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著名人などの自殺報道の影響で増加は本当? ウェルテル効果の研究


 自殺報道に関する話をまとめ。<著名人などの自殺報道の影響で増加は本当? ウェルテル効果の研究>、<個人のネット発言でも自殺について言及することが自殺を増やす?>などをまとめています。

2023/09/07追記:
●ウェルテル効果の元となった『若きウェルテルの悩み』はどういう話? 【NEW】


●著名人などの自殺報道の影響で増加は本当? ウェルテル効果の研究

2014/8/7:WHO勧告「自殺を予防する自殺事例報道のあり方」の自殺予防対策に絡んで追加。マスメディアの報道に影響されて自殺が増える事象を指す「ウェルテル効果」に絡む話です。Wikipediaを読んでいると、このマスコミが自殺を増やすというウェルテル効果に対して疑問を呈する主張が出てきていたんですよ。

 このウェルテル効果に否定的な主張は、自殺者は報道があっても無くてもいずれ自殺した、報道は単にその「実行時期」を早めたに過ぎないのではないかというもの。「根拠が不十分」と指摘するならともかく、別の説を唱えるのでしたら、それを証明する必要がありますので、この批判でただちにウェルテル効果が否定されるわけではありません。ただ、私もこうした否定論は以前から聞いたことがあったために、自殺報道が本当に自殺を増やしているのか?は気になっていたところでした。

 この話に行く前に、ウェルテル効果そのものについて説明。ウェルテル効果の最初の先進的な研究は、1974年のことのようです。ウェルテル効果の名付け親ともなった社会学者のPhillips(フィリップス)さんは、1947年から1967年までの全米の月刊自殺統計を比較で、報道の自殺率に対する影響を証明しました。比較でわかったのは、以下の3点です。

1.自殺率は報道の後に上がり、その前には上がっていない。
2.自殺が大きく報道されればされるほど自殺率が上がる。
3.自殺の記事が手に入りやすい地域ほど自殺率が上がる。

 この理論は、その後Wassermanさん (1984)をはじめとした複数の追試によっても正しいとされました。複数の研究によって同じ結論が導かれているということは、極めて信頼性が高い研究だと言えます。ウェルテル効果の場合、「根拠が不十分」という批判は不適切になるでしょう。また、Phillipsさんは、テレビにおける自殺報道にも同様の効果があるとしているそうです。

 問題はここから。私が気にしていた<自殺者は報道があっても無くてもいずれ自殺した、報道は単にその「実行時期」を早めたに過ぎないのではないか>についても、実はPhillipsさんが既に反済みだったとのこと。これは知りませんでした!

 仮に自殺者は報道があっても無くてもいずれ自殺したのであれ報道直後に自殺数が増えた分、それ以降は数が減ってなければならないはずなのですが、統計上はそのようになっていないとのこと。だとすれば、やはり報道の影響で自殺者を増やしたと言るでしょうね。


●架空の人物の自殺もウェルテル効果を引き起こす?過去には実例

 なお、ウェルテル効果の名前の由来についても紹介しておきます。「ウェルテル」は、ドイツの小説家ゲーテ著の『若きウェルテルの悩み』(1774年)に由来します。本作の主人公、ウェルテルは最終的に自殺をするのですが、これに影響されたと思われる若者達が相次いで自殺した事象から「ウェルテル効果」が名付けられたようです。

 ただし、この「ウェルテルの自殺」の場合は、当然ながら小説の話であり、実在の人物の自殺ではありません。現在言われている「ウェルテル効果」とは根本的な違いがあると言えるでしょう。Wikipediaによると、実在の人物のみならず、小説等によるフィクションの自殺も「ウェルテル効果」を起こすか否かについては諸説別れているとのこと。その小説の存在感の大きさにもよっても大きく異りそうで、『若きウェルテルの悩み』が自殺を引き起こしたのは特殊な事例だったのかもしれません。

 同じページでは、他のウェルテル効果に関わる話も掲載。例えば、WHO勧告「自殺を予防する自殺事例報道のあり方」の自殺予防対策で使ったWikipediaでも出てきたオーストリアのウィーンのマスコミ対策の例(以下)が、こちらのWikipediaでも載っています。ただ、取り入れてうまくいったという例はこれのみ。あとは、対策取り入れずに模倣犯的な自殺者を増やしたという悪い例ばかりでした。

<ウィーンの地下鉄では未遂を含め年1,2件程度だった自殺が1984年頃から急増し、ピーク時には未遂を含め年20件程度まで増え、これは自殺報道に起因するものとされた。1987年に精神保健の専門家が自殺報道の方法を定めたガイドラインを策定し、大新聞がこれに従うと、自殺数は急減し、再び年1,2件程度にまで下がった>


●個人のネット発言でも自殺について言及することが自殺を増やす?

 自殺と報道に関する研究は、WHO勧告「自殺を予防する自殺事例報道のあり方」の自殺予防対策の方でも追記したWHOのガイドライン(PDF)(PDF)自殺予防 メディア関係者のための手引き(日本語版第2版) にも載っていました。しかし、既に今回記載している内容と重なる部分も多いですので、今回は飛ばします。

 一方で、こちらのガイドラインで特異だった記載はネットに関するものですね。ただ、<ごく最近、インターネットが、新たに多くの問題を提示している。自殺の計画を幇助するウェブサイトもあれば、自殺予防を試みるウェブサイトもあるが、これまでのところ、その自殺への影響を包括的に解析した研究はまだない>とのこと。まだ研究されていないようです。

 WHO勧告「自殺を予防する自殺事例報道のあり方」の自殺予防対策で私は、個人がこのWHOのガイドラインに従う必要はないと強調しつつ、私自身はできるだけそれに沿った形でやりたいと書きました。

 あまりこれを強く言うと、多くの方を批判することになるので言いづらいですが、「自殺を予防する自殺事例報道のあり方」に反するものをネットで目にする機会を増やすことはやはり自殺の誘発に繋がる危険性が心配です。ネットではたとえ個人であっても、小さなメディアのような影響力を持つようになってきています。

 できれば、ツイートなどの気軽なものでも、「自殺を予防する自殺事例報道のあり方」の概念(関連:WHO勧告「自殺を予防する自殺事例報道のあり方」の自殺予防対策)を取り入れた発言を心がけていくことが望ましいです。


●ウェルテル効果の元となった『若きウェルテルの悩み』はどういう話?

2023/09/07追記:最初のときに書いたように、ウェルテル効果の「ウェルテル」は、ドイツの小説家ゲーテ著の『若きウェルテルの悩み』(1774年)に由来。本作の主人公、ウェルテルは最終的に自殺をするのですが、これに影響されたと思われる若者達が相次いで自殺した事象から「ウェルテル効果」が名付けられたそうです。

 重要な部分ではないのですが、この小説の補足ということで、今回は若きウェルテルの悩み - Wikipediaから引用。このウィキペディアのページでも最初に自殺者の話が出てきますね。

<『若きウェルテルの悩み』(わかきウェルテルのなやみ、ドイツ語: Die Leiden des jungen Werthers)は、1774年に刊行されたヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテによる書簡体小説。青年ウェルテルが婚約者のいる女性シャルロッテに恋をし、叶わぬ思いに絶望して自殺するまでを描いている。
 出版当時ヨーロッパ中でベストセラーとなり、主人公ウェルテルを真似て自殺する者が急増するなどの社会現象を巻き起こした。そのため「精神的インフルエンザの病原体」と刊行時に呼ばれたが[1]、現在も世界中で広く読まれている。 >

 なお、紹介・訳出されたのが明治時代であり舞台発音に準拠し「ウェルテル」と表記されますが、現代の標準的な口語ドイツ語による発音は「ヴェルター」「ヴェアター」がより近いそうです。で、あらすじですが、ウィキペディアのあらすじも長いので、さらに削減しながら引用しました。

<作品は2部で構成されており、主に主人公ウェルテルが友人ヴィルヘルムに宛てた数十通の書簡によって構成されている(シャルロッテ宛のものも数通含まれる)。 (中略)
 ある日ウェルテルは郊外で開かれた舞踏会に知り合いと連れ立って出かけることになり、その際に老法官の娘シャルロッテと初めて対面する。ウェルテルは彼女が婚約者のいる身であることを知りつつ、その美しさと豊かな感性に惹かれ我を忘れたようになる。この日からウェルテルはシャルロッテのもとにたびたび訪れるようになり、彼女の幼い弟や妹たちになつかれ、シャルロッテからもまた憎からず思われる。しかし幸福な日々は長く続かず、彼女の婚約者アルベルトが到着すると苦悩に苛まれるようになり、やがて耐え切れなくなってこの土地を去ってしまう。
 第2部では(中略)新たな土地でウェルテルは求めて官職に就き、公務に没頭しようとする。しかし同僚たちの卑俗さや形式主義に我慢がならなくなり、伯爵家に招かれた際に周囲から侮辱を受けたことをきっかけに退官してしまう。(中略)数か月各地をさまよった後やがてシャルロッテのいるもとの土地に戻ってくる。しかしすでに結婚していたシャルロッテとアルベルトは、ウェルテルの期待に反して彼に対し冷たく振舞う。
 (中略)ある日ウェルテルの旧知の作男が、自分の主人である未亡人への思いから殺人を犯してしまう。作男に自分の状況を重ね合わせたウェルテルは作男を弁護しようとするが、アルベルトと、シャルロッテの父親である老法官に跳ねつけられてしまう。この出来事が引き金となり、ウェルテルは自殺を決意する。彼は使いをやってアルベルトの持つピストルを借りようとする。アルベルトの傍らでその使いの用事を聞いたシャルロッテは事情を察し衝撃を受けるが、夫の前ではどうすることもできず、黙ってピストルを使いに渡してしまう。ウェルテルはそのピストルがシャルロッテの触れたものであることに対する感謝を遺書に記し、深夜12時の鐘とともに筆を置き、自殺を決行する>


【本文中でリンクした投稿】
  ■WHO勧告「自殺を予防する自殺事例報道のあり方」の自殺予防対策

【関連投稿】
  ■自殺の心理 本気で死にたい人は言わないは大嘘
  ■自殺のサイン・兆候 自殺は人に言わないは嘘、予防できるときもある
  ■男女による自殺率の違い
  ■自殺と家族構成 ~核家族化は関係あるのか?~
  ■人生・生活についての投稿まとめ

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