2019/04/20:
●ファーウェイスマホは危険?カナダの教授「プライバシーと監視の悪夢だ」
●中国企業を証拠がないのに排除…それにより起きる問題とは?
●エコノミストはファーウェイにも注文「外国人役員をもっと増やせ」
●ファーウェイを排除しないという判断に驚く方がむしろ驚き
●ファーウェイスマホは危険?カナダの教授「プライバシーと監視の悪夢だ」
2019/04/20:2019年4月16日の中国紙・環球時報のウィーチャット公式アカウントによると、カナダ・ウォータールー大のベスマ・モマニ(Bessma Momani)教授はツイッターに、中国の動画SNS「抖音(TikTok)」ユーザーが投稿したと思われる動画を転載し、「ファーウェイの新しいズームインカメラスマホの機能は、プライバシーと監視の悪夢だ」とコメントしたそうです。
動画は、集合住宅の高層階と思われる場所から、カメラのズーム機能を使って地上で中国将棋を楽しむ人を撮影したもの。将棋の駒に書かれた文字もはっきりと読み取れるほどのズーム機能だということです。
ただ、ズーム機能が優れたカメラがあるからプライバシー侵害だ、監視だと、叩くのは意味不明。これを言い出すと、ファーウェイ以外にも叩かなくちゃいけないところがたくさん出てくるでしょう。おそらく今後こうしたスマホも増えるでしょうから、数年後に見たら「何言ってんだこいう?」感がさらに増えると思われます。
ところが、この件はそれ以前の問題だとのこと。「ファーウェイの新しいズームインカメラスマホ」が指していると思われる最新スマホ「P30 Pro」のカメラのデジタル50倍ズームですが、まだ「P30」シリーズのグローバル発表会の前であり、(教授が叩かなくてはいけない別の会社のカメラで撮影された)全く無関係な動画をファーウェイ叩きに使ったと見られているそうな。ネットデマに釣られた系でしょうか?
(
カナダ名門大学の教授、ファーウェイ製スマホを攻撃するも悲劇的な結末に―中国メディア Record China / 2019年4月16日 13時50分より)
●中国企業を証拠がないのに排除…それにより起きる問題とは?
ファーウェイ叩きは事実に基づかないものばかりで気になっています。ただ、あまり一生懸命ファーウェイを擁護する形になるのも嫌だなぁ…と思っていて、敢えて取り上げないように気をつけていました。でも、今回こうやってこぼれ話を書いたので、ついでに使っていなかった話を。
スパイ行為が疑われるファーウェイ、その排除は公正か:日経ビジネス電子版(2019年2月7日 ザ・エコノミスト)は、中立的であり、ファーウェイの問題点も指摘していました。
ただ、ファーウェイの孟晩舟CFOを逮捕し、彼女とファーウェイを起訴したことには批判的です。なぜかというと、記事の時点では、その証拠を示していなかっため。不公平だろうということです。同様の例で、欧米の人が誰も逮捕されていないことを指摘する記事も読んだことがあります。
中国政府のためにスパイ行為を働く企業というのは、確かにたいへんな問題。何年にもわたって噂が飛び交っています。ただ、長く言われているというだけで、証拠が示されているわけではないんですね。長く言われているから本当だとは限らないというのは、例えば「迷信」がそういうもの。事実だと言うには証拠が必要です。エコノミストは、慎重な態度を取るべきだろうと書いていました。
また、スパイ行為を働いた証拠がないにもかかわらず、米当局者の見解に従って企業を排除すれば、危険な先例を作ることになるとも指摘。他の中国企業を締め出すことが正当化されたりするようになるわけですけど、これをやると中国政府が同じような対抗措置を取ることは確実。エコノミストは「ゼネラル・モーターズやボーイングのことを考えてみるといい」としていました。ブロック経済の再来的なことにもなるかもしれません。
●エコノミストはファーウェイにも注文「外国人役員をもっと増やせ」
なお、ファーウェイに批判的なものとしては、「利益のためには法を犯すこともいとわない下劣な企業」というところ。これもまだ結局容疑の段階ではあるのですが、検察当局はファーウェイに対し、知的財産を窃取した従業員に賞与を与えたと主張しているとのこと。国内の犯罪でもよく言っていますが、容疑者=犯罪者ではなくまだ確定していません。
さらに、ファーウェイの創業者の娘で、CFO(最高財務責任者)を務める孟晩舟さんが、対イラン制裁違反に絡んで銀行詐欺を働いたとも主張されています。ただ、これも結局さっきの件といっしょで、容疑が証明されたわけではありません。
あと、ファーウェイの企業統治は複雑で分かりづらく不透明なので、外国人の取締役を任命したり、西側諸国の投資家を募集したりする必要があるとのこと。さらに、海外の子会社では、独自の取締役会を設けるとともに、現地人の管理職を任命すべきだという注文もつけていました。
ただ、これも結局、どうかな?というところなんですよね。確かに中国企業は中国政府の影響があり、不透明なところがあり良くないので、懸念を持つというのはよくわかります。とはいえ、海外が中国人以外の幹部を雇えという要求はどうでしょうか。
日本の例で考えてみてください。例えば、
日産ルノー合併阻止で日本政府後ろ盾と明記、ゴーン氏宛てメールででやったように、日産の経営判断に深く日本政府が関与していたことがメールで裏付けられました。それを理由に日産に対して、もっと外国人役員を増やせ!と言われて、その通り!と思える日本人は多数派ではないでしょう。
●ファーウェイを排除しないという判断に驚く方がむしろ驚き
もう一つ古い記事で状況が変わっているかもしれませんけど、
米国主導の「ファーウェイ包囲網」から距離置く英国の矜持:日経ビジネス電子版(広岡 延隆 上海支局長 2019年2月25日)では、以下のような指摘がありました。
・英国が米国主導の包囲網とは一定の距離を置く結論を出したことが波紋を呼んでいる。冷静に考えると、英国の判断が驚きをもって受け止められるという状況自体が、奇妙ではある。本来、西側諸国の価値観では、「証拠も示さずに排除するのはおかしい」というファーウェイの主張を覆すことはできないはずだ。イラク戦争では「イラクは大量破壊兵器を隠し持っている」との米国の主張が誤りだったことが後に分かっている。
・国家が方針として特定の民間企業の製品を排除する決断を下すには、感情ではなく証拠や法律に基づかなければならない。ファーウェイは危険で、ファーウェイ以外のメーカーにはなぜリスクがないと言えるのかを説明するのは難しいだろう。
・英国の国家サイバーセキュリティーセンター(NCSC)は、中国の華為技術(ファーウェイ)製品を次世代通信規格「5G」に採用した場合のリスクは抑制できると結論付けた。少なくとも英国による分析では排除するまでのリスクは見出せなかったということだろう。実際に製品を検証して科学的に判断するという、英国の態度は見習ってもいい。
中国は問題だらけの良くない国だと考えています。ただ、この場合に限って言えば、正論なのはファーウェイで、アメリカが今まで批判してきたことを自分たちでやっています。
貿易に関しても、トランプ大統領が今までアメリカがさんざん主張してきた自由貿易を後退させて、中国が自由貿易を主張して世界各国の賛同を得るという逆転現象が起きています。不思議なことになってきましたね…。
【本文中でリンクした投稿】
■
日産ルノー合併阻止で日本政府後ろ盾と明記、ゴーン氏宛てメールで【関連投稿】
■
ファーウェイ・ZTE・カスペルスキーは危険?アメリカで禁止のススメ ■
東日本大震災ではファーウェイ以外は逃げた?孟晩舟CFOも日本入り ■
日本のスマホはすごいのになぜシェア低い?海底放置でも動いた!ソニーの技術力 ■
格安スマホを使っているのは低所得者より高所得者の方が多いという事実! ■
撤退続き…日本の携帯スマホメーカーは何社でシェアはどれくらい? ■
LINE対抗の+メッセージ、ソフトバンクだけ初日から配信停止というひどすぎるスタート ■
ネット・コンピュータ・ハイテクについての投稿まとめ
Appendix
広告
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
|