日本の個人投資家=ミセス・ワタナベ狩りというヘッジファンドの手法についての話。(2014/9/8)
FX・株式市場で日本人投資家がカモにされているのでは?といった話ですが、ビットコインでも同様のことが起きているのではないかとされており、再投稿しました。(2017/12/08)
2018/12/14:
ビットコインのカモは「ミセス・ワタナベ」ではなく「ミスター・ワタナベ」?
●日本人投資家=ミセス・ワタナベ狩りの懸念
2014/9/8:2013年の3月の
ヘッジファンドがほくそ笑む「黒田日銀=円安」 :マーケット千里眼 :マーケット :日本経済新聞(編集委員 小栗太 2013/3/22 6:03)という記事についての話。
当時は、日銀の黒田東彦総裁が決まった直後、実際に動き出す前という段階。3月頃はほぼ一方的な円安状態で、株式市場が大きく崩れたのは2013年の6月頃でした。この記事ではヘッジファンドはそういった方向転換を利用、それどころか誘導して儲けているといったことが書かれていました。
日銀の黒田東彦総裁が20日誕生した。市場では積極的な金融緩和が実行段階に入ることによる円安観測が強まっている。その様子を欧米のヘッジファンドは好奇の目で見つめているに違いない。「黒田日銀=円安」という方向感が明快なシナリオは、極めて為替差益を得やすい相場展開だからだ。
ここにきてヘッジファンドの古典的な手法が再び姿を見せ始めている。ターゲットは「ミセス・ワタナベ」。そう、個人の外国為替証拠金(FX)取引だ。
●カモになる日本人投資家というニュアンスが強いミセス・ワタナベ
そもそもミセス・ワタナベというのは、どういう意味でしょう? 私が目にする用例は、カモになる日本人投資家といった感じで、ほとんどの場合悪い意味で使われたものでした。しかし、語源を見ると最初は悪い意味でもなかったみたいですね。
Wikipediaによると、ミセス・ワタナベ、キモノ・トレーダーとは、個人の小口外国為替証拠金取引(FX)投資家を意味する俗称。語源は日本人の主婦を中心とした女性やサラリーマン投資家であり、欧米の報道機関により名付けられました。
2007年頃から、東京のインターバンク市場にて、為替相場の方向性が、昼をはさんで午後になると、相場を反転させる大きな要因はないにもかかわらず反対方向(主にドル買い)へ振れる現象がしばしば見られていた、といいます。
こうした状況が頻繁に起こったため、原因を探っていくと、主に日本の主婦やサラリーマンなどの個人のFX投資家が、昼休みを利用して一斉に円売り・ドル買いの注文を出していたことが判明。
相場を左右させるほどの日本の個人投資家の資金力を世界に見せつけたとして、海外でよく知られた日本人を代表する姓「ワタナベ」から、イギリスの経済紙「エコノミスト」(2007年3月27日号」)で「ミセスワタナベ」という言葉が使われたそうです。
●ヘッジファンドの手法 日本人投資家=ミセス・ワタナベ狩り
では、日経新聞に戻って、気になるミセス・ワタナベをカモる手法について。
最初の仕掛けは2月26日だった。この日早朝、円相場はイタリア総選挙で与党が苦戦した結果を受け、一夜にして対ドルで3円ほど、対ユーロでは6円ほどの急騰を演じた。
前日の25日に積極金融緩和派の黒田氏が日銀総裁に就任見通しとの報道が流れ、円安観測が強まった直後の出来事だった。欧米市場でさらに円安が進むとみて円売り注文を増やして熟睡していたFX投資家は円急騰で一斉に損失確定の円買い戻しを迫られ、それが一段の円高を引き起こす皮肉な構図になった。
「一瞬でマイナス100万円」「今年の儲けが全部吹っ飛んだ」「まじでこれはやばいことになった」――。インターネットの掲示板には早朝から、FX投資家の絶叫が連なった。
ところが、円高は長くは続かなかった。
ある大手米銀ディーラーはこう証言する。「円の急騰直後から顧客のヘッジファンドが一斉にドルを買い戻した」。実際、イタリア総選挙が欧州不安を再燃させる可能性は低いとの見方が強まり、翌日以降はまるで何事もなかったかのように円安基調に戻っていった。
市場の注文の偏りを狙って多額の反対売買を仕掛け、相場が大きく動いたタイミングで即座に利益を確定させる。これはヘッジファンドが20年来使ってきた古典的な手法だ。
また、3月になっても同じ手法でやられています。3月18日の日早朝、円相場はキプロスの預金課税問題を受け、対ドルで2円ほど、対ユーロでは3円ほど急騰しました。
"皮肉なことに今回も、20日の黒田日銀総裁就任を目前に控え、円安観測が強まっていた矢先の出来事だった"といったと記事では書いていたのですが、"今回も欧州不安再燃までにはつながらないとの見方から、その後は再び円安基調に戻りつつある"といった上京です。
●FX・株式市場・ビットコインで個人投資家をカモに?
記事には日本の輸出企業をターゲットに、"1995年春に当時の円最高値を付けた局面でも、この手法が多用され"たとも書いていました。
また、先のWikipediaも良い話ばかりではなく、以下のようなミセス・ワタナベの負の面が記載されていました。
"相場の取引が薄くなり少ない注文でドルが下落する(円高になる)時間帯を狙い、ストップロスを狙う動きをミセスワタナベ狩りという。2011年3月17日に一時1ドル76円台に高騰した円高ドル安は投機筋にミセスワタナベ狩りと言われた"
大きく乱高下するシーンはヘッジファンドの儲けどころであり、個人投資家はその餌に過ぎません。乱高下の際にヘッジファンドの役割が大きいというのは株式市場でもよく言われておりますので、この構図は変わらないでしょう。
損失を限定できるように逆指値(トリガー、ストップ)を出しておく、あらかじめ大きな下落に耐えられるように備えておくといった対処も可能には可能ですが、こういったリスクを丁寧に教えずにFXや株式の購入を安易に勧めることは私はやはり罪だと思います。
2017/12/08追記:流行りのビットコインでも同じような動きが指摘されていたので、
ビットコイン暴落で借金のしくみ 2828万円損失で嗚咽もらす配信者もに、「ミセスワタナベ狩りの再来 ビットコインでも日本人投資家がカモに」を追加しました。
●ビットコインのカモは「ミセス・ワタナベ」ではなく「ミスター・ワタナベ」?
2018/12/14:繰り返し注意喚起していたビットコイン。やっとブームが去ったのか、ニュースになることが少なくなってきました。私はテレビを見ないのであれですけど、コマーシャルも見なくなったという感想を見かけます。チャートを見ても最近は下落傾向です。
ビットコインに飛びついて損する人たちが少なくなると考えられますので、注意喚起していた私としては朗報。ただ、時すでに遅しで大損した人も多いでしょうから、素直には喜べません。
ところで、今回追記したのは、ビットコイン関係で「ミセス・ワタナベ」に関わる単語をタイトルにした記事を見かけたため。ただ、最近の記事ではなく、まだビットコインが元気だった2017 年 12 月 16 日の記事。有料記事なので詳しくはわからないものの、タイトルで主張がわかる
ビットコイン急騰、主役は「ミスター・ワタナベ」 - WSJ(Steven Russolillo)というものでした。
「ミセス・ワタナベ」でも女性に限らない用法なのですけど、「ミスター・ワタナベ」ですので、男性が多いことを強調しての言い方ですね。無料で見える冒頭部分では、「仮想通貨ビットコインの価格を押し上げているのは、犯罪者や麻薬密売人でもなければ、詐欺師でもない。それは日本人男性だ」と書かれていました。男性が主体との見方です。
これはビットコイン保持者に日本人男性が多かったという分析であり、損失を抱えた人というのも、日本人男性が多かったのかもしれません。やはりつらい話ですね。
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