ユーカリが揮発性の油をばらまいて故意に山火事を起こしている…といった解釈は、専門家が否定していました。ただ、火事の原因となるテルペンという化合物を大量に出しているのは事実だそうです。
また、火事によってユーカリは発芽し、成長した後も火に強いということで、ユーカリにとって山火事は有利に働きそうでした。(2018/02/16)
●ユーカリは揮発性の油をばらまいて故意に山火事を起こしている?
2018/02/16:
ある意味火の鳥…火を使って狩りをする鳥がいる 鳥と火・太陽の関係の深さ、神話などで登場は、火を使って狩りをする鳥がオーストラリアにいるというニュースから広がっていった話。
このニュースでの反応で、オーストラリアには、揮発性の油をばら撒いて火事起こして周りの植物を殺しているユーカリもいる!というものがありました。ユーカリというのは、コアラが食べているあの植物です。
で、検索したところ、オーストラリアなどでは、松科の中に風によって隣り合う幹や枝同士をこすり合わせて、摩擦熱で故意に自然発火させる種類があると聞いたという方が、日本植物生理学会で質問しているのを見つけました。
ユーカリはマツ科ではないので、別の植物について聞いたものです。ただ、JSPPサイエンス・アドバイザーの柴岡弘郎さんは、これらをまとめて回答。その答えは、植物は自分で動くことができませんから、故意に発火させようとしても、させることはできない、というものでした。
(
自然発火の仕組み | みんなのひろば | 日本植物生理学会より)
●ユーカリなどがテルペンを放出し山火事の原因になっているというのは本当
ただし、ユーカリやマツの仲間の葉で、テルペンという化合物を空気中に放出している植物がいるというのは本当だとのこと。
オーストラリアにはブルーマウンテンと呼ばれる遠くから見ると青く見える山があります。実はこの青色というのが、ユーカリの葉から空気中に放出されたテルペンによるものでした。
テルペンの放出量は高温で多くなるので、夏期にはユーカリの林の中のテルペン濃度はかなり上昇します。テルペンは引火性の物質なので、何かの原因で発火した場合山火事を引き起こす元になっているのだそうです。
●ユーカリは火に強く、山火事が有利に働く
また、山火事が起きやすくなることが、ユーカリに有利に働いているというのも事実のようです。中小企業ビジネス支援サイトJ-Net21によると、オーストラリアというのは1年を通してとても乾燥した地域で、山火事が頻繁に起こる地域として知られているたみたいですね。
(
火事と共に生きるユーカリ|自然から学ぶアイデアの源泉ネイチャーテック|J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト](2011年3月 7日)より)
これがなぜユーカリに有利なのか?という話。ユーカリのつぼみは、葉などから作られる成長を抑制する物質により発芽が抑えられています。ところが、山火事の炎によって、葉が焼け落ちることにより、成長を抑制する物質がなくなり、ユーカリのつぼみが発芽するという性質を持っているそうです。
また、成長した後のユーカリも火事に強いとのこと。そうなると、山火事が起きて他の植物が減ることは、競争上有利に働くと考えられます。
火事に強くなっている理由としては、ユーカリは幹の燃えやすさが、幹の外側の皮(樹皮)と内側にある層(形成層)では異なるというのがポイント。樹皮が非常に燃えやすい性質を持ち、樹皮に火がつくと幹から剥がれ落ちます。しかし、幹の内側まで火が燃え移ることはありません。樹皮が犠牲となり、形成層とよばれる、樹木にとって大切な部分を守られるといいます。
加えて、ユーカリの根っこの部分には栄養源や、芽の原料を蓄えています。これにより、火災の後も蓄えられた栄養源により成長し続けることができ、また新しい芽をつけることもできるそうです。
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