今売られているバナナは基本的に同じ品種なのですが、この品種に感染しやすい「新パナマ病」というものが大発生。これでバナナが消えてなくなる…と一時騒がれたことがありました。ただ、今でもバナナは全くなくならず、価格も相変わらず高くありません。専門家によると、対策できないものではないので、今後も絶滅する可能性は低いとのことでした。
2017/09/04:
●新パナマ病でバナナが絶滅するおそれ…との報道が駆け巡る
●バナナが絶滅…はデマ 「安心してください」と教授が太鼓判
●新パナマ病への対策はあるし抵抗性がある新品種を作れる可能性も
2020/08/29:
●台湾で最初に見つかった菌フザリウム、徐々に世界中に拡散される
●バナナ絶滅危機、本当の問題は消費者がわがままないせい?
●新パナマ病でバナナが絶滅するおそれ…との報道が駆け巡る
2017/09/04:前々からやろうやろうと思っていて、やっていなかった話。後述するように、あまり良くない記事だったのですが、まず、
新パナマ病って何? バナナが食卓から消える恐れも 2016年05月18日 01時08分 JST(安藤健二 The Huffington Post)の方から見てみましょう。
生物学者の福岡伸一さんによると、バナナは品種改良の結果、種がなくなったため、株分けで栽培しています。その結果、同じ品種のバナナは、どれも同じ遺伝子を持つため、特定の病原体に感染しやすくなってしまいました。
実は過去にこのせいでほぼ絶滅した品種があります。20世紀半ばまで人気だった「グロス・ミシェル」(グロスミッチェル)は、1960年代までにカビの一種である「フザリウム」という病原体によってバナナの木が枯れてしまう「パナマ病」の感染が広がり、ほぼ絶滅してしまいました。
一方、今食卓に上るバナナのほとんどは、「キャベンディッシュ」という品種。こちらは「パナマ病」に強い…はずだったものの、「新パナマ病」が台湾で発生。その後各国に広がり、数千ヘクタールのバナナ農園がすでに新パナマ病で壊滅しています。
また、NHKによると、日本が輸入するバナナの90%近くを占めるフィリピンのある生産者団体の幹部は「新たな品種の開発などの対策が進まなければ、5年か10年後には、世界中の食卓からバナナが消えてしまうおそれもある」と話していたそうです。
(
バナナが食卓から消えるおそれ 病気の感染拡大 | NHK「かぶん」ブログ:NHK 2016年05月17日 (火)より)
●バナナが絶滅…はデマ 「安心してください」と教授が太鼓判
以上のように、生産者団体の幹部の人がそもそも絶滅のおそれについて実際に言及しており、マスメディアが嘘を言っていたわけではありません。生産者団体の幹部がそう主張しているのですから、マスコミもそう報じるしかないでしょう。
ただ、別記事の(
バナナが絶滅するって本当!? 専門家に聞いた「そんなバナナ」な真実 - イーアイデムの地元メディア「ジモコロ」(2017/6/5 菊地誠)に出ていた東京農工大学の農学部植物病理学研究室の有江力(ありえ・つとむ)教授は、別の見方です。
この記事において、有江力教授は、「安心してください。バナナは絶滅しません」と断言していました。有江教授によると、実は10年以上前にも、あと数年でバナナが絶滅すると騒がれていたそうです。以前からある「バナナの絶滅するする詐欺」みたいでした。
●新パナマ病への対策はあるし抵抗性がある新品種を作れる可能性も
最初に出てきたように、パナマ病を引き起こすのはカビ。一番効果的な対策は、単純にかびが畑に入ってこないように、徹底的に隔離すること。実際、フィリピンでも病原体の侵入を防ぐために、管理をきちんと行ってパナマ病の拡大を防いでいる畑もあるそうです。
また、現状は新パナマ病に抵抗性を持つバナナは無いものの、いずれは抵抗性を持つおいしい新品種も現れるので、バナナが絶滅する心配はいらないという話もありました。バナナの場合、掛け合わせてもほとんど種ができないので難しいという事情はあるものの、全くできないわけではないとのこと。遺伝子組み換えの技術についても言及されていました。
ただ、遺伝子組み換え技術は嫌いな人が多いですので、そういった新品種が普及すると「バナナは遺伝子組み換えを使っていて危険だから食べてはいけない!」という新たなデマが出回ることになるかもしれません。
●台湾で最初に見つかった菌フザリウム、徐々に世界中に拡散される
2020/08/29:その後も、
食卓からバナナが消える? 新パナマ病が南米へ | ナショナルジオグラフィック日本版サイトという記事が出ていますね。これは、2019年8月21日に公開されたものです。
こちらの記事は、アジアやアフリカのバナナ農園で猛威を振るっている「トロピカルレース4」(TR4)型パナマ病が、予防措置がとられてきたにもかかわらず、とうとう南米に上陸したことを伝えるもの。バナナに壊滅的な被害が出る可能性があるとしています。
TR4は、フザリウムという菌がバナナの木に感染して起きる病気。感染した土壌で育ったバナナを人間が食べても危険はないものの、木には害があります。感染した木はやがて実をつけなくなるのです。この菌が初めて見つかったのは、1990年代初頭、台湾の土壌サンプル。すぐに世界中に広まったわけではなく、その後は長いこと東南アジアとオーストラリアにとどまっていました。
ところが、2013年には中東とアフリカでも確認されるように。そして、今回ついに南米にも広がりました。オランダ、ワーヘニンゲン大学の熱帯植物病理学教授であるヘルト・ケマさんは、「発見されてからでは、もう手遅れなのです。知らないうちに周囲に広がっている可能性が高いと考えられます」としていました。
●バナナ絶滅危機、本当の問題は消費者がわがままないせい?
記事では、「この菌が広まりやすいのは、バナナ農法自体の問題でもある」としていました。どういう意味か?というと、多様性のなさ、単一種にたよることの悪さを指摘するものでした。現在、生産されているバナナは、ほとんどがキャベンディッシュという遺伝的に同じ品種であり、遺伝子が同じであれば、同じ病気にかかりやすいためです。
ただし、R4はさまざまな種に感染することでも知られているため、バナナ生産国で現在ある、プランテーン(調理用バナナ)などの多数の現地品種も影響を受ける可能性があるそうです。また、種類に関して言うと、世界的に見れば数千種類のバナナがあるものの、大規模商用栽培、長距離輸送、国際市場に対応できる特徴を備えたものは、他に存在しないようです。
例えば、1990年代、ある開発プロジェクトがFHIAのゴールドフィンガーとモナリザという品種をカナダで販売しようと少量を持ちこんだのですが、客は寄りつかなかったとのこと。バナナの種類はいろいろあるものの、消費者が好むバナナはほとんどないために、結局、バナナが市場から消えかねないってことみたいですね。
なので、記事では、これは消費者や生産者側の都合の問題という書き方。「そもそも、単一品種の栽培は持続可能ではない」「複数の新品種のバナナを作って生物多様性を実現しなければなりません」「問題は、業界がそれを受け入れるか、消費者が味の変化に対応できるかどうかです」といったことが書かれていました。
ただ、まあ、消費者が好きじゃないってのは、致し方ないことですけどね。絶対的に必要な食べ物ではないので、バナナを食べなければ済むことです。一番やばいのはバナナ生産国であり、バナナに頼っているがために経済的な打撃が大きく、なおかつ現地の人はよく食べているために重要な栄養素も失うことになるとされていました。
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