びっくりしました。朝日新聞の吉田調書記事の取り消しについての謝罪を読んでいたら、途中から突然慰安婦報道の話に。まさかこっちでも謝罪するとは!と驚きでしたけど、同じ記事にまとめて…はマズいでしょう。いろいろと前進した部分は多いんですが、ここは明らかにいかんと思います。
謝罪記事は
吉田調書「命令違反で撤退」記事取り消します 朝日新聞:朝日新聞デジタル(2014年9月11日20時21分)。最初から見ていきます。
記事では吉田調書取り消しと謝罪について。今回は一発で謝罪できました。
朝日新聞社の木村伊量社長は11日、記者会見を開き、東京電力福島第一原発事故の政府事故調査・検証委員会が作成した、吉田昌郎所長に対する「聴取結果書」(吉田調書)について、今年5月20日付朝刊で報じた記事を取り消し、読者と東京電力の関係者におわびしました。
さらに続けて、処分について。
報道部門の責任者である杉浦信之取締役編集担当の職を解くとともに、木村社長も改革と再生に向けた道筋をつけた上で、進退を決めます。その間の社長報酬は全額カットします。
朝日新聞の最近の迷走はどうも木村伊量社長の判断が大きかったらしいということで、これは前進した部分の一つ。スパッと辞めませんでしたが、この書き方なら辞任へってことでしょうね。またここでお茶を濁すと、再び袋叩きが待っています。
吉田調書報道に関する問題の報告は以下。
朝日新聞社は、政府が非公開としていた「吉田調書」を独自に入手し、5月20日付1面などで「東日本大震災4日後の2011年3月15日朝、福島第一原発にいた東電社員らの9割にあたる約650人が吉田所長の待機命令に違反し、10キロ南の福島第二原発に撤退した」と報じました。
しかし、社内で精査した結果、「命令違反で撤退」という記述と見出しは裏付けがない、と判断しました。多くの所員らが吉田所長の命令を知りながら第一原発から逃げ出したような印象を与える間違った記事でした。
取材班は吉田調書を読み解く過程で評価を誤り、取材源の保護に気をつかうあまり情報を共有していた記者が少なく、チェック機能が十分働かなかったことなどが原因と判断しています。
この後、第三者機関「報道と人権委員会」に審理という話もありましたが、省略。驚いた!という慰安婦問題がこの後突然出てきました。
一方、朝日新聞社が過去の慰安婦報道で、韓国・済州島で慰安婦を強制連行したとする吉田清治氏(故人)の証言を虚偽と判断し、関連の記事を取り消したことについて、木村社長は「訂正が遅きに失したことについて読者のみなさまにおわびいたします」と語りました。
謝罪に至ったことは前進なのですけど、最初に書いたようにこういう「ついで」みたいな形はなぁ…。潔くない印象を与えます。
別々の会見を…とか、吉田証言をメインに…とかまで言わなくても、せめて記事は独立にしてタイトルに持ってくるべきでした。これだと慰安婦問題の件をなるべく目立たないようにして、こっそり謝罪したという印象を与えます。まあ、吉田調書をメインに持ってきたってことは、そういう思惑を否定できないでしょうね。
この後はこちらも第三者機関などの話を書いています。
慰安婦報道については、「報道と人権委員会」(PRC)とは別に社外の弁護士や歴史学者、ジャーナリストら有識者に依頼して第三者委員会を新たに立ち上げ、寄せられた疑問の声をもとに、過去の記事の作成や訂正にいたる経緯、今回の特集紙面の妥当性、そして朝日新聞の慰安婦報道が日韓関係をはじめ国際社会に与えた影響などについて、徹底して検証していただきます。こちらもすみやかな検証をお願いし、その結果は紙面でお知らせします。
朝日新聞社は新しい編集担当を中心に「信頼回復と再生のための委員会」(仮称)を立ち上げ、取材・報道上で浮かび上がった問題点を点検、検証し、読者のみなさまの信頼回復のために何が必要かを検討し、将来の紙面づくりにいかしていきます。
ここの部分までネチネチ書いていた人がいましたが、そこまで行くと粗探しの領域ですね。朝日新聞を悪く言いたいだけです。
ただ、第三者委員会が人選によっては無力化されるという指摘だけはその通りだと思いました。私も不正研究シリーズでよく書いていますが、調査委員会がダメダメになるってことはちょくちょくあります。
不満もあり、懸念もあり…という感じの謝罪記事ではありましたが、前進したことは間違いありません。以前も書いたように、今回の一連の騒動は朝日新聞を改革する絶好のチャンスです。この機を逃さずに徹底的に膿を出しきるべきです。
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