事業仕分け後の議論
事業仕分けを契機に、以下を含めた多数の発言や議論が行われた。
・GRAPEなどの多体問題専用計算機で有名な国立天文台教授の牧野淳一郎は、「メモリバンド幅やネットワーク性能とか色々考えても、高々10Pflopsに1100億は2012年の数字としては高価にすぎる」、「性能当りで(コストが)高い、ということが日本の計算科学の将来に明らかな悪影響をもつ」と批判した。
・汎用パーツを用いることにより、わずか3800万円でこれまで国内最速であった「地球シミュレータ2」を超える多体問題専用スパコンのDEGIMAを開発した長崎大工学部テニュアトラック助教の濱田剛は、地球シミュレータや京速などの巨費を投じたスパコンの開発方針について「素直にいいとは言えない。方向性が逆」と述べており、スパコン開発はコストパフォーマンスを重視して行われるべきとの見解を示した。
コストパフォーマンス
2012(平成24)年に本格稼働で10PFLOPSに1100億円は高すぎるとの批判ももちろんあり、コストパフォーマンスという点においては、京は完成前から既に失敗しているとも言える。
国産のスーパーコンピューター技術は維持されるべきだが、今後が懸念される事件となった。これをどのように将来のプロジェクトに繋げていくか考えていくことが、国家戦略上も重要である。
スパコン京、2位に転落 米IBM「セコイア」が最速に :日本経済新聞 2012/6/18 16:24 (2012/6/18 22:07更新)
理化学研究所と富士通が共同開発中のスーパーコンピューター「京(けい)」が、18日に発表になったスパコンの性能ランキングで世界最速の座から転落、2位になった。首位は米IBM製「セコイア」。計算速度は毎秒1京(京は1兆の1万倍)6000兆回余りで、京の約1.6倍だった。(中略)
スパコンは大量の電気を使う。セコイアは京に比べて半分の電力消費量で計算ができ、施設規模も小さい。速度以外の性能面でも京を上回った。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGG1801C_Y2A610C1000000/
スパコン2位の富士通「京」ちゃんより、スパコン1位のIBM「セコイア」の方が、価... - Yahoo!知恵袋 2012/6/19 20:17:37
プロジェクトでは国内企業の半導体製造技術を育て事が一つの目的となったため、海外の安い半導体製造会社を使わず、わざわざ富士通独自の最新鋭の45ナノメートルの半導体生産ラインを作りました。ここでスパコンのプロセッサを生産しました。しかし、最近の最新の半導体設備は膨大なコストがかかるためこれのせいで京はかなりのコスト高になってしまったようです。さらに、この半導体設備は京以外には結局使われなかったので、この投資は必要だったのか疑問が残ります。
また、スパコンの目的がはっきししていないため、目的に応じて設計を最適化してコストを削減する事があまりできなかったのではと思います。
コスト効率のよいマシンを設計する技術力が十分にあったかどうかも疑問が残ります。セコイアと比べると台数(ラック)あたりで約13倍の性能差があり、設計技術は明らかにセコイアの方が優れています。しかもセコイアの方が省電力です。プロジェクトの状況が違うとはいえ、この違いは大きすぎます。
最後に、天下りとかスパコン建屋の建築とか、いわゆるばら撒きがあったのではないでしょうか。セコイアがおよそ100ラックに対して京は800ラックもあるので、建物にはコストがかかったと思います。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1289400802
「悪意」の源流 小保方博士と理研の迷宮(上) 2014/5/12 7:00 日本経済新聞 電子版
次世代スーパーコンピューターとして理研に設置された「京(けい)」が計算速度世界一を達成したのは2011年のこと。民主党の事業仕分けで、「2位じゃだめですか」と指摘されたが、理研理事長の野依良治ら科学者が反発し、「いったん凍結すれば、他国に追い抜かれる」として予算を復活させた。結局、1111億円を投じて、2012年に完成し、民間利用も始まっている。
だが、京はその後、計算速度を上げる開発が止まってしまった。そして、世界4位に落ちている。それでも、専用の6階建ての巨大ビルには今も210人が勤務し、毎年100億円を超える維持運営費がかかっている。電気代だけで20億~30億円を費消する。
理研は、運用での成果を強調する。モノ作りや災害予知、ナノテクなどに利用されているというが、1000億円を超える投資に見合う具体的な成功事例は見当たらない。クルマの流体力学のシミュレーションにも使われているが、「スパコンでF1カーを製作したら、ぶっちぎりでビリになった」と理研計算科学研究機構の職員は苦笑する。
ところが、そのスパコン開発は今年4月に予算が復活した。2020年ごろまでに「京」の100倍の計算速度を目指して、理研に1400億円が投じられる。
「計算速度世界一」や「STAP細胞論文」など、華々しい瞬間は報道陣にアピールする。その裏で理研が手がける無数のプロジェクトに多額の国費が流れ、巨大な組織体の中に消えていく。実態は複雑怪奇で、収入1つとっても、運営費交付金から施設整備補助金、科研費、補正予算などが年度の途中にも積み重なっていく。組織も化学、物理、生物、工学などの研究分野をカバーしているが、近年は生命科学(ライフサイエンス)の研究分野が急拡大して、施設が全国に拡散している。全国7カ所に分かれて生命科学の研究が行われているが、その役割分担は見えない。(編集委員 金田信一郎)
http://www.nikkei.com/article/DGXZZO70875170Y4A500C1000004/
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