「カラス侵入禁止」と書いた紙をつるしたら、本当に来なくなったという嘘のような本当の話。雑草と里山の科学教育研究センター研究員のオススメの方法です。また、後半では、カラスは本当に賢いのか?といった話をやっています。ある部分においては人間以上の記憶力を持つカラスもいるとされていて、なんだか信じられない話になっていました。
冒頭に追記
2022/02/13追記:
●頭の良さが全然違う避け方?鹿と猫とカラスの車の避け方の違い 【NEW】
●頭の良さが全然違う避け方?鹿と猫とカラスの車の避け方の違い
2022/02/13追記:鹿のところでやった話ですが、カラスの賢さ関係ということでこちらにも追記。最近車に乗っていて、道路の前、かなり遠くの方に何か見えるな…と思ったら鹿の群れでした。道路上と左右の脇…とまんべんなくいます。雪しかなくて何も食べるものなさそうなのに何が食べている様子。不思議でしたが、道路付近の雪解けが早いために、顔を出しているわずかな草を食べていたのかもしれません。
この鹿の群れで困ったのが、徐行して何回かクラクション鳴らしながら近づいてもなかなか逃げてくれなかったこと。そもそも全然気づいてくれなかったのですが、相当近づいて気づいてからのリアクションがまたのんびり。こんなんで野生で生きられるの?というくらい、もっさりしているのです。
ゆっくり顔を上げてから「あれ、ぶつかりますかね?どうですかね?逃げた方がいいですかね?」とちょっと考えてから、これまたちょっともっさりした感じでやっと1頭逃げます。これを見て、他の鹿もワンテンポ遅れて逃げて行き、やっと全部逃げていきました。こりゃ事故るわ~という感じです。
同じ時期に3回くらい、カラスが道路脇にいたり、降り立ってきたりしていたことがあったのですが、このカラスたちも直前まで全く逃げません。ただ、鹿のように車を把握していないわけではないんですよ。また、道路脇なので、車が通っても大丈夫と判断しているわけでもないことが、近づいたときの動作でわかります。
カラスの場合、車が来ていることは完全に把握しており、直前になってからちょんと横の雪だまりに跳ね上がるジャンプで避けます。ギリギリかつ最小限の動きで避けるんですね。鹿との違いが際立っていますし、一気に横切ったり立ち止まったりして車にひかれまくる猫とも全然違います。
こうした違いはそれぞれの動物の習性の違いであり、人間的な感覚で賢い・賢くないと考えるのは、厳密には間違い。カラスだけでなく、猫や鹿もそれぞれの戦略で今まで立派に生き残ってきており、戦略が異なるだけです。ただ、こういう避け方の違いを見ると、人間がカラスを賢いと思ってしまうのはわかりますね。
●カラスの「侵入禁止」警告文に効果、カラスの専門家推奨の方法
2017/10/31:岩手県大槌町にある「東京大学大気海洋研究所国際沿岸海洋研究センター」。昔は問題はなかったものの、東日本大震災で被害を受けたあと数年経った2015年春から、1階天井のパイプの断熱材がむしり取られ、羽根やフンが落ちるようになりました。繁殖期に巣作りの材料として使っているようです。
センター職員から相談を受けたのは、佐藤克文教授でしたが、動物行動学を専攻する佐藤教授にも決定的な対策はわかりませんでした。
そこで知人の「カラスの専門家」で、宇都宮大「雑草と里山の科学教育研究センター」の竹田努研究員(環境医学)に相談したところ、「警告文を出してみては」とアドバイスがあったそうです。
佐藤教授は「冗談だろう」と思ったのですが、試しに警告文をつるしてみると、本当にカラスはすぐ来なくなりました。一時的かと思われた効果も長続きしたというから驚きです。
●まさか賢いカラスは字も読めるのか?効果がある理由
カラスは賢いとよく言われており、半ば伝説化してきています。まさか本当に字まで読めるのでしょうか?
ただ、この手法を伝授した竹田研究員によると、そうではないようです。警告文を目にした職員や学生は、「不思議に思って、みんな空を見るでしょ」とのこと。カラスに視線を向けたり指さしたりすることで警戒して寄りつかなくなる、というしくみだそうです。
カラスの伝説的な頭の良さを信じている人には残念でしょうが、私はむしろこの手法に感動しました。
●カラスが賢いことを証明する逸話は証拠になっていない
ちょっと短いので「カラス 賢い」で検索して、
カラスはなぜ賢いのか | 日経サイエンス( B. ハインリッチ(バーモント大学) T. バグニャール(セントアンドリューズ大学) 日経サイエンス 2007年7月号)というのを見つけてきました。
この論文では、日本では北海道のみに飛来するワタリガラスについて主に書いたもの。ワタリガラスにまつわる、賢さを示す逸話はたくさんがあるが、「彼らの恐るべき利口さの証拠にはならない」と最初の方で否定していました。この時点では、カラス賢い説の人には残念な内容に見えました。
例えば、以下のようなカラスすごい!エピソードは、カラスが他の動物にない特殊な知能を持っている証拠とは言えないとしていました。
・牛の脂肪の塊をつついて運びやすいように小片に分ける。
・クラッカーをきちんと積み重ねて,一山全部を持ち運べるようにする。
・2個のドーナツを巧みに扱っていっぺんに運ぶ。
・ほかの動物に盗まれないよう,実際とは違う場所に食物を隠したふりをする。
●何千カ所もの場所を記憶…人間以上の記憶力を持つカラスもいる
なぜこれらが証拠にならないのか?というと、それらの行動はもしかすると本能に根ざしたものかもしれないし、特定の行動を繰り返すうちに身についたものかもしれないためとのこと。観察だけでは証拠とはならないという指摘です。
ただ、逆に言えば、観察以外の方法、慎重な科学的検証で実験を行えば、カラスの賢さを証明できるというわけ。実際、この論文は、今までほぼないに等しかったカラスの賢さを証明する実験を行ったというものでした。結局、カラスはやっぱり賢いって結論でしたわ。
また、ホシガラスなんかは、食物を隠した何千カ所もの場所を覚えていられる記憶力を持ち、人間でもかなわないくらいだ、としていまいた。記憶力で人間はカラスにも負けちゃうんだそうな。ここまで来ちゃうと人類の賢さを否定されたようで、カラス賢い説を推す人も複雑な気分かもしれません。
●庭の雪の中にカラスが埋めたエサ…忘れずとりにくるのか?
2019/08/26:冬の話を今頃…というのなのですけど、雪があった頃、庭でカラスがなにかやっていて気になりました。家は北海道で雪がある程度積もる地域。カラスが作業していたのは、やや日当たりが悪く、庭の中でも雪かきしないために雪の積もっているところです。
カラスが作業を終えた後で、その部分を掘ってみると、なにか茶色いものが出てきました。埋めていたみたいですね。
もっと広範に掘ってみると、ゲロを固めたものみたいな感じでなんか汚いものが出てきました。エサを隠したのかな?と思いました。
エサであれば取りにくるはずと思って、埋め直してカラスが来るのを待っていました。すると、雪が日陰でしか残っていない時期になって、エサが見えそうになった状態(もしかしたらすでに一部見えていたかも)になってから、やっとカラスが来ました。カラスが作業をして帰った後に確認してみると、茶色いものがなくなっていて、食べたか持っていったみたいです。忘れていなかったみたいですね。
●犬猫より上?カラスにできて犬猫にできないことが山ほどある!
2020/07/19:
カラスの死骸を見ないのは共食いをするから…はデマ?杉田昭栄名誉教授によると…で使ったカラスの記事は、
あんないるのに「カラス」の死骸を見ないワケ | 東洋経済オンライン(中村 陽子 : 東洋経済 記者 2018/08/12 15:00)というタイトルでした。
ただ、『
カラス学のすすめ
』という書籍の作者である宇都宮大学の杉田昭栄名誉教授に直接聞いたカラスの賢さに関する話がメインであり、このページのテーマと合うものになっていました。
例えば、カラスにできてイヌ、ネコにできないことが山ほどある…という話をしています。頭の良い動物と言われるイヌ、ネコにはできないことをカラスが多数できるという指摘。イヌやネコでも人間の顔を認識しているという実験があったような気がするものの、杉田昭栄名誉教授は例として以下のような話を出していました。
<人の顔を見分ける実験をすると、カラスは2日くらいで覚えるんですね。数人の顔写真を貼った容器を10回並べ替えても、10回とも餌が入ってる1人の顔写真を選ぶ。イヌやネコは選ぼうとはせず、たまたま当たれば食べるみたいな感じ>
●人間の顔、男女を認識できて、別のカラスにも知らせることができる
上記は杉田昭栄名誉教授自身が実験しているということですかね。他にも「人間の男女を識別できるかの実験もしています」としていました。男女各10人ほどで目や口、鼻など顔の一部を隠した顔写真を見せたところ、男女それぞれに何らかの共通性を見いだして、しっかり区別できたそうです。
先ほどと同じで顔写真による実験ですので、匂いや動きなどでは区別できません。おそらく輪郭や色の具合のほか、いくつかのポイントでパターンを読んでいるんじゃないか…と、杉田昭栄名誉教授は推測していました。また、米国での実験として、自身がやっていないと明言されている以下のような実験も紹介されています。
<怖い形相のマスクをかぶった人がカラスを捕らえ、恐怖心を与えてから放す。すると以後、怖いマスクの人が歩くとカラスが一斉に甲高く鳴き叫び、羽をばたつかせた。時間が経つほどに反応するカラスは増え、直接その経験をしていない1~2キロメートル離れた別の群れのカラスまでもが反応し始めた。
つまりカラスは自らの直接体験、親から子への情報伝達に加え、ほかの群れとの情報交換という3つの情報源を持つということ。どのように伝えるのかはわかっていませんが、コミュニケーション能力があるということです>
●カラスは数を数えられない…はデマなのか、本当なのか?実験すると…
また、よく言われるカラスが数を数えられない…に関する話も出ていて、デマだったの?と思いました。ただ、杉田昭栄名誉教授もカラスが数を数えられるとはおっしゃっていませんでした。1、2、3と勘定できるわけではないものの、多い、少ないはわかる…といった意味のようです。
<2つの容器のふたに違う数の模様を印刷し、模様の数が少ないほうに餌があると学習させる。模様で覚えてしまわないよう、色や形、配置を変えます。2と6、3と5とか数を変えて組み合わせたら、ちゃんと少ないほうの容器を選びました>
最初のときに関して書いていた記憶力系では、、記憶がどれだけもつのかという実験も。上記の容器の実験なのかな、2〜3日訓練してその後は遠ざけておき、1年後に再度実験したら、ちゃんと覚えていて正解率100%だったとしていました。かなり長く覚えていられるようです。
●野生のカラスが5歳の子どもとほぼ同じ自制心を発揮して専門家が驚く
2021/05/18:
イカは「夕食に出る大好物のために昼食をセーブする」と判明 - GIGAZINE(2020年02月05日)はタイトルの通り、イカについての話であり、うちでは、
イカは頭がいいか?の答えはイエス 好物のために食事を我慢できるで紹介しています。ただ、少しだけカラスの頭いいエピソードもあったのでこちらにも追加しました。
記事によると、将来を予測して我慢するというのは、実は高度な知能による自制心が必要な行動だとのこと。例えば、スタンフォード大学で行われたマシュマロ実験では、4歳の子どもに「マシュマロを1つあげるけど、食べるのを15分間我慢したら後でもう1つマシュマロをあげる」と伝えたところ、実際に我慢できた子どもは全体の3分の1ほどしかいなかっといいます。
その難しい「将来を予測して我慢する」をイカができる…というのが記事のメインの話。ケンブリッジ大学心理学部のポリーン・ビヤール氏らの研究チームが、実験を通して「イカも将来を予測して採餌行動を最適化することが可能」だということを発見しました。タイトルになっている「夕食に出る大好物のために昼食をセーブする」という行為です。
ただし、イカの前にも「将来を予測して我慢する」行動を取る頭のいい別の動物が見つかっています。それがカラスでした。2020年1月に発表された「カラスのマシュマロ実験」では、野生のカラスも3歳~5歳の子どもとほとんど同じ自制心を発揮できることが確認され、専門家たちを驚かせたそうです。
●「カラスの巣に注意!」看板を設置されたカラスがとった行動とは?
2021/07/01:昨年、うちの近くの公園の木々の葉が散った冬頃になって、公園内の1本の木の上にカラスの巣がひとつあることに気づきました。もっともっと早い時期、子育ての時期には、かなり神経質になって鳴いているカラスが公園にいましたので、そこで子育てをしていたのかもしれません。
というわけで昨年からカラスの巣はあったのですが、今年の春になってから初めて「カラスの巣がありますよ」という市が注意喚起する看板が設置されました。ただ、私が看板に気づいたときにはもう別の木の方に巣を作っていて、子育てもすでに始まっている様子。で、今使われている巣の方には看板がないという状態でした。
私が看板に気づいたのが遅かったため、新しい巣を作り始めたのと看板ができたのがどちらが先なのかわかりません。ただ、<カラスの「侵入禁止」警告文に効果>という最初の話を踏まえると、注意喚起されたことで人の目が集まり、警戒して別の場所に新しい巣を作ったのではないかと想像しました。
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