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日本での決闘は決闘罪、非合法で禁止 福岡で書類送検、タイマンも犯罪になる


 修羅の国といった言われ方をしている福岡で12人がタイマンをして書類送検される…という事件がありました。これは事件そのものが変わっているのですけど、書類送検の理由も「決闘容疑」というもので変わっています。実を言うと、日本では決闘そのものが禁止されていて犯罪なんだそうです。知っていました?

 その後、<彼女けなされタイマン申し込んだ高校生、いざ決闘という場面になって…>、<「どちらが埼玉で有名なヤンキーか」ヤクザも混じり傷害で逮捕>などの話を追記しています。

冒頭に追記
2022/12/09追記:
●「どちらが埼玉で有名なヤンキーか」ヤクザも混じり傷害で逮捕 【NEW】


●「どちらが埼玉で有名なヤンキーか」ヤクザも混じり傷害で逮捕

2022/12/09追記:<「どちらが埼玉で有名なヤンキーか」で中学生大けが 11人逮捕>(2022年12月7日 22時27分 NHK)というニュースタイトルを見て、この投稿の話を思い出しました。ただし、記事では「決闘罪」の話はなし。また、タイトルになっていないものの、暴力団も参加していたという話題性のある話が本文にあり、驚きました。

<「どちらが埼玉で有名なヤンキーか」をめぐって県内の中学生2人がSNSでトラブルになり、一方が暴力団員など仲間とともに暴行して大けがをさせる事件がありました。この事件で警察は中学生や暴力団員など11人を傷害などの疑いで逮捕しました。
 警察によりますと、ことし10月2日の未明から朝にかけて中学2年生の14歳の男子生徒が車で連れ回されたうえ、さいたま市内の河川敷や駐車場で多数の男女から殴る蹴るの暴行を受ける事件があり、生徒は胸や鼻の骨折などの大けがをしました>
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221207/k10013916511000.html

 警察によると、逮捕された11人のうちの女子中学生と被害者の男子中学生は事件の前にSNSで知り合い、やり取りをする中で「どちらが埼玉で有名なヤンキーか」をめぐり言い争いになっていたとのこと。これを女子中学生から聞いた知り合いの暴力団員が仲間を集めて暴行したとみられるそうです。


●日本での決闘は決闘罪、非合法で禁止 福岡で書類送検

2014/7/25:LINE:福岡で少年ら決闘約束 見物に100人集合(毎日新聞 2014年07月24日 12時19分(最終更新 07月24日 14時51分)【吉川雄策】)は、さすが修羅の国!という、福岡のイメージ通りの話題でした。しかし、私はそれ以上に「決闘罪」というものが存在することに驚いたんですよ。

 記事によると、携帯電話の無料通信アプリ「LINE(ライン)」で約束して決闘したとして、福岡・中央署は、福岡市のアルバイトの少年(15)ら13人を決闘容疑で福岡地検に書類送検。13人は事件当時、四つの学校に通う中学3年生で、全員容疑を認めているといいます。

 決闘罪というものは、いろいろとおもしろいです。まず、Wikipediaのタイトルが「決闘罪ニ関スル件」となっている時点からして特異です。普通なら法律の名前がここに表示されるからです。

 この奇妙なタイトルの理由は、"この法律には、「題名」が付されていない"ためという驚くべき理由でした。この時点ですでに変わっていますね。法律の名前がなくて仕方がないので、便宜的に「決闘罪に関する件」などと呼んでいるようです。


●当事者間の合意による決闘がむしろ犯罪になる?

 また、決闘罪はイコール喧嘩というわけではなさそうに見えます。明治40年10月14日大審院第二刑事部宣告では「(略)合意ニ因リ身体生命ヲ傷害スヘキ暴行ヲ以テ相闘フ行為」と「合意により」というのが入っています。

 同様に昭和24年(れ)第1511号、昭和26年3月16日最高裁判所第二小法廷判決は「当事者間の合意により相互に身体又は生命を害すべき暴行をもつて争闘する行為を汎称するのであつて必ずしも殺人の意思をもつて争闘することを要するものではない」としているそうです。

 難しい書き方をしていてわかりづらいものの、おそらく突発的なケンカなどは決闘罪に当たらないのだと思われます。当事者間の合意による決闘がむしろまずいんじゃないかと…。


●立会人や決闘に応じないという理由で煽るのまで犯罪になる

 この合意という点に福岡の件で着目してみると、福岡市のアルバイトの少年と福岡県粕屋郡の男子高校生(15)がLINEのメッセージ機能などを使って「出てこいよ」「大濠でやろう」などと決闘を約束を交わしています。決闘罪の要件を満たしていそうです。

 また、2人の同級生ら12人が決闘し、1人が立ち会い、13人全員が書類送検されました。立会人も書類送検されているんですよ。これは「決闘を挑んだ者・応じた者」「決闘を行った者」だけでなく、「決闘立会人・決闘の立会いを約束した者」も犯罪に該当するためです。

 この他に「事情を知って決闘場所を貸与・提供した者」もダメなのですが、今回は公園などが舞台でしたのでセーフでした。
(公園という情報のみ、LINEで日時決めて決闘、少年13人を書類送検 ― スポニチ Sponichi Annex 社会 [ 2014年7月24日 16:23 ]より)

 当日は"中学生ら約100人が見に集まった"という話もバカっぽいのですけど、見物人についても特に犯罪にならなそうですね。

 あと、おもしろいのは、Wikipediaには、"決闘に応じないという理由で人の名誉を傷つけた場合は、刑法の名誉毀損罪で処罰される"の記載もあったこと。決闘に応じないからと言って煽ったら犯罪のようです。DQN、ヤンキーの皆さんは日常的に法を犯してそうですね。


●けんかした12人は乱闘状態ではなくそれぞれタイマンだった

 なお、今回の問題は近年トラブルの舞台となっているLINEを通した犯罪というのも特徴的です。きっかけはリアルであり、粕屋郡の中学校に通っていた6人が、高校の体験入学に訪れた際、アルバイトの少年らが当時通っていた2校の中学生とトラブルになったことでした。

 しかし、その後、アルバイトの少年がLINEで男子高校生を見つけて、舞台がLINEへと移ります。「決闘」の約束、見物人の確保もみなLINEでした。そして、「決闘」の段取りが無事決まると、再びリアルへという形です。

 この決闘は毎日新聞を読んでいて、てっきり乱闘状態だと思っていたのですが、そうではありませんでした。スポニチによると、公園など2カ所で6人ずつが一対一のけんかをしたといいます。(ちなみに"けんかした12人のうち、1人が左手の小指を骨折し、全員が顔面打撲のけがを負った"とのこと)


●タイマンも犯罪になることになって、明治時代制定の法律が大活躍

 一対一のけんかというのはいわゆるタイマンなのですが、こちらもまたWikipediaに記載があります。途中で「合意ニ因リ身体生命ヲ傷害スヘキ暴行ヲ以テ相闘フ行為」といった古めかしい法律文を出したように、この法律は実際に古く、明治時代の制定でした。経緯は下記の通りです。

<この法律が規定される以前は日本法上決闘に関する統一的規定はなくヨーロッパにあっては一定の時期までは決闘は違法な行為とは扱われなかったこと、また日本における果し合いの風習などもあり決闘が犯罪と扱われないこともあった。しかし、決闘の放置は社会秩序の維持に悪影響をもたらすことから本法が制定された。
 1888年9月、雑誌『日本人』社員・松岡好一が高島炭鉱における惨状を誌上に掲載したところ犬養毅がこれを『朝野新聞』で否認したため松岡は三宅雄二郎、志賀重昂2人を介添人として決闘を犬養に申し込んだ。犬養は野蛮な遺風であるとして応じなかった。おりしも光妙寺三郎は「決闘は文明の華なり」という論説を発表し、決闘を賛美し一時世論は沸騰した。この事件に続いて決闘を挑むことが頻発し、もって法律制定の一因となったという>

 しかし、"制定以来、実務上はほとんど適用の機会がなく、昭和後期・平成初期までこの法律は「過去の遺物」となってい"ました。ところが、"少年や少女による果たし合い、いわゆる「タイマン」が本法の決闘に該当するとの判断がなされて以降は事態が急変"します。まだまだ珍しく、2005年時点で適用者は34名しかいないそうです。

 珍しいために、今回のように"この法律を適用して立件されたというだけでマスコミが取り上げる"ということになっているものの、「タイマン」への適用は画期的でした。"これにより、例えば暴行罪や傷害罪での立件が困難であるような事件を摘発又は解決する道を開く法として、その価値を見出されることとなった"そうです。


●彼女けなされタイマン申し込んだ高校生、いざ決闘という場面になって…

2020/08/10:その後も順調に決闘罪が使われている感じですね。決闘があるのは福岡だけ…というのはもちろん偏見であり、各地で起きます。2019年10月に東京都荒川区と足立区に住む高校1年の16歳の男子生徒2人を決闘罪に関する件違反と傷害の両容疑で書類送検したというケースが、警視庁により発表されていました。

 「タイマンしよう」 高1の2人、決闘の疑いで書類送検:朝日新聞デジタル(2019年10月30日 18時16分)によると、荒川区の生徒が1月13日、SNSを通じて「タイマンしよう」と決闘を申し込んで足立区の生徒が応じ、翌14日正午ごろから約40分間、同区の荒川河川敷でタイマンを行いました。

 荒川区の生徒が交際していた少女をSNS上で批判されて立腹。2人に面識はなかったのですが、別のSNSで直接やり取りを重ね、「どちらかがギブアップするまで続ける」などと打ち合わせ。1対1でお互いに顔面を殴ったり蹴ったりし、それぞれ軽傷を負わせた疑いがあります。ただ、「けがをしても被害届は出さない」というルールも決めており、発覚したのは通行人の通報のせいです。

 現場にはそれぞれの知人計13人が呼ばれて集合ということで、このケースでもやはり見物人がいました。また、ちょっと間抜けだったのが、初対面で決闘開始のタイミングをつかめずにいる2人に対し、見物人が「始め」と合図を送ったという話。決闘を促したわけで犯罪の要件に当てはまりそうだったものの、書類送検はされなかったようです。


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