2018/12/22:
●徴用工問題、法律論的には実は韓国が正しい?日本側が嘘の可能性
●右派・保守派の橋下徹氏がまさかの意見「韓国の裁判を尊重すべき」
●強制の事実否定は、国際的な司法で通用しないし、そもそも徴用していた
●「1965年の日韓請求権協定があるから」はバカの一つ覚えである!
●請求権消滅も嘘だった!日本の最高裁も「個人の請求権消滅せず」との判決
●徴用工問題、法律論的には実は韓国が正しい?日本側が嘘の可能性
2018/12/22:国際的な合意の内容をわざとを曖昧にするということがあります。そんなことして良いことあるの?と思うかもしれませんが、譲歩して相手との合意を成し遂げられる一方で、国民には都合の良い嘘の説明をして逆に「成果」として説明することができます。この成果のために、まず譲歩が必要なのです。
一方で、問題が起きたときにもこの嘘の説明は有効になります。実際には事実ではない嘘でも多くの国民はそのことを知らないため、問題が起きたときは「約束破りだ」と政治家は問題を相手国のせいにできます。安倍政権も過去にやっている手法。いわゆる二枚舌的なものですね。
それで、徴用工問題に関して、法律論で忠実に読み解くと、韓国の判断の方が正しいとする意見があることを聞いたときに、またそのパターンかな?と思いました。ただ、一般的ではない少数派の意見の可能性がある他、日本側を正しいとするにもいろいろと調べる必要があり、たいへんです。なので、徴用工問題については、うちでは取り上げていませんでした。
●右派・保守派の橋下徹氏がまさかの意見「韓国の裁判を尊重すべき」
ただ、右派の橋下徹さんが意外なことを言っている…という話だけなら、気軽に紹介しやすいです。また、彼は弁護士なので、法律論的な話も聞けるかもしれません。
私がこの主張を初めて知ったのは、
橋下氏、徴用工問題の解決に向け持論「こういうことを言うと売国奴だと言われる…」 | AbemaTIMES(2018.12.17 10:00)という記事。以下のように言っていたそうです。他に「世界の先進国では(引用者注:戦争で被害を受けた自国の)国民への補償制度があるのに、日本はない」とも言っていました。
「日本政府や日本国民の立場は"1965年の日韓請求権協定で韓国国民に渡すお金5億ドルを政府の方に渡したのでチャラ。それで終わりとなったのに、今になって韓国が言い出した、韓国の裁判所おかしいじゃないか"というもの。
でも、法律家からすれば和解の時に金銭を誰に払うかというのは非常に重要で、韓国国内での仕組みも整備した上で渡せばよかったのに、お偉いさんたちだけの口約束みたいな形で進めてしまった。(中略)
韓国は民主国家だし、選挙で選ばれた政治家が任命した裁判官が出した判決については、中身がどうであろうと尊重すべきではないのか。それに従うな、文大統領にどうにかしろ、というのはおかしいと思う」
●強制の事実否定は、国際的な司法で通用しないし、そもそも徴用していた
もうちょっと…と検索すると、上記より1ヶ月ほど前の
橋下徹"徴用工問題、日本が負けるリスク" | プレジデントオンライン(2018.11.14)という、別の橋下徹さんと徴用工問題という、組み合わせの記事が見つかりました。
橋下徹さんは最初に「日本政府が組織的に強制労働を強いていた事実は存在する」「韓国側が主張している規模ではないにしろ強制労働の事実は存在する」と断言。なので、殊更徴用=強制の事実を否定し、「朝鮮半島労働者」と名付ける、安倍政権の戦略は意味がないとのことです。
また、そもそも問題となっているのは強制かどうかではなく、企業の当時の労働環境がどうであったのか、世界各国でのそれと比べてどうだったのか、というところ。なので、強制の事実を否定しようとするところに重きを置くと、国際的な司法の場では失敗するであろうとしていました。ここらへんを橋下徹さんは慰安婦問題とセットで書いていますけど、慰安婦問題も同じようなズレた作戦で日本は失敗しています。そもそもの問題点の理解がズレているんですね。
●「1965年の日韓請求権協定があるから」はバカの一つ覚えである!
記事では、法律論的な話もありました。橋下徹さんも、「1965年の日韓請求権協定によって、韓国人は日本企業に対してもはや請求はできないと考える」とのこと。結論としては、日本政府と同じです。私もこれに関しては、日本政府に説得力を感じていました。
ただ、そこに至るまでの過程はかなり複雑。安倍さんや日本の国会議員、そして日本国民がバカの一つ覚えのように言う「1965年の日韓請求権協定があるから」では、日本は負ける可能性があるとのこと。国内の信者にアピールするのなら簡単なのですが、相手や国際世論を納得させるには、丁寧な説明が必要になってきます。
私は捕鯨問題を例に出そうかなと思っていたのですけど、ちょうど橋下徹さんも捕鯨問題について言っていました。以前、弁護士などに大金をかけたのにヘボすぎる主張で簡単に論破されていたのです。「捕鯨をやめたくてわざと負けたのか」と最初思ったくらいひどいものでした。
(関連:
中止命令は渡りに船?調査捕鯨は赤字、日本の商業捕鯨は成立しない)
そして、その後も結局、捕鯨問題で各国を説得できず、国際捕鯨委員会を脱退する意向だと言います。国内向けの都合の良すぎる主張を、国際的な場でしても通用しません。日本は本当こういうの下手ですね。国民があまりにも騙されやすく、そもそも説明しなくても擁護されることすら多いので、説明をするのが下手すぎなのかもしれません。政府を擁護することで、国益を損なっていますね。
●請求権消滅も嘘だった!日本の最高裁も「個人の請求権消滅せず」との判決
また、確か私が以前ちらっと読んだ話もそうだったの思うのですけど、「1965年の日韓請求権協定によって、政府の請求権のみならず、国民の請求権も全てなくなった」という理解は嘘だとされていました。これは日本の裁判所も日中共同宣言、日中平和条約に関してそういった判決を出しているという例を、橋下徹さんは出しています。
「
平和条約によって個人の請求権が完全に消滅したものではない。しかし平和条約を締結した目的が無数の民事訴訟を回避するためにあると考えられるところ、裁判所を使って個人を救済することはできなくなった。原告(中国人労働者)が筆舌に尽くしがたい苦しみを味わわれたことは事実であり、被告企業は裁判所の手続き外において任意に誠実に対応することを期待する」(日本の最高裁、2007年)
この日本の裁判所の判決が一番わかりやすいでしょう。一般的な判断ではない可能性があると最初に書いたものの、日本と韓国の裁判所で判断が一致しているのですから、「個人の請求権は消滅していない」というのは、むしろ法的には主流の考え方である可能性が高そうです。
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