日本のカジノ成功は中国人VIP次第 一般外国人観光客だけでは旨みなし

　カジノの1兆5000億円市場の中身、外国人2割で8割は日本人から！でも使ったカジノ解禁で潤うのは誰か？：日経ビジネスオンライン(西頭 恒明　2014年9月16日)でもう一つ気になった話。

　出井康博さんは、「皆さん、富士山や東京・浅草を観光するような善良な普通の外国人がカジノに来て、湯水のようにカネを使ってくれると思っているのではないでしょうか。そんな甘い話はありません」としていました。

　その理由はまずカジノの収益の内訳です。"VIP客からの収入はシンガポールで約5割、マカオでは7割に達すると言われて"いるそうです。"アジアのカジノは欧米とは異なり、依存度の高いVIPルームにどれだけ客を呼べるか"が大きいのです。一般外国人観光客だけなら、大雑把に考えて3分の1から半分程度の収益になり、旨みがありません。

　日本はシンガポール式だと言われていましたので、当然VIP客に頼るモデルでしょう。日本のカジノは日本人禁止？ ラスベガス方式なら家族憩いの場にで書いたように、ラスベガス方式でしたら一般市民からもお金を巻き上げます。そっちの方が問題なので方向性自体は良いと思われます。

　とりあえず、ここでは一般観光客だけではなくVIP客を呼べないと、ライバルのカジノから大きく見劣りするという話です。前回書いたように、もともとのカジノの市場規模もでたらめな計算ですけどね。


　さらにこのVIP客というのが、実は大半が中国人だという衝撃の事実が出てきました。「マカオにカジノができた2002年頃から、中国は急速に経済発展を続けてきました。その過程で巨大な富を手に入れた中国人VIP客こそが、アジアのカジノにとって最大の上得意なんです」と出井さんは説明していました。

　「日本のカジノ議連の議員たちは『外国人客を誘致する』とは言いますが、『中国人VIPに来てもらう』とは絶対に言いません」とも言っていましたけど、そりゃそうでしょうね。普段中国叩きをしている政治家らにしてみれば、「お金持ち中国人に来てもらいたいんです」とは口が裂けても言えません。

　たぶんこのカジノほどの偏りはないでしょうけど、同様にそもそも外国人観光客に占める中国人や韓国人の割合というのがかなり大きいです。これも決して中国人観光客や韓国人観光客に来てほしいとは言わずに、政治家らは「外国人観光客を増やそう」と言います。


　ただ、中国人VIPは中国嫌いの人が心配するほど来ないかもしれません。日本では「言葉の問題が障壁になる」ためです。

　中国人VIPを取り入れて成功している"マカオやシンガポールは言葉の問題がありません"。"台湾で現在計画されている初のカジノも、中国に近い離島に開業することになっており、こちらも中国人目当てなのが鮮明"だそうです。

　そういった快適なカジノが多いのに、"中国語があまり通じない日本にわざわざ来"るというのは、なかなか考えづらいでしょう。

　しかし、そういう現実が知られてしまうと、今度はカジノ推進の大義名分が吹っ飛んでしまいます。前回のものもそうですが、カジノ推進派の主張は矛盾だらけですね。「日本人はカジノに入れないから安心です」とやると、カジノの市場規模などの経済効果の試算が激減してカジノを作る意味がなくなるというのが、前回のカジノの1兆5000億円市場の中身、外国人2割で8割は日本人から！での話でした。

　一方で、"カジノはマネーロンダリング（資金洗浄）の温床になっているとも言われてい"るので、マネーロンダリング目的の中国人VIPなら来てしまう可能性もあります。こちらは来てほしくない方なので、言葉の壁で来日をためらってくれると良いのですが…。


　中国人とカジノの関係を検索してみると、セブンラックカジノ 釜山ロッテ店の口コミ – トリップアドバイザーの口コミが見つかりました。どうやら韓国でも中国人は重要なようです。

　「ソウルやプサンのカジノに共通することですが、中国人の姿が目立」つという話で、やはり「カジノ側も日本人よりビップ扱いしているようで、正直言って気分良く過ごせませんでした。お金を落としてくれる人種が日本人から中国人にシフトしているようですね」とのことです。(正確にはVIPルームの客の話ではなさそうですが)

　ただ、韓国は一応中国語圏ではありません。日本にも中国人VIP獲得の可能性があるのでは？と思いましたら、バカラ好きの中国人が向かうラスベガス－マカオから顧客奪う - Bloomberg(９月17日)というのも見つけました。

　タイトルでわかりますが、"多額の賭け金を使う中国人カジノ客"が、"フィリピンから米ラスベガスに至るカジノの業績を押し上げている"という話です。"中国政府が汚職取り締まりと公務員のぜいたく禁止を打ち出"しているせい…とありますので、マカオだと遊びづらいってことですかね？　"マカオは３カ月連続でカジノ収入が落ち込んでいる"そうです。

　そこで、フィリピンのマニラやオーストラリアのメルボルンにあるカジノは、中国人観光客を呼び込もうと必死なようです。"プライベートジェットや豪華な食事などの特典で中国人ＶＩＰにアピール"しています。

　日本もカジノをやるのなら、この競争に加わって懸命に中国人VIPに媚びを売らねばなりません。カジノ推進派政治家の支持層からすると、非常に隠しておきたい話でしょうね。


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