本当にあった怖い話が生まれるとき、都市伝説、怪談、心霊現象といったものが、生まれる様子がわかりそうな話を。タイトルにしたのは、八甲田山で無人別荘から電話があったというの心霊現象について。ただ、最初に出している例は、英彦山の霊を持ってきてしまい、高校生がバタバタ倒れたというエピソードです。
その後、<八甲田山の無言電話、現代の科学でも再現できない!?>などを追記しました。
2023/06/19追記:
●八甲田山なら心霊現象が起きて当然?過去に199名死亡の事故 【NEW】
●英彦山の霊で26人の女子生徒が体調不良を訴える
2014/8/3:まずは"一部では「心霊スポット」として知られているらしい"という「英彦山」(ひこさん)の近くの「油木ダム」(福岡・田川郡添田町)に研修に行った柳川高校の心霊現象から。何人もの生徒が続々と倒れたとして、福岡・柳川市の「柳川高等学校」が一気にネット上で話題になったそうです。
<騒動の発端は6月30日昼ごろから、柳川高校の生徒とみられるツイッターユーザーが「この前山登りから帰った時に霊をもってきたらしく今15人以上バタバタ倒れとる。女の子とか俺を殺してくれーとかしにたいんじゃー!!とか」など、「生徒が相次いで倒れた」という情報を投稿したことだ>
http://news.infoseek.co.jp/article/20140701jcast20142209264 集団パニック状態でたいへんですね。ただこれ、元記事のタイトルは、「原因はわからないが、霊は関係ない」 生徒が倒れた柳川高校、ネットの「噂」を否定- J-CASTニュース(2014年7月1日16時44分)というものでした。このタイトルを見てわかる通り、学校側は心霊現象ということについて否定的なのです。
学校の説明によると、1年生の女子生徒1人が「ギャー」と叫び出し、貧血か何かで青ざめてうずくまりました。教室内がこれでざわつき、騒ぎを聞きつけて様子を見にきた生徒や、お昼時でこの教室と同じ階にある食堂に行こうとしていた生徒が連鎖反応を起こし、続々と気分を悪くしてしまったといいます。
結果、計26人の女子生徒が体調不良を訴える事態となりました。ただし、「倒れた」とはされていなかったので、この時点で既にネット情報には虚構が入っていることがわかりそうです。
●集団パニックは以前からときどき起きている
短時間で次々と気分が悪くなる生徒が出たことで他の生徒からも恐怖を訴える声が上がり、学校全体が落ち着かない空気になりました。これは当然でしょう。とりあえず生徒たちを帰して、この日は午後から臨時休校としたとのこと。このようなことが起きるのは精神的な問題が大きいですので、良い判断だったと思われます。
たいへんだったのは事実ですけど、ネットで広まった情報は話に尾ひれがついています。こういった集団パニックというのは、珍しいですが時折見られるものです。先のJ-CASTニュースでは、以下のようにいくつかの例を挙げていました。
<06年7月には千葉・船橋市のショッピングセンターで女子中学生が次々と過呼吸の症状を訴え、11人が病院に運ばれたことがあった。
07年5月には大阪・堺市の中学生らがバスの中で怪談話をしていたところ、11人が過呼吸に。08年10月には沖縄・宜野湾市の中学生らがお祓いをしてもらったところ、20人ほどが体調不良を訴え、そのうち女子生徒5人が過呼吸になった。
さらに13年6月、兵庫・上郡町の県立上郡高校で、1年生の女子生徒が「気持ちが悪い」と体調不良を訴えて泣きわめき、過呼吸になった。これを見た女子生徒らが次々にパニックになり、1時間ほどで21人の女子生徒が過呼吸の症状を訴えた>
真ん中の件は怪談が絡んでいます。ただ、他は心霊現象とも結びつきません。学校の場合は「学校の怪談」もあるのでまだあれですけど、最初の「ショッピングセンターの怪談」じゃ雰囲気が出ないでしょう。心霊現象うんぬんに関係なく、集団パニックが起こるということは理解していただけたのでないかと思います。
とはいえ、こうした集団パニックが、心霊現象うんぬんの話と繋がりやすいというのも理解できる話。というのも、心霊現象に対する意識やいわゆる霊感の強さなど称しているものなどは、パニック状態への導入になりやすいため。多感な時期の学生には特に注意が必要でしょう。
●八甲田山で無人別荘から電話という怪現象
この話を読んでいて思ったのが、上記のように否定されても無視されても、「怪談」「怖い話」「心霊現象」として確定して広まることがあるんじゃないかな?というものです。関連して思い出したのが、<深夜、無人の別荘から119番通報 誤報?それとも… 青森・八甲田>(Web東奥 5月18日(日)10時42分配信)という話です。
こちらは、八甲田山の心霊現象というもっとインパクトの強いもの。八甲田山では、稚拙な装備や情報不足の中で訓練を行った戦前の日本軍兵士210名中199名が死亡するという強烈な事故が起きています(後半の<八甲田山なら心霊現象が起きて当然?過去に199名死亡の事故>で補足)。人がたくさん亡くなっているので不謹慎だと思うのですが、「人気の心霊スポット」になっているのです。
<無人の別荘から深夜に119番? 17日午前0時すぎ、青森市駒込深沢にある別荘の固定電話から消防へ通報があった。しかし、通信状態が悪く、電話の向こう側から声は聞こえなかった。
一刻一秒を争う事態かもしれない―。青森消防本部は発信場所を特定し、消防署員ら10人が、40分ほどかけて現場に到着。しかし、辺りは真っ暗で、家の中に人影はなく、傷病者も見当たらなかった。
現場は八甲田雪中行軍遭難事件があった地区で、木々がうっそうと生い茂る>
リンク切れ http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140518-18104206-webtoo-l02
●かなり珍しい現象だが説明可能
ただし、こちらの件も後に否定されているんですよ。その後、<深夜、無人の別荘から無言の119番通報 犯人は風? 青森・八甲田>(Web東奥 6月17日(火)19時56分配信)という記事が出ていました。
<5月に青森市駒込の無人の別荘からあった無言の119番通報は、別荘の切断寸前の電話線が強風で揺れ、電気が流れたり切れたりして「1」「1」「9」という番号が偶然発信された可能性があることが、NTT東日本青森支店への取材で17日、分かった。
同支店の鹿内保伸広報課長によると、別荘の電話はダイヤル式。ダイヤル式は、回したダイヤルが戻るまでの間に数字に応じた回数だけ電流が切れ、その切断回数で数字が認識される。例えば電流の切断が1回なら「1」、9回なら「9」となる。
通報後、同支店の社員らが現場を調査した結果、別荘につながる電話線の一部が切れかかっていたことが判明。風で揺れ、電話線がつながったり離れたりを繰り返し、「119」が発信されたことが考えられるという。
鹿内広報課長は「まだ原因は特定できていない」としながらも、当時は風が強かったということから「確率は非常に低いが、ゼロとは言い切れない」とする>
リンク切れ http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140617-17195604-webtoo-l02
3桁くらいのものならありそうな気がする一方で、だいぶ苦しい説明かな?という気もしなくもないです。八甲田山という要素だけでなく、現象の説明の難しさから、内容的にもこっちの方が広がりやすそうですね。
こういう不思議な話は実は嫌いじゃないんですが、心霊現象ありきで話を盛っているってわかっちゃうと一気に冷めちゃいます。
●鮮明すぎるニューヨークの「女の子の幽霊」に騒然
2017/10/01:米ニューヨーク州北部の郊外で3月下旬、広大な土地を持つオーナーが敷地内に置いたカメラに、見知らぬ少女が映りこんでいました。事件性を感じたのか、オーナーは警察に相談します。
映像はわりと鮮明で、心当たりある人であれば確認を取れそうなものでした。しかし、驚いたことに、長年その地域にいた警官もその少女には見覚えがなく捜査は難航。警察をもってしても身元が割れない怪事件にネットでは幽霊疑惑まで浮上し、予想外の大騒動になったとのこと。警官がはFacebookに少女の写真を投稿して情報提供を求めたというのが、余計ネットで話題になった理由かもしれません。
幽霊説の直接的な原因は、どうも地元の人々による "その少女によく似た子どもの言い伝えがある" という情報のようです。昔その土地に鉄道が走っていたころ、線路で遊んでいた女の子がひかれて亡くなるという痛ましい事故があったというのです。
(
めちゃくちゃ鮮明すぎる、ニューヨークで撮影された「少女の霊」その謎が明らかに : カラパイア 2017年05月16日より)
●除霊を勧める霊媒師からの連絡が殺到
ただ、鮮明すぎる映像の心霊写真という時点で、そもそも普通に人間じゃねーの?という話。そして、実際、そうでした。ニューヨーク州でスキーリゾートのオーナーをしている男性が、その辺りを孫娘と散歩していた、と電話で情報提供。彼は知人からこの騒動を知らされ、うちの孫は幽霊ではない、と電話することになったようです。
映像はわりと鮮明と書いたものの、こうした都市伝説化するものは、「少女」くらいの大雑把な特徴で「一致」としてしまいます。しかも、普通の心霊写真とされるものは、鮮明ではない映像ですので、なおさらどうとでもなります。いい加減なものです。
また、こうした心霊現象騒ぎが良くないというのが、金儲けの道具になっているということ。先の警察官は、"迷える幼子の魂を救ってさしあげましょう"と除霊を勧める霊媒師への対応に追われてたいへんだったと言います。心霊現象を扱うテレビ番組なんかも、完全に金儲けのためですよね。彼らのカモにならないようにしましょう。
●八甲田山の無言電話、現代の科学でも再現できない!?
2018/12/21:八甲田山の無言電話が、『THE突破ファイル』というTV番組で取り上げられたみたいですね。ただ、名前的にそういう番組じゃないのか、心霊現象という結論にはしていなかった模様。安心しました。ただ、以下のようなツイートがあり、ネットの検索上位は普通に怖い話とされているようです。
また、TV番組によっては、謎が解明されていない話と紹介している模様。実際に説明できていないのであればそれで仕方ないですけど、前述の通り、詐欺被害者を生み出すもととなりますので、テレビでの紹介の仕方には注意してもらいたいです。
一方、検索していると、最近ではなく事件当時のツイートで、「うちでも同じようなことがよく起きるよ」というものがありました。
これもネット情報ですので鵜呑みは危険。ただ、安易に心霊現象としてしまう方がずっと危険だとは思います。
●八甲田山なら心霊現象が起きて当然?過去に199名死亡の事故
2023/06/19追記:八甲田山の件で少し補足。大勢の人が亡くなっているために、「八甲田山なら心霊現象が起きておかしくない」と思い込ませる要素になっています。以下は、
八甲田雪中行軍遭難事件 - Wikipediaからです。
<八甲田雪中行軍遭難事件(はっこうだせっちゅうこうぐんそうなんじけん)は、1902年(明治35年)1月に日本陸軍第8師団の歩兵第5連隊が青森市街から八甲田山の田代新湯に向かう雪中行軍の途中で遭難した事件。訓練への参加者210名中199名が死亡(うち6名は救出後死亡)するという日本の冬季軍事訓練において最も多くの死傷者を出した事故であるとともに、近代の登山史における世界最大級の山岳遭難事故である。 >
ウィキペディアによると、日本陸軍は1894年(明治27年)の日清戦争で冬季寒冷地での苦戦を強いられた経験を踏まえ、さらなる厳寒地での戦いとなる対ロシア戦に向けた準備をしていました。2隊の訓練が重なり、それぞれロシア軍の侵攻で列車が不通となった場合を想定した訓練と雪中行軍の演習だったそうです。
<最終的な生存者は、(中略)11名のみであった。この他、(中略)6名も救出されたが、治療の甲斐なく死亡した。生還者は、倉石大尉、伊藤中尉、長谷川特務曹長を除き、その全員が凍傷により足や手の切断を余儀なくされた。(中略)
遭難の詳細については生存者の証言に異同があり、軍部の圧力または情報操作により、戦争に向けて民間人の軍部への批判をかわすことを目的に、真実が隠されたり、歪曲された節がある。 >
原因は諸説あるのですが、意外なことに決定的なものは特定されていないとのこと。各地で日本の観測史上における最低気温を記録していた気象条件説の他、貧弱な装備、指揮系統の混乱、極端な情報不足、認識不足などといった説があるといいます。いずれにせよ何らかの落ち度があったのは確かでしょうね。
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