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東野圭吾『ダイイング・アイ』テーマはホラー&エロス?交通事故?


 1冊だと読み終わっちゃいそうだと東野圭吾『あの頃の誰か』 さよなら『お父さん』,二十年目の約束などで書いた『あの頃の誰か』といっしょにこちらの『ダイイング・アイ』も飛行機へと持って行きました。



 『あの頃の誰か』では飛行機事故の話があって、機内で読む話じゃないなと思いましたが、こちらは車の交通事故がメインテーマでした。

 以下、例によって普通にネタバレします。
『ダイイング・アイ』(Dying Eye)は、東野圭吾の推理小説である。

2007年11月に単行本が光文社から発行され、2011年1月に文庫版が発行された。

 概要

初出は『小説宝石』1998年2月号で、同誌に1年間連載された。2007年11月に単行本として光文社より刊行された(ISBN 978-4-334-92581-9)。8年間というインターバルは、前後に出版された作品(「使命と魂のリミット」「流星の絆」)と比べても長く、幻の作品と称された。作者も「読み返してみて、今の自分には書けないと思った」と語っている。

 あらすじ

雨村慎介は仕事帰りに何者かに頭を殴打され、瀕死の重傷を負う。数日後、彼は意識を取り戻すがその中で重要な記憶の一部が欠落していることに気づく。それは自らが運転していた車で死亡事故を起こしたということだった。彼は記憶を呼び起こそうとするが、以前に自分が何をしようとしていたのかを思い出せないでいた。そして、彼の周りでは怪しい動きが。同居していた女の失踪、そして、謎の女の登場。

プロローグで語られるある女性の死亡事故。この女性が死ぬ間際に見せた目の力で、全てのものが支配されていく。
Wikipedia

 アマゾンを見ると、『あの頃の誰か』ほど点数は悪くないのですが、やはり不評が目立ちます。「ホラー&エロスのような作品」とあったように、この二つに対する言及が多いです。

 ただ、「ホラー」ってのは言われて「えっ、そうだったの?」と思いました。「オカルトがちっとも怖くない」という感想がありましたが、そもそも怖い話だと期待していたわけでもありませんでした。「怪談」なんかを読んでもちっとも怖いと思わないことがあるので、もともとあんまり求めていない要素です。

 また、私はエロスなところはさらっと流して読むので特に何も感じず。「Hなシーンは意味不明」などとここが非難の的になっていたものの、もともと私は気にしないで特に何とも思いませんでした。エロシーンが好きじゃなくて嫌ってのも違うんですよね。関心がなくって気にならないのです。

 あと、この作品は"無意味にお色気シーンが盛り込まれてる気がしました"という人も複数いたんですけど、セットになっていた「ホラー」的なところ、主人公の女性に対する恐怖心と関連するのでこれは必要だったと思いますけどね。ミステリーではお約束のようにエロを入れることがあり、正直いらないだろうというのはよくあります。ただ、この作品ではそうは思いませんでした。


 私が印象に残ったのは、交通事故に関する部分です。最初は事故の描写から始まり、事故の悲惨さについて強く描いてくるのかな?と思ったら、かなり変わったおもしろい手法を取ってきました。

 事故の加害者だと思われた主人公に罪の意識がないのです。しかも、単に罪の意識がないのではなく、事故の記憶自体がないために、実感がわかない状態です。

 主人公に罪の意識がないという形であれば、その身勝手さを描き、他の人とのやりとりから事故の悲惨さを伝えるというやり方もできたでしょう。しかし、そうではなく全く逆の形になります。

 事故などの失った記憶を取り戻すために、加害者であったはずの主人公が、普通なら思い出したくもないであろう事故のことを懸命に知ろうとします。これによって、交通事故のことなど忘れてしまえばいいという主人公の周囲の人物の罪の意識のなさ、身勝手さが際立つという奇妙な逆転現象が起こりました。

 私はこれが一番おもしろく、こういう描き方もあるんだなぁと妙に感心しました。


 物語では、これとともに交通事故の被害者や遺族の執念的なものが目立ちます。最後の最後までそうでした。先ほど出てきたエロスもホラーも結局はここに繋がります。この作品のメインテーマは「交通事故」だったと思います。
(実は東野圭吾さんは他にも交通事故をテーマにした作品を書いています)

 …にも関わらず、アマゾンレビュー上位に表示される悪い評価の感想で、一切「交通事故」の話が出てこないというのは不思議でした。ホラー&エロスがテーマの作品と見たか、交通事故がテーマの作品と見たかでだいぶ印象が異なるのかもしれません。


 関連
  ■東野圭吾『あの頃の誰か』 さよなら『お父さん』,二十年目の約束など
  ■安易におすすめできない本・狂気の小説ベスト10
  ■森鴎外の代表作『雁』 最も鴎外らしくないのに、鴎外らしい作品
  ■昔は天皇陛下崩御で泣かなかった?芥川龍之介の手巾(ハンケチ)と新渡戸稲造の武士道
  ■ハリポタJ・K・ローリング、変名ロバート・ガルブレイスだと売れていなかった
  ■その他の文化・芸術・宗教・海外との比較などについて書いた記事

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