最初に書いていたのは、海底に長く放置されていたスマホが動いて、ソニーの技術力日本すごいという話。が、ソニーはそのスマホ事業で大不振で赤字になっているよ、という話も紹介しています。(2014/9/23)
その後、日本のスマホはすごいのになぜシェアが低いのか?といった話を追加。「日本のメーカーはiPhoneに殺された」「高い技術力では世界で勝てない理由」といった話を書いています。(2017/09/19)
2018/03/07追記:1か月も氷漬けだったスマホ、なんと動いた!
●海底に6週間放置でもスマホ起動 日本の技術力とソニーの技術力
2014/9/23:さんざん叩いておいて、良い話題のときだけ「ソニーの技術力」だとか「日本の技術力」だとかって言うのは、ずいぶんと調子良いよなぁ…と思った話。ソニーはこの前赤字だと発表したのでまた叩かれていると思うんですが、今回の話はそれのちょっと前に褒められていたものです。
6週間後に無事起動! 海底に置き去りにされた日本メーカー製スマホ- TABROID(2014年8月15日11時40分)は、タイトルで日本製であることを強調した記事。内容は「ソニーのエクスペリアZ2」を海中に落とし、回収を断念。ところが、"6週間後、彼の友人が海底から回収して"もらえたので動かしてみると、"無事に電源が入って利用可能な状態"だった!というものでした。
"ヘッドホンジャック周囲の劣化と背面ガラスが割れてしまった"という被害はあるものの、"水没への耐性『IPX8』の「常温で水道水、かつ静水の水深1.5mのところに携帯電話を沈め、約30分間放置」を大きく上回る過酷さ"で「カタログスペック以上の防水性」を示したと強調していました。
もう一つの記事、
Xperia Z2は水深10m以上の海底に6週間放置しても無事動作、防水性能の高さを発揮 - GIGAZINE(2014年08月13日 12時30分41秒)は、日本というよりは、ソニーの技術力の高さを強調したもの。"Xperiaシリーズ最新機種「Xperia Z2」を海に落としてしまったユーザーが、6週間後に回収したところ、ソニーの技術力の高さを再認識することになりました"と書いています。
なお、"2013年にも台湾人の学生が「Xperia V」を海に落としてしまい、4日後にシュノーケリング中の男性が拾い学生に届けたところ、無事に動作"したという話もあったそうです。こちらはソニーのXperiaシリーズがすごいって感じの記事ですね。
●ソニー赤字はそのすごいスマホ事業の失敗
そういえば、冒頭のソニー赤字は、皮肉なことにこの日本人が誇りに思ったスマホ事業の失敗が主な原因でした。
たとえば、
ソニー、ついに「無配」に転落... これから何で食っていくのか?- J-CASTニュース(2014年9月18日19時20分)によると、"赤字拡大の原因となったのは、モバイル事業"だとしています。
実は"2014年5月の経営説明会のときに、スマートフォンを反転攻勢の柱に位置付けたばかり"なので、いきなりの大失敗です。"営業利益は260億円を見込んでいた"のに、"14年4~6月期のモバイル事業は27億円の営業赤字"でした。
●中国に負けたソニースマートフォン
このスマホの不振は、中国に負けたせいという見方です。J-CASTニュースでは、"赤字脱却をスマートフォンに見いだそうとしたが、安価なモデルで台頭著しいXiaomiなどの中国企業に「食われた」"としています。
また、
ソニー赤字慢性化、スマホ誤算「中国勢が躍進」- 読売新聞(2014年9月18日07時33分 坂本幸信)では、「中国勢が躍進した。価格競争の激化で素早く対応するだけの体力がなかった」とスピード感の欠如を認めるソニーの平井一夫社長の発言が載っています。
こちらではの小米科技(シャオミ)だけでなく、華為技術(ファーウェイ)も伸びているとしていますね。米調査会社IDCによると2014年4~6月期のシェア(占有率)での2強サムスンとアップルの合計は、"前期から10ポイント近く落とし約37%まで低下。"代わって格安スマホを強みとする中国の小米科技(シャオミ)や華為技術(ファーウェイ)などが急激にシェアを伸ば"しているためです。
したがって、記事では、"韓国のサムスン電子と「iPhone(アイフォーン)」の米アップルが2強"から、スマホ市場が大きく変わっているという解説になっています。
また、"ソニーは2強に続く世界3位を目指していたが、中国勢に押され、シェア5位にも食い込めていない"とあったので、たぶんソニーはこれでも日本のトップなのでしょう。ソニーに限らず、日本勢はみなダメなようです。
最近何かと叩かれるソニーですから応援したいと思っているものの、こういうシェアのデータを見てしまうと、前半のように防水性能を誇ってみたところで空しいばかりです。
(2017/09/19:この投稿の後に書いた
中国の売春都市東莞のホワイト企業ジオニー(金立・Gionee)、鴻海フォックスコンの1.4倍の賃金でも、中国勢の躍進の話が出ていました)
●日本のスマホはすごいのに…製造メーカーは半分以下まで減少
2017/09/19:
知って納得、ケータイ業界の"なぜ" (5) 苦境に立たされる日本のスマホメーカーに明日はあるのか マイナビニュース / 2017年8月28日 11時3分(佐野正弘)では、日本のスマホメーカーの苦境について説明がありました。
現在、国内大手キャリア向けにスマートフォンを提供しているメーカーは4社のみ。フィーチャーフォン時代は10社以上のメーカーが存在したのに、半分以下にまで減っています。
その4社というのは、ソニーモバイルコミュニケーションズ、シャープ、富士通コネクテッドテクノロジーズ、京セラです。ただ、この顔ぶれを見て、ピンと来た方もいるでしょう。富士通が富士通コネクテッドテクノロジーを売却するとの報道がなされており、場合によっては3社に減るかもしれません。
●日本のメーカーはiPhoneに殺された
では、なぜこうなったのでしょう? 記事では、その理由は市場環境の変化にあるとしていました。
まず、フィーチャーフォン時代は、キャリアが端末を買い上げ、キャリアの商品として販売するためメーカー側にとってはリスクが小さく、開発しやすいメリットがありました。ただ、これだと当然日本市場に特化した端末になります。海外での魅力は考慮されていません。
国内市場が守られているうちはこれでもまだ良かったのですが、スマートフォン時代に入って状況が一変。海外メーカーが相次いで日本市場に参入、競争が激化しました。中でも最も大きな影響を与えたのはアップルで、iPhoneの販売が急拡大し高いシェアを獲得するなど、短期間のうちに日本市場を圧倒する存在となりました。
そうした環境変化によって、2013年にはNECカシオモバイルコミュニケーションズとパナソニックモバイルコミュニケーションズが撤退するなど、スマートフォンの開発からの撤退が相次ぎます。いわゆるガラパゴスの問題がモロに出た感じです。
●高い技術力では世界で勝てない理由
日本の技術力はすごい!と誇るものの、この技術力重視の路線では売れる端末は作れそうにありません。というのも、既に先進国では、スマートフォンの販売が大きく伸びる時期は過ぎています。現在伸びているのはスマートフォン自体の単価が安い、新興国向けが主体です。
安価なスマートフォンは利益率が低く、世界規模で多数の端末を販売しないと利益が出ません。そうした市場で勝ち抜けるのはサムスン電子などの大手メーカーや、コスト効率や販売力に強みを持つ中国企業などに限られると記事では指摘されていました。
ただ、日本としてはこうした戦略を取れない以上、技術力を中心に戦うしかないでしょうね。世界中で売れるような大ヒットするスマホはきれいさっぱり諦めて、ニッチな需要を掘り出す個性的な端末の開発が求められているようでした。
あと、踏んだり蹴ったりになっちゃって申し訳ないのですが、
iPhoneは中国製だけど部品は日本製だらけ…という誤解 台湾・アメリカの部品の方が多かった?という話も実はやっており、日本の技術力が本当に高いかどうかも、再検討が必要そうでした。
●1か月も氷漬けだったスマホ、なんと動いた!
2018/03/07追記:うちでは投稿タイトルを変更することがあり、この投稿は最初「海底に6週間放置でもスマホ起動 日本の技術力とソニーの技術力」というタイトルでした。これを「日本のスマホはすごいのに…高い技術力では世界で勝てない理由」に変更して、今また「日本のスマホはすごいのになぜシェア低い?海底放置でも動いた!ソニーの技術力」に微修正。
で、今のタイトルだと関係がわかりづらく、最初の投稿タイトルにあった「海底に6週間放置でもスマホ起動」の方との関係が深いのですけど、
「紛失したスマホを凍結した道路で発見、1か月も氷漬けだったけど…」→「動いた!」:らばQ(2018年02月12日 16:00)という記事がありました。
海外の男性が1か月も前に紛失したスマホを発見。凍結した道路の下に落ちていたというダメそうなものだったのに、液晶画面に乱れはあるもののちゃんと動いた!という話です。ただ、iPhoneなので、日本メーカーではありませんでした。
また、乾かし方も工夫。電源は入れずに、乾燥材の役目を果たすお米と一緒にジップロックへ入れて一日待ってから動かしたとのこと。見つけてからネットで調べたのかもしれませんけど、感心しましたわ。
【本文中でリンクした投稿】
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iPhoneは中国製だけど部品は日本製だらけ…という誤解 台湾・アメリカの部品の方が多かった? ■
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