2014/7/14:
会社の規模に比べてCM放送回数が多いダイハツ・スズキ
CM放送回数の多さと好感度の高さって関係あるの?
ダイハツはテレビCM上手で好感度2位、ベタ踏み坂などで成功
テレビCM上手なダイハツがテレビCMから撤退?
ダイハツはなぜテレビCMを減らそうとしているのか?
CM好感度が高くてもダイハツの将来が危うい理由
2018/10/08:
テレビCM撤退どころか正月のCM放映本数で日本一に
●会社の規模に比べてCM放送回数が多いダイハツ・スズキ
2014/7/14:自動車メーカーのCM放送回数を見ると、意外です。1位、2位はトヨタ自動車、日産という大手であり、何の不思議もないのですが、3位にスズキ、4位にダイハツという比較的大きくない会社が入っています。軽自動車って広告が多いんですね。ホンダよりずっと多いみたいです。
<自動車メーカーのCM放送回数(2013年度) >
自動車会社 放送回数(順位・回数)
トヨタ自動車 1 14,269
日産自動車 2 14,192
スズキ 3 13,678
ダイハツ工業 4 10,076
ホンダ 5 7,841
三菱自動車 6 5,806
富士重工業 7 5,758
(出所:CM総合研究所)
●CM放送回数の多さと好感度の高さって関係あるの?
さらにおもしろいのが、このCM放送回数と好感度を並べたものです。
<自動車メーカーのCM放送回数と好感度(2013年度)>
自動車会社 放送回数(順位・回数) 好感度(順位)
トヨタ自動車 1 14,269 1
日産自動車 2 14,192 3
スズキ 3 13,678 4
ダイハツ工業 4 10,076 2
ホンダ 5 7,841 5
三菱自動車 6 5,806 7
富士重工業 7 5,758 6
(出所:CM総合研究所)
かなり相関性があります。軽自動車の会社も2位と4位で良いところです。私は日産の印象が薄く、ホンダが人気なのだと思っていたので、そこも意外でした。
●ダイハツはテレビCM上手で好感度2位、ベタ踏み坂などで成功
基本的にはCM放送回数の多さと好感度の高さは相関するようですけど、放送回数以上に人気な企業もあります。それがダイハツです。CM総合研究所の関根心太郎主席研究員は、「自動車メーカーの中でもテレビCM巧者だ」と言われていました。
私がもともと車に興味がなく、テレビを全く見ないというのはありますが、ダイハツが軽自動車のメーカーとわからず、何となくトラックだと思ったくらい知らない会社でした。なので、自動車会社で2番めに好感度の高いところだというのは、驚きでした。
ダイハツのCM上手について、記事では、ダイハツが「タント カスタム」の「ベタ踏み坂」CM(島根県江島と鳥取県境港市を結ぶ江島大橋)の例を出していました。「ベタ踏み坂」なら私も朝日新聞のネットニュースで読みました。CMは話題だし、来訪者が増えているという話も聞きました。
●テレビCM上手なダイハツがテレビCMから撤退?
ところが、そのCMで好感度を上げてきたはずのダイハツがテレビコマーシャルに背を向けようとしているそうです。4月末の決算説明会で、ダイハツの堀井仁上級執行役員が「コペン(引用者注:車名)から、マス広告は打たない試みを始める」と発言しているのです!
これは"対象が軽の中ではニッチなスポーツ車のコペンだから、マス広告よりもイベントのほうが費用対効果が高いと判断した"、というわけでもないとのこと。「他のクルマの売り方についても今回、お客さんとのコミュニケーションで得た成果を使っていく」(コペン開発責任者の藤下修チーフエンジニア)という話だったのです。ひょっとしたら記者の勇み足かもしれませんけど、記事ではテレビCMから撤退の方向性という書き方でした。
この記事は、自動車会社がメインのもの。なので、そちらの話はなかったですけど、テレビ局にしてもこれは戦々恐々でしょう。何しろ"自動車メーカー全体では9万6472回と日本のCM全体の6%程度を占めている"そうで、その中での4位であれば、相当大御所のスポンサーです。
また、この試みが成功すれば、スズキあるいは軽自動車以外の自動車会社、さらには異業種とマス広告離れが広がるかもしれません。
●ダイハツはなぜテレビCMを減らそうとしているのか?
そういう妄想はひとまず置いておき、なぜダイハツはマス広告との付き合い方を変えようとしているのでしょう?
実を言うと、この答えは簡単。要するに売れないのです。好感度では上位を行っていた軽自動車の2社でしたが、"2014年度の軽市場について、ダイハツが180万台、スズキが200万台と、両社とも前年度比マイナスを予想して"います。
これにはホンダ、日産・三菱自動車連合といった新たな参入の影響が大きく、CMのせいとは言えないかもしれません。しかし、少なくとも視聴者の好感度通りに売れていないとは言えそうです。CM放送回数と好感度はほぼ比例しても、売上とは必ずしも一致していない感じです。
●CM好感度が高くてもダイハツの将来が危うい理由
また、CM好感度と売上とがある程度比例していると考えても、ダイハツには悪い話になります。というのも、軽自動車市場における後発組が"各社とも、軽のテレビCMを流しまくっている"ことで、ダイハツの牙城を崩すと考えられるためです。
先述の放送回数は軽自動車とそれ以外を分けていませんでした。しかし、軽自動車だけの放送回数で見てみると、他社のテレビCM増加によってダイハツやスズキのシェアが食われているという形になると考えられます。
しかも、"自動車関連諸税の見直しにより、2015年4月以降に購入する軽では軽自動車税が7200円から1万800円に増額される"とのこと。軽自動車自体が「税金の安さ」という優位性も揺らぎつつあるという厳しい状態なのです。
それで"他社と差別化して生き残るための策"を考えようってことが、CMに頼らない宣伝方法の模索みたいですね。
●テレビCM撤退どころか正月のCM放映本数で日本一に
2018/10/08:記事ではテレビCMから撤退の方向性という書き方だけど、ひょっとしたら記者の勇み足ではないか?と書いていました。で、実際、撤退はしなかった模様。2018年の正月の三が日に放映されたテレビCMの本数において、ダイハツは自動車会社以外を含めてもナンバーワンだったというほど、コマーシャルを流しまくっているようです。前年2位だったということで、むしろ増えていますね。
<2018年正月テレビCM本数ランキング>
1位 ダイハツ工業 (336本・5430秒)
2位 東建コーポレーション (229本・4320秒)
3位 バンダイナムコエンターテインメント (222本・3375秒)
4位 ソフトバンク (194本・4545秒)
5位 興和新薬 (190本・2850秒)
6位 スズキ (185本・3150秒)
7位 コナミホールディングス (165本・4950秒)
8位 日産自動車 (164本・2550秒)
9位 本田技研 (157本・2505秒)
10位 スクウェア・エニックス (141本・2180秒)
ビデオリサーチコムハウスが、関東・関西・名古屋の各民放5局を対象にテレビCMのオンエア状況を調査している「テレビ広告統計」のデータを元に、2018年1月1日午前0時~1月4日午前0時に関東地区(日本テレビ、テレビ朝日、TBS、テレビ東京、フジテレビ)でオンエアされたCMについてまとめたもの。
(
2018年正月テレビCM本数、企業トップはダイハツ工業、タレントトップは斎藤工 #宣伝会議 | AdverTimes(アドタイ) by 宣伝会議 宣伝会議 編集部 2018.01.15 掲載より)
ネットでは「テレビは終わった」という主張を好むのですけど、実際にはまだまだテレビは強く、従来型のマス広告というのも大きな力を持っています。なので、テレビCMから全面撤退という極端な選択をする企業はあまりないのかもしれませんね。
ちなみに、2018年の正月三が日には、1万1699本のCMが関東地区で放映されました。この数字は、2017年の1万1680本より微増だったとのこと。こういったデータを見てもまだまだテレビCMは強いぞ…という感じがします。
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