"出産に無痛分娩という選択肢 お腹を痛めて子供を産んで一人前?"(2014/7/26)というのが、最初のときの投稿タイトル。その後、死亡例で緊急提言という話があったので追記(2017/04/18)。危険性が高いってことなら知らせなきゃと思ったものの、実際にはそうではないそうです。
●出産には、無痛分娩という選択肢もある
男性は耐えられずに死ぬ?出産の痛み・陣痛を体験した動画二つで書きたいと言っていたのは、今回の無痛分娩の話です。実はメールで「この話はこのあと、欧米では無痛分娩が普通、という話に行くのでしょうね?」と来ていました。読まれていましたね。
無痛分娩の割合に関しては、記事での書き方は"アメリカやイギリス、フランスなどの先進国では無痛分娩の割合が多い国で80%"というものでした。
(
出産の痛みは経験すべき? 産科医に聞く、海外で8割の母親が選択する「無痛分娩」が日本で一般的でない理由|ウートピ 2014.05.12(末吉陽子)より)
一方の日本での割合については未記載。しかし、まず選択肢としてそういうものがあるということ自体が、あまり知られていないのでは?という感じです。
記事では"出産経験者からは、「出産の痛みに耐えて生むからこそ、我が子を可愛いく感じるもの」という声も聞かれる"、"お腹を痛めて生んで一人前みたいな風潮があります"などとありました。ただ、まさかそれだけが無痛分娩普及を妨げているということはないでしょう。
"産婦人科がある病院や診療所が全国に約4,500か所ある"のに対して、"日本産科麻酔学会のホームページで紹介されている無痛分娩を実施している施設は全国で196か所"。圧倒的に少ないですので、そもそも実施している施設が少ないのだと思われます。
今はまず認知度が少しでも上がるようにと…と思いましたので、一回紹介しておくことにしました。
●無痛分娩のリスク・副作用・費用など
記事では、"日本で42年以上にわたり無痛分娩を施行している、東京衛生病院の原澄子先生"にインタビューしています。
麻酔による無痛分娩は1847年に世界で初めて実施され、イギリスでは1853年にビクトリア女王が麻酔による出産を経験したことから、ヨーロッパに広まったとされる歴史の古い方法です。その後、吸入麻酔から安全性の高い硬膜外麻酔が主流となり、アメリカでは経腟分娩(帝王切開ではなく腟を経由する分娩)の8割が無痛分娩となりました。
ポイントは以下。
・硬膜外麻酔が主流。
腰から硬膜外腔に向かってに針を刺し、麻酔薬を注入する方法。意識ははっきりした状態。ガスによる笑気麻酔や静脈麻酔剤は、眠くなったり一時的なものだったりと、長時間の出産には向かない。
・赤ん坊や母体へのリスク。
局所麻酔薬や合成鎮痛麻薬は、新生児の神経行動には影響を与えるものではないと一般的には考えられている。母体としては頭痛や低血圧などの副作用が出ることもある。
・無痛分娩に掛かる費用
東京衛生病院の場合お産代にプラスして10万円。
無痛分娩という名前から勘違いされやすいものの、全く痛みがないというわけではないと聞いたことがあります。この記事では、硬膜外麻酔の場合、"それなりに太い針を刺し麻酔薬を注入するチューブを入れますが、局部麻酔をしてから実施しますので、陣痛が続くことを考えたら比にならないくらいの痛み"というのが痛みについて述べた部分です。
●お腹を痛めて子供を産んで一人前なのか?
元記事ではタイトルになっていたのに、「お腹を痛めて子供を産んで一人前?」に関する言及はあまりありませんでした。で、検索してみましたけど、やはりそもそもあまり言われていませんね。この元記事ばかり出てきて、他での言及は見つかりづらいです。
…と思ったら帝王切開だとダメみたいな話が出てきて、驚きました。
長女を産んでから妊娠・出産した友人知人が、「選べるなら帝王切開したい」とか、長く続く陣痛の最中に「もう切ってくれ」って思ったとか、よくそんな話をします。
切ったら一生物の傷が残るのに。出産翌日に、お腹を十数センチ切ったにも関わらず、容赦なく「歩いてください」って言われるのに!(中略)
しかしマックスの陣痛を知らない私には「普通分娩のほうがラクだ」とも言い切れないので、いつもモヤモヤとした気持ちを抱えながら「いや、帝王切開キツイよ?」とあいまいに笑うだけです。
それにしても一般的に、「下から生んでこそ一人前の母」みたいな風潮で語られるのは、何故ですかね?
立派なお産だと、言い聞かせてきた日々でした 帝王切開まとめ › 帝王切開体験談/
うーん、やっぱり「お腹を痛めて子供を産んで一人前」みたいなのは、あるんですかね?
●無痛分娩で死亡例の報道も、リスクの理解に誤解
2017/04/18:「無痛 分娩 」について、厚生労働省研究班(主任研究者・池田智明三重大教授)は16日、医療機関に対し、急変時に対応できる十分な体制を整えた上で実施するよう求める緊急提言を発表しました。010年1月から16年4月までに報告された298人の妊産婦死亡例を分析。無痛分娩を行っていた死亡例が13人(4%)あったそうです。
(
麻酔使った「無痛分娩」で13人死亡…厚労省、急変対応求める緊急提言 : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞)2017年4月17日 より)
緊急提言が出されたとなると、リスクが高いのだと誤解されると思われます。しかし、データ上、無痛分娩で死亡率が明らかに高まるとは言えないとのこと。
じゃあ、なぜ緊急提言という過剰反応を招くような形にしたのか?と不思議です。「陣痛促進剤の使用や(赤ちゃんの頭を引っ張る)吸引分娩も増えるため、緊急時に対応できる技術と体制を整えることが必要だ」という説明はあったものの、緊急提言の必然性はよくわかりませんでした。
検索してみると、
無痛分娩は危険?データを読めない記者が生み出す「誤報」:データイズム:オルタナティブ・ブログ(2017/04/17)では、坂本 英樹さんが報道について、マスコミの単純化による「誤報」と批判していました。今後、デマの元になるかもしれません。
また、13人のうち、1人が麻酔薬による中毒症状で死亡、12人は大量出血や羊水が血液中に入ることで起きる羊水塞栓症だったという内容もまた問題みたいで、ツイッターで批判がありました。ひょっとしたら相当おかしい研究かもしれません。
あと、「お腹を痛めて子供を産んで一人前」思想に保守派っぽさを感じたので、また保守派によるキャンペーンの影響かもと思いました。しかし、検索してみたところ、自民党の赤枝恒雄議員が自然分娩を専門分野としてプロフィールに挙げているという話くらいしか出てこなかったので、今回はあまり関係ないかもしれません。
関連
■
男性は耐えられずに死ぬ?出産の痛み・陣痛を体験した動画二つ ■
妊婦は太るけど、妊娠中ダイエットすると太りやすい子供が生まれる? ■
男性の不妊症で原因となりかねない生活習慣 すっぽんの強精は眉唾? ■
妊娠・出産に関して妊婦や夫が知っておくべき情報・制度まとめ ■
テレビを見ると頭が悪くなる?長時間視聴の子供、言語能力低下 ■
その他の人生・生活について書いた記事
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|