冒頭に追記
2022/01/27追記:
●イトーヨーカ堂がものすごい勢いで閉店が増加してるのはイオンのせい 【NEW】
●イオンにイトーヨーカ堂が負けた理由はイオンが別ジャンルだから 【NEW】
●強みだった衣料品はむしろ今は弱い…イトーヨーカ堂は倒産する? 【NEW】
完本 カリスマ―中内功とダイエーの「戦後」〈上〉 (ちくま文庫)
●イトーヨーカ堂がものすごい勢いで閉店が増加してるのはイオンのせい
2022/01/27追記:飛ぶ鳥を落とす勢いだった日本のスーパーは、その後ほぼ必ず廃れています。ただ、その中ではイオンだけが例外で勝ち続けているというのが不思議だったんですよね。その答えが載っていそうな<イトーヨーカ堂の閉店が止まらない深刻な理由。イオンと明暗を分けたものは>(日刊SPA! / 2021年12月15日 8時25分)という記事を今回読んでみました。
https://news.infoseek.co.jp/article/spa_20211215_01795738/
記事によると、イトーヨーカ堂旭川店などイトーヨーカ堂の閉店が相次いでいるとのこと。閉店予定を含めた一覧があったので数えてみると、3年で13店が閉店していますので大げさではない閉店の多さ。イトーヨーカ堂がもともと地域を偏って進出していたことを考えると、さらに多いと感じられる閉店数です。しかも、記事では一部しか取り上げていないとのこと。本当はもっと閉店しているようでした。
なぜここまで閉店が相次いでいるのか。 日刊SPA!は、「背景には、イオングループの存在があります」としていました。イオンがイトーヨーカ堂を潰しているってことですね。私の地元苫小牧でもそんな感じで、イトーヨーカ堂やダイエーなどが地域商店街を潰したものの、その後進出してきたイオンに今度はイトーヨーカ堂やダイエーなどが潰されたという流れでした。
●イオンにイトーヨーカ堂が負けた理由はイオンが別ジャンルだから
では、なぜイトーヨーカ堂はイオンにやられているのでしょう。記事では、実はイオンとイトーヨーカ堂は同じ「総合スーパー」に分類されるものの、そもそも別ジャンルのお店であることを指摘していました。また、イオンはイオンではない別形態の小規模店舗なども持っており、こうした複合体であることも記事では強調しています。
<駐車収容台数が何千台もある「イオンモール」もあります。消費者からすれば、そこが総合スーパーであろうが、ABCマートやユニクロが入っているモールであろうが、関係なくそこが買い物をしやすいから利用するわけです。さらにあなたの近所に「まいばすけっと」という生鮮食品も扱うコンビニはありませんか?
あれも”イオン”です(イオングループのまいばすけっと株式会社が運営)。そう、イオンは複数の店舗形態を持つ小売企業なのです。(引用者注:さらにマックスバリュという、このふたつの中間サイズの店舗形態も持つ)
つまり、「イトーヨーカ堂VSイオン連合」という図式が現在のスーパー業界の正しい見方です>
イオンモールのような「モール」は「小売」というよりは「不動産業」であり、より細かく言うと「ディベロッパー」に分類されるそうです。商業施設を「イオンモール」として作り、そこへの出店料で儲けるビジネスモデル。ディベロッパーで儲かる上に、イオン自身も出店しそこに顧客も集客できるのがイオンの強みとされていました。
イトーヨーカ堂側も対策として、有力テナントの誘致によりショッピングセンター化を図るという「総合スーパー」の存在そのものを否定する苛烈な改革を実行。自己否定して、イオンモール的なやり方にチャレンジしているみたいですね。しかし、そもそもイトーヨーカ堂の店舗は狭いため、イオンのようなモール化はできないようです。
●強みだった衣料品はむしろ今は弱い…イトーヨーカ堂は倒産する?
ただし、イトーヨーカ堂は不採算店舗の閉店や構造改革を実施した店舗の収益性改善により、売上を落としつつも営業利益は2割も改善。「ヨークフーズ(旧食品館イトーヨカドー)」などの小規模な20店舗について、グループ子会社である株式会社ヨークに移管することで、一店一店の稼ぐ力を底上げしてきているといいます。
さらにイトーヨーカ堂が行ってきている店舗改革の鍵として、作者の経済アナリスト・馬渕磨理子さんが3つ指摘していました。まず、祖業であり「衣料のヨーカ堂」と長く言われてきて強かったはずの衣料品が、今は逆に足を引っ張っているので、これを大幅に減積することを決定しているというのがポイントのひとつです。
また、食品系人気店のテナント誘致もポイントになっています。これは前述のモール化路線に見えますが、最後のポイントも「大型テナント誘致」というモール化路線的なもの。馬渕磨理子さんは<老舗が「自己を否定」するところからはじめた令和の大幅改革>という言い方をしていました。
完本 カリスマ―中内功とダイエーの「戦後」〈上〉 (ちくま文庫)
●日本一だったダイエー イオンの完全子会社化で上場廃止,屋号消滅
2014/9/25:ダイエーはかつては売上高が日本一のスーパーであり、商店街を潰す悪の資本主義企業としても象徴的な存在でした。"ダイエーという重戦車を押し立て、零細商店街を容赦なく蹂躙する"と表現している人もいました。しかし、今はすっかり落ちぶれることになり、とうとうダイエーという屋号が消滅するところまで来たようです。
(「零細商店街を容赦なく蹂躙する」の引用は、
完本 カリスマ―中内功とダイエーの「戦後」〈上〉 (ちくま文庫)の感想を書いた
辞めたくなったときの本より)
まず数日前に出ていた完全子会社化で上場廃止というニュースから。
イオン:ダイエーを完全子会社化へ 上場も廃止の見通し - 毎日新聞(2014年09月23日 21時47分(最終更新 09月24日 07時36分)【神崎修一、種市房子】)では、"100%子会社化して意思決定を早めて、6期連続の最終赤字で難航するダイエーの再建を加速する"という話を伝えています。
イオンが"ダイエーの株式を公開買い付け(TOB)して連結子会社化"したのは13年8月だそうですが、それ以降も黒字転換できていないようです。凋落の流れを変えられませんでした。そして、この後入ってきたのが、
「ダイエー」の店舗名 再編でなくす方針 NHKニュース(9月24日 19時44分)というニュースです。"平成30年度をめどに「ダイエー」という店舗名を順次なくす方針"とのこと。
ここではかつての飛ぶ鳥を落とす勢いだった頃の話もありました。"ダイエーは昭和47年に東証1部に上場し、昭和55年には、売上高が国内の小売業としては初めて1兆円を超えるまで業績を拡大させました"というものです。それが消えてしまうのですから、まさに栄枯盛衰です。
●買収先のブランドのなくすのは日本企業の悪習…って本当なのか?
この方針に関しては、
はてなブックマークで「日本企業の買収先のブランドの跡形消すというのは、改めて悪癖だよなあ。高い金出して買ったものの資産価値を自ら消滅させてどうすんだよねえ」という話がありました。ツイッターでもブランドは消すべきではないというものを見かけています。
ただ、「日本企業の~」はとりあえず違うんじゃないですかね? たとえば、同じスーパーという業態だけ見ても、西友を買収したウォルマートは将来的には屋号を変更する意向だと言われているという例があります。また、6期連続で赤字のダイエーに本当にブランド力があるのか?というのも疑問です。
一方で、NHKは"イオンとしては、かつて総合スーパーとして成長し、高い知名度を持つダイエーという店舗名をあえてなくすことで、食料品を中心とした新たなスーパーとして出直し、業績の改善に結びつけたい考えです"としていましたから、ある程度知名度を評価していると思われます。
●イオンとダイエーはそもそも出店地域が異なり競合してなかった…
毎日新聞によると、"イオンは地方の郊外店が収益の柱"であり、"駅周辺の店舗が多いダイエーとは営業地域で補完関係にある"という話です。"地域が重複する店舗では採算を向上させるため、店舗を統合する可能性もある"としていたものの、そもそも地域が重ならないため無駄を省くという面ではあまり大きくないかもしれません。
具体的な集約の仕方はNHKに話が少しありました。<北海道と九州では、ダイエーをイオン北海道やイオン九州などに集約する>、<京阪神ではマックスバリュ西日本などをダイエーに集約させる>といったものです。好感するところも書いておくと、さっきあった「食料品を中心とした新たなスーパーとして出直し」という話。たぶんいらない部分を削るという方向性でしょうから、良いと思います。
イオンは今グループ全体としても勢いがなくなってきている印象。ダイエーの再建とともにお手並み拝見といったところです。(2022/01/27追記:などと書いていましたが、イオンはその後最も日本で成功している小売グループのひとつといった感じですね。全然衰えていなかったようです)
完本 カリスマ―中内功とダイエーの「戦後」〈上〉 (ちくま文庫)
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