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電通岸勇希「おいしいカレーを食べさせるにはカレー断ちさせれば良い」


 もともと業界では有名だったんですが、セクハラ・パワハラで一般的にも名前を売った岸勇希さんの過去のインタビューについて。これ、記事自体はおもしろかったんですよ。

 広告の効果が弱くなった理由が説明されていて、その打開策に関連して、「世界一おいしいカレーを食べさせるにはカレー断ちさせれば良い」といったたとえ話をしています。で、岸さんは実際にクルマ離れの若者に届く広告を作ったのだそうです。

 ただし、いただけないと思ったのが、「で、その広告効果あったんですか?」という質問に対しては、「わからない」と答えていたこと。これは広告業界の悪い癖であると同時に、お客さん(クライアント)の無関心さが現れており、電通が起こした過大請求事件の原因にもなっていると思われます。(2017/12/19)



2017/12/19:
●才能と人格は別、電通岸勇希氏のインタビュー記事はおもしろかった
●昔は簡単だったのに…広く告げる「広告」の効果が弱くなった理由
●電通岸勇希氏「世界一おいしいカレーを食べさせるにはカレー断ちさせれば良い」
●クルマ離れの若者に届く広告を作ったとアピールする岸勇希氏
●「で、その広告効果あったんですか?」岸勇希氏「知らん」
2019/11/27:
●セクハラ告発のせいで岸勇希氏のアマゾンレビューが炎上状態?
●人格とビジネスは別だ…仕事ができる人だという好意的な評価も


●才能と人格は別、電通岸勇希氏のインタビュー記事はおもしろかった

2017/12/19:電通岸勇希のセクハラ・パワハラ告発のはあちゅう、自分も童貞いじりで差別の岸勇希さんのインタビュー記事の話。才能と人格は別ですからね。この連載はおもしろかったんですよ。

 向こうの投稿でも書いたように、ブログで取り上げたと思っていたら、やっていなかったっぽいです。でも、パソコン内をいろいろ検索したら、一部の下書きは発見。「世界一おいしいカレー」、あなたならどう作る? 電通CDC 岸勇希氏(清野 由美 2012年10月26日(金))というインタビュー記事について取り上げていました。

 「コミュニケーション・デザイン」なるものの話をされているもので、彼は『コミュニケーションをデザインするための本』という本も出しています。

 下書きしているので簡単に書けるかなと思ったのですが、今見直すと引用が多すぎてそのままだと使えませんね。結局、かなり書き換えないといけないようです。


●昔は簡単だったのに…広く告げる「広告」の効果が弱くなった理由

 だいぶ端折るために、まず「広く告げる」というだけの「広告」が通用しなくなったこと、「伝えることの限界」が来ている理由についてを簡単に。以下の2点だと、岸さんはおっしゃっていました。

(1)「そもそも伝わりにくくなった」
(2)「たとえ伝わったとしても、人が動きにくくなった」

 「そもそも伝わりにくくなった」理由の一つは、情報の過多。また、メディアが多様化、要するに圧倒的だったテレビの力がやや弱まって、ネットなどそれ以外のメディアに分散してしまったこともあります。諸外国と比べると、日本の若者はテレビが好きみたいですが、上の世代と比べると見なくなりました。
(関連:若者のテレビ離れは本当か?視聴時間で見ると他メディアに圧勝という事実)

 (2)の「たとえ伝わったとしても、人が動きにくくなった」理由については、そもそも製品の機能差が少なくなってしまったということを挙げていました。記事では出ていなかったと思いますが、これは「コモディティ化」といいます。

 「コモディティ化」の打開策に関して、コモディティ化対策の例 レゴは機能ではなくストーリーで売って成功という投稿を書いたことがあります。このインタビュー記事でもストーリーで打開するといった話が出ていました。


●電通岸勇希氏「世界一おいしいカレーを食べさせるにはカレー断ちさせれば良い」

 ただ、岸さんの持ちネタというか、キーワードとなっているのは「コミュニケーションデザイン」というよくわからない言葉。「我々は今、広告屋ではなく、課題解決屋として、こうした難解な課題にも対応しなくてはならなくなりました」ともおっしゃっています。

 正直なんかふわっとした感じでわからないんで、これは「僕がよく使うたとえ話」というのを実際に見た方が良いです。これは「ある人のためにおいしいカレーの作るにはどうすれば良いのか」といった話。

 まず、従来のアプローチとしては、世界一美味しいカレーを作れば間違いない!と、いろいろとこだわるというところ。広告としては、クリエイティブの質に徹底的にこだわり抜くといったもの。広告の王道だそうです。

 しかし、コミュニケーション・デザインという観点で見ると、「味」以外の別の方法が見えてくるとのこと。例えば、以下のような方法です。

(1)おいしいカレーを食べさせる予定の人の家族や友人に1万円ずつ渡し、絶対にカレーを食べないように邪魔をさせる。
(2)そうすると、1年後、普通にカレー屋に行くだけでも、すごくおいしいカレーだと感じる。

 ここでコントロールしたのは、味、すなわち、メッセージの質ではなく、それを受け取る側の環境だとしていました。このように「相手を動かす」ということに着眼すれば、必ずしもやり方は、広告のメッセージの質を上げることだけにならなくなります。

 「こう考えた瞬間に、解決法の幅は、めちゃくちゃ広がります。広告屋が広告の呪縛から解き放たれて、課題解決屋になる瞬間です」とおっしゃっていました。


●クルマ離れの若者に届く広告を作ったとアピールする岸勇希氏

 で、この次にトヨタのアクアの実例が載っていたのですが、今読み返すと大しておもしろくなかったです。

 数ページのインタビューからポイントだけサクッと書くと、環境に優しいアクアのコンセプトに合うように、全国のNPOや地域メディアと連携して、日本各地の「水(アクア)」にまつわる地域活動をトヨタがバックアップするという参加型イベント「AQUA SOCIAL FES!!(アクアソーシャルフェス)」を開催したというもの。
(クルマ離れの若者に届く広告は、ありえるか? 清野 由美 2012年11月2日(金)より)

 これにより、地域のディーラーが「ショックです。このフェスには、僕らがお店に来て欲しいと思っている家族や若い人たちがたくさん来てくれてるじゃないですか」と言うような、車離れしたといわれている世代にもアプローチできたとしていました。


●「で、その広告効果あったんですか?」岸勇希氏「知らん」

 ただ、実際の効果については、謙遜のような感じで、アクアが売れたのは「もちろん製品そのものに力があったからだと思っています。広告がその売り上げに、どの程度貢献したかを測る方法はありませんから」としていました。

 しかし、これは広告業界の悪い癖だと思います。本来広告会社側がどれくらい効果があるかをある程度説明できないといけないでしょう。だって、「効果・効能は不明です。でも買ってください」って商品を普通は買いませんよね。広告業界はそういう意味では普通じゃない怪しいものを、うまいこと売りつけています。

 トヨタも嫌いな企業ですが、トヨタと電通ではトヨタなどが被害者となったネット広告不正事件も起きています。2016年9月23日時点の記事によると、問題となったのは広告主111社から受注した633件で、取引総額は約2億3000万円にも上っていました。
( ネット広告不正、2.3億円過大請求 毎日新聞2016年9月23日 20時38分(最終更新 10月8日 10時05分)より)

 こういうことが起きてしまうのは、広告の効果がよくわかっていないこととともに、広告を出している会社自身もあまりそのことを疑問に思っていないためだと思われます。でも、どのような効果をもたらすかわからないものに金を出すなんて、バカのやることだと私は思いますけどね。


●セクハラ告発のせいで岸勇希氏のアマゾンレビューが炎上状態?

2019/11/27:例のセクハラ告発のせいで岸勇希さんのアマゾンレビューがひどいことになっていたと言われていました。岸勇希さんが悪いことをしたのは間違いないものの、アマゾンレビューはそういうものではなく、良くない使い方です。ただ、今、己を、奮い立たせる言葉。 (NewsPicks Book)を見てみると、本の内容と関係なレビューが多いとはいえ、そこまで荒れてはいませんね。

 トップレビューは、「書籍の内容に共感して購入したのに非常に残念」「セクハラは、声をあげた彼女だけではなく、氷山の一角に過ぎないと思われる」という、内容的に確かにレビューとは言えないもの。とはいえ、丁寧に書かれたもので、罵詈雑言ではなく、ッ炎上的なイメージとはちょっと違います。

 「部外者がギャーギャー言っても変わりませんが、尊敬している方だっただけに、今回の報道はショックでした」も、内容とは関係ないもの。一方、「ここの出版社の本は買わないと決めていたのに、また巧みな販売手法にやられました」「響く言葉は無く、斜め読み程度で通読はしていない」などは、一応内容に触れたものでしょうか。

 本の内容としては、どうもタイトルの通り、精神論で頑張るときの言葉を集めたものみたいですね。「元電通の岸さんが自身を奮い立たせるためにTwitterで呟いた内容をまとめた格言集」とのレビューもありました。その代わり、仕事のノウハウみたいなものはないともされていました。


●人格とビジネスは別だ…仕事ができる人だという好意的な評価も

 また、「一連の騒動をみて興味をもったので読んでみました。情熱をもって仕事に取り組んでいる人には合点がいく、モチベートされる言葉が多く含まれていました。著者は仕事は間違いなくできると思います」という、積極的に評価する内容を一部含むものもありました。

 ただ、「性格や素行に問題があっても仕事はできる」といった評価の仕方は、注意が必要なんですよ。岸勇希さんがサイコパスだと言いたいわけではないのですけど、一般論として、経営者に多いサイコパスは、仕事ができる望ましい会社員?で書いたような問題があるためです。

 例えば、サイコパスの人は仕事ができる人が多いとされるものの、不正や成果の強奪、さらに他の社員のパフォーマンスを落としたり、辞任に追い込むことで会社に損害を与えたり…といったマイナス面が十分に考慮されていません。一見仕事ができるように見えても、マイナスの方が上回るため「優秀に見えても雇わない方が良い」と結論づける研究すらあります。

 現実にこうした面まで見抜くのは難しいですし、サイコパスなどの人は評価されやすいだけでなく、好かれやすいとも言われています。投票で決まる政治家なんかもサイコパスが多いとされていますしね。なかなか見抜くのは難しいのですけど、ぜひ頭に入れておいてもらいたい情報です。



【本文中でリンクした投稿】
  ■電通岸勇希のセクハラ・パワハラ告発のはあちゅう、自分も童貞いじりで差別
  ■経営者に多いサイコパスは、仕事ができる望ましい会社員?
  ■若者のテレビ離れは本当か?視聴時間で見ると他メディアに圧勝という事実
  ■コモディティ化対策の例 レゴは機能ではなくストーリーで売って成功

【関連投稿】
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