イスラエルとアメリカの話をまとめ。<パレスチナ人避難所の学校を砲撃しても非難しないアメリカマスコミ>、<アメリカはなぜイスラエルを支持・支援する?事実上の同盟国関係などの理由>、<イスラエルの大学教授「ハマスの問題はイスラエル首相が悪い」>などをまとめています。
2023/11/18追記:
●イスラエルの大学教授「ハマスの問題はイスラエル首相が悪い」
●ハマスを強大化させたのは、実はイスラエル首相 どういうこと?
2023/11/23追記:
●東京イスラエル大使館に車突っ込む 左翼と思いきやまさかの右翼 【NEW】
●パレスチナ人避難所の学校を砲撃しても非難しないアメリカマスコミ
2014/9/5:<米国はなぜイスラエルを擁護するのか>(日経ビジネスオンライン 高濱 賛)は、2014年8月6日に書かれた記事です。この当時起きていたイスラエルとパレスチナの問題では、"欧州をはじめとする各国で、人道上の立場から「ガザ市民の殺傷やめよ」と叫ぶ反イスラエルのデモが巻き起こって"いたといいます。
ところが、アメリカでは"パレスチナ人が避難所として使っていた""学校に砲弾を撃ち込"んだときに、米国務省が非難した程度で、"米メディアは依然としてイスラエルを擁護する論調を続けて"いたのというので驚き。たとえ学校に砲弾を撃ち込んだとしても非難しないほどに、イスラエル支持なのです。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20140805/269670/?n_cid=nbpnbo_mlt アメリカが極端にイスラエル贔屓だというのは、昔からよく知られています。作者の高濱賛さんは、ユダヤ系でないアメリカの知識人らに「米国は、なぜイスラエルの肩を持つのか」と聞いてみました。その回答が以下。ただ、後述するように、この説明の一部にはかなり無理があります。
1.イスラエル国家建設は、ヒットラーが1933~45年に行ったユダヤ人虐殺に対する「政治モラル上の贖罪的行為」(an act of political morality)だと米国人は考えてきた。
2.米国人は伝統的に国際社会における「負け犬」(Underdog)に味方する傾向がある。特に勇気を持って自らを守り、自力で戦う「負け犬」を支持し、応援する傾向がある。10億のアラブ人に周囲を囲まれた人口600万人のイスラエルは伝統的な「負け犬」と言える。
3.同様の意味で、相次ぐ中東戦争で、数で勝るアラブ軍を敵に回してイスラエル軍が軍事的勝利を収めたことを、米国人は称賛した。特に1976年、パレスチナ解放人民戦線(PFLP)とドイツの革命分子によって捕らえられて人質になったイスラエル人たちを救出した行動を高く評価してきた。
4.米国のキリスト教徒、特に中西部・南部に多く住むエバンジェリカルズ(キリスト教原理主義者)は、ユダヤ教徒と同じルーツを共有していると考えている。これは欧州のキリスト教徒とはかなり異なっている。旧約聖書を共通の経典とし、同様の道徳律を持ち、諸問題についても同じ哲学的なアプローチを取ってきている。
5.イスラエルは米国とは、条約による同盟関係にはないが、中東問題では事実上の同盟国関係にあったし、現在もそうだ。
6.イスラエルと米国は、政治的、社会的、さらには家族構成で緊密な関係にある。ゴルダ・メイヤー元イスラエル首相は米国育ちだった。ベンヤミン・ネタニヤフ現首相は米国で勉強し、米国で働いたのちにイスラエルに戻っている。現在のロン・ダーマー駐米イスラエル大使は米国生まれ。成人後かなり経ってから米国籍を捨ててイスラエル国籍を取得している。このほか、歴代駐米大使の中には大使になるまで米国との二重国籍を持っていた人物も少なくない。
●アメリカはなぜイスラエルを支持・支援する?事実上の同盟国関係などの理由
上記のうち、<イスラエルは米国とは、条約による同盟関係にはないが、中東問題では事実上の同盟国関係にあったし、現在もそうだ>、<イスラエルと米国は、政治的、社会的、さらには家族構成で緊密な関係にある>あたりは、理解できる話です。
一方、"自力で戦う「負け犬」を支持し、応援"ってのは要するに判官贔屓ですが、これはひどい言い訳ですね。現在のイスラエルとパレスチナという視点で捉えると、明らかに弱いのはパレスチナ。また、イスラエルはアメリカの支援なしでは成立しない状態ですので、「自力で戦う」ははるか昔の話です。
作者も前述の説明に納得したわけではなく、"前述の非ユダヤ系米知識人たちはあえて触れようとしなかった"別の理由があると見ていました。それは"強力な「ユダヤ人パワー」(Jewish Power)の存在"です。
<ユダヤ系米国人(成人)はざっと420万人。全人口の1.8%にすぎない。だが、彼らは政界、経済界、マスメディア、学界などへ多数が進出し、影響力を発揮しているのだ。
政界では、米連邦議会に席を置くユダヤ系議員が上院に12人、下院に22人いる。上院にいる12人は、11人が民主党、1人が無所属だ。下院は、21人が民主党、1人が共和党である。>
議員の中には、ジョセフ・リーバーマン国土安全保障・政府問題委員長など有名な議員が含まれます。上記議員の所属は民主党に偏っていますが、後述するように共和党支持者の方が過激とすら思える主張もしており、民主党だけの傾向ではありません。また、経済界もすごいです。
<経済界でも主だった企業のCEO(最高経営責任者)にユダヤ系が名を連ねる。IT産業で言えば、コンパック、デル、フェイスブックのCEO。マスメディアでは、ニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナル、ワシントン・ポスト、テレビの3大ネットワークのトップ、ハリウッドの20世紀フォックス、パラマウント、ディズニー、ユニバーサルなどのCEOはすべてユダヤ系だ。>
特にマスコミがすごいですね。これならマスコミが親イスラエルになるのもわかりますわ。カリフォルニア大学バークレー校ジャーナリズム大学院のトム・ゴールドスタイン元院長は「米国の新聞の90%はユダヤ系が所有したり、経営したりしている」としていました。
●イスラエルの大学教授「ハマスの問題はイスラエル首相が悪い」
2023/11/18追記:日本の右派には親米が多く、アメリカの属国か?と言うほど極端に親米な人も珍しくありません。自民党、特に安倍首相系に近い産経新聞もおそらく親米保守で、そのせいか、最近もイスラエルとパレスチナ・ハマスの問題で、ハマスを叩くような見出しの記事も見られました。
ハマスに問題があるのというのは私も賛成。ただ、この地域の問題がややこしいのは、イスラエルもガンガン悪いことをやり続けてきたということ。そもそも戦争で奪った土地で、アラブ系の人々は追い出されてパレスチナに押し込まれた…という事情があります。ハマスだけが悪というのは、単純すぎて偏向ですね。
ところが、そんな産経新聞で
「ガザ危機はネタニヤフ氏に責任」テルアビブ大 エラン・ヤシブ教授 - 産経ニュース(2023/11/2 16:12)という記事を見かけたので、ブックマークしていました。しかも、イスラエルの大学教授が、イスラエルの首相を非難しているというのが驚きでしょう。
●ハマスを強大化させたのは、実はイスラエル首相 どういうこと?
ただ、現在のイスラエルの首相であるネタニヤフさんだから…ということもあるかな?とタイトルを見た時点で思いました。ネタニヤフさんは国民に人気がある一方、様々な政治家たちと仲違いしてきたという性格に問題がありそうな人です。で、肝心の内容は?と言うと、以下のようなものでした。
<イスラエルのテルアビブ大教授、エラン・ヤシブ氏がオンラインで産経新聞のインタビューに応じた。同氏はイスラム原理主義組織ハマスによるイスラエル攻撃を非難しつつ、今回のガザ危機の根本原因はイスラエルのネタニヤフ首相の誤ったパレスチナ政策にあると指摘し、主要国はネタニヤフ氏に引導を渡すべきだと訴えた>
「強調したいのは、今回の事態はパレスチナ自治政府が統治するヨルダン川西岸とハマスに支配されたガザの『分割統治』を図るという、ネタニヤフ氏の見当違いの政策のせいで引き起こされたということだ」
「ネタニヤフ氏は自治政府とハマスを対立させて双方をイスラエルよりも弱い立場に置くことを狙った。自治政府に反抗する力をハマスにつけさせようと、カタールやイランがハマスを支援することも黙認した。だが、そのせいでハマスはこの十数年間でイスラエルを脅かす強大な軍事力を確保するに至った。誤算であり誤った判断だった」
ハマスをそもそも強大化させたのは、ネタニヤフ首相という指摘。そんなことあるの?と思うかもしれませんが、これはイスラエルと仲の良いアメリカのお家芸である失敗パターン。他国に介入して肩入れした人が最終的には反米となって大問題…ということを懲りずに繰り返しています。イスラエルでもあり得そうな話です。
●東京イスラエル大使館に車突っ込む 左翼と思いきやまさかの右翼
2023/11/23追記:少し上の方で書いたように、私は日本の右派はアメリカよりなので「パレスチナよりイスラエルに味方する」というイメージでした。その認識だったので驚いたのが、
イスラエル大使館に車突っ込む 機動隊員1人が負傷 右翼団体関係者とみられる男を逮捕 - 社会 : 日刊スポーツ[2023年11月16日14時39分]というニュースです。
<16日午前11時前、東京都千代田区にあるイスラエル大使館近くの柵に車が突っ込み、警備中の警視庁の機動隊員1人が負傷した。捜査関係者によると、警視庁は公務執行妨害容疑で運転していた右翼団体関係者とみられる50代の男を現行犯逮捕した。機動隊員は指を骨折するなどの重傷とみられる。>
東京のイスラエル大使館前では、さまざまな人たちや団体が抗議活動を展開。その中で、続報では右翼と断定されている男性は、大使館の侵入防止用の柵に突っ込んでいたようですから、イスラエルに批判的だった感じ。ネットでは「迷惑」といった批判の他、「左翼じゃなくて右翼。時代が変わった」といった反応が出ていました。
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