代ゼミの不動産業への転業は脱法行為?学校法人の優遇、非課税措置についてで紹介した記事の内容はまずそうだったのですが、そこで出していた帝国データバンクの
(PDF)特別企画: 学習塾・予備校 主要110社の経営実態調査は非常におもしろそうでした。
向こうで書いたように、代々木ゼミナール(高宮学園)など収支を公表していないところがランキングされていないことには注意が必要です。今見てみると、駿台予備学校なんかも入っていません。また、2010年度とちょっと古いことにも注意です。
しかし、これでも、大体の目安がわかると思われます。帝国データバンクの分析によると、"上位20社の収入高合計が全体の半分以上を占め寡占化が顕著"ということですから、ランキングの面々は本当に学習塾・予備校の代表格と言えるでしょう。
■全国の学習塾・予備校ランキング ベスト20 2010年度
順位 | 漢字称号 / 主なブランド名 | 上場 | 収入高(百万円) | 前年度比(%)
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1 | (学)河合塾 / 河合塾 | 未上場 | 47,120 | 4.7
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2 | (株)日本公文教育研究会 / KUMON | 未上場 | 42,089 | 4.5
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3 | (株)栄光 / 栄光ゼミナール | 東証2部 | 29,972 | ▲3.3
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4 | (株)ナガセ / 東進ハイスクール、東進衛星予備校 | JASDAQ | 21,025 | 4.6
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5 | (株)市進 / 市進学院、市進予備校 | 未上場 | 16,091 | -
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6 | (株)早稲田アカデミー / 早稲田アカデミー | 東証2部 | 15,976 | 0.5
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7 | (株)ワオ・コーポレーション / 能開センター、個別指導Axis | JASDAQ | 15,620 | 0.0
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8 | (株)東京個別指導学院 / 東京個別指導学院、関西個別指導学院 | 東証1部 | 13,732 | ▲7.4
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9 | (株)ウィザス / 第一ゼミナール、第一ゼミ予備校 | JASDAQ | 12,600 | 7.4
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10 | (株)秀英予備校 / 秀英予備校 | 東証1部 | 12,484 | ▲4.3
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11 | (株)明光ネットワークジャパン / 明光義塾 | 東証1部 | 12,222 | 3.4
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12 | (株)リソー教育 / TOMAS | 東証1部 | 12,200 | 4.0
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13 | (株)臨海セミナー / 臨海セミナー | 未上場 | 11,629 | 10.2
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14 | (株)日能研 / 日能研 | 未上場 | 11,032 | ▲4.1
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15 | ブレーンバンク(株) / 四谷学院 | 未上場 | 11,000 | ▲8.3
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16 | (株)さなる / 佐鳴予備校 | 未上場 | 10,792 | ▲1.9
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17 | (株)京進 / 京進、京進スクール・ワン | 大証2部 | 9,886 | ▲4.3
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18 | (株)学研エデュケーショナル / 学研教室 | 未上場 | 9,649 | -
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19 | (株)拓人 / スクールIE | 未上場 | 8,975 | 20.6
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20 | 英進館(株) / 英進館 | 未上場 | 8,929 | 7.8
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"主要 110 社のうち、2008~2010 年度収入高の比較が可能な 102 社の 2010 年度収入高総額は 5644 億 2900万円"でした。そして、"収入高上位 20 社の 2010 年度収入高合計は 3330 億 2300 万円"でした。前述の通り、収入高上位 20 社が"主要 110 社の収入高合計の半分以上を占め、寡占化が顕著となっている"というのが帝国データバンクの解説です。計算すると59%でほぼ6割ですから、「半分以上」という言葉以上のイメージです。
また、私的にとてもおもしろかったのが、102 社の 2010 年度収入高総額が前年度と比べて2.6%増となっていることです。同様に業界の好調さを伺わせる話が以下です。
・2010 年度の「増収」企業は 57 社(構成比 55.9%)と過半数。
・2010 年度の損益が判明した 88 社のうち、「2 期連続黒字」企業は 71 社(構成比 80.7%)。
・2011 年の負債総額は 7億 5700 万円と、過去 5 年で最小。
この当時は決して景気が良い時期ではありませんでしたが、それでも増収傾向など良い数字です。リーマン・ショックからの回復のせいで…というのも考えられますが、「2 期連続黒字」や「負債総額の最小」というのはそれでは説明しづらいです。
代ゼミのところでちょっと書いたように、少子化をむしろチャンスを捉えている企業もいます。子供が少ない分、その子にかけられるお金が増えるから…というのが、チャンスと考える企業の言い分です。本当にそのチャンスをものにしている企業が多いのかな?という印象を受けました。
ただ、帝国データバンクでは増収について、「2009 年度から新学習指導要領が先行実施され学習量の増加が進んだことが収入増に寄与したと考えられる」という分析でした。
また、少子化に絡んでは以下のような話です。
学習塾・予備校業界は、少子化という中長期的な問題に加え、不景気による通塾開始時期の遅れ、「大学全入時代」による学習塾離れ、大手塾の低価格化などにより、大半の小規模業者は厳しい経営環境を強いられている。このようなか、各社ともに新たな顧客層の獲得に向け、対象生徒の年齢層拡大、個別指導の導入、語学学校などの他の教育関連企業との業務提携やM&Aで、サービスや品質の向上による生徒の囲い込みが強まる。このため、同業者間の競争激化は必至であり、優勝劣敗が進み小規模業者の淘汰が進むことが見込まれる。
競争が激化して勝ち組・負け組がはっきりとして再編が進むことで、よりいっそう寡占化は進んでいくものと思われます。
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