元ネタは
妊娠期にビールを飲むのは本当にタブー? 産科医に聞いた「アルコールと妊娠の関係」(2014年 08月31日 17時30分 提供元:ウレぴあ総研)。ただ、産科医に聞いた…というほど、産科医の話は出てきません。
産科医が話しているのは、「20代から30代前半の比較的若い時期に出産するということが妊娠率を考える上では有効」という話。記事の前半はこっちの話ばかりで、どちらがメインなのかわからない感じです。
妊娠とアルコールに関しては、産科医が少し絡むというのは、日本産婦人科学会の資料というところ。こちらによると、"アルコール量にして15ml、ビール350ml缶一本未満だと胎児への影響は少ない"[i]という目安。ただし、"あくまでも目安であり、○○ml以下なら安全という量は確立されていない"そうです。
[i]飲酒、喫煙と先天異常」-日本産婦人科医会・先天異常委員会委員 国立成育医療センター 周産期診療部 胎児診療科 左合 治彦
ここらへんきちんと出典を記載しているのは好感します。上記以外にも"世界でもっとも信頼されている妊娠と薬のデータベース"だというマザーリスクの資料も出していました。
"1日にビール8杯以上を摂取していると胎児性アルコール症候群(以下、FAS)になる可能性が高まる[ii]が、1日ビール1杯~2杯の軽度な飲酒の場合の胎児奇形率は非飲酒群との差は認めなかった[iii]などの研究報告もあり、1日1杯程度の妊婦の飲酒なら問題ないと結論付けています[iv]"
[ii] Obstet.Gynecol.,51:41,1978
[iii] J.Pediatr.,80:309,1987
[iv]医学のあゆみ Vol.222 No.9 2007.9.1
そこまで神経質にならずとも多少飲む程度なら問題ないという常識的な話。ただ、"妊娠して数週間の間、赤ちゃんの器官がほぼできあがると言われている時期に妊娠に気付かずにうっかり飲み会でお酒を飲んでしまうことは注意が必要"とのこと。これははっきり書いていませんが、産科医の竹内正人先生の助言っぽいですね。
とはいえ、うっかり数杯飲んだとしても、"赤ちゃんがFASになったというケースは日本ではほとんど見たことがない"そうです。危ないのは"常習的にアルコールを大量摂取している方"でしょうか?
普段からお酒をがぶ飲みしていたり、飲み会のときに記憶を失くすほど飲んだり…というのは、妊娠中でなくても体に悪いことは明らかです。これもやはり常識的なところと言えそうな感じ。
ただ、参考までに…と見た
Wikipediaではもっと厳しい書き方です。
たとえば、"母体の血中アルコール濃度と胎児の血中アルコール濃度はほぼ同じになるので、胎児は否応なしにアルコール摂取を強要され心身を蝕まれる"と書いています。これはおそらく"妊娠中の母体と胎児は、胎盤とへその緒を通じて直接的につながっている"ためでしょう。
"胎盤は一種のフィルターの役目を果たし有害物を遮断する機能を持"ちます。それであれば、アルコールも大丈夫そうなのですが、困ったことに"アルコールに関してはほぼ素通り"なんだそう。未成年者は飲酒禁止なのに、0歳時から酔っぱらい状態ですね。
この危険性についてもWikipediaでは厳しいです。"妊娠の全期間に渡りアルコールは胎児に悪影響を与える"とした上で、"特に妊娠初期においては胎児の発育が急速に進むので、胎児への悪影響は重篤なものとなる"としています。
ウレぴあ総研と同様なのは、"現在のところ妊婦の安全なアルコール摂取量は明確になって"いないというところ。ただし、これまでの流れでわかるように、Wikipediaはだからこそできるだけアルコールは避けるべきという見解。
"アルコールは一度飲みだすと抑制が利かなくなる性質を持っているので、近年では量にかかわらず妊娠中は飲酒を避けるべきという考え方が専門家の間で一致している"というのが結論でした。
同じ結論なら問題なかったのですが、違っていた場合は注意が必要です。Wikipediaは通常出典がありますので、それを見ながらなんですけど、この記載部は出典なし。「この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です」のタグがついています。ウレぴあ総研では出典を示していたので、こちらの方を重視した方が良さそうです。
念のために…と他のサイトも。専門家のところがいいだろうということで、
三宅婦人科内科医院“一般婦人科疾患”を見てみました。
こちらもやはり"胎児に影響しない飲酒の安全量は確立されていません。あくまでおおよその目安"という点は同じ。1日1杯未満なら影響が少ないというのは、ウレぴあ総研と同じです。なお、出典については、"日本産婦人科医会報、平成 17 年 1 月号より抜粋改変"とありました。
ここでいいな!と思ったのは、"連日飲まなくても1回量が4~6杯"飲んでしまうと、"1日に平均すると少ないのですが、1回量が多いと母体血中濃度が高くなり、胎児への影響が強くなる"点に注意を促していたことです。
(アルコール1杯とは、ワイン:グラス1杯 日本酒:コップ半分 ビール:350ml 1本)
"今までの報告では、1日の平均飲酒量が1杯未満で、1回の平均飲酒量が4杯未満であれば胎児への影響は少ないとされています"という目安もありました。全体にウレぴあ総研と近いものの、"妊娠中の飲酒は百害あって一利なし"とも書いています。わざわざ危ない橋を渡る必要はないってことですかね?
3つ見ましたが、結局微妙な感じに…。できることなら飲まない癖をつけておいた方が良いけど、飲む場合は出てきた数字を目安に…という感じですかね?
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