品川美容外科の手術失敗で損害賠償の訴訟 患者らは説明不足と主張

　朝日新聞のランキングで品川美容外科を１３人が提訴　「顔のたるみ除去で痛み」：朝日新聞デジタル(2014年4月23日22時48分)が上位に入っていました。

　タイトルを見て、パッと品川近視クリニックのことを思い出しました。しかし、同じ品川だからいっしょにしちゃいけない、風評被害ですね…と本文を読むと、"女性１３人が２３日、美容外科「品川美容外科」などを運営する医療法人社団「翔友会」（東京都港区）に計約２４００万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした"という記述。

　あら、運営は「翔友会」でした。品川近視クリニックの同じところの運営ですので、本当に系列の病院だったようです。検索してみると、むしろ品川美容外科の方がずっと有名みたいですね。最初は聞いたことないと思ったんですが、どこかで私も目にしたことがあるかもしれません。


　まあ、そういう余計な話は良いとして、訴訟の内容です。

　"訴状によると、原告らは２０１２年末から１３年にかけ、特殊な糸を顔の皮下組織に入れてたるみを引き上げる「フェースリフト」と呼ばれる美容医療を受け"ました。"その際、頭痛などの合併症が出る可能性について「医師らから十分な説明がなかった」と主張している"ようです。

　一方の翔友会は「一時的な合併症の可能性を説明しており、患者様には納得いただいている」とコメント。まあ、そうですよね。物別れに終わったからこその提訴でしょうから。


　最初気付かなかったんですが、上記の記事は今年の4月のもの。古いものでした。なぜこれがランキング上位だったのか？と言うと、たぶん最近続報が入ったためでしょう。

　4月の記事の時点で、弁護団は"同様の症状がある人を対象に電話相談を行"っていたのですが、「さらに４０人提訴」というニュースが入ってきました。

品川美容外科をさらに４０人提訴へ　顔の手術で痛み残る：朝日新聞デジタル(高橋健次郎　2014年10月25日21時02分)

　顔のたるみを改善すると誘われて「フェースリフト」という美容医療を受けた後に痛みが残ったなどとして、「品川美容外科」と「品川スキンクリニック」を全国４７カ所に展開する医療法人社団翔友会（東京）に損害賠償を求める集団訴訟が相次いでいる。東京地裁と広島地裁に女性患者計１８人が訴え出たのに加え、別の男女４０人も近く東京地裁に提訴する予定だ。

　13人の後に5人増えていましたね。これにさらに40人ですので、合計58人になりました。

　問題となった「フェースリフト」というのは、"特殊な糸を顔の皮下組織に入れてたるみをとる美容医療"だそうです。弁護団によると、新たに提訴する４０人の治療費用は数十万円～４００万円台。

　弁護団は「施術前に、合併症の説明が十分でなかった。多くの人が現在も痛みに苦しんでいる」と主張しています。"不利益となる事実を告げずに勧誘したことは消費者契約法に違反するなどとして、代金返還や慰謝料を求める構え"です。

　具体的な患者の話としては、関東地方の４０代女性のケースが載っていました。この女性は"「無料になる」と知人に言われたクーポン券を持って受診"、"最初は顔のしみ取りが目的"でした。

　ところが、"女性スタッフに「顔のたるみが気にならない？」とフェースリフトを勧められ"ます。これは勧められてすぐに承諾したというわけではなく、"「美白効果がある」「効果は何年か持続する」「本来４００万円。でも１００万円以下まで下げられる」と数時間勧誘され"て、その日の内に決めさせられたと言う話。意志が弱いと数時間の勧誘はキツいでしょうね。

　ただ、これらは一つ目の記事でも書いたように、飽くまで患者側の主張です。翔友会は「合併症を含む事前説明はきちんとおこなっております」と説明しています。


　これ以外に美容外科全般について書かれた美容外科、料金苦情急増…ＨＰが「抜け道」に 社会 読売新聞（YOMIURI ONLINE）(2014年10月26日 08時48分)にも、品川美容外科が登場していました。

　記事によると、適格消費者団体「消費者機構日本」は、"で「品川美容外科」を運営する医療法人「翔友会」（同）にＨＰの改善を申し入れ"たそうです。翔友会は「回答期限の今月末までに適切な対応をしたい」としていたので今は修正しているはずですが、以下のような内容でした。

　同団体は、品川美容外科がＨＰで「会員になれば２０％オフで手術を受けられる」としていることについて、入会金・会費が無料で当日入会が可能なため、非会員価格で手術を受ける人はほとんどいないとして、著しく安いと勘違いさせる景品表示法違反の「有利誤認」にあたると主張。さらに、「症例実績４００万件以上」「紹介・リピート約９０％以上」などの記載についても、裏付けとなるデータを示すよう求めている。

　また、国民生活センターに「寄せられる典型的な相談」というのも、いかにも…という内容です。

ＨＰで低料金の美容外科を選んで訪れると、「安い手術では効果が長続きしない」と言われ、高額な手術か複数の手術の組み合わせを勧められる。難色を示すと、「今日は割引ができる」と段階的に料金を下げ、密室で数時間にわたり説得される。中には、カウンセリングだけのつもりで来たのに、当日に数百万円の手術を受けることになった人もいるという。

　前半の話は訴えた…というだけで、品川美容外科が悪いと決まったわけではありません。裁判の成り行きに注目していきたいところです。


　関連
　　■日本でレーシックが不人気な理由
　　■レーシック難民への損害賠償請求で発信者情報開示が頻発
　　■レーシック失敗と後遺症　問題はリスク説明の不十分さ
　　■レーシック不具合、衝撃の4割! 消費者庁調査でドライアイ、失明など
　　■アメリカのレーシック　安全だと手術件数増加も警告サイトは存在
　　■医療・病気・身体についての投稿まとめ