アマゾンではやらせレビューが常態化するなど、不正がひどくなっています。ただ、不思議なことに大炎上はしていません。このページの大半は、
やらせ…点数操作炎上食べログよりアマゾンレビューがひどい?で書いていた内容なのですが、向こうで書いたように、食べログが炎上したのはやらせ対策をしたためであり、逆にやらせ対策をしないアマゾンの方が叩かれないというへんてこなことになっていました。
2020/11/23:
●やらせが常態化して本当に良い商品がわからなくなったアマゾン
●捏造で大損失!中小企業以外も不正レビューに苦労している
●やらせだらけのアマゾン、信頼できないレビューは~割以上と報告
●アマゾンはやらせレビューだらけ しかも見分けられるレベルじゃない
2020/02/09:アマゾンは、「Amazonおすすめ商品」「Amazon’s Choice」でユーザーの求める商品を優先して表示しています。これはメーカーの宣伝ではなく、消費者の行動をベースにしているもの。メーカーの都合ではなく、消費者の感想を優先するというもので、理論的には非常に良いしくみです。好感が持てます。
ただし、<「Amazonやらせレビュー」中国企業の呆れた手口 高評価や「Amazonのおすすめ」を信じてはダメ 東洋経済オンライン / 2020年2月4日 7時20分>(本田 雅一:ITジャーナリスト)では、やらせレビューなどにより、実際にはこのデータは汚染されており、「悪貨が良貨を駆逐する」といった現象が起きていると指摘されていました。
https://news.infoseek.co.jp/article/toyokeizai_20200204_327965/
炎上した食べログも同様だと思われますが、これはアマゾンが関わってやっているとは考えられていません。ただ、アマゾンのアルゴリズムを予想した上で、悪い企業が悪用しているんですね。グーグル検索ではもっとあからさまで、グーグルは直接関わっていないものの、過去にはSEO対策企業らがグーグル対策を堂々と宣伝していました。
具体的な不正ですが、アマゾンの場合は、商品を出品者自身が出庫してレビューを書いてもらうギフティングが行われているとのこと。また、Amazonギフト券などを報酬としたレビュー依頼を組織的に行うことで、評判を作っています。かつては怪しい日本語のレビューが並んでいたものの、現在は日本人が書いていると思われるレビューも多く、やらせかどうか見分けられないといいます。
●日本国内より海外業者重視のアマゾンのせいで悪徳企業がやり放題
あと、アマゾンは直接関わっていない…と書いたのですけど、記事の作者の本田 雅一さんは<この状況を生み出したのはAmazon自身だ>としていました。海外出品者に門戸を広げるAmazon自身の戦略が根本的な問題を生んでいるとして、以下のように書いています。ちょっとわかりづらいんですけどね。
<Amazonのシステムを熟知した海外出品者が、あらゆる手段を使って販売をブーストさせているのに対して、国内出品者は追従できない状況がある。とりわけAmazonとの関係が深いベンダーは、売り上げの大半をAmazonに依存しているため、不正なレビューや順位操作に対して表立ったクレームを上げることができないと、Amazonで自社ブランド製品を販売するある出品者は話した>
よりわかりやすいのは、得られる利益に対し、不正を働くことのリスクが小さく「ズルをしたほうがお得」なシステムについての指摘でしょうか。日本で事業活動を行う日本企業は評判の悪化のリスクが高く、ズルはしづらいです。一方、海外の業者は日本での評判が悪くなっても構わないので、ズルを躊躇しないという説明でした。
こうした海外業者は登録の段階で弾くということもできるのですけど、ここでアマゾンの方針が効いてくるのです。出品者登録が極めて簡素であるため、海外の業者がガンガン参入しているという状況になっているとのこと。こういう風に誰でも出店できるがゆえに質が低いというのは、楽天よりヤフーの方が質が低い理由としても言われていますね。
●凄腕編集者がベストセラー連発の理由はアマゾンのレビュー操作だった
2020/06/04:
幻冬舎見城徹がすごい理由 安倍首相やバーニング周防郁雄と友達だからを書いていて見つけたアマゾンレビューを操作してヒット作を次々と生み出す方法。事実かどうかは不明ですし、悪い方法なのですけど、これなら点数操作は可能だろうという頭の良い方法であり、変に感心してしまいました。
・ある編集者がクオリティの低い本でもベストセラー連発できるのは、ホリエモンから学んだ一種の戦略があるため。
・その編集者は約1000名を集めた有料コミュニティを持っている。コミニュティでは、編集者が手掛けた書籍をいち早く贈られる。
。書籍を入手した会員は、いっせいにAmazonで星5個のレビューを書きまくる。TwitterなどのSNSでも盛大に感想を発信し、あたかも「大波が来ている」かのような演出に貢献する。また、編集者の周辺にいるファンなども早い段階でAmazonの予約を入れ、人気ランキングを一気に押し上げる。
・これにより、「超話題作」のような評判になり、勢い良く売れていく。
・さらに、この売れ行きを利用して、出版社が特大新聞広告などの宣伝を行い、大ヒットの流れをつくっていく。
https://web.archive.org/web/20190517201017/https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R23HY916GAL7S2 ちょうどこの編集者のいる出版社の本を読んだところだったんですが、苦痛なほどつまらないのに話題になった作品で不思議に思っていたところだったんですよね。読んだタイミングとしては、個人的にタイムリーな話でした。そういえば、
ある政治家の本でもあちこちに寄贈しまくって、アマゾンの評価を上げたのでは?と疑われていたことも思い出しました。
こうした点数操作は食べログでも不可能ではないでしょう。ただ、
やらせ…点数操作炎上食べログよりアマゾンレビューがひどい?で書いているように食べログの場合、やらせ対策として、レビュアーの重要度に差をつけています。レビューが少ないなど、一般的なレビュアーの点数評価はあまり影響しないため、普通の人をいくら買収しても操作は難しいです。
それでも、食べログで点数操作したい場合はどうすべきかというと、食べログに評価されていると予想される一部の優良レビュアーに頼んで良い評価を入れてもらう必要があると考えられます。なので、操作は不可能ではないものの、食べログの方がアマゾンよりやらせによる操作が難しくなっているとは言えるでしょう。
●やはりあったアマゾンのやらせ投稿で罰金…が、異例である理由
2020/09/08:アマゾンでやらせが対処されず、やらせ投稿が有効になっていることを思わせる
アマゾンで「星一つ」やらせ投稿 依頼者に異例の刑事罰:朝日新聞デジタル(2020年9月4日)という記事が出ていました。中国から不正というのではなく、日本国内のケースですね。
福岡市内で健康食品・器具の通販会社を経営する男性役員(25)は、仕事仲介サイトで商品レビューの仕事を募集した際に応募した福岡県内の40代女性に対し、2018年1月、500円を支払い、同じ福岡市内の別の健康食品販売会社がアマゾンで扱うサプリメントに低評価のレビューをつけさせ、信用を傷つけたとされています。
低評価レビューが1週間で2商品に9件ほど続いたため、不審に思った販売元の男性社長(39)が投稿者名を検索したところ、やらせレビューの請負を含む仕事仲介サイトの登録者だと判明。そこから女性と依頼主の男性役員を苦労の末特定し、18年5月に福岡県警に被害届を出し、罰金20万円の略式命令に繋がりました。
ただし、「苦労の末」であり、特定はたいへん。電子商取引の専門家によると、こうした「やらせレビュー」の実行者を特定するのは難しく、刑事罰に至るのは異例とのこと。実際には蔓延している模様です。なので、サイト側で頑張ってほしいところなんですが、食べログのように対策すると疑心を生んで叩かれやすくなるリスクがあります。
あと、月に2件ほどレビュー投稿の仕事を受けていた女性によると、請け負ったのは高評価をつける投稿ばかりで「低評価の投稿を依頼されたのは初めてだった」とのこと。そもそも健康食品は全部科学的根拠がないと言ってよいのですが、特に悪質で罰則を受ける健康食品のレビューも高評価ばかりで低評価なのを見たことがありません。やらせ投稿はかなり蔓延していると予想されます。
●やらせが常態化して本当に良い商品がわからなくなったアマゾン
2020/11/23:ひとつ前の件を取り上げた
Amazonやらせレビュー問題 SNS経由「500円で募集」が常態化 NEWSポストセブン / 2020年11月9日 16時5分という記事が出ていました。それ以外の話も多く、例えば、「最近は本当に良い商品がわからなくなって困っている」というユーザーは以下のように言っていました。
「点数も高いし、よほどいい商品なのだと思って購入したのに、すぐに壊れたことがある。よく見たら5つ星だけでなく1つ星もたくさんついていることに後で気がついた。5つ星はたぶんやらせで、実際に買ったユーザーは1つ星をつけていたのに気づかなかった」
ただし、こちらの件は「日本語がおかしかった」という古い手法であり、あまり強調しない方が良いですね。このひとつ前の部分で紹介した件がそうであったように、現在は日本人が不正を行っています。「怪しい日本語レビューだけ避ければ良い」と誤解してしまうので、現在は日本語の自然さだけでは見抜けないことを多いことはむしろ強調すべきでしょう。
●捏造で大損失!中小企業以外も不正レビューに苦労している
今回の記事で新しく知ったのは、中小の販売業者や個人業者だけではなく、世界的な企業ですら、Amazonで販売する商品への不当なカスタマーレビュー操作に悩まされているという話。モバイルバッテリーやスピーカーなどを開発販売するアンカー・ジャパンも、不正レビュー被害にあった例があるそうです。
<新発売だった会議用Bluetoothスピーカーフォン「Anker PowerConf」に対し、2020年3月27、28日の2日間に通常の20倍以上の星1つというレビューが投稿された。4月上旬にもこの事態は続いた。新型コロナウイルスの感染拡大により、リモートワーク用の機器への需要が高まっていたタイミングでの不自然な低評価連発は、作為的なものだとしか考えられなかった>
アンカー・ジャパンはこれをカスタマーレビューの不正操作として糾弾、Amazonが削除しています。このように書くと、訴えさえすればアマゾンがスピーディーに対応してくれるかのように思えるのですがそうではありません。実際にはこれがまたたいへん。被害者側が違反を証明しなくてはならず、すぐに削除などに応じてもらえるとは限らないためです。
あるメーカーでは、「製品が火を吹いてされてしまった。怪我をするところだった。賠償してほしい」というレビューが投稿され、商品の安全性が確認できるまでとしてAmazonでの販売が停止。数百万円単位の損失が生じました。ところが、レビュー主から返品された商品は未開封、未使用。悪質な捏造だったのです。
●やらせだらけのアマゾン、信頼できないレビューは~割以上と報告
不正なレビューは一応アマゾンは禁止しているはずなのですが、現状では蔓延。規約に違反するユーザーにはアカウントの停止や禁止、法的措置などの対策もしているものの、いたちごっこの状態だとのこと。モニタリングサービスのFakespot社によると、2020年3月から9月のレビュー投稿720万件を検証したところ、信頼性に欠けるとされたのは前年同期の約36%から約42%に増加していたというので、今はさらに増えているようですね。
<FacebookやTwitterなどのSNSで「Amazonレビュー」などで検索すると、多くのレビュアーを求めるグループやアカウントが見つかる。そこでは、報奨金付きのレビューを求める企業などからの投稿と、それに対する応募が多数見つかる状態だ。応募したユーザーはAmazonで指定商品を購入した後、指定通りのレビューをつける。その後、商品代金の返金を受け、商品を転売することで利益としたり、一回500円程度の謝金を受け取ることが多い>
また、公開して推奨している形で、影響力が強いトップレビュアーも問題を引き起こしているという話もありました。
<英国の経済紙フィナンシャル・タイムズの調査によると、英国のトップレビュアーには、高評価をつけることで報酬を得ている者がいるという。(中略)英国のAmazonでトップ10に入るレビュアーのうち9人が、中国のあまり知名度の高くないブランドの商品に対して5つ星の高評価をつけていたことも判明している。そしてFacebookのグループなどで、その商品の評価をすれば商品または報奨金を提供する旨の投稿が見つかった。その後、Amazonは7人のレビュアーが投稿した約2万件のレビューを削除している>
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