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雪国まいたけでお家騒動 大平喜信オーナーと星名光男社長らバトル


2014/9/8:
●動議!動議!動議!と連呼、異様な雪国まいたけの株主総会
●まず東大卒エリートを呼ぶも解任、反撃で不正を暴露される
●雪国まいたけを立て直した次の経営者も創業者に追放!
●創業家による会社の私物化は許されるのか?雪国まいたけ騒動が問うもの
●不正で退いても支配したい創業家一族…雪国まいたけ以外でも
2019/08/08:
●創業家に死角なしと思いきや、銀行の反則スレスレ技でまさかの完敗
2020/09/19:
●上場廃止の雪国まいたけが東証に復活!親会社の神明とは何者なのか?


●動議!動議!動議!と連呼、異様な雪国まいたけの株主総会

2014/9/8:雪国まいたけって他でも騒動を起こしていたので、またかよ!と思っていたんですが、6月の株主総会の話が今頃出ていたというニュースでした。雪国まいたけで創業家と外部出身者の内紛勃発 創業者を直撃- NEWSポストセブン(2014年9月3日07時00分 伊藤博敏)という記事です。

 このときの株主総会は本当に異様だったとのこと。6月27日10時、新潟・南魚沼市のホテルで開かれた株主総会は、「動議、動議。議長交代!」と冒頭から動議の連呼だったのです。

 星名光男社長が議長席に就こうとすると「議長交代」の動議。規定に従って別の取締役が議長席に座ると、これまた即座に「動議」。全役員の議長就任が退けられたとありましたので、役員の人数分これを繰り返したようです。確かに異常な光景です。

 この後どうなったのか?と言うと、株主から議長が選ばれることになったようです。株主で選ぶ…となると、前社長で、過半数の株式を握る創業オーナーの大平喜信さんが実質的に選ぶことになるんですかね。怒号飛び交う中、立ち上がって議長席に向かったのは、この大平喜信オーナー自身だったようです。


●まず東大卒エリートを呼ぶも解任、反撃で不正を暴露される

 大平喜信オーナーは、裸一貫から会社を東証2部上場まで育て上げた人物だとのこと。ところが、創業社長にありがちな話で、「公私混同」「超ワンマン経営」という欠点もあったようです。

 この大平さんは2010年9月、大手自動車メーカーで最年少役員になった東大卒エリートのAさんを役員に迎え入れました。大平さんは中卒であり、「学歴コンプレックスがあったからか、A氏への信頼は厚く、経営の多くの権限をA氏に委ねた」(同社幹部)と言います。

 このAさんが経営合理化の名の下に人事権を握って次々に組織を改編していったものの、同社プロパーの幹部には不評(後述の記事によると、ワンマン経営の大平さん自身が目障りに感じてという理由)。大平さんは慌てて、Aさんの権限を取り上げ、2013年6月の株主総会で退任させてしまいました。

 ただ、Aさんも黙っておらず、反撃に出ためにタダでは終わりません。あらゆる経営データにアクセスする権限を与えられていたので、大平社長を退任に追い込むために、過去の不正経理の情報を金融庁、東証、取引銀行に内部告発。後に事実上、大平社長に引導をわたす社内調査委員会の報告書を発表されたため、社長を退くことになりました。

 これ自体は特別Aさんが悪いという話ではありませんね。不正をやっていたのが悪いんで、指摘した方が悪いということはありません。Aさんの経営が悪かったかどうかもこの状況からはわからず、悪かった場合でもある程度大平喜信オーナーの任命責任の問題があると言えるでしょう。


●雪国まいたけを立て直した次の経営者も創業者に追放!

 このとき新たに社長となったのは、流通大手「イオン」元専務の星名光男さんでした。大平さんがAさん退任後「別の経営の専門家が必要」と白羽の矢を立て、外部から招聘した人物…だったのですけど、これがまた火種になります。

 星名光男社長の手腕で2期連続の赤字だった雪国まいたけをで2014年3月期には黒字転換。これは素晴らしいことだったのですが、同時にコンプライアンスの徹底と大平の影響力排除を進めました。これは堪らない…と逆襲したのが、冒頭の株主総会だったようです。

 そして、社長だけでなく取締役8人の選任する案を全員否決、新たに大平側が用意した大手自動車メーカー「ホンダ」元専務の鈴木克郎が社長に就任し、同じくホンダ出身者や日銀元政策委員会審議委員などが役員に就くことになりました。

 創業家一族がメインバンクや他の株主にも根回しせずに会社側提案を否定した「役員一斉交代劇」は上場企業では前代未聞ということで、とんでもないことに。超ワンマンという評は伊達ではありません。


●創業家による会社の私物化は許されるのか?雪国まいたけ騒動が問うもの

 上の記事を書いた伊藤博敏さんは別記事の「雪国まいたけ」名物オーナー排除で迷走。 いったい会社とは誰のものなのか  | 伊藤博敏「ニュースの深層」 | 現代ビジネス [講談社](2014年09月04日)で、「会社は誰のものか――」と問題提起しています。

 原則的には会社は株主のものなのですが、"会社もまた社会的存在である以上、株主だけでなく従業員、地域社会、取引先といったステークホルダー(利害関係者)は無視できない"としています。特に"上場企業は、いくら発行済み株式の50%以上を握る大株主といえども、身勝手な行動はできない"と言います。

 ところが、雪国まいたけの大平喜信オーナーがしてみせたように、"企業の最高の意思決定装置である株主総会で、役員の任免も経営方針も、事業を存続させるかどうかといった方針の選択も、実はオーナーの一存で決まり、それを防ぐ手立てはない"のです。


●不正で退いても支配したい創業家一族…雪国まいたけ以外でも

 創業家の関わるお家騒動というのはちょくちょくある話です。たとえば…と、パッと思いついたのが、大王製紙です。大王製紙は2011年に当時会長だった井川意高さんが連結会社から個人的に巨額の借入れをしていたことが判明し、辞任するはめになりました(Wikipediaより)。やるべきじゃないことをやって辞任に追い込まれたのですから、雪国まいたけのケースとよく似ています。

 これによって大王製紙は、創業家の影響力排除を目指しました。これも雪国まいたけといっしょです。そして、この経営陣と会社を再び支配下に起きたい創業家一族の井川一族との対立が続いたというのもまた同じです。自分らで悪いことした癖に反省なしかよ…と思いますが、本当によく似ていますね。

 ただ、こちらは2012年(平成24年) 8月15日に、井川一族が大王製紙及び関連会社の株式を北越紀州製紙へ譲渡することで合意し、北越紀州製紙が19.6%(総株主の議決権の数に対する割合は22.2%)を保有する筆頭株主となりました。創業家は紙おむつ等の製造・販売を行なう多くのグループ会社の株式の50%超を握っており、引き続きグループに影響力を保持している"ものの、創業家一族の思い通りにはならなかったようです。

 また、最近では赤福、お家騒動で社長解任 「おかげ横丁に外人来てほしくない」発言もの件があります。こちらは創業家一族同士の戦いで、なおかつ上場企業でもないので少し状況が異なりますが、ワンマン社長が不正で退いたのに、経営者が気に食わなくて解任…という点が似ています。

 以上見てきたように、強力すぎる創業家一族のいる企業でのこの類の騒動は、おそらくこれからもなくなることはないと思われます。悲しくなる話ですね。


●創業家に死角なしと思いきや、銀行の反則スレスレ技でまさかの完敗

2019/08/08:上記の後、ニュースを追っかけていませんでした。で、今見てみると、雪国まいたけのケースでも最終的には創業家が負けていた!という予想外の結果に。雪国まいたけ株は大平さんを始め創業家で約64%を保有しており、安泰のように見えたものの、そうではなかったようです。

 まず、メインバンクの第四銀行など銀行6行は株を担保に大平さんらに融資していたというのがポイント。そして、その借金の返済が滞っていたというのがもう一つのポイントです。これを理由に銀行が担保権を行使して同社株を取得した上で、アメリカファンドのベインキャピタルのTOBに応じることに。最終的にこれが成立し、創業家の完敗となったようです。

 また、以前の投稿では鈴木克郎さんらが社長などの役員に就任したところで終わっていたのですけど、なんと大平さんが送り込んだはずの鈴木さんら新役員もまた「反大平」に。ことごとく対立するってのはある意味すごいですね。で、そして鈴木会長兼社長と銀行団が「ホワイトナイト(白馬の騎士)」としてベインキャピタルを招き勝利するという流れになったようです。
(雪国まいたけ社 外資TOBに至るまでの経営権を巡る内紛劇|NEWSポストセブン 2015.03.02 11:00  週刊ポストより)

 このTOBに関しては、銀行が暗躍して乗っ取った!といった批判記事が多くなっていました。大平さんはわがままな上に社長時代には不正が起きていたので、彼が良いとは全く思わないものの、前述の銀行の手法は限りなく反則に近いところがあった模様。これはこれで問題ありそうで気にかかります。悪 VS 悪って感じですね。


●上場廃止の雪国まいたけが東証に復活!親会社の神明とは何者なのか?

2020/09/19:久しぶりに雪国まいたけが結構広く取り上げられるニュースになっていました。前回の追記は私が思い出して古い記事を読んだ…というものでしたので、本当久しぶりでしょう。雪国まいたけ、5年ぶり上場 神明HDが子会社化:東京新聞 TOKYO Web(2020年9月17日 12時01分 (共同通信))といったニュースです。

 キノコ生産販売の雪国まいたけが、東京証券取引所第1部に株式を上場。不適切会計問題などを受け2015年に上場を廃止して以来、約5年ぶりの復帰です。初値に基づく時価総額は約837億円で、日本取引所グループによると、2020年のこれまでの国内上場では最大規模だといいます。

 記事では、コメ卸売事業の神明ホールディングスが保有比率を増やし、連結子会社化したともあり、おっ!と思いました。保有比率を増やし…ですので、非上場株時代から持っていたみたいですね。当初100%保有していたベインキャピタルはファンドであり、神明については食品メーカーである雪国まいたけをうまく経営できる企業として選んだのだと思われます。

 この選択がいいなと思ったのは、神明はド派手ではないものの、堅実に成功している企業であるため。知名度の高い会社ではありませんけど、コメ業界では大手で、外食産業にもお米を供給。また、はま寿司やスシローやかっぱ寿司ほどの知名度はありませんが、回転寿司で最も勢いがあるともされることもある「魚べい」というブランドを持つ元気寿司を持っているところでした。分野は違えど、うまく経営してくれそうな会社です。


【本文中でリンクした投稿】
  ■赤福、お家騒動で社長解任 「おかげ横丁に外人来てほしくない」発言も

【関連投稿】
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