2014/7/13:
ジャパネットたかた高田明社長、思いつきで「社長、辞めます!」
売上不振のジャパネットたかたへの危機感の他、世代交代も意識
無理すぎる目標「過去最高益じゃなきゃ社長をやめる」の意外な結果
社長がいなくてもやれる…カリスマ社長からの継承の難しさを克服
高田旭人副社長は、高田明社長が反対した売り方で大成功
●ジャパネットたかた高田明社長、思いつきで「社長、辞めます!」
2014/7/13:ジャパネットたかたの高田明社長が退任するという話がニュースになっていました。
ジャパネットたかた社長、来年1月退任へ 後任に長男:朝日新聞デジタル 2014年7月12日03時49分によると、通販大手のジャパネットたかたは、高田明社長(65)が2015年1月に社長を退き、後任に長男の高田旭人(あきと)副社長(35)を充てる人事を固めたと、関係者が明らかにしました。
高田社長は1986年、たかた(現ジャパネットたかた)を設立して社長に就任。自らテレビショッピングの番組に出演して商品を紹介する手法で収益を拡大してきました。
ただ、社長を辞めるという話は以前から言っていました。6月6日から日経ビジネスオンラインでは、ズバリ「高田社長、ジャパネットやめるってよ」という連載もしています。
では、社長を辞めるということは前々から考えていたか?と言うと、そうでもなさそうです。インタビューにおいて高田明社長は「前々から考えていたわけではありません」と言い切っているほどで、きっかけは唐突だったようです。「13年に過去最高益を更新できなければ、社長を辞めよう」と「12年の秋、あるメディアの取材の席上で、ぱっと思い付いて言っちゃった」としています。
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あと長くて2年で「社長、辞めます」:日経ビジネスオンライン 荻島 央江 2014年6月6日(金)より)
●売上不振のジャパネットたかたへの危機感の他、世代交代も意識
もちろん完全に何も考えずに言ったというわけではないようです。当時は「それくらい言わないと、今のジャパネットの置かれた状況を社員に分かってもらえないと考えた」という理由がありました。
ジャパネットたかたは1986年の創立以来、右肩上がりの成長を続けてきて、10年12月期に過去最高を記録しました。ところが、2011年、12年は2期連続の減収減益となり、10年12月期と比べて、売り上げは3割以上、利益は5割近くも落ち込みました。この危機感が辞任を言い出した背景でした。
高田明社長は次のようなことも言っています。
「親が永遠に子供のそばにいることができないように、私もいつまで会社にいられるか分かりません。私がいなくても社員たちだけで会社を動かしていく体質にしなければならない。社員が秘めている本当の底力を引き出すために、高い目標を掲げ、私自身の進退を懸けることにしたのです」
これは非常に良いことだと思います。というのも、創業者など優れた経営者、カリスマ社長を失った後、低迷してしまう企業が少なくないからです。下手に優れた社長がいる分、次の社長が育たないのです。過去にやった
クロネコヤマトの宅急便の生みの親小倉昌男 カリスマ社長の老害問題なんかも、そういうテーマの話ですね。
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スティーブ・ジョブズらカリスマの罪 アップルが普通の会社になるのはいいことも関連)
●無理すぎる目標「過去最高益じゃなきゃ社長をやめる」の意外な結果
「13年に過去最高益」という目標は取引先からは「無茶な目標だ」と言われていました。何しろ2012年は大ゴケした状態でしたからね。"前期の経常利益が73億円のところ、その2倍近い137億円を目指"す目標だったようです。
で、てっきり私はこの目標が達成できなくて辞めることになったのだと思っていたら、次のような話が出てきました。
「東京オフィスは若手を中心に運営させ、私は直接関与しませんでした。あえて長崎・佐世保にいる私から物理的な距離を置き、完全な自立を促したわけです。東京オフィスのメンバーは(長男の旭人=あきと)副社長以下、本当によく頑張ってくれました。
13年の過去最高益に大きく貢献した布団クリーナーの『レイコップ』も彼らが開花させた商品です」
あれ、成功しちゃったの?と思ったら、マジで成功していて驚きました。
「私が進退を懸けた13年は、おかげさまで売上高が1423億円、経常利益は過去最高だった10年の136億円を更新し、154億円を達成しました」
●社長がいなくてもやれる…カリスマ社長からの継承の難しさを克服
もしこれが達成できたら社員は相当な自信を持つでしょう。私が抜けてもやれると確信でき、行動も変わっていくと思った、ともおっしゃっていましたが、すごいですね。私の言ったカリスマ社長からの継承の難しさを見事すぎるほどに見事にクリアしました。
「トップに一番大事なことは何かと言えば、私は引き際だと思っています」という発言もしています。高田明社長は本当に大事なことを知っています。
不祥事企業トップはジャパネットたかた高田明社長を見習え!でも、私は感心しました。しゃべり方などはむしろ大嫌いだったんですけどね、読んでみて見方が変わりましたわ。
あと、「自画自賛になりますが、『社長を辞める』という宣言はインパクトがあったのでしょう。今年もまた辞めるって言えばよかった(笑)」には笑いました。
最後まで読んでこれ、本の宣伝記事だと知りました。こちらのタイトルもズバリ
社長、辞めます! [ 荻島央江 ]です。
●高田旭人副社長は、高田明社長が反対した売り方で大成功
これで終わろうかと思っていたんですが、元記事タイトルの"あと長くて2年で「社長、辞めます」"を忘れていました。該当部を見ると「私は今、65歳です。今も気力十分ですが、走りながらバトンタッチするのが一番いい。社員には長くてあと2年、私から学べることがあればどんどん吸収して、前へ前へと進んでほしい」と言っているだけですね。特に条件などは書かれていません。
また、今検索してみても特に今回の辞任の理由は書かれていません。経営不振の責任をとって…といったことを素人で書いている方がいましたけど、これは本当ですかね?
2013年については前述の通りですから違います。2014年度が悪いという可能性がありますが、話の流れからすると、良い状態のときにバトンタッチ、もしくは副社長以下が自立できたのが確認できたためにということじゃないかと想像します。
実は"1商品を1日限り、お値打ち価格で徹底的に売る「チャレンジデー」"は、高田明社長は反対だったのに高田旭人副社長らが"押し切って実現し成功させた"ものです。もうジャパネットたかたは、高田明社長頼りではなくなりました。本当、見事ですわ。
追記:その後、
ジャパネットたかた高田旭人次期社長 高田明社長とぶつかりあって成功という話も書いています。
【本文中でリンクした投稿】
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