2014/10/11:
●下級生への暴力行為が発覚…不祥事続く名門PL学園は存続すら危機に
●「体罰」という名のいじめ…溺死させた「事故」、寮内暴力事件など
●有望選手とそれ以外で大きな格差…上下関係の厳しさも理由か?
●甲子園を報道するマスコミが諸悪の根源?賛美してはいけない!
●すべてを犠牲にしてスポーツを頑張る…は全然美談ではない
●マスコミはスポーツの暗黒面ももっと広く報道すべきである
●下級生への暴力行為が発覚…不祥事続く名門PL学園は存続すら危機に
2014/10/11:高校野球の名門PL学園で不祥事が出ているという話すら知らなかったので、
PL学園 野球部存続できなくなるおそれ NHKニュース(10月11日 12時34分)というニュースには驚きました。
記事によると、PL学園の野球部は去年、上級生による下級生への暴力行為が発覚して当時の監督が辞任し、監督不在のまま活動を続けてきたという状態でした。学校では後任を探していたものの、未だにめどが立たないということです。
"このままでは十分な指導ができない"ことが予想されます。そのため、この度"来年度は新たな部員を受け入れない方針を決めました"。しかし、これは"今後も後任の監督が見つからなければ、野球部が存続できなくなる"という可能性を示しています。
●「体罰」という名のいじめ…溺死させた「事故」、寮内暴力事件など
この件が気になって検索すると、高校野球のいじめの話が出るわ、出るわ。実態は「いじめ」なんですけど、やっている人たちはこれを「体罰」という言い方もします。教師・指導者の体罰は大きく問題になるようになりましたが、それ以外にももともと先輩による「体罰」というのも多かったです。PL学園もこのケースですね。
検索した中で良さそうだったのは、
高校野球は腐った部分を切除すべきだ|アマチュア野球(2013年4月10日 14時8分 野球の記録で話したい)という記事です。こちらでは、PL学園の事件について、"高野連は、この事件を「PL学園のこと」「一部の馬鹿な生徒が引き起こしたこと」と矮小化してはいけない"としていました。事件としては、以下のような内容です。
<上級生2人が、下級生2人を寮内の部屋に呼び出し、1人に目の前にいる上級生をからかうように指令。渋々従った下級生に対して、怒った上級生が殴る、蹴るの暴行。別の上級生のところにも同様の指示を出し、激しい暴行を受けて痙攣を起こし、救急車に搬送>
PL学園は上記以外にも、池に帽子を取りに行かせて溺死させた「事故」、2001年にも寮内で暴力事件などを起こしているそうです。
●有望選手とそれ以外で大きな格差…上下関係の厳しさも理由か?
こういった異常ないじめは選手内の格差が作り出しているのではないか?と記事では指摘しています。PL学園の"多くの選手は、ボーイズ時代に名の知れた選手たち"だそうです。しかし、レギュラーになれるのは一握り。これ自体は仕方のないことでしょう。
ただ、有望選手の中には授業料免除されて小遣いまで与えられる選手もいるといわれるほど厚遇されている中、そうでない野球部員は学費や寮費を払って有望選手たちの世話に明け暮れるのだとのこと。確かにこれはキツいです。十代の身空で「お前の前途はない」と決めつけられることの深刻さは想像に難くないと記事では書いています。
読み直していて思い出したのが、未だに暴力事件が後をたたない相撲界の問題ですね。実は相撲において暴行が多いのも、上下関係が厳しすぎるためではないか?という見方が出ています。(ここだけ2020/01/17追記)
●甲子園を報道するマスコミが諸悪の根源?賛美してはいけない!
記事の方はこの後、「甲子園」というシステム自体の批判に移っていました。学校は「甲子園に行きさえすれば後はなんとでもなる」と考えていて、生徒も甲子園に出ることだけを考えて野球に明け暮れる、親は有望高に子供を入れることに狂奔する…三者三様に狂っているという指摘はわかります。
健全なる精神は健全なる身体に宿る?部活でいじめ・体罰横行の現実でも、親がスポーツの成功だけを願うばかりに、子供を追い込んでいる姿が見えました。
ただ、<マスコミの「甲子園賛美」も、状況に拍車をかけている。甲子園で活躍する選手を手放しで褒め称え、陳腐極まりない「青春」「汗」「涙」で飾り立てる>として、マスコミに責任を負わせるというのには違和感。また、野球部寮の廃止、野球部員数の制限、入学特別枠の撤廃をし、「甲子園に行けば儲かる」というビジネスモデルを排除しなくちゃいけないというのも極端に感じます。
消費税増税のときにメーカーにしわ寄せが行くから消費税還元セールは禁止だと政治家が馬鹿なことを言っていましたが、問題は割引セールではありません。ブラック企業が出てくるから競争をやめましょうみたいな話です。問題は競争があるからではなく、違法なことをしている企業が黙認されているところなのです。高校野球の場合も一番悪い問題を起こしているところをまず叩くべきでしょう。
●すべてを犠牲にしてスポーツを頑張る…は全然美談ではない
似たような批判は、
スポーツ推薦で挫折、算数からやり直し キャリアも分断:朝日新聞デジタル(中小路徹、後藤太輔 2014年9月6日09時26分)という記事に対してもありました。記事自体は、以下のような話です。
<東京都の私立高校に野球のスポーツ推薦で入学したものの、先輩たちにいじめられて退学。しかし、"スポーツ推薦の進学を前提とし、勉強してこなかった"ため、英語は中学1年で学ぶbe動詞が使えないというほどひどく、転校・編入に苦労した>
ここでもやはり
健全なる精神は健全なる身体に宿る?部活でいじめ・体罰横行の現実と似た話がります。「スポーツ推薦で入った子は、指導者の暴力や先輩のいじめを受けても、自分の希望で入ったので親にSOSをなかなか出せない傾向がある」という問題が出てきています。スポーツがすべてになっているのです。
また、スポーツ推薦の生徒が転校を申し出ると、学校が単位や成績が抹消される除籍にするということもやるそうです。「生徒は学年を維持して転校、編入ができない。見せしめなのか、戦力が他校に移らないようにする意図なのか、子どもたちのキャリアをぶった切る行為」とされていました。
スポーツは関係無いですが、
サイバー藤田社長に『激怒』された退職社員は「無責任」か、「そんなの自由」か(2014年 10月10日 16時30分 提供元:J-CASTニュース)をちょっと思い出させる話です。
●マスコミはスポーツの暗黒面ももっと広く報道すべきである
記事は問題を指摘するものであり、悪いものではありません。しかし、この朝日新聞の記事に対して、「朝日新聞にこの記事を書く資格は無い。そもそも、夏の甲子園を主催して高校生を食い物にしているのはお前らじゃないか。散々メディアで煽り立てるから、野球一本でやっていこうという連中が増えるんだよ。恥を知れ」という反応があり、賛同を集めていました。
朝日新聞が槍玉に挙がっているのは、高校野球のスポンサーのためでしょう。しかし、朝日新聞が「高校野球がすべて」だとか、「勉強を犠牲にしてすべてを捧げろ」などと言ったのならともかく、そうじゃなければ的外れな批判です。むしろそうしたものを批判する記事なんですからね。
ある道を頑張りなさいと勧めることは、他の道を犠牲にすることや不道徳なことを奨励することは意味しません。会社の黒字化をブラック企業化あるいは違法行為推奨だとみなすような極端な反応。何をやっても良いと言っているわけではありません。
ただ、問題の方をもっと強く報道すべき…といった意見でしたら賛同。教師による体罰に比べて、部活動の先輩によるいじめについてマスメディアの追求が弱い点は、強く危惧しています。
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