挫折社長の登用が相次いでおり、経営者は一度失敗した経験がある方が良いという考え方があるという話を紹介していました。ただ、「相次いで」とは言っても、内容的には、日本電産のシャープの片山幹雄・元社長の登用がメインの話でした。(2014/9/24)
その後、この日本電産とシャープの別の話があったので追記し、タイトルもこの2社に関する話をメインとするものに変更しています。(2017/08/22)
●経営者は一度失敗した経験がある方が良い?
2014/9/24:
一度“挫折した”経営者の登用、なぜ相次ぐのか 他社の経営中枢で失敗経験をフル活用 | ビジネスジャーナル(長田貴仁/神戸大学経済経営研究所リサーチフェロー 2014.09.03)によると、日本電産の永守重信社長は「経営者は成功と挫折の両方を経験することが大事」という持論を持っているそうです。
その永守社長が約1年半前から声をかけていて、9月1日付で顧問として日本電産に迎え入れ、"10月から副会長執行役員・CTOに就任する"のが、シャープの片山幹雄・元社長です。片山元社長はシャープ時代に最終赤字に陥って、会長、フェロー(技術顧問)と徐々に経営の中枢から外れていきました。挫折の経験は十分です。
ただ、挫折だけで成功していないんじゃない?という気はしなくもないんですが、どうなんでしょうね?
Wikipediaでは、"2007年(平成19年)4月1日に、代表取締役社長に就任(49歳)。液晶拡大路線により、大型液晶パネルを生産する堺工場を建設。この巨大投資が裏目に出て巨額の赤字を計上"のみで、良いことには一切触れられていません。
堺工場は最初うまくいって「成功」していたのに、一転して赤字になり「失敗」したという可能性を考えて、堺工場の
Wikipediaも読んだら「設立以来巨額の赤字を垂れ流し、稼働率が低下した亀山工場とともにシャープの経営危機を招いた」という記述。片山さんには社長としての成功体験がない気がするんですが、大丈夫でしょうか?
●挫折社長の登用相次ぐと指摘
それはともかくとして、作者の長田貴仁フェローは"大企業だけでなく中小企業も含めて、日本は一度失敗した経営者を「A級戦犯」として叩く傾向がある"としていました(この「A級戦犯」の使い方は保守派に叩かれる使い方ですね)。"特に日本のジャーナリストは、最後の結果だけに着目し、それまでに大きな功績があったとしても評価しない"とご不満でした。
しかし、そんな日本でも、"近年、片山氏の一件だけでなく、「捨てる神あれば拾う神あり」という動きが見られるようになってきた"と、長田さんは例を挙げていました。
パナソニックに買収された三洋電機の井植敏雅氏は、創業家出身で最後の社長となってしまったが、「ラストエンペラー」では終わらなかった。現在は、LIXILグループの代表執行役副社長として、同社のグローバル化の推進役を担い、藤森義明社長の右腕として水を得た魚のように活躍している。井植氏も失敗の経験が買われた。一度失敗したプロフェッショナルの潜在能力は、バカにできない。「倍返し」してくれる可能性がある。
例が一つだけかよ!という気はするものの、失敗も経験していた社長の方が良いって話自体はおもしろいです。
ただ、私は大きな会社が傾くくらいの失敗ではない方が、普通に良いと思いますけどね。過去に失敗しながら成功していくのが良いと何度も書いてきていますが、それは小さな失敗か、もしくは早い段階での失敗です。大きい会社でリスクヘッジせずに大博打打ってコケる社長なんか、正直勘弁してほしいですわ…。
●日本電産の技術者大量引き抜きで、シャープの人材がいなくなる
2017/08/22:
シャープ、人材が「もぬけの殻状態」…日本電産が容赦なく大量の技術者を引き抜き Business Journal / 2017年8月22日 6時0分という記事がありました。鴻海が買収したせいで大量流出…と思うかもしれませんが、内容や時期を見ると鴻海のせいかどうかは判断つきませんでした。(鴻海の買収完了は2016年8月)
他で書いているように、とりあえず、鴻海買収後のシャープは、今のところむしろ絶好調。今までの経営者は何をやっていたんだ?と思うほどあっという間に、業績が良くなりました。
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鴻海買収のシャープもう復活?日本企業は中国・台湾に負けて当然 15年連続の赤字の三洋電機は数年で黒字に ■
シャープ復活で鴻海から来た戴正呉社長を株主大絶賛「産業革新機構なら株は売ろうと思った」 さて、今回の記事の話。当初の投稿で書いた片山幹雄元社長だけでなく、日本電産に元シャープは多いんだそうな。日本電産サーボの社長に8月1日付で就任した辰巳剛司さんは、シャープ出身で16年に日本電産に入社したという経歴。同じ年には、液晶パネルの杉本孝行さん、液晶テレビの道川直幸さんも入社。役員よりも現場に近い彼らの退社は、シャープにとって痛手だったといいます。
さらに、以下のような方々がいる他、「日本電産はシャープから300人規模に上る技術者を引き抜いてきた」(日本電産関係者)と言われいるそうな。すごいですね。
執行役員級では液晶事業のトップを務めた和田正一
通信事業本部長で人工知能(AI)で対話ができるスマートフォンを広げた川口登史
財務を統括していた元副社長の大西徹夫(日本電産でも副社長に)
●シャープからの大移動は、片山幹雄元社長の効果か?
シャープからの移籍の先駆けとなった片山さんは、“ポスト永守”の最有力候補と囃し立てるマスコミもあるそうですが、一方で、冷徹なワンマン経営者である永守重信会長兼社長なら、知識とノウハウを吸収し尽くせば、お役御免にするのではないかとの見方もあるそうです。
また、次々とシャープの社員が日本電産に引き抜かれていることは、“片山効果”とも言われているそうです。シャープをぶち壊した社長に社員らがついていっているというのは、不思議に見えますけどね。“片山効果”というのは、どうも嫌味で言われているようなのですが、実際、これだけ多くの社員が移ってきたのですから大成功でしょう。
「経営者は一度失敗した経験がある方が良い」が本当かどうかはわからいないものの、人材引き抜きの効果としては大きかったのかもしれません。
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