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マクドナルド、倒産はある?期限切れ鶏肉とは異なる静かなリスク


 先月、マクドナルドの赤字が話題になりました。
マクドナルド、今期最終赤字170億円に 11年ぶり:日本経済新聞 2014/10/7 15:41

 日本マクドナルドホールディングスは7日、2014年12月期の連結最終損益が170億円の赤字(前期は51億円の黒字)になる見通しだと発表した。通期の最終赤字は、2003年12月期以来11年ぶりとなる。仕入れ先だった中国の食肉加工会社が期限切れ鶏肉を使っていた問題が7月下旬に発覚後、客離れが進んでいるため。

 こういった報道が流れている中で、マクドナルドが危ない橋を渡り始めた:日経ビジネスオンライン(鶴野 充茂 2014年10月17日)という記事を見かけたので、てっきりそういった倒産危機のニュースだと思いました。

 でも、読んでみると、期限切れ鶏肉みたいなわかりやすいリスクではなく、それとは異なる静かなリスクですね。しかし、顧客の信頼回復にプラスに作用せず、客離れを解決できないという方向性ですので、やはりリスクです。


 記事では、最初、アメリカマクドナルドなどの広報活動に触れています。何で、これがマクドナルドのリスクに繋がるの?と思うかもしれませんが、もともとこの連載は動画を紹介しながら企業の広報などを考えるものなんですね。

 記事で紹介されていた動画は以下。"「マクドナルドのビーフは本物か?」という問いに答えている"というアメリカマクドナルドの動画だそうです。



 実はアメリカより先にカナダとオーストラリアのマクドナルドにおいて、"Q&Aの特設サイトを作って消費者の声に答えていくという取組み"をしていました。ですから、これはそのアメリカ版です。

 作者の鶴野充茂さんによると、"最近のグローバル企業が信頼性を回復しようとする際には、このような「見せる化」とも言うべき透明性を高める情報発信に取り組むケースが増えて"いるそうです。ポイントは以下の3点。

1.社員が顔・役職・名前を出して語ること。社員が前に出ることで宣伝臭さを減らし、信頼性を高める工夫。
2.動画で情報発信すること。周りの雰囲気も合わせて伝えられるため、説得力と分かりやすさが強く出るため。
3.継続すること。短期間に集中的に取り組んで終わりにせずに、会社として重視している姿勢を伝えるため。答えにくい質問にも順番に答えていく、という形。

 アメリカのマクドナルドは今回それにさらに一工夫しました。"外部の案内役の起用です"。"信頼性が高い人物を案内役"として、"世間の誤解を明らかにしていく人気番組の司会者、グラント・イマハラ"さんを起用しました。

 もともと"世間の誤解を明らかにしていく"番組の司会者なわけですので、"その目で明らかにされれば、信頼が得られるだろう、という企業側の思惑が見えます"。適役ですね。


 マクドナルドの特設サイトでの質問としては、たとえば、以下のようなものがあるそうです。

「子どもに食べさせる前に100%天然のものなのかを知りたい」
「ハンバーガーの中には一体何が入っているの?」
「牛肉は本当に100%本物なの?」
「どんな油を使っているの?」
「食べる人のことをどれくらい真剣に考えているの?」
「ピンクスライム(くず肉加工製品)はどうなの?」

 さらに"Q&Aサイトによって、他の消費者が知らなかった「誤解」や「噂」についても知らせるきっかけを与えているという指摘もあります"。たとえば、以下のようなもの。

「ヨガマット(引用者注:ヨガを行うときの敷物)を作る時に使われる化学物質と同じものがハンバーガーにも含まれているって本当ですか?」
「ミミズは入っているのですか?」
「遺伝子組み換えの材料を使っているのですか?」

 "批判を集めるのとともに、本来知らなくてもいいと言われそうな噂を逆に知らせるきっかけにもなるので、リスキーだとする声も中には"あるようです。しかし、それは鶴野さんが強調しているリスクではありません。

 批判があっても、"尚、消費者の疑問に答えていく姿勢と情報開示が求められていると米国マクドナルドは声明を出しています"。鶴野さんはこの姿勢を評価しているようでした。


 さて、ここでやっと日本マクドナルドの話になります。"日本マクドナルドも8月に、ひっそりと「見える、マクドナルド品質」というQ&Aページを立ち上げ"たそうです。さらにテレビCMもやっているのだとか…。

 ところが、日本ではこの活動が全然話題になっていません。違いは結局前述のポイントの部分です。

 「社員も出てこない」「解説の声もない」で、"自分たちが伝えたいことだけをひたすらテロップと映像で見せ続けて"るだけ…。先ほど出てきた良い情報発信のポイントを、全く抑えていません。

 それどころかむしろ悪い情報発信となっていると作者は考えているのでしょう。"一言で言えば、できるだけ目立たないようにしている、という意図が見え見え"だと言います。
 企業のソーシャルメディア施策は、米国マクドナルドで見られるように、リスクを取ってでも話題にしてもらえること、反応が得られること、対話ができることを重要な目的と評価基準にすることが一般的になっています。

 そんな観点で、現在の日本マクドナルドのQ&Aサイトは、明らかに挑戦から逃げています。少なくとも、このままの路線で行くのは極めて危うい。

 それは業績に加えて組織的な課題の深刻さも浮かび上がらせるものとなるかもしれません。

 "批判が噴出している米国マクドナルドよりも、逃げ腰の日本マクドナルドの方に、はるかに大きなリスクを感じる"と、鶴野さんは指摘していました。


 最初の方に書いたように、これらはわかりやすいリスクではありません。では、こういった懸念は大げさなものでしょうか?

 私が思い出したのが企業不祥事対応にコンプライアンスなんか必要ない ~石屋製菓と船場吉兆と赤福の賞味期限偽装~不祥事企業トップはジャパネットたかた高田明社長を見習え!です。

 不祥事のときに悪い対応をしても残っている企業も多いですが、真摯な姿勢を見せなかった船場吉兆は倒産し、石屋製菓やジャパネットたかたは残ったという例があります。対応を間違えて倒産する企業も中にはあるのです。

 やれることをやっていないという日本マクドナルドの企業姿勢は、どちらかと言うと、倒産企業も含まれる悪い対応の企業姿勢の方に近いものを感じます。


 関連
  ■企業不祥事対応にコンプライアンスなんか必要ない ~石屋製菓と船場吉兆と赤福の賞味期限偽装~
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