将棋の羽生善治さんのインタビュー、タイトルが気になって読んでみました。
子供時代は将棋一筋ということではなかったようです。
羽生善治三冠インタビュー「親の期待がなかったから強くなれた」|ダイヤモンド・オンライン 2014年5月16日 長谷川敦弥
長谷川 小学校では何をして遊んでいましたか。将棋一筋だったのでしょうか。
羽生 いいえ、そんなことはありません。流行りものも、ひと通り遊びました。ルービックキューブとかヨーヨーとか。休み時間は、小学校の高学年の頃は、だいたいサッカーをしていました。『キャプテン翼』の漫画とともにサッカーが流行り始めた頃だったので。郊外の学校でグラウンドが広かったこともあり、20分休みや昼休みなどの長い休み時間は、ほとんど外でサッカーでしたね。
家に帰ってからは将棋を指すことが多かったと思いますが、学校ではクラブ活動の週1回以外は将棋はやりませんでした。
http://diamond.jp/articles/-/52738
"将棋をじっくりやる「きっかけ」"としては、親の都合があったようです。
長谷川 将棋をじっくりやる「きっかけ」は何だったのですか?
羽生 週末の買い物ですね。実家が街から離れていたので、週末になると家族で1週間分の買い物に出かけていました。その時、私は地元の将棋道場で将棋を指して、買い物が終わった頃に家族が迎えに来たら帰るという、そういう生活だったんです。
これもまた3、4時間くらいやると十分という感じだそうで、「夢中で将棋を指していて、家族から『もう帰るよ』と言われるのは嫌ではなかったですか?」という質問に対し、「そのようなことはありませんでした」と答えています。
もちろん楽しくなかったということはなく、「よくわからないけれど、面白い」と思ったと語っています。普通のボードゲームは何度もやっていくうちに勝ち方がわかり飽きたが、「将棋はそれがまったくなかった」から夢中になったと言っています。ここらへんは持って生まれたものですね。
おもしろいのはただ夢中になっていたというだけで、特に目標などはなかったようだということです。
「夢は叶う」と教えるな 努力しても叶わない夢があることを教えろの話をちょっと思い出しました。
長谷川 何段を目指してやるとか、そういうのはあったんですか。
羽生 それはなかったです。何か、もちろん強い人と対局したいというのはありましたけれど。何段になるとか、何級になるとかという気持ちはまったくと言っていいぐらいなかったです。
駒を動かす中で、新しい発見があり、今までと同じはずの盤上がまったく違って見える。そんな経験は新鮮で面白いと感じました。
また、元記事のタイトルになっている話。親があまり興味なかったというのは意外ですね。
長谷川 親御さんからは、「楽しんでやってみなさい」とか「始めたなら続けなさい」などと言われたりしましたか。
羽生 そういったことは一切ありませんでした。そもそも、親の目的は「週末の買い物」だったりしますし。だから将棋道場やデパートで行われる子ども将棋大会なども、それほどじっくり見てはいなかったと思います。将棋が終わったら迎えに来るという感じでした。
長谷川 なるほど、親の期待が一切なかった状態とも言えますね。
羽生 そうかもしれません。
記事ではもう一つ「環境」の大事さを強調していましたが、これは聞き手が幼児教室・学習塾の人なので危ないなと感じました。
羽生 私が将棋に夢中になれた理由は2つの環境が大きかったと思います。1つは、たまたま教えてくれる人がいたということ。両親は将棋をあまりやりませんでしたが、友達が教えてくれました。将棋を知るきっかけがあったということです。
もう1つは、続ける場所があったということ。近くに将棋道場がなければ、おそらく(将棋を)続けることはなかったと思います。
将棋に限らず、どんな才能でも、たとえ先天的なものがあっても、それを見出し、伸ばす環境がなければ萌芽の機会さえないかもしれません。そういう意味でも環境、「場」というのは非常に大きいと思います。そう考えると、先天的なものよりも、後天的なものの影響のほうが大きいと感じます。
なぜ危ないと感じたかと言うと、「将棋」と「勉強」では全く接する頻度が異なるためです。
将棋はもちろん必修ではありません。将棋のルールを知っている人は多いのでそれほど珍しいものではないですけど、興味を持ったとしても継続的にやるような場というのはやや特殊なところがあります。そういう意味で「環境が大事」ってのは間違っていないと思います。
ただ、これが「勉強」となると全然違います。小学校、中学校と義務教育で勉強はやらされるため、既にみな継続的に接する機会が用意されており、才能を発揮するチャンスが存在しなかったわけではありません。
記事には別にそう書いてはいないのですけど、「子供は環境によってみんな大化けします。だから塾に行きましょう」という宣伝に使われると嫌だなぁと警戒しました。
ところで、この将棋をやる環境に関する羽生善治さんの話、実は過去にもやったことがあります。
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ネットの普及が将棋とポーカーにもたらした変化とeラーニング この話は塾の件でも通用するeラーニングと絡ませて出ていたのですけど、ネットのおかげで今は生身の人間と継続的に勝負できる場を準備できそうなのです。
この10年のITの進化とインターネットの普及によって将棋の世界の何がいちばん変わったか。
羽生さんは簡潔にこう言った。
「将棋が強くなるための高速道路が一気に敷かれたということだと思います。でも、その高速道路を走り切ったところで大渋滞が起きています」
(中略)要は「情報の整理のされ方と行き渡り具合の凄さ・迅速さ(序盤の定跡の整備、最先端の局面についての研究内容の瞬時の共有化、終盤のパターン化や計算方法の考え方など)」と「24時間365日、どこに住んでいようと、インターネット(例、将棋倶楽部24)を介して、強敵との対局機会を常に持つことができる」という2つの要素によって、将棋の勉強の仕方が全く変わってしまった。そしてそれによって、将棋の勉強に没頭しさえすれば、昔と比べて圧倒的に速いスピードで、かなりのレベルまで強くなることができるようになった。そこが将棋の世界で起きているいちばん大きな変化なのだ、と彼は言った。
インターネットの普及がもたらした学習の高速道路と大渋滞:梅田望夫・英語で読むITトレンド - CNET Japan 2004-12-06 09:36:00
http://japan.cnet.com/blog/umeda/2004/12/06/entry_post_203/ こういう変化はおもしろいですね。
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