東京慈恵会医科大学・高橋宏樹講師を不正受給で懲戒解雇 再犯防止できず

　東京慈恵会医科大学の名前を見て、反射的にノバルティスファーマのディオバン(バルサルタン)問題だと思ったんですが、違いました。

慈恵会医大 科研費不正受給の元講師を懲戒解雇　7月18日 21時22分　NHK

東京慈恵会医科大学は、元講師の男性が国の科学研究費を申請する際にほかの研究者の名義を使うなどして、およそ７０００万円を不正に受給したとして懲戒解雇の処分にしたと発表しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140718/k10013131211000.html

　およそ7000万円と書いているところが多かったですが、以下によると7029万円だそうです。

慈恵医大講師、補助金７０２９万円不正受給　解雇処分に：朝日新聞デジタル　2014年7月18日23時22分
http://www.asahi.com/articles/ASG7L5GNXG7LULBJ00K.html

　高橋宏樹元講師は、2004年度分から"１１年間に３５件の科研費を申請、１９件が採択された"そうです。しかし、"１８件は他人の名前で申請した科研費だった"ということで、ほとんど嘘の申請です。

　また、"申請書の研究業績として論文名を記載する欄に、他人が書いた論文なのに自分も執筆に加わったなどとして水増し"ということもやっています。また、他の研究者の名前で申請した分においても、その研究者が書いていない論文も業績として加えていました。嘘に嘘を重ねてえらい積み重なってしまっています。


　以下の記事によると、高橋元講師の他にも処分者がいます。上司である"銭谷教授を減給（１０％、１カ月）とし、他に講師１人と助教６人をけん責、教授１人、助教４人、職員２人を厳重注意処分にし"ています。

東京慈恵会医大:科研費不正受給で講師を懲戒解雇【大場あい】
毎日新聞　2014年07月18日　19時59分（最終更新　07月18日　21時47分）
http://mainichi.jp/select/news/20140719k0000m040063000c.html

　でも、甘いんじゃないかな？というのは、"名前を使われた研究者も電子申請用ＩＤを貸"している人がいることです。東京慈恵会医大としては、この電子申請用ＩＤ貸し出しで"間接的に不正に関与したと判断"した上でのこの処分ということみたいです。ただ、IDを貸せば不正に使われるのは容易に想像できたと思いますけどね。納得いきません。

　ちなみに「私的流用はなかった」そうですが、不正受給ではそういうケースは多く、問題なしってことにもなりません。


　さらに大学がマズいってのが、東京慈恵会医科大では"２００４年にも科研費の不正受給や不正使用が発覚し、約５億円を文科省に返還した"ことがあるということです。(以下記事より)

時事ドットコム：講師が科研費不正受給＝別人名義で７千万円、懲戒解雇－０４年にも発覚・慈恵医大（2014/07/18-20:45）
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2014071800950

　しかもですね、東京慈恵会医科大学の松藤千弥学長は、「元講師は以前にも不正で処分を受けており、不正が繰り返された事態の重大さを深刻に受け止めています。全学を挙げて信頼回復に努めていきたい」(NHKより)などと言っています。以前もやらかした人だったんですよ！

　時事ドットコムによると、この2004年の際に高橋元講師は"５年間の科研費の受給資格停止処分を受け"ていたそうです。にも関わらず、"直後から同様の不正受給を繰り返し、研究費を調達していた"のだそうです。この受給資格停止処分にも穴があるってことでしょうね。


　あと、最後に朝日新聞の登録後に読める部分を読んでいたら、またもや驚く話が！ なんと、"科研費を受け取った他の研究者に自分で使う試薬などの納品書を渡し、支払いをさせていた"とのこと。もちろん"名前を使われた研究者は不正を指摘し"ていなかったようです。

　さっき"間接的に不正に関与したと判断"なんて話があったんですけど、これは間接とは言い難いです。ほとんど共犯じゃないですか。共犯者への処分が甘すぎます。

　何か本当、ひどい話ばっかりありますね…。


　関連
　　■慈恵医大もノバルティス元社員が解析　望月正武客員教授が丸投げ
　　■秋山昌範東大教授、研究費2180万円詐欺・妻らの給与に1000万円以上の疑惑
　　■慈恵会医大でもディオバン論文データ操作、撤回へ　望月正武客員教授が責任者
　　■医療IT化の権威・天才肌の秋山昌範東大教授　研究費の詐欺容疑で逮捕
　　■詐欺容疑逮捕の秋山昌範東大教授とはどんな人？才能と情熱に高評価
　　■研究不正疑惑についての投稿まとめ