人間を食べる動物の話をまとめ。<ペットも飼い主を食べる?犬や猫は飼い主を食べちゃうって本当?>、<人間を食べるのが大好きな犬、自分の餌より人間を優先して食べる!>、<ペット、特に犬が飼い主を食べてしまう理由は単に空腹だから?>などをまとめています。
共食いの博物誌——動物から人間まで

●鹿・狐・コンドル・アライグマなど…人間を食べる動物たち
2023/01/22追記:最初、<犬・猫・鹿・狐・コンドル・アライグマなど…人間を食べる動物たち>というタイトルにしていましたが、これだと肝心の部分が伝わらなかったので<ペットも飼い主を食べる?犬・猫・コンドルなど…人間を食べる動物たち>にタイトル変更。ペットの話がショッキングだったのです。
2019/05/04:野外でヒトの死体がどのように腐敗していくのか観察する研究というのがあるそうです。腐敗の過程を研究する施設は「死体農場」と呼ばれ、どんな動物が死体に群がってくるのかも研究対象になっています。よく見かけるのは、キツネ、ヒメコンドル、アライグマなどだそうです。
しかし、シカが人間を食べるというのは、今まで知られていませんでした。米テキサス州サンマルコスにある法医人類学研究所が、最近になってこれを初めて発見しています。今回食べていたのは、オジロジカというシカの一種。普段はどこにでも生えている小枝や木の実、草の芽、そしてキノコなどの植物を食べています。
もともとシカは草食動物として知られていますし、ここまではイメージ通り。ただし、魚や死んだウサギ、生きている鳥まで食べるという報告は以前から存在していました。特に植物が少なくなる冬などに、リン、塩、カルシウムなどのミネラルが不足すると、シカは骨を欲するのではないかと考えられています。
なお、人骨に歯型をつけるのはこれまで肉食動物だけと考えられていたため、考古学や人類学における人骨についた歯型の研究について、新たな手がかりを与えてくれると期待されているとのことでした。今回の発見により、いろいろな可能性を考えることができるようになったのでしょう。
(
ヒトの死体の骨を食べるシカ、はじめて観察 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト 2017.05.11より)
あと、この後すぐ紹介する記事によると、ハムスターや鳥についても、人間を食べた記録があるとのことでした。この次の話はペットの話でしたので、ペットのハムスターと鳥ですかね。特にハムスターといえば、たいていペットだと思われます。様々な動物が人間を食べてしまうんですね。
●ペットも飼い主を食べる?犬や猫は飼い主を食べちゃうって本当?
上記の記事とセットで紹介するのは、
イヌやネコはなぜ死んだ飼い主を食べるのか | ナショナルジオグラフィック日本版サイト(2017.06.28)という記事。この内容なのに、「どの子が好き?愛らしいイヌたちの写真10点」を記事の合間合間に載せています。攻めますね。
例えば、ドイツで自殺した31歳の男性の顔と首の大半は消え失せ、傷の縁には歯型があったという事件。飼っていたジャーマン・シェパードが食べてしまったようで、シェパードが吐いたものからは、ヒゲとわかる毛の生えた皮膚も出てきました。一方で、餌が入ったイヌ用の皿は残しています。飼い主をたくさん食べたので、満足しちゃったのかもしれません。
ペットが死んだ飼い主の体を食べるという事件は、どのくらいの頻度で起こっているのかというと、結構あってびっくり。科学捜査関連の学術誌には、そうしたケースが過去20年ほどの間に数十件報告されています。記事ではさらに屋内で起こった63件のケースをまとめた2015年の研究も紹介されていました。
この記事の感想では、ネコの事例の紹介がないという反応があったものの、英ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ(UCL)の法医人類学者カロリン・ランドーさんによると、現実の事件においてネコが飼い主を食べる場合、彼らは顔、特に鼻や唇といった柔らかい部分を選ぶ傾向にあるとされていました。つまり、例はあるのだと思われます。
●人間を食べるのが大好きな犬、自分の餌より人間を優先して食べる!
一方で、2010年にある女性が動脈瘤で亡くなり、翌朝、浴室の床に倒れているところを発見された事件の法医学検査によって明らかになったのは、飼いイヌが彼女の顔の大半を食べたこと、そして2匹の飼いネコは、飼い主には一切手を付けなかったことでした。
法医学の専門誌に掲載されているケースのうち、人間を食べた動物としてもっとも頻繁に登場するのはイヌ。ただし、これは実際に多いのではなく、法医学者が、他の動物の場合よりも大きな衝撃を受けることも理由のひとつではないかともされていました。ただ、とりあえず、報告例でイヌが多いのは間違いありません。
理由としては単純に空腹を満たすためという説が出ています。確かにいくつかのケースでは、動物たちは明らかに生き延びるために飼い主を食べていました。ただし、最初のジャーマン・シェパードは、自分の餌より優先して飼い主を食べています。この解説では説明しきれないでしょう。
2015年の研究で対象とされたケースはすべてイヌに関するものでしたが、そのうち24パーセントでは、体の一部を食べられた死骸が発見されるまでに、1日もたっていませんでした。速攻で人間を食べ始めているのです。やはり空腹が理由とは考えづらいものがあります。
●ペット、特に犬が飼い主を食べてしまう理由は単に空腹だから?
また、決定的だと言えそうなのが、イヌが人間の死骸を食べる際の行動パターンが、野生のイヌ科動物の摂食行動と一致しないこと。屋内でイヌが死んだ飼い主の体を食べる場合、そのうち73パーセントのケースでは顔を食べている一方で、腹部を食べたものは15パーセントにとどまっています。胸部と腹部を開いて栄養豊富な内臓から食べる野生のイヌ科とは明らかに異なっていました。空腹が理由というのは、説得力に欠けます。
同様に怨恨の線も考えづらいです。今回調べたケースにおいては、飼い主が過去にイヌを虐待していたことを示す証拠は一切なし。一方で、飼い主はイヌと非常に良好な関係にあったとの証言は見られます。
論文を書いた科学捜査官のマーカス・ロスチャイルドさんは、ペットが意識を失った飼い主を助けようと、顔を舐めたり、そっと押してみたりするものの、それでも事態が変わらないとパニックになり、それが噛むという行動に繋がっている可能性があるとしていました。むしろ飼い主への愛着が強いためということです。
記事では書かれていませんでしたが、ネコよりイヌの事例が多いのもこれで説明できるでしょう。これはネコをバッシングするわけではなく、ネコとイヌで生存戦略・習性が異なるという仕方ない話。ネコは基本単独で生きる動物である一方で、イヌは集団で序列を作って生きるように進化してきた動物。イヌの方が飼い主への依存が強くなりやすいのです。
加えて、法医人類学者カロリン・ランドーさんは、「噛む」が「食べる」へと変化しやすいことを指摘。最初から食べる目的でなくても、血の味に刺激されて、食べるという行為が促されるとしていました。パブロフの犬みたいな条件反射的な感じかもしれません。
共食いの博物誌——動物から人間まで

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