ひどかった
人工甘味料は危険?アスパルテーム(パルスイート)の害は本当か?よりはまともそうな話で、
人工甘味料で糖尿病リスク増加、ネイチャー誌に論文- AFPBB News(2014年9月18日10時34分)が出てきました。
ただ、こういう「~が危ない」という話、特に「人工の~が危ない」という話は、注目を集めるために怪しい研究をしていることも多いことに気をつけなくちゃいけません。人工のものが危ないという警告は、多くの人にとって耳に心地よい文句であり、良い商売になるのです。
遺伝子組み換え作物への恐怖のせい?トウモロコシ発がん論文撤回もそういう話でしたね。
また、今回もSTAP細胞論文と同じネイチャーに載ったものですが、そのSTAP細胞問題でわかったように、論文は雑誌に掲載されると正しくて以前の結果を上書きできるというわけではありません。これまた
遺伝子組み換え作物への恐怖のせい?トウモロコシ発がん論文撤回が同じような話でした。やはり慎重に見た方が良いです。
…と断ってから、本題へ。
英科学誌ネイチャー(Nature)で発表されたこの論文は、イスラエル・ワイツマン科学研究所の"エラン・エリナフ(Eran Elinav)氏とエラン・セガル(Eran Segal)氏が率いる研究チーム"のものです。(Elinavはエリナブとも)
今回の論文は、"複数のマウスと少人数の人間に対して実験を行った結果、NAS(引用者注:広く使用されている3種類の人工甘味料であるアスパルテーム、スクラロース、サッカリン)が腸内細菌の増殖と機能を阻害し、実は耐糖能障害を促進していることが分かった"としています。
実験は、"人間の推奨最大摂取量をマウスの体の大きさに合わせて換算した量を飲み水に混ぜてマウスに与えた"ということをやっています。"その結果、NASを与えられたマウスには耐糖能障害がみられたが、ただの水や砂糖水を摂取したマウスにはみられなかった"という違いが判明しました。
また、"NASを摂取したマウスとブドウ糖を摂取したマウスの排せつ物を、腸内細菌を持たないマウスの体内に注入"しています。この実験では、"NASの排せつ物を注入されたマウスの血糖値は急上昇し、腸内細菌が別のグループと比べより活発に栄養分からブドウ糖を搾取する働きを見せた"とありました。
ここまではマウスの実験。以降は人間に関するものです。"糖尿病ではない381人から得たアンケートや健康データを入念に調べたところ、耐糖能障害とNAS摂取量増加との間には「重要な」関連性があることが分かった"というのが一つあります。
さらに、"普段はNASを摂取しないボランティア7人に、米食品医薬品局(US Food and Drug Administration、FDA)が推奨する最大摂取量の甘味料を含んだ食事を7日間とってもら"い、経過を観察しています。"結果、マウスと同様に、4人の血糖値は5~7日以内に上昇し、腸内細菌の構成にも変化が見られた"そうです。
とりあえず、これらの実験では人工甘味料で耐糖能障害を起こす可能性がある、血糖値の上昇に繋がる可能性があるというものです。"一部の専門家らは、世界各国で増加している2型糖尿病患者や、血糖値の上昇を伴う「耐糖能障害」と呼ばれる糖尿病の前段階に当たる状態の患者に対して、NASを推奨している"ということからすると、これは非常に問題があります。
一方、今回の研究が、一般の人にとって、通常の甘味料を使った食品を人工甘味料を使った食品に変えることで逆に太るということを示しているのかは、よくわかりませんでした。前述の実験が、人工甘味料を摂取するケースと人工甘味料以外の甘味料を摂取するケースで、甘みの感じ方や摂取の頻度などを揃えているのかどうかがわからなかったためです。
同じ話を取り上げた
ノンカロリー甘味料、血糖値を上げることも - WSJ(Gautam Naik 2014 年 9 月 18 日 08:59 JST)は、ほとんど目新しい内容はありませんでしたが、識者のコメントを入れている点は異なっています。
"米心臓協会(AHA)と米糖尿病学会(ADA)が既存の科学的根拠に基づいて2012年に共同で発表した指針は、人工甘味料は「賢明に使えば、糖分の低減を促し、その結果エネルギー摂取が減って、減量につながる可能性がある」としている"そうです。
このAHAとADAの広報担当者であるジュディー・ワイリーロゼット博士(アルバート・アインシュタイン医科大学の栄養学者)は人工甘味料に批判的な見方をしていたようで、「この指針をめぐってはひと悶着あった」と述べ、「私はこの『賢明に』という言葉を強調したい」と語ったそうです。つまり、人工甘味料食品の摂取の仕方によっては、減量につながらないという意味でしょう。
これはさっき書いた人工甘味料とそれ以外のケースで条件を揃えているのか?という話とも関係します。今回のニュースを読んだ感想でも、人工甘味料だからと安心してがぶ飲みしていたのに!といった感じでショックを受けている方がいましたが、そういうケースでは比較になりません。
今回の論文には、単純なカロリー摂取量ではなく、腸内細菌に着目したという意義があります。WSJでは、"人工甘味料は減量に役立つのか妨げになるのか、あるいは糖尿病や肥満のリスクを低減させられるのか、といった熱い議論をさらに高める公算が大きい"としていましたが、単純に減量するかしないかでなく、人工甘味料の働きがより詳しく解明されることが望ましいと思います。
追加
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