2014/10/6:
●イヤイヤ期・第一次反抗期って本当に研究の裏付けがあるの?
●第一次反抗期の時期には諸説あり 2,3歳説と3,4歳説など
●イヤイヤ期の重要性 自分は親とは異なる存在であると認識
●親は心配になってしまう…接し方を間違うと将来障害にも?
●第一次反抗期という名前は良くない?本当は良いことなのに…
●親は子供を自由にさせるべき…というのは本当なのか?
●イヤイヤ期・第一次反抗期って本当に研究の裏付けがあるの?
2014/10/6:ふとしたことで知った第一次反抗期が気になって検索。私は思春期の反抗期は知っていましたが、もう一つ反抗期があるとは知りませんでした。思春期の反抗期の方は、第二次反抗期と呼ぶようです。
まず、この第一次反抗期で検索してみると、出てくるのは子育てサイトが多く。ただ、こうしたサイトの記載だけですと、研究的な裏付けがあるのかは確信を持てず。なるべくそれ系は抜いていきます。
裏付けとしてわかりやすいということで言えば。辞書的なものを見るのがいいでしょう。Wikipediaでは全然記載がなかったのですが、
コトバンクの「反抗期」の説明の中に第一次反抗期について触れたものがあるため、俗論ではなくある程度研究の裏付けがあるのだと思われます。
例えば、百科事典マイペディアでは以下のようなシンプルな説明をしていました。
<精神発達の一過程。2,3歳の幼児期に意志が芽ばえ,自我感情が発達し,他人の指示を拒否し,ときにその反対の行動をする場合を第1次反抗期,青年期初期に自我感情が特に強く意識され,それが行動の面では反抗として現れる場合を第2次反抗期と呼び,合わせて反抗期を形成するとされる>
●第一次反抗期の時期には諸説あり 2,3歳説と3,4歳説など
大辞林も「自我の発達過程において,周囲のものに対して否定的・反抗的態度が強く表れる時期」としていましたが、「自我が発達してくる三,四歳頃のそれを第一反抗期」ということで時期がやや異なります。以前他で見たときには2~4歳ごろとありましたので、広めに考えておくと良さそうです。
というか、ここでは「第一反抗期」って書き方していましたね。とはいえ、ざっと見た感じは「第一次反抗期」がやや優勢。ちなみに「イヤ」と否定するので、「イヤイヤ期」とも呼ばれています。こちらの方が一般の人では主流っぽい感じでした。
全文ではなく一部しか読めませんが、一番詳しそうだったのは「世界大百科事典」。
<言語発達の面では,初期の〈かたこと〉が一語文として用いられて,要求の表現やおとなとの会話を成立させ,しだいに2語,3語の文としての表現が多くなり,コミュニケーションの手段としての役割を確立していく。このような諸能力の獲得によって,子どもの自我が拡大し,3歳前後にはそのあらわれとしての〈反抗〉(第1反抗期)がみられる。おとなの一方的指示に対する〈イヤ〉という拒否,〈ぼくが……〉〈わたしの……〉という自己主張,〈……がほしい〉といいだしたらきかない固執傾向などである>
●イヤイヤ期の重要性 自分は親とは異なる存在であると認識
同じ
コトバンクでは、第一反抗期のところに別の世界大百科事典の説明があります。
<人間の成長・発達過程には,親,年長者あるいは既成の価値体系を拒絶,否定,無視し,激しい怒りの感情を表出したり,破壊的・暴力的な行動をひきおこしたりすることが目だつ時期がある。この時期を反抗期というが,否定的行動が多彩に現れるので否定期と呼ぶこともある。今日では〈第1反抗期〉(幼児期),〈第2反抗期〉(思春期)をあげる2期説が一般的である。
いずれも自我意識の発達に伴う自立・独立の欲求の高まりがその背後にある正常な現象であり,人格発達上重要な意義をもつものである。>
実を言うと、私が興味を持ったのは、この反抗期がむしろ大切だという説のためでした。
第1反抗期:心理学用語集においても、"発達の力の表れでもあり、この時期の欠如が、将来的に意思薄弱・自己の弱さといった形で、思春期に問題になることが多い"との記載が見えます。
この記載の前には、"自分には独自の意思や感情があり、親とは異なる存在であるという意識が強くなり、親が何を言っても拒否したり反対の事をしたり、わざと悪い事をしたりするようになる"ともありました。逆に言えば、第一次反抗期で親が無理やり子供を押さえつけるなどしてしまうと、自分と親との意思や感情の違いを正常に認識でない大人になってしまうということかもしれません。
●親は心配になってしまう…接し方を間違うと将来障害にも?
反抗期について ―自我の発達― Veritas 心理教育相談室では、H.ヘッツァーさんによる意志の強さと反抗期の有無の関係の調査を紹介しています。
調査結果としては、"幼児期にはっきりした反抗期を示した者のほとんどが、意志の強さが正常に機能したのに対し、はっきりした反抗期のなかった者は、物事の計画や実行について大人に頼りがちであったという意志の脆弱性の傾向を示した"ということになっています。
注意が必要なのは、精神面の問題が出現したからといって、それが単純に「反抗期がなかったから…」という因果関係に結び付くことではないというこ。しかし、"反抗期が発達過程において重要な意義を示していることが示唆され"ているそうです。
場所によっては子供が独立できずに、親へ依存してしまうパーソナリティ障害・人格障害になると書いているところがありました。ただし、これはサイトの正確性に自信が持てなかったところ。脅しすぎの可能性があります。
●第一次反抗期という名前は良くない?本当は良いことなのに…
なお、上記のうち「人格障害」という言い方は偏見を招くとして推奨されず、現在は「パーソナリティ障害」と呼ぶようです。同様に「第一次反抗期」という言い方も誤解を招くでは?という意見を見つけました。
日本の子どもの「反抗期(自己主張期)」をめぐって - 論文・レポート(坂上 裕子(青山学院大学教育人間科学部心理学科准教授)2013年10月22日)では、以下のように書いています。
<この時期の子どもが示す反抗や主張は、自分が何をするかは自分で選んで決めたい、自分がやりたいと思ったことを自分の力でなし遂げたいという、子どもなりの意思や意欲の表れであると言える。したがって、「反抗期」という名称は、「子どもが言うことをきかない」という大人の立場からの名称であり、本来は子どもの立場に立って、「自己主張期」と呼ぶのが適切であるのかもしれない>
●親は子供を自由にさせるべき…というのは本当なのか?
また、こちらでは"日本の育児書や育児雑誌では、この時期の子どもの反抗は自主性や自律性の芽生えによるものであるから、その芽をつまないよう見守るべき、と記されていることが多"く、親もそういう理解があるものの、実際には苛立ちや困惑を覚え、必ずしも受容的に関われるとは限らない"のでは?としていました。
そして、限界設定(許容できない行動には明確に制限を課すこと)の重要さを強調していました。たとえば、"米国や仏国では、反抗や自己主張は個体化(自他の境界を明確に持ち、自己の権利を主張するとともに他者の権利も侵害しないこと)にとって重要"と考えられているそうです。
この限界設定の重要性は頷けるものがあります。というのも、"子どもの反抗や主張が顕著になってくれば、子どもにやりたいことをさせ、その全てを見守ることは、現実的には困難"なためです。これは指摘の通りでしょう。不可能なことです。
"2歳半の子どもをもつ日本の母親を対象としたUjiie(1997)の研究では、子どもが反抗や自己主張を示した時に、子どもの自己主張や交渉スキルを伸ばすことにつながる対応(交渉する、子どもの意を問いただすなど)をとると答えた母親は少数"だったそうです。
じゃあ、一見理想的に見える「自由にさせる」「見守りたい」の対応策しか知らない親は、どうしたのか?と言うと、"多くの母親が子どもに対して説明や説得を試みてはみるものの、感情にまかせた対応(怒る、叩くなど)をとるか、子どもに譲歩する"という余計望ましくない結果になっています。
第一次反抗期の重要性を知って無理に押さえつけないとともに、すべて自由にさせる以外の対応の重要性も知る必要があるでしょう。
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