Appendix

広告

Entries

安倍首相の日本版DARPA革新的研究開発推進プログラムに批判、ニセ科学に大量税金投入のため


 日本版DARPAの話をまとめ。<安倍首相が作った日本版DARPA「ImPACT」がすごいらしい…>、<安倍首相の日本版DARPA革新的研究開発推進プログラムに批判、ニセ科学に大量税金投入のため>、<不正が相次いだのは必然?政府推進の大型予算と企業連携が理由か>などをまとめています。

2023/06/19まとめ:
●JAXAと共通点アリ…多額の予算集めた企業参加の研究で問題が発生 【NEW】
●不正が相次いだのは必然?政府推進の大型予算と企業連携が理由か 【NEW】
●政府が推進も…企業連携優先のせいで問題が起きやすくなっている可能性 【NEW】


●安倍首相が作った日本版DARPA「ImPACT」がすごいらしい…

2018/05/22:アメリカのDARPAはおもしろい研究が多く、アメリカでトンデモ研究連発のDARPA 神話の武器みたいな兵器開発プロジェクトで紹介しています。このDARPAのことを、「デュアルユースを目的とした研究を担っている」と説明する世界を一変させる技術も?安倍首相が目指す日本版「DARPA」 | Smart FLASH[光文社週刊誌]スマフラ/スマートフラッシュ(2017.01.09)という記事がありました。

 デュアルユースというのは、軍事用にも民生用にも使える技術のこと。安倍政権は、このデュアルユースに力を入れており、防衛省の「安全保障技術研究推進制度」に対し、総額110億円規模の助成を予算案に盛り込んだそうです。前年が6億円でしたから、一気におよそ18倍に増やすという入れ込みようです。

 記事では、安倍首相は日本版DARPAともいえる「革新的研究開発推進プログラム」(ImPACT)も始動させたとも書いていました。ただ、タイトルになっていた「世界を一変させる技術も?」に該当する部分を探してもうまく見つからず。アメリカのDRAPAのことを言っているのかもしれません。だとすれば、すごいのはアメリカのDRAPAであり、日本の話ではなく、誤解しちゃうようなタイトルですね。日本版のすごさは説明がなく、何一つわかりませんでした。

 また、記事では触れていないものの、私がDARPAをおもしろいと評価している理由は、一見空想的と思えるような変わった研究に投資していることであり、みんなが普通に必要だよね!と思ってる研究への投資ではありません。記事ではそこらへんの話も強調されていませんでした。

 …といった感じでこの話を紹介したのは、過去に民主党政権時代に検討されて立ち消えになった平賀源内記念研究所の投稿を、処理しておきたかったため。この構想はたいへん不評だったのですけど、日本版のDARPAとしておもしろいと思ったんですよ。


●平賀源内記念研究所は日本版DARPA?ユニークな研究の支援構想

2010/8/27:[民主党]「平賀源内研究所」構想 国がタイムマシン助成? 2010年08月19日 毎日新聞によると、民主党の文部科学部会が、タイムマシンなど実現不可能とされる研究や常識にとらわれない研究に投じる「平賀源内記念研究所(仮称)」という科学研究拠点の創設を提言したそうです。

 国内外から50人程度の「異才、奇人」を集め、自由に研究してもらうとのこと。この原資は、受け取り手が現れないまま有効期限を迎えた宝くじの「時効当せん金」の一部を活用するほか、新たに「科学宝くじ」を創設して年間10億円程度を調達するというのも変わっています。

 これを読んでパッと思いついたのは、アメリカの「DARPA(ダーパ)」です。このDARPAは以前アメリカでトンデモ研究連発のDARPA 神話の武器みたいな兵器開発プロジェクトで紹介しています。「空を飛ぶ車」、テレパシー技術「サイレント・トーク」、幼虫を偵察に使う「虫のサイボーグ」、「稲妻の制御」など、固定観念に囚われない自由度の高い研究への投資を重視しており、似ているところがあります。

 一方で、「平賀源内記念研究所」と「DARPA」は異なる点もあり、「DARPA」は軍関係の研究であったり、拠点を持たずに企業や大学の研究施設で研究してもらったりしています。

 
●平賀源内記念研究所への反応は批判だらけだった…

 この毎日新聞の記事について書かれた反主流の研究大歓迎な平賀源内記念研究所 (仮称) 、提言される 2010年08月23日というスラッシュドットの記事があり、ここの読者は科学技術に強い印象なのでDARPAを連想した人いないかな?と思い探しましたが皆無。

 そして、このスラッシュドットの記事自体がそうなのですが、コメントは全般に批判的なものでした。ただ変な方向での批判もあって、「平賀源内って反主流だったの?」なんかはそういうもの。平賀源内が反主流であるから研究所の名前に採用したとは毎日新聞には全く書かれていません。

 それから、スラッシュドットでは「(毎日新聞の)記事によると、欧米では著名な偉人の名を冠した研究所等が多い (ドイツのマックス・プランク研とか ?) とされているが、国外での源内の著名度については不明」とツッコミを入れていますが、元記事は「欧米では研究機関に偉人の名を付けることが多い」のみで「国外で有名な」といった話もありません。

 しかし、それ以外にもツッコミどころはあるようで、平賀源内はエレキテルを発明したのではなく欧米からの輸入物の修理復元をしたものだそうで、これはチーム主査の首藤信彦衆院議員 (元東海大教授) が勘違いしているようです。

 そういうわけでこのスラッシュドットの作者が批判的だったせいか、コメントは総じて批判的でした。しかし、以前見たDARPAへの反応はそうでもなかったのです。この違いはいったい何なのでしょう? DARPAへの反応はスラッシュドットとは違いますから単純に比較するのは無茶なのですが、この反応の違いは興味深く思いました。


●平賀源内記念研究所はもっと良い形にできる

 なお、DARPAは拠点を持たないという点が平賀源内記念研究所と異なっています。拠点を持たないというのは支出を抑えることができる良い方法なのではないかと思います。いわゆる箱物を作って終わりという形にならないので、DARPAのやり方の方が良いと思います。

 また、平賀源内記念研究所では具体的な話がわかりませんが、DARPAが軍や議会の干渉を受けずに意思決定できる点も、良いところだと感じています。これもアメリカがどういうやり方をしているのか学んで、参考にした方が良いでしょう。

 平賀源内記念研究所が実現するかというのは、まだまだわかりません(2018/05/22追記:結局実現せず)。しかし、こういったお金の使い道が一度決まってしまうと、わざわざ事業仕分けをしなくちゃいけないことでもわかるようになかなか廃止されないものです。ですから、将来民主党が下野した後もこの組織は残っていくのではないかと思います。

 今の民主党はなかなか信用できなくてこの組織自体期待できないと皆さん思うかもしれませんが、そのときは非民主党政権が忘れずにこれを有意義なものに変えて行けばそれで良いんじゃないかと思いました。発想自体は良さそうです。

 いずれにしろ非主流的で投資されにくい隙間分野への応援も必要だと思いますし、DARPAが「インターネット」のような歴史的な発明に関わっているのも事実です。日本でもなんかすごい技術が生まれないかなとワクワクしつつ、今日はここで終わりにします。


●安倍首相の日本版DARPA革新的研究開発推進プログラムに批判、ニセ科学に大量税金投入のため

2019/12/03:以上のように書いていましたが、自民党の方がよっぽどダメだったのかも。冒頭に書いた、安倍首相が力を入れたという内閣府の大型研究プロジェクト「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)」が、ニセ科学をやっていたことが判明して、批判を浴びています。科学的ではない手法の研究をしていたのです。

 研究費不足の中、日本政府と明治のニセ科学研究に多額の税金投入で書いているように、日本中の研究室が研究費不足に陥っている中での、わけのわからん研究に大量の資金投入という形になりました。余計悪いです。

 また、これは私がDARPAに最も魅力を感じていたユニークな研究というわけでもありません。チョコレートを食べると頭が良くなる…ということで、ある意味ユニークではあるものの、資金を集めづらい研究ではないため。別にわざわざ政府がお金を出さなくても、普通に食品会社がお金を出してやるようなものでしょう。

 なぜ企業自身でお金を出せるのか?と言うと、宣伝にできるため。実際、明治は以前もそういう宣伝研究でニセ科学をやっていました。こうした宣伝になるという理由から、この研究は、政府による一部企業の優遇問題とも見れます。右派、特に安倍政権では、こういう癒着的な問題が多いですね。

 なお、平賀源内記念研究所のときにも、永久機関のような非科学的なトンデモ研究にお金が費やされてしまうのでは?という批判が出ていました。この批判については、空想的研究を支援するがために起こりがちなことだと私も同意します。なので、アメリカではどうやっているか?がやはり気になるところでした。

 ただ、日本版DARPAはそれ以前の問題です。トンデモなだけでなく、ユニークでもなくて、さらに特定企業への優遇という最低な税金の使い方になってしまいました。どうして日本だとこうなってしまうのでしょうね…。


●JAXAと共通点アリ…多額の予算集めた企業参加の研究で問題が発生

2023/06/19追記:JAXAの不正について話しているところで、ImPACTのニセ科学問題が出ていました。どちらもに政府が推進している企業が絡んだ大型プロジェクトであるという共通点があり、問題が起こりやすいのでは?といった話。JAXA関係の投稿から、関係するところを一部転載しておきます。

2022/12/29追記:佐々木宏・JAXA理事は古川聡飛行士を変に擁護していた方でしたが、研究については「研究不正以前に、研究計画が稚拙で、科学合理性がなかった」と話していたとのこと。非科学的なものだったんですね。これにより、どちらにせよ「研究成果も公表できない」という成果ゼロになります。

 問題なのは、日本中の研究者が資金不足に苦しむ中、こうした研究に「JAXA予算から9500万円、文科省の科学研究費補助金(科研費)から9600万円、計1億9000万円が使われた」ということ。言及がなければ私も書こうと思っていたのですが、過去にも多額の資金を集めた企業共同研究でニセ科学実験があったんですよ。

<JAXAの研究不正が組織内で判明した頃、内閣府の大型研究でも問題が発覚した。「失敗を恐れない」「年度ごとの予算にとらわれず、大型資金を出す」「ハイリスク・ハイインパクト」など、国の研究費の常識を覆すという触れ込みの研究事業「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT=インパクト)」(引用者注:安倍首相(当時)の肝いり政策でした)でのことだ。
 公募した16人のプロジェクトマネージャーに予算と権限を与え、さまざまな研究者や組織を集めて、研究テーマに取り組んでもらう。そのために550億円の基金を新設した。問題になったのは、その中のひとつ、大手IT関連企業と大手製菓会社との実験だ。
 この研究チームは、2017年1月に記者を集めてセミナーを開き、「高カカオチョコレートを4週間食べると、脳の動きが活発化し、脳が若返る可能性がある」と発表した。製菓会社は新聞に大きな広告を出すなど、大々的に宣伝し、発表には内閣府の担当者も同席した>
(<「13泊14日で38万円のバイト」と話題だったが…JAXAの「宇宙兄弟ごっこ」が研究成果"ゼロ"に終わったワケ>(22/12/12(月) 8:16配信 プレジデントオンライン 知野 恵子)より)
https://news.yahoo.co.jp/articles/921da5d3faaadba0b8e4b584dfe0e8b1bb2808c6?page=1

 しかし、すぐに学術界やマスコミから批判が殺到。実験の基本中の基本である、「チョコレートを食べた人」と「食べなかった人」を比較していないという、信じられないお粗末さだったためです。子供の自由研究ですよ、これ。うちでは、研究費不足の中、日本政府と明治のニセ科学研究に多額の税金投入でやった話でした。


●不正が相次いだのは必然?政府推進の大型予算と企業連携が理由か

2023/01/06追記:前回、<共通点アリ…過去にも多額の予算集めた企業参加の研究でニセ科学>といった話がありましたが、プレジデントオンライン記事作者の知野 恵子さんは、これらで不正が起きたのは偶然ではなく構造的な問題があるのではないか?としていました。大型化そのものにリスクがあるという指摘です。

<2000年代に入ってから、政府は国の政策に沿った研究に多額の予算を注いでいる。イノベーション」を起こすために、組織の枠を超えた多人数での研究体制や、産業界との連携を推進している。しかし規模が大きくなればなるほど研究チームなどの構造が複雑化し、全体像をつかみにくくなる。責任者の目も届きにくくなる。JAXAのケースでは、不正を働いた研究者は2人だというが、1回あたりの実験に60人~80人の研究者が関わっていたという>

 研究者が多いと監視の目が行き届かなくなるので、一理あります。ただ、2つの研究はそれ以前の時点、スタート地点からしておかしかったかもしれません。知野 恵子さんは、政府がもう一つ推進する「産業界との協力」も非科学的な判断や企業の宣伝優先を招くおそれがあるとしており、こちらも問題でしょう。


●政府が推進も…企業連携優先のせいで問題が起きやすくなっている可能性

2023/01/28追記:ここまで書いてきた話のまとめ的な感じになりますが、今回は日本の研究事情について。日本は政府方針により研究費不足に陥っています。一方で、政府は一部の研究にだけ重点的に予算を配分。しかし、JAXAのようにこうした重点配分の研究で不正やニセ科学的な内容が問題になっています。

 前回まで引用してきた記事のヤフーニュースでは以下のようなコメントがあり、企業連携を優先するため問題が起きやすくなっているとの見方。この企業連携も政府方針です。加えて日本の重要論文ランキングが急激に低下しているという事実があり、政府方針のせいで日本の研究レベルは著しく低下していると言わざるを得ません。

<政府のこの種の大型予算ならありうるよね。本来は研究の能力と実績のある研究者が代表者になって、研究能力のあるメンバーを集めて申請して予算を獲得するもの。だけど、政府のこの種の大型予算では、産業界との連携や社会的なインパクトを意識して、必ずしも研究者として能力や実績がある人が代表者やメンバーになっているとは限らない。ある種の裁量が働いて、研究以外の要素で採択されている。当然、不正や企業の宣伝に使われるなど、今回のような問題が起きる可能性はある。そもそも、公的研究費にこういう「特別枠」を設定してること自体が変なんだけど>


【本文中でリンクした投稿】
  ■研究費不足の中、日本政府と明治のニセ科学研究に多額の税金投入
  ■アメリカでトンデモ研究連発のDARPA 神話の武器みたいな兵器開発プロジェクト

【関連投稿】
  ■日本の科学研究レベル低下、ネイチャーも指摘 中国・韓国・ドイツの逆を行く日本の政策
  ■集中力が高い人=IQが高い人、注意散漫な人=クリエイティブな人?
  ■石油合成が胡散臭いと評判、元京大の今中忠行立命館大教授の経歴
  ■兄弟姉妹の構成による性格の研究 末っ子・長男長女・次男次女
  ■一流プロスポーツ選手はゲーム理論の混合戦略に従ってプレーしている
  ■科学・疑似科学についての投稿まとめ

Appendix

広告

ブログ内 ウェブ全体
【過去の人気投稿】厳選300投稿からランダム表示









Appendix

最新投稿

広告

定番記事

世界一スポーツ選手の平均年収が高いのはサッカーでも野球でもない
チャッカマンは商標・商品名 じゃあ正式名称・一般名称は何?
ジャムおじさんの本名は?若い頃の名前は?バタコさんとの関係は?
ワタミの宅食はブラックじゃなくて超ホワイト?週5月収10万円
朝日あげの播磨屋、右翼疑惑を否定 むしろ右翼に睨まれている?
レーシック難民は嘘くさいしデマ?アメリカの調査では驚きの結果に
赤ピーマンと赤黄色オレンジのパプリカの緑黄色野菜・淡色野菜の分類
アマゾンロッカーってそんなにすごい?日本のコンビニ受け取りは?
就職率100%国際教養大(AIU)の悪い評判 企業は「使いにくい」
ミント・ハッカでゴキブリ対策のはずがシバンムシ大発生 名前の由来はかっこいい「死番虫」
移動スーパーの何がすごいのかわからない 「とくし丸」は全国で約100台
ビジネスの棲み分け・差別化の具体例 異業種対策には棲み分けがおすすめ
主な緑黄色野菜一覧 と 実は緑黄色野菜じゃない淡色野菜の種類
タコイカはタコ?イカ?イカの足の数10本・タコの足8本は本当か?
トンネルのシールドマシンは使い捨て…自らの墓穴を掘っている?
ユリゲラーのポケモンユンゲラー裁判、任天堂が勝てた意外な理由
好待遇・高待遇・厚待遇…正しいのはどれ?間違っているのはどれ?
コメダ珈琲は外資系(韓国系)ファンドが買収したって本当? MBKパートナーズとは?
大塚家具がやばい 転職社員を通報、「匠大塚はすぐ倒産」とネガキャン
不人気予想を覆したアメリカのドラえもん、人気の意外な理由は?

ランダムリンク
厳選200記事からランダムで









アーカイブ

説明

書いた人:千柿キロ(管理人)
サイト説明
ハンドルネームの由来

FC2カウンター

2010年3月から
それ以前が不明の理由