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世界三大研究不正の黄禹錫元教授、まだ懲戒免職の件で裁判してた


 論文捏造 黄教授のソウル大免職は正当=高裁差し戻し審(2014/08/22 12:24 聯合ニュース)という記事。ES細胞論文不正事件は世界最大級の捏造だったんですが、えっ、まだ納得していなかったの?と、タイトルを見た時点で驚きました。

 記事によると、"ソウル大を懲戒免職された黄禹錫(ファン・ウソク)元教授が同大の学長を相手取り免職取り消しを求めた訴訟で、ソウル高裁は22日、「免職は正当」とし原告側の訴えを棄却した"とのこと。

 そりゃそうですよね?と思ったら、"一審で敗訴したが、控訴審では勝訴"していたそうです。一時は勝っていたの?何で?とたまげました。ただの研究不正じゃなくて、世界三大研究不正ですよ。懲戒免職で決まってるじゃん…と思ったものの、記事を読むと、なるほど、その言い分もわかります。

 勝訴した控訴審では、"論文捏造の実体が十分に明かされていない状態で懲戒が下されたとした上で、動物複製の研究などで優れた業績を残したことを踏まえ、免職は重すぎるという判断だった"そうです。確かに実態不明のまま下した処分となると、分が悪いです。きちんと審査された上で処分を決めねばなりません。

 ただ、"今年2月に大法院(最高裁)は「論文捏造は厳格に懲戒する必要がある」として審理を高裁に差し戻し"、結局「免職は正当」ということにはなりました。処分は妥当という判断です。


 この件で検索して出てきた記事はいずれも地元韓国の日本語版ニュースであり、日本メディアのものは見つかりませんでした。では、聯合ニュース以外の韓国のメディアはどう書いているでしょう?ということで、もう一つ読んでみます。

 論文捏造 黄教授のソウル大免職は正当=高裁差し戻し審(朝鮮日報 2014/08/22 12:41)はほとんど同じ内容でしたが、"2006年4月にソウル大から免職された"ことを"不服とし、同年11月に提訴した"ことだけは、聯合ニュースにはない内容でした。

 この時期の段階で論文がどういう扱いだったか?と、Wikipediaで見てみました。


 2005年
12月1日 - MBC のニュース番組、『ニュースデスク』でES細胞そのものの真偽論争を報道。韓国ネチズン、即座にスポンサーの不買運動を開始。
12月8日頃 - サイエンスに提出された論文に添付された写真が数枚の写真を分割した可能性が高く、写真そのものを加工した痕が見られるとの報告が2ちゃんねる及び韓国の掲示板に挙がる。
12月10日 - ピッツバーグ大学在職の韓国人教授がサイエンスに提出された論文に添付された写真は、2枚から11枚に水増しされたものだと告白。
12月15日 - MBC、『ニュースデスク』にて「黄禹錫の作製したES細胞は存在していなかった」という論文共同執筆者・盧聖一(ノ・ソンイル)ミズメディ病院理事長の証言を放映。
12月16日 - 黄禹錫、記者会見で論文添付の写真捏造を認め、論文は撤回すると発表。ヒトクローン胚、ES細胞を作製したことは事実と主張。ただし、ES細胞そのものはカビで汚染されてしまい手元には存在しないため、10日後に発表すると述べるにとどまる。
12月23日 - ソウル大学調査委員会、2005年5月のクローン技術に関する論文は虚偽だと中間発表。引き続き、残りのES細胞、およびヒトクローン胚作製、クローン犬スナッピーについても検証を続ける予定。
12月29日 - ソウル大学の調査委、2005年の論文に際して作成されたES細胞とされたものはすべて虚偽であったと報告。
12月29日 - 2004年2月の論文の世界初とされるヒトクローンES細胞も DNA が一致せず捏造の可能性が高いとの一次分析検査結果が出る。
12月29日 - サイエンス誌、黄禹錫チームの取り下げ請求がなければ調査結果を受けて2005年のES細胞論文を撤回することを決定。2004年の論文も調査結果を見て撤回することを検討。

 2006年
1月10日 - ソウル大学調査委員会は最終調査報告で黄教授の研究チームが世界で初めてヒトクローン胚から胚性幹細胞(ES細胞)を作製したと発表した2004年2月のサイエンス誌論文についても捏造であると断定した。黄禹錫チームが主張したES細胞作製に対する基幹技術に独創性を認めるのは難しいとの最終結論を出し、2002年11月から2005年11月までの3年間に4病院で129人から2061個の卵子が採取、提供されたと発表した。
1月10日 - サイエンス誌のドナルド・ケネディ編集長は、『黄禹錫教授チームのヒト胚性幹細胞(ES細胞)論文の捏造が明らかになったことから、2004年2月の論文も2005年5月論文とともに撤回する方針』との声明文を発表した。
1月12日 - サイエンス誌は、2004年2月論文と2005年5月論文の2本の論文を編集部判断で正式に撤回したと発表した。
3月1日 - 黄チームによって提出されていた狼のクローンに成功したと主張していた論文が、サイエンス誌から撤回される。
3月20日 - ソウル大学は黄禹錫を免職処分とした。


 あれ、何か免職前の時点で十分決着ついていません? てっきり私は最終報告出す前に処分したのだと思いましたが、ソウル大学調査委員会は最終調査報告を出しています。ついでに言うと、サイエンス誌も複数の論文を撤回しています。黄禹錫(ファン・ウソク)元教授が勝訴した控訴審の判定がよくわかりませんね。

 あと、これだけ不正が明らかになった状態でも、懲戒免職は不当だと訴える黄禹錫(ファン・ウソク)元教授のメンタリティもすごいなと思いました。"5000人規模の黄禹錫擁護デモが行われ"る(2006年1月15日)など、熱心な支持者がいたとはいえ、2006年11月の時点でも既に到底主張が認められるような状況ではなかったように見えます。

 研究不正の横行ぶりからすると、不正を行う人が皆特殊な人だとは思えないのですけど、一部の人はやはり普通の人には理解できない感覚を持っているのかもしれません。


 追加
  ■韓国で黄禹錫(ファンウソク)元教授復活 マンモス再生や犬クローン

 関連
  ■STAP細胞の特許、取れない方がいい? 特許を強調する研究は怪しい(ファン・ウソク教授の特許の話もあるので)
  ■怪しい井上明久東北大前学長論文不正問題 損害賠償裁判では勝利
  ■アニリール・セルカン事件と東大と11次元 日本の論文不正続発の口火を切る
  ■東京慈恵会医科大学・高橋宏樹講師を不正受給で懲戒解雇 再犯防止できず
  ■不正経理発覚 東京農工大・青木正敏、北海道大・岡部聡,迫田義博ら
  ■研究不正疑惑についての投稿まとめ

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