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WHO勧告「自殺を予防する自殺事例報道のあり方」の自殺予防対策


 直接的には笹井芳樹理研CDB副センター長の件で知ったものですが、一般に通用するものです。

関連:笹井芳樹副センター長自殺?疑惑追求への非難や隠蔽他殺説などの反応

 ツイッターで見て、こういうのがあったのか…と驚きました。ただ、もう少し信頼できる形で…と探すと、Wikipediaが出てきました。
自殺を予防する自殺事例報道のあり方(じさつをよぼうするじさつじれいほうどうのありかた)は、2000年に『自殺予防に向けた学校の教職員のための資料』(Preventing Suicide, A resource for teachers and other school staff)と同時に発表された自殺防止を目的にした世界保健機関(WHO)の勧告である。

 ツイッターで話題になっていたのは「すべきではないこと」でしたが、先に「すべきこと」を。
すべきこと

・事実の公表に際して保険(引用者注:保健の誤字と思われる)の専門家と密接に連動する
・自殺は自殺成功とではなく自殺既遂と呼ぶ
・関連する情報だけを中面記事として公表する
・自殺に代わる手段を強調する
・電話相談や地域の支援機関に関する情報を提供する
・危険指標や危険信号について周知させる

 「保険の専門家」ってのはなぜでしょうね? …と当初書いていましたが、翌日に引き続き調べていて気づきました。「保健」の誤字っぽいです。試しに検索すると「保健の専門家と密接に連動する」という記載がありました。あと、WHOのオフィシャルも見つけました。多少文面が異なったので、最後に載せます。

 次の「自殺は自殺成功とではなく自殺既遂と呼ぶ」というのも、具体的にどういう形を想定しているのか、思い浮かびません。

 「中面記事」はおそらく「なかめん」と読み、一面や背面(スポーツ紙はテレビ欄ではない)ではなく開いて読む二面以降に掲載したなさいという意味でしょうね。新聞紙を意識した注意事項ですけど、テレビなどで言えばトップニュースで扱わないとも考えられます。(後述の「すべきではないこと」とも関連)

 また、「自殺に代わる手段を強調する」ってのは良い推奨ですね。「死ななくて良かったはずだ」と知らせるということでしょう。ただ、おそらくそういった報道を心がけると、「マスコミに死んだ人の気持がわかるのか」といった罵倒はたくさん出ると思われます。

 次の「電話相談や地域の支援機関に関する情報を提供する」も「自殺に代わる手段を強調する」と同様に、自殺を選ぶかもしれない人に向けたものでしょう。

 一方、最後の「危険指標や危険信号について周知させる」は、自殺を選ぶかもしれない人ではなく、周囲の人に向けたものです。これも良い推奨ですね。これは以前私の書いたものもリンクしておきます。

  ■自殺の心理 本気で死にたい人は言わないは大嘘
  ■自殺のサイン・兆候 自殺は人に言わないは嘘、予防できるときもある


 次に問題の「すべきではないこと」です。
すべきではないこと

・写真や遺書を公開しない
・具体的で詳細な自殺手段を報告しない
・単純化した理由付けをしない
・自殺を美化したり、扇情的に扱わない
・宗教的な固定観念や文化的固定観点を用いない
・悪人探しをしない

 笹井副センター長の報道ではいくつか完全にアウトのものがあります。遺書については記者が食い下がって暗に公表することを求めていた他、警察が持っているはずなのになぜかリークされて、既に遺書の一部(一言程度)が報道されています。

 私も「笹井副センター長は最期にSTAP細胞問題をどうしようと考えていたのか?」と気になってしまいました。反省すべき点です。

 今回の件は2つ目の「具体的で詳細な自殺手段を報告しない」もダメでしょう。自殺方法について触れていました。

 自殺方法を報道してはならないというのは、後追い自殺が起きる可能性が増えるためだと思われます。自殺方法を一切知らせないためには、報道に限らず全ての情報をシャットアウトしなくてはならないと思うかもしれません。

 ただ、少しでも情報を少なくするというのと、これらは自殺報道に関するものであるので、衝動性を高めないことが主な目的なのだろうと思います。

 衝動的な自殺を誘引しないことというのは、「自殺を美化したり、扇情的に扱わない」とも関連します。そして、この後者の「扇情的に扱わない」がまたマスコミの今回の報道だと引っかかりそうな部分です。

 また、衝動性を高めないように…というのは、「すべきこと」の「関連する情報だけを中面記事として公表する」などと表裏一体だとも言えます。センセーショナルにはせずに、なるべく淡々とした報道をすべきと考えられているようです。

 以上は今回のマスコミでおそらく不適切だったと思われる点ででした。一方で「宗教的な固定観念や文化的固定観点を用いない」はなかったように思います。「固定観念」ですので、私が見逃している可能性も大いにあり得ますが…。

 それから、残った二つ「単純化した理由付けをしない」「悪人探しをしない」もある程度は守れていたように思えます。ただ、処分が検討されていたなどの情報を入れた場合も、厳密に言うと不適切でしょうか? 具体的な違反例がわからないので何とも言えませんが、ここは露骨な問題はなかったように思います。

 ただ、この「単純化した理由付けをしない」「悪人探しをしない」は一般人の方で、完全に守れていない例が多数ありました。もちろん一般人のツイートなどは、マスメディアとはみなされないのですが、こちらの方が目に余る状況です。

 特に多かったのは、「マスコミ報道が殺した」というものですね。上記の「すべきではないこと」2つを同時に破っています。

 笹井芳樹副センター長自殺?疑惑追求への非難や隠蔽他殺説などの反応では、疑惑追求を咎めるようなコメントに関して、自殺をSTAP細胞問題に利用してはならないと書きました。自らの主張を通すために自殺した小学生の例も書いています。

 また、この2つの項目のことを考えると、「理研が処分を遅らせたせいで自殺に追い込んだ」というものも同じく不適切でしょう。

 繰り返すようにマスメディアではないので個人でこれを守る必要はないのですが、私の書いた笹井芳樹副センター長自殺?疑惑追求への非難や隠蔽他殺説などの反応の方もこの後読み直して、個人的に改めるべきと思ったところは修正したいと思います。


 Wikipediaを読んでいてすごいと感じたのが、"1984年から1987年にかけて、オーストリアのウィーンでは、ジャーナリストが報道方法を変えたことで、地下鉄での自殺や類似の自殺が80%以上減少した"他、全体の"自殺率を減らす効果があった"という話です。

 「マスコミ報道が殺した」みたいな自殺を利用したマスコミ叩きに興じる人には賛成できませんが、自殺報道のあり方を日本のマスコミに問うことは、正当な指摘だと思います。


(8/6追記:オフィシャルのものを見つけました。文言が多少異なっています。この後改訂が行われた可能性もありますが、オリジナルも見た方が良いでしょう。

自殺予防 メディア関係者のための手引き(日本語版第2版) 初版 2007年6月 第2版 2007年9月
http://www.who.int/mental_health/resources/media_professionals_japanese.pdf

何をするべきか
・事実の公表に際しては、保健専門家と密接に連動すること。
・自殺は「既遂」と言及すること。「成功」とは言わない。
・直接関係のあるデータのみ取り上げ、それを第1面ではなく中ほどのページの中でとりあげること。
・自殺以外の問題解決のための選択肢を強調すること。
・支援組織の連絡先や地域の社会資源について情報提供をすること。
・危険を示す指標と警告信号を公表すること。

してはいけないこと
・写真や遺書を公表しないこと。
・使われた自殺手段の特異的で詳細な部分については報道をしないこと。
・自殺に単純な理由を付与しないこと。
・自殺を美化したり、扇情的に取り上げたりしないこと。
・宗教的、あるいは文化的な固定観念をステレオタイプに用いないこと。
・責任の所在を割り付けたりしないこと。

 また、これは要約版であり、より詳細な説明もありました。こちらも参考に。

一般的に自殺をどのように報告すべきなのか
  自殺の報道をする際に特別に注意すべき点は以下のようなものである:
・統計学は注意深く、そして正確に説明されなくてはならない。
・確実で信頼性の高い情報源が使われるべきである。
・時間の制約がたとえあったても、即興的なコメントは注意深く用いられなければならない。
・少数例に基づいて物事を一般化する場合には、特別な注意を要する。そして、「自殺の流行」、もしくは「世界で最も自殺率の高い場所」といった表現は避けるべきである。
・自殺行動を、「社会的あるいは文化的な変化や退廃に対応する理解可能な反応」などと報道することは差し控えるべきである。

特殊な自殺をどのように報道するのか
  報道の際に、以下の点を心に留めておくべきである:
・自殺の扇情的な報道は、特に著名人が関わっているような時は注意深く避けるべきである。報道は出来る限り最小限度に抑えるべきである。著名人が抱えてきたであろうあらゆるメンタルヘルスの問題もまた、認識されるべきである。過大な表現を避けるために、あらゆる努力がなされるべきでる。死亡した人や使われた手段、そして自殺現場の写真は使用すべきでない。第一面の見出しという位置は、自殺報道に関して断じて望ましくない。
・使われた手段と、どのようにその手段を手に入れたのかということについての詳細な記述は避けるべきである。自殺のメディア報道は、自殺の頻度よりも利用される自殺手段に関してより大きな影響を与えることが先行研究によって示されている。ある種の場所(橋、崖、高い建物、鉄道など)は、古くから今に至るまで自殺と関連しており、知名度が加わることでより多くの人たちがそれらを利用しようとする危険性を増大させる。
・自殺は、説明のつかないものとして報道されるべきではなく、あるいは単純な形式にでもって報道されるべきではない。自殺は、決して一つの要因または出来事から生じる結果ではない。自殺は通常、精神や身体の病気、物質乱用、家族機能の障害、対人関係の葛藤、そして生活上のストレッサーなどの多くの要因による複雑な相互作用によって引き起こされる。さまざまな要因が自殺の原因となることを認識することが大切である。
・自殺は、破産や試験の失敗、あるいは性的虐待のような個人的な問題への対処方法として描写されるべきではない。
・報道は、遺族と他の遺された人々が被る偏見と心理的苦痛といった、自殺による衝撃について配慮すべきである。
・殉難者として、そして公衆の賛美の対象として自殺者を美化することは、影響を受けやすい人たちに対して社会が自殺行動を支持していると示すことになりかねない。そのようなことをする代わりに、自殺者に対する哀悼を強調すべきである。
・死に至らなかった自殺未遂がもたらした身体的影響(脳の障害や麻痺など)を記述することは、自殺の抑止につながるかもしれない。

利用可能な援助に関する情報提供
  メディアは、自殺に関するニュースとともに以下の情報を報道し、公表することによって、自殺を予防するための支援に積極的な役割を果たすことができる:
・利用可能な精神保健サービスと支援組織のリストを、最新の電話番号と住所を付して紹介すること。
・自殺行動の前兆となる危険信号について報道すること。
・うつ病はしばしば自殺行動と関係していることと、うつ病は治療可能な病気であるというメッセージを伝えること。
・深い悲しみの中にいる遺族にお悔みのメッセージを提供し、可能であれば遺族のための支援団体の電話番号の情報を提供すること。このことは、自殺の発生という危機的状況において精神保健専門家や友人、そして家族による介入の可能性を増大させる。)


 追加
  ■著名人などの自殺報道の影響で増加は本当? ウェルテル効果の研究
  ■芸能人の自殺報道より後追いが増える自殺者の職業 政治家などが多い理由

 関連
  ■自殺の心理 本気で死にたい人は言わないは大嘘
  ■自殺のサイン・兆候 自殺は人に言わないは嘘、予防できるときもある
  ■笹井芳樹副センター長自殺?疑惑追求への非難や隠蔽他殺説などの反応
  ■男女による自殺率の違い
  ■自殺と家族構成 ~核家族化は関係あるのか?~
  ■人生・生活についての投稿まとめ

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