最初に書いていた話は、"日本人のマナーと素行 良心前提の自転車貸出制度が放置多発で崩壊"(2014/8/26)でした。その後、最初に"マナー悪い中国では無理?ほぼ全部盗難されて、シェア自転車会社が倒産"などの話を加えて、タイトルも変更しています。
2017/07/24:
●マナー悪い中国では無理?ほぼ全部盗難されて、シェア自転車会社が倒産
●自由に乗り捨てられる自転車なのにGPS非搭載という矛盾
●中国で無理な商売なら、他社はなぜ潰れないの?
●大手の場合、1年半で失われた自転車はわずか1%
2020/07/21:
●マスコミが見逃していた中国でシェア自転車が流行した本当の理由
2014/8/26:
●日本人のマナーと素行 良心前提の自転車貸出制度が放置多発で崩壊
●日本の自転車貸出、失敗の理由は乗り捨て
●ビジネスモデルとしてもかなりずさんだった
●日本中で失敗しているレンタサイクル制度
●マナー悪い中国では無理?ほぼ全部盗難されて、シェア自転車会社が倒産
2017/07/24:中国で急速に普及している乗り捨て型のレンタル自転車「シェア自転車」を展開する2社(「悟空単車(Wukong Bike)」と「3Vbike」)が6月、相次いで倒産。いずれも、貸し出した自転車のほとんどが盗まれ、事業が成立しなくなったことが原因だそうです。
「3Vbike」は今年2月から河北省の廊坊市、保定市や福建省内でシェア自転車の事業を展開していました。同社は、全体の約2割程度の盗難は予想していたが、その割合が100%近くになることは想定していなかったといいます。
これを報じていたのは、
乗り逃げ率9割以上……中国「シェア自転車」2社が相次ぎ倒産[産経新聞](2017年07月24日 07時05分 更新)という記事。産経新聞ということもあり、もちろん中国をバッシングする内容を含んでいました。
<利用者の「良心」に頼らなければならない側面もあり、やはり、マナーという面で中国では成り立たないのだろうか>
<人口の多い中国だからこそ普及するビジネスのようだが、マナーの面では疑問符がつく中国だからこそ難しいビジネスでもあるようだ>
●自由に乗り捨てられる自転車なのにGPS非搭載という矛盾
ただ、この記事はちょっと引っかかりました。後半で出てくるように、もともとこのページでは、"日本人のマナーと素行 良心前提の自転車貸出制度が放置多発で崩壊"という話をやっていたため。中国人に皮肉を言えるほど、我々のマナーも良くないのです。
また、「悟空単車」の場合は、どこででも乗り降りができるタイプであるにも関わらず、"他社の多くに標準的に搭載されている衛星利用測位システム(GPS)が搭載されておらず、行方不明になった自転車を「追跡」することができなかった"と言います。
これを読むと、そもそも盗難の問題ではなく、事業モデルに問題があったように見えます。自由に乗り捨てられる自転車なのに、発見する手段がないっておかしいですよね? 産経新聞記者は、書いていて不思議に思わなかったのでしょうか。
はてなブックマークでも同じ感想が出ていました。
““同社の自転車には、他社の多くに標準的に搭載されているGPSが搭載されておらず、行方不明になった自転車を「追跡」することができなかった”という事でこの2社の問題として捉えるのが良いのでは。”(diveintounlimit 2017/07/24)
●中国で無理な商売なら、他社はなぜ潰れないの?
一方で、
はてなブックマークでは、中国やっぱり駄目だよねという感想も出ています。
“中国ではシェアサイクルが大成功していて一方日本は規制のせいで進まないみたいな話を見たけど、まあそういうことなんだよね”(weekly_utaran 2017/07/24)
“中国のシェア自転車はすごい!日本は遅れてる!ってちょっと前に言われていたような”(b4takashi 2017/07/24)
“どこでも乗り捨て、っていうので どーだろーと思っていたけど案の定ダメだね。日本のドコモがやっているのは返却時に駐輪場にロックする必要がある。ビジネスモデルとして日本のほうがきちんと練られている”(nankichi 2017/07/24)
ただ、産経新聞自身が大手2社の名前を出していたように、中国じゃ無理な商売であるのなら、他社が存続している理由が謎です。これも記者はどういうつもりで書いているのか?と疑う話です。
“「地方都市で新規参入した2社が」って見出しに入れておけよ……。中国展開早いな、ってわくわくしながら読んだのに形だけ真似た後発がすぐ潰れたとかすごい普通の話でがっかりだよ。”(Windfola 2017/07/24)
“「ofo」と「mobike」の大手2社の状況はどうなんだろう。シェア自転車というビジネス自体が無理なのか、新規参入した2社が稚拙だったのかで結論が全く異なる。”(takamocchi 2017/07/24)
●大手の場合、1年半で失われた自転車はわずか1%
大手の場合は資金力があるから粘っているだけであり、盗難がひどすぎてそのうち撤退…という可能性もあります。ただ、ブックマークコメントによると、そもそも大手では盗難率が低いという記事があるとのこと。これはまさに知りたかった情報で、たいへんありがたかったです。
“WSJによるとシェア2位のmobikeの乗り逃げ率は1%(URL参照)/なお同社は札幌・福岡で今年中の開業を予定。マナー問題について地元自治体との連携も模索している模様。”(mag-x 2017/07/24)
ここでリンクされていたのは、
中国のシェア自転車、急増で「悲惨な運命」 - WSJ(By TREFOR MOSS 2017 年 4 月 4 日 14:17 JST)という記事。この記事で出ている自転車もやはり「ドッキングステーション(指定の駐輪場)」がなく、乗り捨て場所は特に決まっていないタイプのもの。自転車はどこにでも放置でき、利用者はスマートフォンアプリを使って自転車のロックを外すという仕様ですので、倒産した2社と同じだと思われます。
また、中国では上海だけで50万台のシェア自転車があるということで、既にものすごい規模になっていました。既にここまで普及しているということも、本当に「中国ではシェア自転車が成立しない」と言えるのか疑問に感じるものですね。
なお、タイトルを見てわかるように、この記事も産経新聞と同じく、「窃盗や破壊、いたずら行為が横行する結果、悲惨な運命をたどる自転車が少なくない」と強調するものでした。
しかし、その悲惨な自転車の比率は極めて小さいのです。記事では、「Mobike(摩拝単車)」と並ぶもう一つの大手「Ofo(共享単車)」について、"2015年9月のサービス開始以降、自転車の1%を失った"と書いていました。「比率は小さいが、依然として大きな数字だ」と書いていたものの、1年半で1%という数字は、最初のほぼ全部盗まれたという話とかなり違います。産経新聞の記事はいろいろと問題があるのかもしれません。
●マスコミが見逃していた中国でシェア自転車が流行した本当の理由
2020/07/21:上記のように、「大手の場合は資金力があるから粘っているだけ」という可能性も書いていたのですが、そうではなく本当にうまく行っている可能性の方が高いのではないかといった感じで書いていました。ところが、その後、
中国、シェア自転車バブル終幕 2019/1/15 19:30 日本経済新聞という記事が出ています。
今までの記事で強調されていなかったってのはひどすぎると思うのですが、こちらの記事では、この商売の重要なポイントを指摘しています。料金は30分で1元(約16円)程度と安いものの、加入時に自転車の故障などに備えた約50~300元程度の保証金の支払いを求める企業が多いとう話。参入が相次いだのは、最初にまとまった保証金収入が得られるというメリットのためだったのです!
ただし、良いのは最初だけ。シェアを高めるための自転車の投入競争や修理費用、自転車を適切な場所に運ぶ費用などの増大がすぐに各社の経営を圧迫。事業者が修理に手が回らなくなり、その結果、壊れている自転車が多くなり、消費者が敬遠する…といった負の連鎖も起こしていたようです。
最初に保証金を得られることから保証金の返還に応じず、資金を集めるのに使う詐欺的な事件も発生。これにより、他社でも返還ラッシュとなるというとばっちりもありましたが、基本的に無理なビジネスモデルだった可能性が高そう。大手2社のモバイク・ofoすら苦しいそうです。
●日本人のマナーと素行 良心前提の自転車貸出制度が放置多発で崩壊
2014/8/26:ここからもともと書いていた話。今回は日本人はマナーが良いって言われるけど、実は誇れるほどじゃないのかも…というテーマ。まあ、それでも海外より良いんじゃないかと思いますが、似たような話を過去にも何度かやっているように、日本もあまりよそのことを言えないと思わせる例がちらほらあります。どうも世界が驚く!とされる日本人のマナーというのも、それほど素晴らしいものではなさそうです。
元ネタとなるのは
9月から有料化、本人確認 自転車貸出「マックル」社会実験 広告集まらず、放置多発で 千葉市 | ちばとぴ 千葉日報ウェブ(2014年08月24日 19:16)という記事。このタイトルだとなぜ「日本人のマナーが良いは幻想」という流れになったのかはわかりづらいですが、ヤフーが"<千葉市自転車貸出>良心前提が…乗り捨て多発 都内で発見の例も 赤字見通しで有料化+本人確認へ"というタイトルにしていたためです。
本当はこの記事は軽く紹介で、あとは日本人のマナーの話だけの予定だったのに、こちらの話が長くなりすぎました。次回の
日本人のマナーが良いは幻想で実は悪い?世間体と相互監視が本質と合わせて1テーマという感じになっています。
●日本の自転車貸出、失敗の理由は乗り捨て
千葉日報ウェブによると、自転車貸出「マックル」の"従来の利用方法は、ポートで100円をコインロックに入れて自転車を解錠し、目的地のポートまで乗って自転車返却後に施錠すると返金される仕組み"でした。"100円を預かるデポジット方式"である時点で完全に良心を信じているわけじゃない気がしますが、"本人確認をしないなど利用者の良心を前提とし、使いやすさを第一にした仕組みだったが、上手く機能しなかった"としています。
この"上手く機能しなかった"というのは乗り捨てが多かったためです。"市観光協会によると、乗り捨ては月を追うごとに増え"いったそう。自転車の台数は100台で、"回収した台数は7月に111台"や"終日行方不明だった自転車も多く、7月は1日平均36・3台に上った"という記述があり、よくわかりませんでした。とにかく多そうです。
(7月の1日平均回収台数がのべ111台で、うち終日行方不明だったのがのべ36.3台の意味? 6月の1台当たりの回転率は、平日の18日で3・7回、日曜の22日で4・6回)
●ビジネスモデルとしてもかなりずさんだった
上記がマナーの悪さの話へ繋がった元ネタですが、自転車貸出「マックル」自体の話も私は興味がありました。千葉日報ウェブでのタイトルがそうであったように、仕様変更の理由は広告料不足の影響もデカかったようなのです。ここらへんはさすがにお役所のやる仕事ですね。
"昨年12月~来年3月の実験期間の事業費を当初3400万円"だったのですけど、"実際の収入はイオンモールなどからの2600万円"止まりで800万円の赤字。本来は無料なのに乗り捨てていれば100円は貰えそうですが、微々たるものです。まあ、新しいモデルでも"1日200円"だそうですが…。
これはちゃんと計算しているのなら、人件費の方がでかいからでしょうね。乗り捨てがあるとその回収人員の人件費で、相当な赤字を出しているはずです。収益は乗り捨て率に大きく左右されることが予想できます。
●日本中で失敗しているレンタサイクル制度
あと、
はてなブックマーク - <千葉市自転車貸出>良心前提が…乗り捨て多発 都内で発見の例も 赤字見通しで有料化+本人確認へ (ちばとぴ by 千葉日報) - Yahoo!ニュースでは、前から同様の事業は失敗していたっていう指摘もありました。
「このテの公共レンタサイクル制度がうまく機能しないであろうことは10年以上前から自転車ジャーナリストの疋田智から指摘されてるわけだが、行政はそういう意見も参考にしてないの?」「このタイプのレンタル自転車はだめだって何回も何回もいろんな自治体が試して結論出てるのに、なんでまた繰り返したんだろう。千葉市あたまわるいなあ」というものです。(裏返せば、千葉市民の素行が特別悪いというわけじゃないという話)
市民の行いが良ければ生じなかった問題とはいえ、そもそも成立しないとわかっている事業を行った自治体にも問題がありそうでした。
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