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気持ち悪い・汚い…日本が開発した透明マスクがイマイチ人気出ず


 当初書いていたのは、「あり得ない…大きな固体だけを通すフィルターのしくみとは?」という話。その後、透明マスクの話を追記していたら、そちらの方が長くなってきたのでタイトルも透明マスクの方に変更しました。

冒頭に追記
2021/05/06:
●久しぶりにすごい日本製品?表情がわかる透明マスクが発売され即完売
2021/06/23:
●透明マスクは聴覚障害者社員の窮状を知って社長のトップダウンで開発
2021/07/23:
●子どもたちが泣き出してしまう!透明マスクが保育士に必要な理由3つ
2022/01/06追記:
●世界初の透明マスクはユニ・チャームじゃない別の日本メーカー? 【NEW】
●気持ち悪い・汚い…日本が開発した透明マスクがイマイチ人気出ず 【NEW】


●久しぶりにすごい日本製品?表情がわかる透明マスクが発売され即完売

2021/05/06:“透明マスク”に賛否! 飲食店への導入はアリ? ナシ? 2021年05月03日 17時31分 まいじつなどのニュースが出ていた透明マスクに関する話での追記。もともと書いていた「大きな固体だけを通すフィルター」とは全然関係ないのですが、アイデア商品系の過去投稿で比較的近い系統の話題ということで、こちらを追記場所に選びました。

 『ユニ・チャーム』が〝透明で表情がわかる〟『unicharm 顔がみえマスク』というのを発売したところ、速攻で完売するほどの売れ行きに。曇り止め加工した透明フィルムを採用することで、顔の80%が視認できるというデザインです。日本企業の製品では最近減っている「すごい!」と思えるものだと思うのですが、記事によると、ネットではネガティブな反応もあったといいます。

《これは普通の人は使わないだろうね。あまりにもかさばるし、見た目も…》
《口の動きが見えた方が良い場所では重宝されると思うけど、一般の人が日常的に使うイメージがない。長時間付けっぱなしだと飛沫や汚れが付いているのが見えちゃいそうだし》
《なんかえらいインパクトのあるマスクだね。全面フィルムだけど、通気性はどうなってるのか気になる》
《見栄えにちょっと抵抗あるな。口元が強調されて恥ずかしい》

 ただ、そもそもこれ、一般向けのマスクではありません。ユニ・チャームは「マスクの装着が口元や表情によってコミュニケーションをとることが多い、聴覚障がいがある方や言語障がいがある方にとって切実な問題となっていることを背景に、『超立体マスク』や『超快適マスク』の技術を結集して、口元や表情がみえずコミュニケーションに不安を抱えている方に向けて発売した」と説明していました。

 さらに、一般的な需要がないとも思えません。というのも、マスクを常時するようになって、表情を読み取れないことが問題となっているため。特に接客業では大きいでしょう。今は「マスクをしたまま笑顔を伝えるコツ」を伝えるアドバイザーが登場する…というちょっと妙な状況です。記事でも飲食店や接待を伴う店でも需要があるだろうという消費アドバイザーのコメントを載せていました。反・透明マスク派は確かにいるのでしょうが、一定の需要があるというのも事実だと思われます。


●透明マスクは聴覚障害者社員の窮状を知って社長のトップダウンで開発

2021/06/23:前回追記したユニ・チャームの透明な「顔がみえマスク」の話。2回目の販売も速いペースで注文が入り、すぐ販売終了になっていますが、需要が高くても量産することができない理由があるとされていました。今回の商品は国内工場での完全な「手作り」で作っており大量生産できず、生産数限定なのはこのためだといいます。

 これを伝えた記事は、<大人気「顔がみえマスク」 ユニ・チャーム開発秘話>(2021年06月20日 08時00分 公開 [産経新聞])というタイトルでした。記事によると、「顔がみえマスク」の開発のきっかけは聴覚障害のある女性社員と高原豪久(たかはらたかひさ)社長とのメールのやり取りだったそうです。(改行は見づらかったために変更しています)

<杉本さん(引用者注:グローバル人事総務本部の杉本あゆみさん)は生まれつき聴覚障害があり、マスク着用の習慣が根付いてからというもの、普段の業務に支障が出ていた。高原社長からの誕生日メールに、「相手が何を話しているのか、口元が見えないので分からず困っています」という内容を、謝辞とともに返信したという。
 マスクを着用すると顔の半分が覆われ、口元はもちろん、表情も分かりづらくなる。会社の仕事はオンラインでのやり取りが増えたが、パソコンから出る音は聞き取りづらく、ほとんど分からないという。このため、急ぎのコミュニケーションに対応できない状況になってしまっていた>
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2106/20/news020.html

 実は、杉本さんの母親が市販のマスクを切り取って透明なフィルムを張ったマスクを自宅でミシンを使って作り、周囲の人たちにそれを配り、つけてもらうようお願いしていたそうです。透明フィルムというアイデアはここ由来ですかね。とりあえず、窮状を知った高原豪久社長からのトップダウンで開発されたマスクだそうです。

 前回書いたように、透明マスクには一般人からネガティブな声も出ていたのですが、ユニ・チャームによると、注文は言語障害や教育の現場に立つ人からが多いとのこと。介護士、英語教師、保育士といった人たちで、いずれもスムーズなコミュニケーションや言語を覚えるために、口元が見えることが重要となる職種だと説明されていました。


●子どもたちが泣き出してしまう!透明マスクが保育士に必要な理由3つ

2021/07/23:ユニ・チャームの透明マスクは、介護士、英語教師、保育士など、注文は言語障害や教育の現場に立つ人からが多いという話を前回書きました。そのうち保育士に関する記事があり、具体的な例が出ています。これを読んでみると、保育士がマスクをすることによって子どもたちが受ける影響は、私が思った以上に大きいようでした。

 ユニ・チャーム、「unicharm 顔がみえマスク」を保育施設向けに販売 | 国際商業オンライン(2021.07.15)は、ユニ・チャームが、「unicharm 顔がみえマスク」を8月から保育施設向けに販売を開始するという話。“長引くマスク生活による保育施設での困りごと”を解決するため、今回の販売を実施するとされています。

 そして、具体的に困っていることは、「①子どもたちが保育士の表情から感情を読み取りにくく、喜怒哀楽を学べない②子どもたちが保育士の顔を覚えられず、マスクを外したとたんに泣いてしまう③子どもたちが保育士の口の動きを読み取れず、話している内容が正しく理解できない」の3つ。ここまでマスクの弊害が大きいというのは予想外で驚きました。


●世界初の透明マスクはユニ・チャームじゃない別の日本メーカー?

2022/01/06追記:今回読んだ記事によると、透明マスクはユニ・チャームが世界初ではないみたいですね。「東京本染(ほんぞめ)」と呼ばれる伝統技法を用いた手ぬぐいの製造販売を手掛ける老舗繊維メーカーである東京和晒株式会社がマスク開発に参入した中で作ったものが先にあったそうです。

<「顔が見える透明マスク」の開発は、実はユニ・チャームがはじめてではない。ユニ・チャームが『顔がみえマスク』を発売する約半年ほど前、既に商品化を実現していた企業がある>
<2021年1月には、口元に透明のビニール素材を使用した『透明マスクミセルンデス』の販売を開始した。コロナ禍で、各地の祭りや催事がことごとく中止となり、手ぬぐいの需要が激減した中での背水の陣だったが、聴覚障碍者をはじめ、手話通訳、保育士などにも支持され、現在までに1万枚以上を売り上げることに成功している>
https://news.yahoo.co.jp/articles/326a281dc5013a75b5e2c5d3b4a2f112517da8e7


●気持ち悪い・汚い…日本が開発した透明マスクがイマイチ人気出ず

 前回まで書いてきたように、こうした透明マスクが切実にほしい…という業界はあるようです。一方で、今回読んだ記事の<「顔が見えるマスク」気象庁が導入、官公庁の会見でも?>(2022/1/5(水) 8:00配信 Forbes JAPAN)で出ていた気象庁は、そんなに必要かな?というところ。説明を聞いてもイマイチ必要性がわかりませんでした。

<透明マスクは気象庁会見で使用されたことで世間の注目を集めることとなった>
<NHKによれば、気象庁が透明マスクを採用した理由として「マスクをすると口元が読めず、わかりづらい」という視聴者からの意見があったため、としている(*)。報道陣が多数集まる会見の場でマスク着用が欠かせない中、アクリル板やフェイスシールドなどさまざまな対策を検討した結果、透明マスクの着用に踏み切ったという。
 現在国内におけるコロナの影響力は鈍化しているとはいえ、報道陣を集めた緊急記者会見など、官公庁においては、やむを得ず大人数を前に発言せざるを得ないケースも多い。これらの透明マスクは安全に配慮したうえで、コミュニケーションの多様性にも応えた社会性ある商品といえそうだ>

 説得力がなかったために、ヤフーニュースのコメント欄では、気象庁はいらないのではないか?といったコメントが人気に。また、全般にそもそも透明マスクそのものが「違和感がある」「気持ち悪い」「汚い」といった感じで不評ですね。透明マスクを必要とする人もいますので、そちらに悪い影響がでないといいんですけど…。

<気象庁の会見で最近よく見かけるけど、あのシチュエーションならアクリル板(引用者注:効果が低い可能性があります)でいいんじゃないのかな?見慣れないからか、口元の違和感が気になってしまいます>
<気象庁の会見で見たけど、表情が見えないこと以上に目と鼻の間の白いところがすごく気になってしまった>
<透明マスクは見た目が悪く一般には広がりづらいと思う。使用してうちに唾が付着しているのが目に入るし、再利用前にも唾の跡を拭き取らないといけない>

 「汚い」に関してはちょっと補足。不潔だということを理由に「マスクをしない方が良い」と主張する反マスクの校長先生が以前いらっしゃいました。ただ、不潔さと新型コロナウイルスの感染リスクを考えると、感染防止の方が重要。以前あったデザインを理由に不織布禁止のライブイベントや今回の透明マスクの見た目重視など、優先順位がおかしくなりそうなところは注意が必要ですね。


●大きな個体だけ通さない…の逆に大きな固体だけを通すフィルター

2018/10/14:ろ過 - Wikipediaによると、ろ過というのは、液体または気体に固体が混ざっている混合物を、細かい穴がたくさんあいた多孔質(ろ材)に通して、穴よりも大きな固体の粒子を液体または気体から分離する操作のこと。

 ろ過は科学実験や化学工業などで用いられる操作であるすけど、家庭でも身近なもの。ろ紙を用いてコーヒー豆と液体を分離してコーヒーを入れたり、掃除機で吸った空気からゴミを分離しtがり…というったものもろ過の一種なのです。非常に身近にあるものだとわかりますね。

 ろ過を行う装置を「ろ過器」といいます。ただ、この「ろ過器」ではなく、「フィルター」といった方が一般的でしょう。「フィルター」と聞くと、あるある!と思いますよね。おなじみの言葉です。実を言うと、「ろ過」も英語では、 filtration(フィルトレーション)といい、フィルターとの関係がわかりやすくなっています。

 で、前述のようにフィルターというのは、細かい穴がたくさんあいたろ材に通して、穴よりも大きな固体の粒子を液体または気体から分離する操作なのですけど、全く逆に大きな固体だけをフィルターに通すという摩訶不思議なフィルターが開発されたそうです。



●あり得ない…大きな固体だけを通すフィルターのしくみとは?

 このへんてこな「真逆フィルター」を開発したのは、ペンシルベニア州立大学の科学者らによる研究チーム。通常のフィルターは、表面に開けられた小さな隙間の大きさを変えることで通過できる物体の大きさを変えていました。当然この応用では、正反対のフィルターを作るのは無理です。

 研究チームが応用したのは、液体の「表面張力」でした。小さくて軽い物体は運動エネルギーが小さいため、液体のフィルターを突破することができません。一方、大きくて重い物体はより大きな運動エネルギーを持つため、液体の表面張力に打ち勝って液体の膜を通過することができるようになります。

 このアイデアのもととなったのは、人間の体にある細胞が細菌やウイルスなど一定の大きさを持つ物体だけを細胞内へと取り込むPhagocytosis(食作用)の様子だとのこと。こうやって生物がモデルになっているという研究は多いですね。
(常識の正反対「大きな物だけ通過できる」という特殊なフィルターが開発される - GIGAZINEより)


●嫌な臭いだけカットするトイレやコバエは通れないフィルター

 表面張力の高い液体でできているために、非常に耐久性が高いというのもメリットだとされていました。実験段階では、フィルターに異物を繰り返し与え続ける試験を行ったところ、3時間たってもフィルターの機能は全く損なわれなかったとのこと。3時間の耐久実験だと、正直長いと思いません。ただ、原理的には耐久性が高いというのはわかる説明はありました。

 物体が膜を通過した後は、物体が通過したことで穴が開いてしまいます。ただ、開いた穴は液体の高い表面張力により自動的に閉じられるとのこと。なので、この繰り返しでフィルターが壊れないというわけ。記事では書かれていなかったものの、壊れたとしても修復が比較的容易にできそうな気がします。

 また、「遮断した物体を自動で集めて取り除くことができる」というのもメリットだとされていました。フィルターの液体に不純物が含まれるため、液体ごと取り除くことを考えているのでしょう。このフィルターには、固体の排せつ物は通す一方で、気体のガスは通さないようにするトイレの防臭装置や、大きな物は入れられる一方で、コバエは通れないフィルターなどの用途が考えられるとも書かれていました。


●実は大したことない?発想自体は突飛でもないとのコメントも

 一応あり得ない話ではないように見えますが、ツッコミがないかとはてなブックマークも確認。すると、珍しく有用な話がなく、後出しジャンケンでマウンティングするようなコメントが人気に。ひょっとしたら似たような原理ですでに実用化されているものがあるかもしれないとは私も思いますけど…。

<(大きな物ではなく)重い物だけが沈んで通れるのだと考えれば発想自体は突飛でもないと思う。耐久性が高いのは面白い点>

 あと、物体が通過したことで一瞬穴が開くことに関して疑問に思っているコメント。

Mystica_another <一時的に出来た穴をろ過したい粒子が一緒に通り抜けてしまう可能性があるけど、そこはどうやって判別するのだろう?>

 ただ、実用的には問題ないんじゃないかと思うんですよ。現状のフィルターでも、用途によって精度が異なっており、「これで十分」などといった程度があります。真逆フィルターの精度が上がらなくても、複数の真逆フィルターを通すことにより、精度を上げられるでしょう。工業的にもフィルターを他の集塵機と組み合わせて使うことが一般的です。

 今回の真逆フィルターも複数のものを組み合わせたり、既存のフィルターなどと組み合わせたりすると、大きいだけ・小さいだけでない真ん中のものを選んで分離する…といった使い方もできそうで、おもしろそうです。

(2020/09/22追記:続報がないか検索してみたものの、実用化された…といったニュースは見当たりませんでした。「画期的!」といった感じで発表された研究のほとんどは実用化されずに終わります。日本の研究でもよくありますね。おもしろい研究だったので、実用化されてほしいところなんですが…)


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