女子採用の話をまとめ。<官庁が美人に限り採用の広告、未婚者であることも条件>、<独身美人採用の理由は、早く社内結婚して退職してほしいから>、<「美人すぎる~」なら今の大手全国紙もやっているんじゃ…?>などをまとめています。
2023/01/20追記:
●「資料のコピー」のバイト募集で「女子に限る」 慶應大が法違反
2023/02/03追記:
●なぜ?「ゼミで女子優先」は批判で、「バイト女子限定」には理解 【NEW】
●官庁が美人に限り採用の広告、未婚者であることも条件
2014/9/29:さすがに昔の話であり、最近の話ではないのですが、昭和の初め頃は美人求む!という広告が珍しくなく、特に問題視されることはなかったとのことでした。とはいえ、当時はそれでも遠慮がちで、「なるべく美人」と抑えた表現をしていたといいます。
…ところが、全く遠慮がない広告を出す組織がありました。こういうのは公的機関は抑え気味というのが今の感覚なのですけど、当時の文部省は全く遠慮がなく、以下のような広告を出していたとのこと。すげぇなぁ、さすがお役所は格が違いますね。民間の一歩も二歩も先を行きます。
一、
すこぶるつきの美人であること。二、未婚者たること。
三、相当の生活を営んでいる家庭の者なること。(
きれいなお姉さんは好きですか?男はどうして美人が好きなんだろう|ダイヤモンド・オンライン(2014年5月23日 降旗 学 [ノンフィクションライター] )より)
●独身美人採用の理由は、早く社内結婚して退職してほしいから
文部省はこの広告を出した前年である昭和三年が、そもそも初めて女性を採用した年だったとのことでした。大昔といった感じですね。それが好評でまた採用ということだったのですけど、この好評の理由がまた今では考えられないものだったんですよ。
文部省が試験的に三〇人の女性を採用したところ、「その女性たちはいずれも優秀でお嫁の売れ口もよかった」んだそうな。さらに、「美人と机を並べた男性職員の能率が上がった」というメリットも。そこで翌年前掲の広告を出して、美人に限って採用をしますと宣言したようです。
「男性職員の能率が上がった」もひどいんですけど、ここで注目してきおたいのが、「お嫁の売れ口もよかった」という点。「美人に限って文部省が採用」(昭和四年二月六日付読売新聞)では、当時の課長が以下のようにおっしゃっていて、関連性を感じさせるものだったんですよ…。
「女子職員は評判がいいので、この四月も数名採用する方針だが、
六年も七年もいられると閉口する。出来うるなら二、三年で嫁に行ってもらいたい」
●大手商社の部長が社員の社内結婚を望む理由とは?
「六年も七年もいられると閉口する。出来うるなら二、三年で嫁に行ってもらいたい」は、現代の感覚で見ると非常にひどい話。さすがに今はないよね…と思いますよね。ところが、実はそうでもないのかもしれません。作者の降旗学さんがある大手商社の部長さんに取材したとき、以下のようにおっしゃっていたそうです。
「女性社員にはね、できるなら社内結婚をして、早く退職してほしいんですよ。旦那が元同僚だったら、旦那が会社でどんな仕事をしているかもわかっているし、帰りが遅くなったって文句は言わないでしょう」
時代が平成になるかならない頃ということで、こちらも少し昔。ただ、私はごく最近の記事でも、銀行業界では女性社員は男性社員の結婚要員扱いだ、と書いているのを見かけました。(ひょっとしたら女性活躍企業の「なでしこ銘柄」での記事だったかもしれません。だとしたらなお最悪という話ですね)
これ単体だとうそ臭い話…と思っていたのですけど、今回の記事で見たような流れがあると、そういう意識のおじさんたちが生き残っていても不思議ないような気がしてきました。信じられない世界ですが…。
●新聞も女性の事件なら「美人死体発見」「美人○○の悲劇」
記事でもう一つおもしろかったのは、当時の新聞です。上記で読売新聞が掲載していたことでわかるように、美人を差別化して採用することに新聞社も疑問に思っていませんでした。それどころか美人○○という表現を、朝日新聞が昭和初期まで、読売読売は五〇年代まで使っていたみたいです。
自殺他殺を問わず、女性の死体が出れば「美人死体発見」と書き、不幸になった女性の一代記を記事にすれば、美人○○の悲劇みたいなタイトルがつけられたといいます。"いまなら女性週刊誌の埋め草記事にもならないようなネタが、明治から昭和にかけて堂々と大新聞に載っていたとされていました。
ただ、これまたそういった風潮が完全になくなったとは言えないでしょう。全国紙レベルの新聞以外の一般的に低俗とされるメディアとなると、まだ残っているのではないかと思います。美人に焦点を合わせるもので言えば、つい何年か前にも「美人すぎる海女さん」など、「美人すぎる〇〇」が流行しました。
●「美人すぎる~」なら今の大手全国紙もやっているんじゃ…?
というか、「美人すぎる~」なら全国紙レベルの大新聞でも言っていたよね…と確認のためにWikipediaを検索してみました。すると、以下のようにスポーツ紙や週刊誌だけでなく、大手全国紙がやっているという実例がやはり出てきましたわ…。
<藤川 優里(ふじかわ ゆり、1980年(昭和55年)3月8日 - )は、日本の女性政治家。帝京大学卒業。青森県八戸市議会議員。自由民主党所属(公認)で、議会では保守系会派「自由民主クラブ」に所属。選挙ポスターや公式ウェブサイト等では藤川ゆりと記載されている。かつて「美人すぎる市議」として有名になり、後に、「美人すぎる××」と言う言葉が生まれたきっかけになった人物でもある。(中略)
2008年9月、『産経新聞』主催の鼎談「私たちが政治を変える!美人市議、大いに語る」に参加し、倉田麗華・練馬区議会議員や吉羽美華・寝屋川市議会議員とともに、政治から結婚観まで本音のトークを披露し、話題を呼んだ>
^“「美人市議」の擁立断念 参院選で自民、本人固辞”. 産経新聞. (2010年4月30日) 2010年4月30日閲覧。
Wikipedia<立川 明日香(たちかわ あすか、1985年3月30日 - )は、日本のタレント兼政治家。埼玉県新座市議会議員(1期)。T2プランニング所属。本名は半沢 優子。(中略)
“美人過ぎる市議、県選管も「当選無効」と判断 埼玉・新座”. MSN産経ニュース. (2012年7月17日)/
“「美人すぎる市議」当選無効の裁決取り消し訴え”. 読売新聞. (2012年8月17日)
“当選無効の大ピンチ! 「美人すぎる市議」が本紙だけに“秘密”を激白”. 産経新聞. (2012年4月22日) 2012年10月19日閲覧>
Wikipedia 途中まで産経新聞しか出てこなくて、産経新聞がおかしいだけか?と思いましたが、無事同じ右派の全国紙・読売新聞も見つかりました。たぶん探せば他紙でも見つかるんじゃいかと。マスメディアは当時と大きく変わってきているとは思いますけど、残念ながらあまり変わっていない部分もありますね。
●「資料のコピー」のバイト募集で「女子に限る」 慶應大が法違反
2023/01/20追記:現代においては、「美人に限る」ではなく「女子に限る」でも良くないことがすっかり定着。大学ゼミで女子を優先していた教授がネットで猛批判を浴び、解雇される自体にもなりました。にも関わらず、また別の大学で「女子に限る」をやっていたことが判明し、ニュースになっています。
・「女性1名」慶應大名誉教授のバイト募集に批判の声「男女雇用機会均等法を知らないの?」(23/1/18(水) 17:06配信 弁護士ドットコムニュース)
<慶應義塾大学の学生団体「共済部」がツイッターに投稿した「女性限定」のアルバイト募集がSNSで波紋を広げている。
共済部は1月18日に「慶應義塾大学名誉教授様からのアルバイト募集案内です。応募をご希望の方は直接ご連絡ください」とアルバイト募集の内容を画像付きでツイートした>
https://news.yahoo.co.jp/articles/29bd08c0ea21a34523a44e373849b3f783c188f1
名誉教授による募集は、「科学研究費の経費支出書類の作成」や「図書館での研究資料のコピー」を仕事内容としています。「女子社員の仕事はお茶くみとコピー」といった概念が昭和にあったので、昭和的な価値観も感じさせました。ただ、今回問題な点は、「募集人数1名 女性」という男性排除の募集要項です。
<SNSでは、こうした募集内容に「女性限定にする合理的な理由がなければその求人違法ですよ」「①慶應義塾大学共済部は、男女雇用機会均等法を知らない ②法律は知っているが教授に忖度せざるを得ない どっち?」など批判的意見が寄せられている。
男女雇用機会均等法では「事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」(5条)と定め、性別を理由とする差別を禁止している>
記事では、厚労省が示すルールにおいては、以下のようなケースを法違反だと紹介。その上で、「今回のように、女性だけを対象として、男性を排除するような募集をすることは法律違反に該当すると考えられるだろう」とも指摘。合理的な理由があれば性別指定も可能なのですけど、今回はそういった理由が考えられそうにありません。
(1)募集・採用の対象から男女のいずれかを排除すること
(2)募集・採用の条件を男女で異なるものとすること
(3)採用選考において、能力・資質の有無等を判断する方法や基準について男女で異なる取扱いをすること
(4)募集・採用に当たって男女のいずれかを優先すること
(5)求人の内容の説明等情報の提供について、男女で異なる取扱いをすること
●なぜ?「ゼミで女子優先」は批判で、「バイト女子限定」には理解
2023/02/03追記:前回少し書いたように、大学ゼミで女子を優先していた教授はネットで猛批判を浴びました。ヤフーニュースでも同様です。ところが、前回のメインである「資料のコピー」のバイト募集で「女子に限る」の方は、全く違う反応だったので驚いたんですよ。前回のヤフーニュース記事では、以下のような感じでした。
<寧ろ採用規模数名の場合は性別明記を明確に免責して一々問い合わせて確認している応募側の手間を減らすべきだ。
採用後に必ず採用側の手順を監査する事も無く採用側の意向まで制約出来て無い現状では、募集要件に記載出来なくなる事で求職側に結局電話して確認する手間が増えただけ>
<「面接を受けに行ったら 「もう○○課長の息子に決まっているのに、時間使ってもったいないと受付職員に言われた」という人や逆に「出来レースで、面接前から自分に決まっていた」という人の話を聞いたことが有る
自身も確認したら年齢制限ないというので応募したら 実際 結構として「若い人を採用したので」と言われたことがある
写真をとり履歴書を手書きするのも結構手間なので、法律上明記すると批判されるかもしれないが、面接は、はっきり第三者が見てわかる点数化できないから採用側は何とでもできる
二十代を採用するつもりなのに年齢不問とか、女性を採用するつもりなのに性別不問とか 最初から決まっているのに世間体や法律の為に明記されず採用試験に心身、時間使うことを思うと最初から明記してくれた方がありがたい>
<これは教授が浅はかだけれども、普通に一人募集かけて最初から女性しか採る気がない場合は問題も表面化しないけど、やってることは一緒だよね。
採用する側は自分の都合がいいようにしたいのだから、どちらかの性別限定というのはおかしい事ではない。共感できなければ応募しなければいいだけ>
最後のコメントはちょうど大学ゼミで女子を優先していた教授とよく似ています。教授は女子を優先しており、男子学生に対して落とすことを示唆。「建前上女子限定と書けない」といった話もしていました。ただ、前述の通り、このケースは批判されており、「明記しておいた方がお互い楽なのに」とは言われなかったので不思議でした。
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