2014/10/7:
●ノーベル賞有力とされた旭化成の吉野彰フェローは実際に受賞
●北川進教授「ノーベル賞をもらうより、のんびり研究していたい」
●タミフル安定供給にも貢献の柴崎正勝所長や向山光昭名誉教授
●ノーベル賞有力とされた旭化成の吉野彰フェローは実際に受賞
2014/10/7:
くらしナビ・科学:ノーベル賞、6日から発表 日本の科学者受賞に期待(毎日新聞 2014年10月02日 東京朝刊)で紹介されていたノーベル化学賞では、まず、リチウムイオン電池関係がありました。(2020/09/30追記:その後、実際に吉野彰さんはノーベル賞を受賞されています)
<旭化成の吉野彰フェロー>
<東芝リサーチ・コンサルティングの水島公一博士>
ともにノートパソコンや携帯電話に今や欠かせない充電式リチウムイオン電池の実用化で貢献が大きかった日本の研究者。化学賞の選考には製品化など社会への貢献性を重視する姿勢も強まっているのですが、リチウムイオン電池はこの点文句なしです。
なお、お二人とも
ノーベル化学賞日本人予想 柳田敏雄、藤嶋昭、吉野彰、水島公一でも名前が出ていました。この次の藤嶋昭さんも同じときに出ています。
<東京理科大の藤嶋昭学長>
光触媒反応を発見し、環境分野に展開したことで有望視。酸化チタンに光を当てると有機物を分解できる効果というのがポイント。これを応用し、汚れの除去や脱臭・抗菌作用のある材料としてビルの外壁や病院のタイルなどに広く使われています。ということで、やはりこちらも社会への貢献性十分です。
●北川進教授「ノーベル賞をもらうより、のんびり研究していたい」
<京都大の北川進教授>
有機物を組み合わせて、微細な穴が開いた多孔性金属素材を開発。二酸化炭素の吸収効果などで注目を集めています。また、論文引用数の多さでも知られるているそうです。
北川進教授は以前書いたつもりでいましたが、
世界で影響力を持つ科学者 山中伸弥教授選外・理研は十倉好紀らで名前をチラッと出した程度でした。それ以外にもストックはしていたのですが、まだ使っていなかったみたいですね。
そのストックをここで紹介。ただ、
朝日新聞デジタル:ノーベル賞を占う 来週発表 有力研究・日本人は(2013年10月3日9時23分)では、"分子同士が自然に組み合わさり、新しい機能を生み出す「分子の自己組織化」を利用して、メタンなどの燃料の貯蔵技術に応用できる金属有機骨格材料を開発した京都大の北川進教授"が有力という話があっただけでした。
それより
ニッポンの頭脳は中国なんかに負けない 山中伸弥・望月新一・北川進・清滝信宏・村上春樹ほか ノーベル賞に手が届く日本の天才たち(「週刊現代」2012年10月13日号より)の方がおもしろみがあります。
"地球温暖化の原因とも言われる二酸化炭素"を"空気中から捕まえて集め、そこに含まれる炭素を利用し、石油や天然ガスに代わる資源に変えられ"るかもしれない…「夢の技術」だと、週刊現代は書いています。また、ここでは北川進教授からもひとつコメントをとっていました。
「(もしノーベル賞を受賞すれば)苦労してやっている共同研究者も報われますし、ハッピーですね。ただノーベル賞受賞者にはプライバシーがありません。飲み屋にもいけない(笑)。私はのんびり、若い人たちと研究をしている方がいい」
●タミフル安定供給にも貢献の柴崎正勝所長や向山光昭名誉教授
次はまた二人セット。お二人とも"炭素同士を結合する基本的で効率的な反応を数多く開発し、医薬品開発などに貢献した"とのこと。
<東京大の向山光昭(てるあき)名誉教授>
<微生物化学研究所の柴崎正勝所長>
記事では"ほぼ5年ごとに授賞対象になる有機化学"と書いていましたが、順番が後ということはまだなんでしょうか。前回を見ると、日本人の根岸英一博士などの受賞した2010年「有機合成におけるパラジウム触媒クロスカップリング」に「有機」の名前が入っています。これで正しいのなら今年ではなく、来年の有力候補でしょうか。
とりあえず、向山光昭名誉教授の
Wikipediaを見ると、"エノールシリルエーテルとカルボニル化合物をルイス酸触媒(四塩化チタンなど)を作用させるとアルドール反応が進行することを発見"という記載。向山アルドール反応と呼ばれるほど有名な反応だとあります。
一方の柴崎正勝所長の
Wikipediaによると、"ビナフトール (BINOL) 骨格を有するものを中心に多数の不斉触媒を開発。それまで難しいとされてきたヘンリー反応、シアノヒドリン化、ストレッカー反応、ヘック反応、マイケル反応など多くの反応を、高い不斉収率で不斉化することに成功した"とあります。ずいぶん名前がたくさん挙がっていますね。
不斉触媒分野における1995年から2005年の論文引用回数は世界一だそうです。すごいですね。ただし、ノーベル賞は人物ごとの功績を評価するものではないと思いますので、この点はあまり有利に働かないかもしれません。
ただ、これらの反応を応用し、エポチロン・ストリキニーネ・ガルスベリンA・ラクタシスチンなど数多くの化合物の全合成を報告しているという実用性は、わかりやすいですね。やたらと叩かれるタミフルですが、これのシキミ酸を必要としない合成経路を2006年には開発し、安定供給に道を開くものと期待されているという業績もあります。
今日はもう一つ
ノーベル化学賞日本人有力候補 国武豊喜,春田正毅,新海征治らも投稿しています。
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