「人魂の正体はリン」は嘘、
人魂=骨のリンの可能性と書いてきましたが、そもそもこの人魂=リン説が出てきたのはなぜなんでしょう?
それはWikipediaの人魂でなく、
鬼火(これも火の玉)のところに出ていました。
これによると、紀元前の中国で「人間や動物の血から燐や鬼火が出る」と語られていたのが、そもそもの始まりのようです。
そして、ここで言う「燐」というのは、元素の「リン」(P)を指すものではないそうです。ホタルの発光現象や、現在でいうところの摩擦電気も含むとありましたので、おそらく発光するもの全般を「燐」と呼んでいたのでしょう。
ところが、日本で元素のリンに「燐」の字があてられたことで、混乱が起きてきます。
先程の「燐」が元素の「リン」と混同されるようになった他、リンが人体に含まれているとわかったため、このような誤解が生まれたのではと推測されています。
中国の話は「紀元前」でしたが、元素のリンが知られるのはもっと後ですので、日本で鬼火(正体不明の火の玉)と「燐」が結びつくのももっと後の話です。(リンの発見は17世紀のようです)
18世紀初期に書かれた『和漢三才図会』でも、鬼火を「戦死した人間や馬、牛の血が地面に染み込み、長い年月の末に精霊へと変化したもの」と考えており、「燐」の話はないそうです。
「埋葬された人の遺体の燐が鬼火となる」という記述が出てくるのはさらに1世紀後の『不思議弁妄』などであり、以降1920年代頃までこれが主流となり、昭和以降の一部の辞書に残るほど広く支持されたようです。
ということで、単なる勘違いに生半可な科学的知識を加えて出来上がったのが、人魂=骨のリン説であるわけで、本来根拠のあるものではなく、元ネタからも離れてしまっているようです。
私も信じ込んでいましたので、本当反省せねばなりません。
ちなみに日本ではリンに「燐」の字があてられたとあったのですが、じゃあ中国はどうしたの?と調べてみるとどうやら「磷」と書くようで、字も似ていますし、読みも同じです。
これを漢和辞典で調べてみると、意味に元素のリンという意味も一応書いてありました。
他の意味は、「水が石の間を流れるさま」「石がすり減らされて薄くなる」「玉石がつやつやと輝くさま」です。
リンは激しく発火しますので、発光を意味する「燐」の方が、「磷」より「リン」を表す漢字としては合っていると思いました。
まあ、その分こういう混乱が起きたわけですので、ちょっと複雑な思いがします。
あとは今回出てきた鬼火、
人魂=骨のリンの可能性で出てきた狐火などの
人魂の種類について書いて、人魂シリーズを終わりにします。
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