は「検証実験より論文の疑義の調査を求めている」という報道が多かったですが、4割って少ないと思いますよ。私にとっては衝撃でした。
■STAP細胞の論文問題で、理化学研究所の研究員の組織が、小保方晴子研究ユニットリーダー(30)が参加する検証実験や論文調査について全職員約3500人を対象に実施したアンケート
「論文の疑義の調査を優先すべきだ」41.9%
「疑義の調査と検証実験を同時並行で行うべきだ」35.4%
「検証実験を優先すべきだ」12.8%
「どちらも必要ない」5.6%
理研職員4割が論文調査の優先を アンケート、検証実験に不満募る 2014/07/17 18:43 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/201407/CN2014071701001542.htmlSTAP「実験より論文調査を」 理研職員アンケート:朝日新聞デジタル 合田禄 2014年7月17日17時49分
http://www.asahi.com/articles/ASG7K46QLG7KULBJ003.html?iref=com_alist_6_02 共同通信は「疑義の調査と検証実験を同時並行で行うべきだ」の回答者の中でも、"「検証実験が世間の関心事になった以上やむを得ない」などと消極的な意見が多く、理研内で検証実験に不満が募っている実情が浮き彫りになった"としていました。ここで検証実験をやめてしまうと世論の理解を得られないという判断なのかもしれません。
一番多かった項目は「論文の疑義の調査を優先すべきだ」だと言えます。しかし、これは過半数を得ることができなかったと言えます。そうすると、アンケート結果を悪用される可能性があります。本当でしたら文句なしの過半数を取りたかったですね。
というのも、検証実験を支持するものとしては、「検証実験を優先すべきだ」と「検証実験を優先すべきだ」があるから足して、検証実験支持の方が多いとも言えてしまうためです。
「検証実験を優先すべきだ」が12.8%、「どちらも必要ない」が5.6%もいるのも衝撃です。理研CDBが組織防衛するにしたってこんなにならんだろうと思いました。
ただ、朝日新聞によると、全職員約3500人のうち"966人が回答"と異常に回答率が低いです。検索かけると、理研CDBの職員数は500人もいるそうです。多いですね!
また、同じく朝日新聞によれば、"「疑義の調査」と答えた人は特に研究者に多く、事務系職員(185人)に限ると「疑義の調査と検証実験を同時並行する」と答えた人の方が上回った"そうです。事務系職員が含まれているので、悪くなっている可能性もありそうです。
短い! 予想外に書くことがありませんでした。
ストックから何とかいっしょにできそうなものを…と探したものの、良い話もなし。困りました。
仕方ないのでTwitterの反応でも拾っておきます。私と違って、ほとんどの人はこのアンケート結果に満足していました。
"的確な指摘RT @JuuichiJigen: STAP「実験より論文調査を」 理研職員アンケート - 朝日新聞デジタル"
"13%は検証実験を優先したいらしい。理研は3500人いるので450人くらいは論文調査はおいといて検証実験だけやりたいと。さすが理研、こんな職員どこから探してきたんだ。 理研職員4割が論文調査の優先を アンケート、検証実験に不満募る "
"アンケートで検証実験に不満募らせる⇒理研職員4割が論文調査の優先を。なるほどね~ "
"STAP「実験より論文調査を」 理研職員アンケート:朝日新聞デジタル asahi.com/sp/articles/AS… なんで今になってアンケートしたのだろう。"
本当何ででしょうね? 意見を聞いたよというアリバイ作りではないか?という声もありましたが。
"未練タラタラしてないで科学者らしく冷徹に審査しろと。法人の格上げだの女性活用だのあとムニャムニャ…と煩悩が多い奴等よ RT @niemonhan: RT @47news: 理研職員4割が論文調査の優先を アンケート、検証実験に不満募る "
"世間体で実験やるのやめてもらえない? >理研職員4割が論文調査の優先を アンケート、検証実験に不満募る - スマホ版 - 47NEWS(よんななニュース)"
有名人さんがいたので、こちらは名前つきで。
Norio Nakatsuji @norionakatsuji 中辻憲夫京都大学教授
構成員全般は指導部よりもまだマシということか?"@JuuichiJigen: STAP「実験より論文調査を」 理研職員アンケート - 朝日新聞デジタル http://t.asahi.com/fb7p ”
4:41 - 2014年7月17日
https://twitter.com/norionakatsuji/status/489736752832053248
"人はまだまともってことだ。定量的にはな:STAP「実験より論文調査を」 理研職員アンケート - 朝日新聞デジタル"
"そりゃそうだよ。 / 検証実験より論文調査…STAPで理研職員4割 : 科学 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) "
"早稲田大も理研も小保方論文などの不正を軽微のものと評価しそれ以上の追求を避けている.この裏に何かがある. STAP「実験より論文調査を」 理研職員アンケート - 朝日新聞デジタル"
"STAP「実験より論文調査を」 理研職員アンケート - 朝日新聞デジタル t.asahi.com/fb7p 理研職員の認識は間違ってないことを知り、1市民として安心した。論文を精査して内容について小保方リーダーに科学者として説明をさせるべきだと思う。"
"真理追求とその正当性を重視する人たちと、手っ取り早く金のなる木かどうか確認したい人たちと。 STAP「実験より論文調査を」 理研職員アンケート - 朝日新聞デジタル"
これで一応それなりの長さに。好評な様子でしたが、前述の通り、私は不満です。
報道各社が好意的な伝え方しているので皆さん良い印象なのでしょうけど、途中で書いたように悪い方で利用されるおそれがあるのが心配です。そうならないと良いんですけど…。
★2014/7/25 小保方晴子の検証実験参加で追加費用、税金の無駄遣いの可能性
NHKが余計なことをしました。
小保方さん「NHKの記者とカメラに追いかけられた」弁護士の抗議受け、NHKが謝罪|弁護士ドットコムトピックス 2014年07月24日 13時52分
三木事務所が配布した文書によると、小保方リーダーは7月23日午後8時ごろ、神戸市内の理研CDB(発生・再生科学総合センター)での実験を終えて、車で帰宅する途中、バイクに追いかけられた。さらに、小保方リーダーが神戸市内のホテルに逃げ込んだところ、「NHK」と名乗る4~5人の記者やカメラマンらがカメラを回しながら、質問を投げかけてきたという。
小保方リーダーは撮影と質問を拒否し、その場を立ち去ろうとしたが、前後を囲まれたうえに質問への回答を強要されたという。最終的には、ホテルのスタッフの協力で、小保方リーダーはその場を逃れることができたとのことだ。
小保方リーダーは「逃げる際に軽い負傷をするとともに、激しいショックを受けるに至った」ということで、三木弁護士は「このような刑法上の強要罪にあたる取材行為には、断固抗議する」としている。
http://www.bengo4.com/topics/1829/
執拗な取材もそうですし、怪我をさせたというのは言語道断です。今までの感じからすると、小保方さん側はかなり大げさに言って利用しているでしょうが、今回の件に関しては大義名分があります。ほぼ全面的にNHK側が悪いと言って良いと思います。
ただ、この件に関する反応で「もう何ヶ月もしないうちに結果が出るのに」というのがあったのは、気にかかりました。これはおそらく小保方さんの検証実験の結果が出るまでの期間を指していると思われます。
検証実験はNHKの取材の必要性とは関係ないので、NHKの取材の正当性を言いたいのではありません。このNHKの取材が良くなかったことは間違いありません。
しかし、検証実験はNHKの取材と無関係だからこそ、悪質な取材で検証実験まで肯定されてしまっては困ります。検証実験を無事やらせるということは、多額の税金を無駄にするおそれがあるためです。
まだやっていなかったの?とちょっと不思議に思いますが、女性自身によると、理研は現在、小保方晴子・研究ユニットリーダーのための実験室を準備中だそうです。
この準備にかかる経費について、理研の広報担当者は、以下のように答えたそうです。
「4月から進めている検証実験全体にかかる費用として、年間1千300万円の予算を組んでおります。小保方の実験参加分の費用もここから支出することになります。彼女の実験室は所内の部屋を使うため、お金はかかりません。培養器や冷蔵庫などの器具も所内のものを使い、中に何も入っていないことを確認したうえで設置します」
小保方晴子氏 再現実験に1千300万円「追加予算も…」と理研 2014/07/24 07:00 女性自身
http://woman.infoseek.co.jp/news/entertainment/joseijishin_n7477 もともと用意していた枠の1300万円だから…という言い方ですね。
ただ、小保方さんの参加しない方の検証実験も、そもそも不適切という意見が強いものです。さらに、1300万円用意しているからと言ってイコール全部使い切るという意味ではないので、小保方さんの参加する分、使うお金が余計にかかるという点では、問題性がやはりあると思います。
「実験に用いる培養液、シャーレ、チューブ、ビーカーなどは外部物質の混入を防ぐために新品を用意。監視用のビデオカメラ3台と入口に取り付ける電子カードキーは、どんなものを用意するか決まっていません。また監視する第三者が誰で何人になるのかも決まっていないため、費用はわかっていません。このような部分は、小保方の再現実験費用として追加されることになります」(理研の広報担当者)
このビデオカメラなどを導入するものものしい態勢については、「世の中にはそこまでやらないと、彼女が魔術を使って不正を持ち込むのではないかという危惧があるのではないか」と、実験の総括責任者でである、理研CDBの相澤慎一特別顧問が言っていたようです。
これは私はニュース検索のときにも読み逃していた記事で、今初めて読みました。
小保方さんが「魔術」使うことを危惧? STAP検証実験に「監視カメラ」3台|弁護士ドットコムトピックス 2014年07月02日 19時02分
http://www.bengo4.com/topics/1727/ 相澤特別顧問は、何か他にもへんてこな言い回しをしていますね。"小保方リーダーの様子について、「使い物になる状況では・・・」と口にしたものの、すぐに「まったく不適当なので取り消させてください」と発言を撤回"しています。そして、「精神状態が落ち着くまでは、すぐに実験に入れる状況ではない」と言い直していたようです。
あと、監視に関しては、テレビ局の女性記者から「入室の際に身体チェックをするのか」という質問が出ていました。相澤顧問はこれに「ボディチェックは考えていなかったが、必要だと判断されたら、女性の立会人にしてもらうことになると思う」と答えていたそうなので、さらに厳しくなるかもしれません。
小保方さんは不正を確定された研究者なので、こういった厳しい監視は必要になるというのはわかります。しかし、過去に何度も書いているように、そもそもこの実験自体がいらない実験です。
不正を確定された研究者に検証実験をさせるということがおかしな話であり、極めて非常識です。不要な実験を理研の都合で続けているだけでという状況ですから、全くもって無駄です。
ちなみに先の女性自身では、「昨年9月から今年3月までの約半年間で2千300万円もの予算を使ってきた」とも強調していました。お金の話は、ちょうど
小保方晴子の詐欺罪・逮捕・損害賠償請求・研究費返還の可能性で書いていますが、これらは税金から支出されている可能性が高いです。
まだ実験準備が整っていないというのならちょうどいいわけで、税金の無駄遣いの可能性については今後も手を緩めずに追求していくべきです。
★2014/8/30 野依良治理事長ら理事は誰も辞任せず 竹市雅俊センター長は交代
理研CDBの竹市雅俊センター長は交代する見込み。一方、理研本体の野依良治理事長は辞任するつもりはなさそうです。
野依氏「倫理教育が不十分」 STAP会見、理事長辞任は否定 :日本経済新聞(2014/8/28 1:22)によると、"理研トップとしての責任を求める質問が相次いだ"ようですが、"野依理事長はぶぜんとした表情のまま"で、"「計画の陣頭指揮を執る」「高い規範を取り戻すことで責任を果たす」と強い口調で繰り返した"そうです。不祥事が起きた会社でよくある光景ですね。
会社と研究機関では異なる…という声もありそうですが、STAP細胞問題は不正研究の事件としてもかなり特殊です。不正が起きるまでの責任については考慮しているようであるものの、不正が起きて以降の問題に関する反省が見られないことです。
STAP細胞問題で一番まずかったのは、研究不正疑惑が持ち上がったにも関わらず、不正を軽視あるいは隠ぺいするような動きが見られたこと、積極的に疑惑解明に動かなかったことです。これは明らかに個々人の研究者の問題ではなく、もっと上のレベルの問題です。このような異常事態に積極的に対処しなかった幹部は、辞任で当然だと思われます。
私は改革委員会の提言では野依理事長へ辞任を求めなかったことが不満でした。その代わり、改革委員会は理事2人を交代することを求めていました。
ところが、
理研 STAP問題の研究センター縮小へ NHKニュース(8月27日 12時00分)を見ると、理研はそれすら拒否したようです。"理事の責任について問われると、「現在の理事は極めて有能だ。ただ、5人しかおらず、負担が過剰になっているため、理事を補佐する人を登用したい」と述べ、交代させる考えがないことを明らかにしました"とあります。
また、こちらではより詳しい野依理事長が辞任しないとしたときのコメントも載っていましたので、引用しておきます。
「理事長として改革の陣頭指揮を執るのが責務と考えている」
「プランすべてが実施されることが自分の職責であり、実効性とスピードが大事なので、できる所から誠実に懸命にやっていきたい」
さっきは企業不祥事でよく見ると書きましたが、政治家の進退でもありそうなセリフでしたね。
で、ちょうど次に読んだ
STAP細胞:理研・野依理事長 辞任せず「陣頭指揮を」(毎日新聞 2014年08月27日 21時51分(最終更新 08月27日 22時10分)大場あい、須田桃子)で、また政治家が余計なことをしていたことを知りました。
「(行動計画の)実行で陣頭指揮を執るのが責務で、下村博文文部科学相からも指示を受けた」と野依理事長は述べそう。また、下村大臣か! 思わず舌打ちしました。どうも下村大臣のお墨付きによる続投のようです。
こちらでは、"「研究不正は(論文)著者個人が全責任を負うべきだが、組織として研究不正の予防措置などで至らなかったことを反省している」と信頼回復への決意を語った"とありました。しかし、これは私の先ほど問題視した「研究不正疑惑発覚後の対応」を全く反省していないことの現れとも読めます。
あと、"CDBを廃止しなかったことについては、「改革委は必要な研究分野を設定して再構築することを求めており、今回の改革内容は改革委が提言した『解体』だ」と強調した"そうです。この点に関しては、私はこれでいいと思います。私は改革委員会の解体の提言を、幹部の一掃という意味だと理解して賛成していました。多くの研究者を解雇することが改革だとは思いません。
ただ、予防措置の面でもまだ批判が出ているようです。
理研、STAP細胞再現できず 組織改革案発表も、“手ぬるい”と識者批判 | ニュースフィア(2014年8月28日)によると、ウォールストリート・ジャーナルが愛知淑徳大学の山崎茂明教授の"理研の対応について、何が間違っていたのか本質を説明していない"という指摘を載せていたそうです。
また、「間違いは起きるものだ。研究の中で不正の可能性は常にある。しかし、もし理研がなぜそれが起きたのかを説明できなければ、職員を半分にしようと、関係者の全てを解雇しようと、何の意味もない」というコメントを寄せていたみたいですね。
これはSTAP細胞論文における不正をきちんと調査していない点を踏まえていると思われます。理研の調査委員会は不正認定していたものの、内容はかなり甘い上に、調査と対象となった疑惑はごく一部です。そして、そういった数多くの不正がなぜ起きたかも明確にはなっていません。
ここらへんを誤魔化して実態が把握できていないにも関わらず、なぜ対策が可能なのか?と言われると「その通り」としか言いようがありません。これも結局不正発生後の対応のまずさに起因しますね。
それから、同じ記事にあった東京大学のロバート・ゲラー教授の指摘は、モロに事後対応の悪さとわかるもので、"現在の管理状況について説明責任を追求していない。不正に気づき、責任者を替えるまでに余りにも時間がかかり過ぎだ"として、"理研の組織改革は中途半端だと批判してい"ます。
さらに
理研CDB解体も野依理事長らなぜか居座り 識者「けじめになっていない」- ZAKZAK(2014.08.28)では、近畿大学の榎木英介講師が「理事長をやめないという野依氏の判断は、けじめとしてどうなのか。発表通りに(再生案を)実行できればいいが、今の体制で本当にできるのかは疑問だ。それに野依氏が『研究不正は個人の責任』と強調していたのにも違和感を覚えた。他人事のようで被害者意識が見え隠れする。これでは現場の科学者たちの不信感は拭えない」と疑問を呈していました。
理研の改革案は、大事なところがすっぽり抜け落ちている感じがします。
★2014/9/9 理研・野依良治理事長の責任を問う声 辞任なしの判断に疑問
STAP細胞関連の話はまだあるんですが、面倒くさがってやってませんでした。ぼつぼつ処理していきます。
また以前のものとも重なる内容ですけど、理研改革の行方についての記事がいくつか出ています。その中の一つ
社説:理研の改革計画 トップの責任どうした - 毎日新聞(2014年08月29日 02時35分)は、ズバリ理研・野依良治理事長の責任について言及していました。
「理研のための理研改革」ではなく、「社会のための理研改革」を掲げ、CDBの竹市雅俊センター長は交代させるという。しかし、野依良治理事長を含む理事6人の刷新は見送られた。研究組織の見直しもCDBにとどまる。とても、生まれ変わった理研の姿が浮かぶ内容ではない。理研本部の幹部責任を含め、もっと踏み込んだ改革が必要だ。
社説では後半でもう一度これを強調しています。
それにしても、釈然としないのは理研本部自身の改革だ。外部有識者を過半数とする経営戦略会議や研究倫理教育責任者の設置などが打ち出されたが、理事長や理事の管理責任を厳しく問うものではない。
野依理事長は「理事は大変有能な人たち」と述べ、現体制で改革を進める考えだが、STAP問題の拡大を防げなかった幹部が居座ったままで改革が進むと誰が思うだろう。
自己保身という感じですが、できるだけ傷を浅くしようという試みは、疑惑発生当初から一環したものです。STAP細胞問題が他にない特殊なものであったのが、研究者側ではなく組織側が非常に積極的に隠蔽や沈静化をはかろうとしたというものです。この責任は間違いなく、幹部にあります。
改革案ではこの点を一切顧みていないというところには、非常に違和感を覚えます。そもそも疑惑発生後の幹部の対応に問題があったということすら認めていないんでしょうね。
理研の解体的出直し 全容解明へ覚悟はあるか 論説|福井新聞ONLINE(2014年9月3日午前7時30分)でも、「トップの責任に何ら言及せず、再生シナリオは見えない」と触れられています。ただ、重点はここにあるわけでなく、次の「まず遅々として進まぬ不正の全容解明に全力を挙げることだ」が一番言いたいことっぽいです。
"そのどこに不正の温床があったのか。「組織の構造的欠陥」とは一体何なのか。詳細な実態が明らかにされない中での行動計画は説得力が希薄ではないか"
上記のように再生シナリオがはっきりとせずに行動計画の説得力がない"最大の理由は、事の発端となったSTAP論文不正の全容解明が進まないことにある"と、福井新聞はしています。"問題のプロセス全体が解明されずして有効な対策を打てるだろうか"というわけです。
これもまた以前にも書いていることではありますが、どのような不正があったかはっきりしないことには、どのようにして問題が起きたかわかりません。そして、どのようにして問題が起きたかわからないと、その対策もできない…というごく当たり前のことです。
用意した記事はこの二つだけだったのですが、下書き前に確かめのために軽く検索かけると、もう一つ
理研改革 組織を根本的に見直せ-北海道新聞[社説](09/08)というのが出てきました。この記事でもやはり以下のように、上層部の責任に触れています。
"外部有識者らでつくる改革委員会が(中略)理研本部の上層部刷新を求めていた。しかし、出先であるCDBのトップ交代にとどめた。(中略)出直しに向けて、上層部の責任が不明確と言われても仕方あるまい"
ただ、「上層部」という書き方だと野依良治理事長については、含めていないかもしれません。改革委員会もなぜか野依理事長については辞任を直接は求めず、理事2人の交代のみを明記していました。
左派の北海道新聞らしかったのは、予算の「9割以上が国費」であることや成果主義について触れていたことです。私は成果主義大好きなんで本当は反対したいところですけど、今回の問題は「成果主義」の負の面が強く指摘されています。
北海道新聞の言う「組織を根本的に見直せ」というのは、この成果主義に関するところでした(成果主義志向も野依理事長の方針です)。「理研の構造的問題」とは、"誤った成果主義がまん延することで、研究をめぐる秘密主義を生み、研究者同士の相互チェックを難しく"していたことだとしていました。
STAP細胞問題は論文同様に問題点が多すぎて各社力点が異なっていましたが、一致していたのはトップの責任についてです。理化学研究所は何度か模様替えをしており、実は独立行政法人としての理研(2003年)の初代理事長(通常は特殊法人以降で数えて9代目)は、野依良治さんです。つまり、10年以上理事長が変わっていないわけです。
改革委員会は理研CDBについて長年幹部が変わらなかったことを問題視しており、今回の計画でもそれに従い、幹部一掃となりました。ただ、この人事停滞が腐敗に繋がったという指摘は理研CDBに留まらず、そのまま理研トップにも当てはまる内容なのではないでしょうか?
★2014/10/24 理研・野依理事長、給与10分の1自主返納 辞任なしで幕引きか?
STAP細胞:理研の野依理事長が給与自主返納(毎日新聞 2014年10月23日 19時59分(最終更新 10月23日 20時21分)大場あい)によると、"STAP細胞の論文不正問題で、理化学研究所は23日、不正を防げなかったことなどの責任を取り、野依良治理事長が給与10分の1を3カ月自主返納すると発表"しました。
この件は最初タイトルだけ見て中身見なくてもいいかな?と思いましたし、とりあえず処分ということなのでケチつける必要もないかな?とも思っていました。
ただ、記事をちゃんと読んでみると「不正を防げなかったことなどの責任を取り」である他、理研広報室が「一連の問題を招いた経営上の責任を明確にするため」としているのが気にかかりました。これはひょっとすると、今回の処分でSTAP細胞問題での野依理事長の責任はおしまいでは?という言い方です。
つまり、今回の件の野依理事長の処分はこの自主返納で終わりで、辞任のような責任のとり方はしません…という話ではないか?と。そりゃちょっとないんじゃないの?と思って、結局一つ投稿することに。
また、"理事全員が給与10分の1を1〜2カ月返納する"という発表とともにあった"理事5人を厳重注意とし"という処分も気になりました。理事を「厳重注意」する上司となると該当者は野依理事長だと考えるのが妥当でしょう。これは形式上仕方ないことではあるんですが、何となく野依理事長自身が反省しておらず、他人のせいにしている感があります。
まあ、これは前述の通り、処分の形式上やむを得ないです。さすがに言いがかりかな?と思いますが、辞任なしでの幕引きには納得がいきません。
以前のおさらいになりますが、そもそも野依良治理研理事長はSTAP細胞問題が生じる前は、研究不正が蔓延していることを知っており、その不正を批判していました。(関連:
STAP問題渦中の野依良治理研理事長、1年前は論文捏造不正を批判していた)
しかし、積極的な研究不正対策は講じず、今回のような大問題を生じさせます。さらにそれ以上に問題なのは疑惑発生以降です。STAP細胞に不正疑惑が生じたときに、まるで結果ありきのように調査開始時から論文の結論は変わらないはず…といった声明を出しています。
実際、調査においては証拠保全が遅れ、隠蔽対策が当初取られていませんでした。そもそも調査委員会は委員長が理研内部の人など、独立性にも問題がありました。野依理事長はそれらの問題が存在しても積極的に是正に取り組まなかったどころか、
野依良治ら理研がデータ解析公表に圧力、竹市雅俊は資料検閲のように、むしろ隠蔽に関わったという報道すらあります。
こういった状態では、
理研・野依良治理事長の責任を問う声 辞任なしの判断に疑問のように辞任を求める声が出るのは当然です。給与一部返納で幕引きだとしたら、到底納得しがたいです。
(挟むところがなかったので、最後に余談を。そういや、野依理事長の息子さんは読売新聞科学部に勤めています。そのためか、STAP細胞問題が生じたとき、大手で最後まで報道せずに粘っていたのが読売新聞でした。大きな問題となってからはさすがに報道し始めたのですが、今回の件はどう書いているだろう?と見てみました。…が、投稿時点では見つかりませんでした。さらっとは触れると思うんですが…)
★2014/12/28 理研と野依良治理事長は責任逃れ STAP細胞問題より特定法人か?
調査委員会の報告の後に、理研幹部の記者会見もあったんですね。26日当日は気づきませんでした。
しかし、"トップの野依良治理事長は姿を見せ"なかったとのこと。そして、それ以上に問題なのが、"理事らは責任回避の発言に終始した"ということです。
(
STAP細胞:最終報告 理研、責任回避に終始 ES細胞、「誰が混入」不明のまま(毎日新聞 2014年12月27日 千葉紀和、大場あい)より。以下も同じ)
毎日新聞は、"調査委は「ES細胞混入の可能性が高い」と結論づけたが、混入の経緯は不明で、故意か過失かの認定もできなかった"としていました。しかし、混入の経緯まで特定することが難しいことは予想できました。
最初のSTAP細胞論文の調査委員会は、委員長が当初理研職員であるなど、理研≒調査委員会という感じでしたし、調査結果もひどいものでした。しかし、その後の改革委員会や今回の調査委員会については独立性が保たれていたように感じましたし、結果も妥当だと思えるものでした。
と言っても、私がこれで一件落着と考えているわけでも、理研がこれで以上何もする必要はない、責任はないと考えているわけではありません。
有信睦弘理事(コンプライアンス担当)は「調査委はできる限りの調査をし、理研としても協力した。これ以上の調査はやるつもりはない」と強調したそうですが、これについては批判的です。
会見では記者から「もっと早く徹底調査していれば解明できたのでは」という指摘が相次いだとのこと。もっともな指摘です。
小保方晴子さんを擁護する人は、理研が小保方晴子さん1人を悪者にしたと考えているようですが、とんでもない話です。理研や最初の調査委員会は、極めて甘い対応をしていました。また、その後も不可解な対応を取ってきました。
この目的は理研の組織防衛が主体だと思われますが、小保方さんにとっても利益が大きいものが多数含まれていました。
毎日新聞はここらへんについて、良い指摘をしています。
理研が設置した最初の調査委は今年3月、対象を6件に絞って調査を終えたが、6月には共著者の若山照彦・山梨大教授の研究室に残された試料の一部や公開されていた遺伝子データの解析でES細胞の混入を強く示唆する結果が明らかになった。一方、理研側は「論文は撤回されるため新たな調査は不要」との立場をとり続けた。
こんなことをしておきながら、川合真紀理事(研究担当)は、"3月から小保方晴子元研究員がいた研究所に残る試料の確保を進め、解析の準備を整えてきたと説明"したとのこと。平気で嘘をついています。理研もとんでもない組織です。
また、日経新聞も理研の不手際を指摘していました。
STAPが問う理研の責任 :日本経済新聞 2014/12/27付
これまでの調査が後手にまわったことも否めない。問題が表面化した今春の時点で、ES細胞が混入している疑いはすでに指摘されていた。だが理研が本格調査を始めたのは9月になってから。その後も、科学的には意味が薄い小保方氏本人による検証実験を進めるなど、真相究明は迷走した。
研究管理が適切だったかなど、理研の組織のあり方に加え、不正が起きたときに適切に対処する危機管理能力も問われている。
私が理研の責任として強調したいのは、不正研究以前や論文発表以前ではなく、疑惑発生後の対応です。不正研究疑惑を隠蔽するような対応は、完全に研究機関として間違っています。
日経新聞は今後についても、以下のような努力ができるはずだとしていました。
報告は小保方氏の上司だった若山照彦山梨大教授や故笹井芳樹氏の責任についても「データの検証を怠った」と厳しく指摘した。だが理研が組織としてなぜ不正を見逃したのか、なぜ成果を大々的に広報したのか、などは調査の範囲外で、いまだ釈然としない。
理研は今回の報告で調査を打ち切る。笹井氏の自殺もあって、真相の究明が難しい面はあろう。だが少なくとも小保方氏や若山氏らへの聴取を続け、公の場で説明を求める責任が、理研にはある。
以前、どこかでまさかこれで終わりのつもりか?という危惧を書いたと思いましたが、野依良治理事長は本当にこのまま逃げ切るつもりのようです。
毎日新聞には、"野依理事長ら幹部の進退を問う声が上がったが、有信理事は「自ら給与を返上している。これで処分は行われたと理解している」と述べるにとどめた"とありました。
理研の迷走の原因、そして、野依理事長の頭の中にあるのは、おそらく研究者の給料を高くすることができる「特定国立研究開発法人」指定のことでしょう。これは野依理事長の悲願だと言われていましたが、進退に触れず理事長の椅子にしがみついたところを見ると、本当にそんな感じがしてきます。
特定法人指定は、文部科学省の悲願でもあります。下村博文文部科学相は閣議後の記者会見で早速、「来年の通常国会で新たな特定法人としての法案を出せるのかどうか、今後の理研のガバナンス状況を見ながら関係省庁と検討して最終的に判断したい」と述べたとのこと。
この人たちは特定法人のことしか頭にないのかもしれません。
★2015/1/21 STAP細胞問題 理研最大の罪は調査への消極的姿勢、隠蔽や調査否定繰り返す
STAP細胞問題において、研究者らは小保方晴子さんの責任を指摘していることでほぼ一致していたものの、理研の責任に関しては一枚岩ではありませんでした。
その原因として一番大きいのは、「研究の責任は研究者のもの。組織とは別だ」という考え方があるのだと思われます。
国からの支援を受け、組織の設備を使い、組織名で発表しておいて、研究の不備に組織の責任がない…と言えるのか?というのは、個人的に疑問に思っています。
ただ、STAP細胞問題の場合は、それ以外の面においても特殊な問題でした。理研の疑惑発生後の事後対応が極めて悪かったためです。
私は「研究者個人の問題ではなく、理研の問題にしてしまった」という言い方もしましたが、理研が最初から不正の可能性を認めて真剣に調査していれば、まだだいぶ違っていたはずです。
マスメディアやネットの主張を見ていると、理研の責任としては、事前に不正を防げなかったこと・小保方晴子さんの抜擢が不自然だったことを問う声が大きいようです。しかし、私は最も罪が重いというのが、この事後対応だと思っていました。
私は異物混入問題など、通常の企業の問題でも事後の対応の悪さの方をより問題視してきました。起きてしまったことは仕方ないとまでは言わないものの、真摯に対応すれば、問題の悪化をある程度食い止めることができます。
しかし、事後対応の悪さというのは、起きてしまった問題をさらに悪化させていくというものであり、極めて性質が悪いです。
そういった事後対応が悪かったという点を強調する記事を見つけました。今回の件で活発に記事を書いていた、毎日新聞の須田桃子さんの記事です。そういえば、須田記者は最近、
捏造の科学者 STAP細胞事件
という本も出されていました。
STAP問題1年:真相解明遠ざけた理研 険しい信頼回復 毎日新聞 2015年01月21日 07時09分(最終更新 01月21日 12時57分)
一連の経緯を振り返ると、論文の主要著者が在籍した理化学研究所が当初、不正の全容調査を渋ったことが騒動の長期化を招き、結果的に真相解明を遠のかせた印象をぬぐえない。(中略)
(引用者注:調査委員会によると、)STAP細胞から作られたという「STAP幹細胞」などは、計3種類のES細胞が元になっていた。
(中略)「ES細胞ではないか」という指摘は、疑義発覚後の早い段階からあった。だが、理研本部や、不正の舞台となった発生・再生科学総合研究センター(CDB、当時)の幹部らは、STAP細胞を新たに作製する検証実験にこだわり、解析には消極的だった。
最後のところの「検証実験にこだわり」の1語だけは不要だと思います。当初は検証実験については言及しておらず、単に消極的でした。
こういう細かいところだけ気になりましたが、いくつか挙げている理研が「消極的だった」例は、的確なもので賛同します。たとえば、以下はたぶんまだ検証実験の話が出る前の時期のものです。
CDBの相沢慎一・特別顧問(当時)は昨年4月、STAP細胞をマウスの皮下に注射してできた腫瘍(テラトーマ)の切片を解析してはどうか、という私の質問に、「STAP細胞があるかないかという観点からは、その切片をみても何の意味もない」と答えた。今回の解析ではまさにその切片も対象となり、テラトーマはES細胞由来だったと判明した。
私が理研に最も腹立っていた部分の一つでしたが、須田さんの質問だったんですね。いい質問でした。
また、最初に調査した以外の疑惑解明にも極めて消極的でした。
調査委が新たに捏造(ねつぞう)と認定した2件の図表についても、昨年4月には、CDBの「自己点検チーム」による論文の全図表類の調査で疑義や問題点が浮かんでいた。ところが、川合真紀理事は5月、「(新たな疑義の検証は)プライオリティーが下がっている」と述べ、調査を実施していたことすら認めなかった。
それから、改革委員から「隠蔽」と表現されるような悪質なこともしていました。
遠藤高帆(たかほ)・上級研究員は同月下旬、公開されたSTAP細胞の遺伝子データの解析で、ES細胞混入を強く示唆する結果が出たことを理研幹部らに報告したが、幹部はその内容を盛り込んだ論文の発表に待ったをかけた。
須田記者はこれらの消極姿勢について、"研究者を高額な年俸で雇用できる「特定国立研究開発法人」への指定を目指し"ていた関係で、"「STAP細胞はなかった」という最悪の結論は避けたかったであろうことは容易に想像できる"とおっしゃっていました。これはかなり踏み込んだ内容です。
ただ、下村博文・文部科学大臣も最終報告が終わった途端に「あとは特定国立研究開発法人だ」みたいに特定法人について言及していましたので、そこらへんが本音なんだろうなと私も思います。
なお、特定法人のためにSTAP細胞問題を捏造したという言説もありますが、私はこれについては支持しません。特定法人はもともと理研のために作ろうとしていた制度であり、管轄する文部科学省が実現のために尽力してきました。理研の指定は既定路線であり、STAP細胞の成果は不要でした。
これまでの実績だけでなく、STAP細胞という新たな華々しい成果によって、法人指定に花を添えようという下心くらいならあったかもしれません。
しかし、特定法人が決まっていたのに思わぬトラブルが起きてしまった…という方が、幹部のSTAP細胞問題の捉え方に近いのでは?と思います。
最後に、記事によって指摘されていた理研の罪についてまとめておきます。
・理研は終始、不正の全容調査に消極的で、疑惑の解明が遅れた。
・腫瘍の切片を解析について「何の意味もない」と否定し、当初は調査を行わなかった。
・初めの調査では疑惑の対象を絞り、それ以外の調査を行うことを当初は否定していた。
・遠藤高帆・上級研究員の解析データについての発表を止め、隠蔽していた。
記事にはありませんでしたが、理研は最初、研究室も封鎖して証拠を保全することもしていなかったようですからね。もしその段階で証拠を隠滅されていたら、さらに事態は悪化していたでしょう。
須田記者は「もっと早くSTAP細胞の存在を疑って試料を押さえ、ES細胞そのものだという結果を関係者に突き付けていたら、より真相に迫ることができたのではないか」としていました。理研の罪は重いです。
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