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研究不正はなぜ嫌われる?不正の追求は嫉妬と憎悪が理由なのか?


2014/7/26:
●研究不正の不正の追求は嫉妬と憎悪が理由なのか?追求側へ批判
●不正の追求する動機にこだわる必要性はそもそもあるのか?
●研究不正はなぜ嫌われる?不正をしなかった研究者らの思い
●研究不正の追求がルサンチマンだというのはおかしいのではないか?
●そもそも不正を良くないと思うのは人間として当然のこと
2020/06/11:
●研究不正は問題だらけ!税金の無駄遣いから人を殺す可能性まで
2020/06/16:
●ヒドロキシクロロキンの場合は研究不正の影響はあまりなかった?


●研究不正の不正の追求は嫉妬と憎悪が理由なのか?追求側へ批判

2014/7/26:まだ使っていなかったメモの中から、今回は「研究不正はなぜ嫌われる?STAP細胞問題の追求は嫉妬と憎悪なのか?」というテーマで一つ書くことに。ただ、これは本来、もっと前の方にやっておくべき話でしたね。STAP細胞の研究が素晴らしい研究だと信じている人が多いときの方が、意義のある話でした。

 なお、今回取り上げる話では、「ルサンチマン」という言葉が出てきます。たぶん研究不正の追求はルサンチマン的な行動に過ぎない…みたいな批判が一部であるのだと思われます。

 このルサンチマンの概念はたいへんおもしろいと思うもの。でも、難しい言葉で、理解がたいへんなんですよね。私は未だにうまく説明できません。11次元さんは以下のように説明していました。
論文捏造&研究不正 ‏@JuuichiJigen
ルサンチマン(キリスト教的道徳観を批判する際に用いたニーチェの概念)とは、強者(権力者、支配者)によって抑圧された弱者(キリスト教徒)が、憎悪や嫉妬の感情をもとに、愛・同情といった道徳観により強者に精神的に反逆(復習)する行為のこと http://blog.livedoor.jp/pyridoxal_phosphate/archives/5947448.html …
2:37 - 2014年5月1日
https://twitter.com/JuuichiJigen/status/461801624047210498

●不正の追求する動機にこだわる必要性はそもそもあるのか?

 ただ、こうしたルサンチマンの概念を用いた批判に対し、別にそれでもいいじゃない?と書いていたのが、柳田充弘先生に望む事 柳田充弘先生に望む事 : 一研究者・教育者の意見(2014年04月30日)でした。

<ルサンチマンとしての動機であっても、それが不正に対する抑止力となるのならば、社会へプラス面があると思われるので私は否定しない。私の中にもそのような気持ちは存在する>

 私は以前も書いたように、動機は無関係だと思います。たとえカウンターパンチのように繰り出された不正の指摘であっても、分け隔てなく調べるべきでしょう。例えば、疑惑を指摘した動機が何であろうと、殺人の疑いがあれば警察は捜査しなければいけません。ルサンチマンだから調べない…なんてことにしちゃいけません。

 ただ、ひと目で言いがかりとわかるレベルはさすがに別。不正調査を邪魔するために、捏造した不正疑惑を連発されると困ります。死刑を延期してもらうために、新たな殺人を告白する人もいますけど、明らかな嘘であれば相手にしちゃいけません。


●研究不正はなぜ嫌われる?不正をしなかった研究者らの思い

 また、先の"研究者・教育者の意見"では、ルサンチマン的な動機であったとしても、そうした心情が増えた理由があるであろうとしていました。その理由の一つは、「大学院の重点化」であろうとしています。そして、以下のような話を書いていました。

・博士課程進学者が増えた一方で、任期のない研究職には就けずに、研究の世界から去る人や、ある者は見通しも立たずに任期職を続ける人が増えた。
・去った者でも、今続けている者でも、心の支えは、「研究職獲得の競争はフェアに行われている(行われていて欲しい)」であった。そういう人たちから見れば、不正をして論文を発表し、安定した研究職に就いている人は許せないだろう。

 研究不正を許してしまうと、公正な研究者ほど出世できない、研究を続けられない…といったおかしなことになりかねません。


●研究不正の追求がルサンチマンだというのはおかしいのではないか?

 ここらへんの話はもっともだと思うのですが、「ルサンチマン」という言葉を使ったばっかりに、ちょっとここの部分から話が広がってしまいました。以下のような指摘が出ています。
taka ‏@takasangj
@JuuichiJigen いくつか同意できる点もありますが、不正追及の動機はルサンチマンだけでなく、疑義を科学的事実で反証して欲しいということではないでしょうか。特にSTAP問題では他の要素が多いので。
1:08 - 2014年5月1日
https://twitter.com/takasangj/status/461779226740285440

asterisk_2012 ‏@asterisk_2012
分かる人には分かると思いますが、小保方氏に対して批判する人間は、「ルサンチマンではない」。ルサンチマンとは自分より優れた者への妬み。さて、小保方氏より劣る科学者がどれくらいいるでしょうね?
4:37 - 2014年5月8日
https://twitter.com/asterisk_2012/status/464368465340792832

論文捏造&研究不正 ‏@JuuichiJigen 5月1日
研究不正を非難する人たちの動機の一つは、ルサンチマン(強者に対する嫉妬・憎悪の感情を根源とした精神的な復習)との指摘。 面白い指摘ですね。少しはそういう感情もある?どうでしょう。セルカン氏や小保方氏に対して嫉妬の感情を抱く人は稀でしょうし、そもそも彼らは強者ではない?
https://twitter.com/JuuichiJigen/status/461801624047210498

●そもそも不正を良くないと思うのは人間として当然のこと

 で、これらにさらに噛み付くように「まずは、的外れな指摘であることの一例として、ご自身のモチベーションとするところを開陳なされてはいかがでしょうか?」などと言っている人がいて不思議でした。

 ただ、私はもっと単純な話でいいんじゃないかと思うんですよね。そもそも研究不正に対して良くないとか、許せないとか思うのは人として当たり前の感情ではないでしょうか? だって、それは不正なんですから!

 「不正」という言葉をわざわざ辞書で引く人は少ないと思いますが、突っかかってくる人もいますので、改めて調べてみましょう。デジタル大辞泉の解説 コトバンクでは、不正を「正しくないこと。また、その行為や、そのさま」と説明していました。不正は文字通り「正しくないこと」という意味なのです。

 「正しくないこと」を良くないと感じて、許せないと思うのは、人として当然でしょう。あまり人格否定するような言い方はすべきではないでしょうが、正しくないことに対して何とも思わないならともかく(宗教的には罪人を許す…みたいなのもあるでしょう)、正しくないことを問題視する側を攻撃するという方が人としておかしいです。

 これは研究不正以外のことに広げて考えると、すぐにおかしいとわかるでしょう。不正の追求がまともにできない世の中になったら、たいへんなことですわ。でも、不正を追求する人の方を叩く人が出てきてしまうというのは、倫理崩壊への予兆なのかな?とちょっと心配になってきます。


●研究不正は問題だらけ!税金の無駄遣いから人を殺す可能性まで

2020/06/11:「不正を追求する」よりも「不正を追求する人を叩く」というのは、そういえば、政治の世界でも見えていますね。海外でも同じかどうかわかりませんけど、少なくとも日本では不正よりも不正を追求することを憎む人が多いのかもしれない…とちょっと思いました。そういえば、国際調査でも日本人の正義感は他国より低い数字だった記憶があります。

 ただ、追記したのは、政治の話ではなく普通に研究の話のため。そもそも不正な研究というのは、それだけで問題があります。これまた税金の無駄遣いをなぜか全然問題視しない人が日本には多いのですが、不正な研究には多くの費用が費やされていることが多いです。似たタイトルの研究不正はなぜダメ? 損失額1件5000万円、国民の税金も無駄に…は、そういった金銭面での話でした。

 また、事実ではない研究結果が大きな被害をもたらす…ということも当然ながらあります。例えば、科学的根拠のないどころか、逆に患者を殺す危険な薬を認可して、死者を増やすということにすらなりかねないんですよ。不正は普通に許されるべきではありません。

 このことは、サージスフィアのイベルメクチン・ヒドロキシクロロキン論文撤回で書いた話。また、そちらで引用しなかったものの、不正が濃厚な論文のせいで「危険」というイメージがついたヒドロキシクロロキンの研究が進まない…という意味で、間接的に死者を増やしてしまう可能性もありそうでした。

<6月3日、WHOのテドロス事務局長は抗マラリア薬の臨床試験の再開を宣言した。だが、「危ない薬」というイメージがついてしまったため、ランダム化比較試験に参加する患者が集まりにくくなると懸念されている。大規模臨床試験は果たしてスムーズに進むだろうか>
(コロナ治療薬研究でデータ収集会社に疑義、論文3本取り下げ - 論座 - 朝日新聞社の言論サイト(高橋真理子 朝日新聞 科学コーディネーター 2020年06月10日)より)


●ヒドロキシクロロキンの場合は研究不正の影響はあまりなかった?

2020/06/16:上記のように書いていたヒドロキシクロロキンですが、不正が濃厚な論文以外でも結局似たような研究結果になっていたらしく、米食品医薬品局(FDA)は、抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」について、新型コロナウイルスの予防や治療に用いることを認めた緊急使用認可を取り消すと発表しています。ここらへんの判断は専門家や専門機関で異なってくる可能性もありそうです。ただ、臨床試験で効果を確かめるかどうかはともかく、緊急使用認可の方はそもそもやりすぎだったように見えますね。

<FDAは3月、新型コロナ対応でのヒドロキシクロロキン使用を緊急認可したが、効果を疑問視する実験結果が相次いでいた>
<同薬服用が「新型コロナに効果があるかもしれないと考える理由も、潜在的効果がリスクを上回ると考える理由も、もはやない」と説明している>
(アビガン 抗マラリア薬の緊急認可取り消し 新型コロナ、効果見込めず―米:時事ドットコム 2020年06月16日08時03分より)

 なお、ヒドロキシクロロキンを「画期的な薬」と推奨し、自身も服用しているトランプ大統領は、FDAの決定について、「多くの人が(同薬で)命を救われたと言っている。私も服用したが元気だし(副作用の)害が出ていないのは確かだ」と根拠なく攻撃。研究不正ではないのですけど、こういう科学的根拠のない主張も当然たいへん危険です。


【本文中でリンクした投稿】
  ■研究不正はなぜダメ? 損失額1件5000万円、国民の税金も無駄に…
  ■サージスフィアのイベルメクチン・ヒドロキシクロロキン論文撤回

【関連投稿】
  ■研究不正大国日本 撤回本数世界一など、トップ10の半分が日本人
  ■査読者が論文を却下して自身の論文に盗用 やっぱりあった査読者の不正
  ■ディオバンだけじゃない…日本の臨床研究には過去にも疑惑指摘
  ■研究不正で処分が必要な理由 公正な研究者の研究機会が奪われている…など
  ■研究不正疑惑についての投稿まとめ

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