ボーナスの話をまとめ。<外資系金融機関のボーナスは高い?当の従業員らは金額に不満気>、<額が不満でも普通はそうはならんだろ…外資系のボーナス日がカオス!>、<外資系金融機関ではボーナス支給日は退職の日 貰えるものは貰っとけ>、<外資系企業にボーナスはない?ボーナスは日本型企業の特徴という説>をまとめまています。
2023/02/17まとめ:
●外資系企業にボーナスはない?ボーナスは日本型企業の特徴という説 【NEW】
●「ほとんどの企業ではボーナスが組み込まれているって本当か? 【NEW】
●外資系金融機関のボーナスは高い?当の従業員らは金額に不満気
2014/11/23:
外資系金融:東京勤務の42%がことしのボーナスに不満-調査 - Bloomberg(2014/04/09 17:42 JST)には、モーガンマッキンリーが行ったボーナス調査が軽く紹介されています。この記事のタイトルにあるように、"日本で業務を営む外資系金融機関で働く従業員の半数近く"、具体的には"208人のうち42%"が、"ことし支給されたボーナスに不満を持ってい"たようです。
これは2014年の3月13日から28日の調査であり、「ことし支給されたボーナス」というのは日本人にとっては違和感のある文言です。しかし、
億単位も可能?外資系のボーナスの実態 J-CAST会社ウォッチ(2009/1/27 16:03 益村誠一郎)では、「多くの外資系では例年1-2月にボーナスが払われます」としていました。ですから、上記のアンケートは、この1~2月のボーナスのことを指していたようです。
ブルームバーグの記事では、モーガンマッキンリーのライオネル・キィデァゼス日本代表にインタビューしています。キィデァゼス代表はボーナス額に関する不満が多いことについて、「この反応は理解できる」としていました。というのも、"株式相場が順調に推移し、日本で業務を営む多くの外資系金融の収益に貢献したとみられる"ためです。
最近の日本経済で恩恵を受けているところは自動車産業などのようにかなりはっきりとした傾向が出ていますが、金融業界というのもそういったわかりやすい勝ち組産業です。しかし、外資系金融機関の日本企業がいくら儲けたとしても、「本国での状態が芳しくない外資が多いため、東京の社員へのボーナスプールが縮小されたようだ」とキィデァゼス代表は分析しています。
●外資系金融機関で高ボーナス…は過去の話?経済危機で変化
私は外資系企業だと結果を出せばもっとはっきり報酬が出るのかな?と思っていたので、ちょっと意外でした。また、途中で少し引用した
億単位も可能?外資系のボーナスの実態 J-CAST会社ウォッチ(2009/1/27 16:03 益村誠一郎)なんかは、サブプライム問題のときに「ボーナス至上主義」から変わりつつあったという話をしていました。
作者の益村誠一郎さんによると、外資系金融機関で高収入なイメージなのは、「フロント」と呼ばれる「直接収益に貢献する部署」のボーナスの大きさによるそうです。"特にトレーダーなどはうまくいけば個人の力で何億円、何十億円と会社を儲けさせることが可能ですから、それに応じて成功報酬(ボーナス)も何千万さらに億の単位になる"と言います。
その一方、"管理部門で働く人にはそれよりずっと小さい金額しか出"ないというのが、外資系金融機関の常識だったようです。ところが、"サブプライム以降は状況が大きく変わりつつ"あるとのこと。ボーナスどころじゃなくなったため、"今までのようなボーナス至上主義は消えつつあり、代わりに基本給と雇用の安定に注目が移ってき"たといいます。
これは管理部門の人にとってはむしろ良い傾向で、"我が世の春を謳歌してきた外資系金融マンの時代は終わりつつあり"、「普通のサラリーマン」に戻っていくとしていました。このような傾向が仮に続いていれば、前半のように外資系金融機関の人がボーナスに不満を持つのも当然のように思われます。
ただ、これは2009年に書かれた記事でした。人間は喉元過ぎれば熱さを忘れる生き物ですから、実際にその後どうなったのかは不明です。定期的に海外での金融機関へのボーナス支払いの問題がニュースになっていますし、少なくとも「普通のサラリーマン」化はまだまだ全然済んでいないものと思われます。
●額が不満でも普通はそうはならんだろ…外資系のボーナス日がカオス!
2014/11/26:上記で使った記事のうち、
億単位も可能?外資系のボーナスの実態 J-CAST会社ウォッチ(2009/1/27 16:03 益村誠一郎)では、外資系金融機関の壮絶なボーナス事情の話もありました。これが「話盛ってません?」ってな感じで、すごくおもしろかったんですよ。
ボーナス金額が発表される日というのは、一般的に嬉しい日のはずですが、外資系金融機関では暗い表情の人が多いようです。この理由の一つは前半で書いたように金額に不満なためでした。「金額が少なくて悲しい」というのは、日本人にもわかる話。しかし、ただ表情が暗いだけじゃないというのが、外資系企業のすごさです。
金額を見て、「バカヤロー」だとか、「俺は米系のM証券にいたときに1億円のボーナスをもらっていたんだぞ!」とか叫ぶ人がいるとのこと。普通は金額を不満に思っていても、これみよがしに聞こえるようには言いませんよね。「人間の欲望がそのまま表にでる世界。家族主義的な日本の大企業ではちょっとない光景かもしれませんね」と作者の益村誠一郎さんはおっしゃっていました。
●外資系金融機関ではボーナス支給日は退職の日 貰えるものは貰っとけ
また、これまた日本の企業とはちょっと違うだろうなというのが、タイトルにした「外資系金融機関ではボーナス支給日の退職が多い」という話。おかげでボーナス支給日には"「お世話になりました」メールが社内中に飛び交"うことになります。やはり「人間の欲望がそのまま表にでる世界」と言えるかもしれません。
ただ、ボーナス受け取って退職というのは、別にズルしているわけじゃないんですし、私はそれでいいと思います。責めるつもりはありません。しかし、日本企業に勤める日本人だと、あまりこうはならないだろうな…というエピソードだとは感じます。
たとえば、"賞与支給日前後の退職について、賞与がちゃんと支給されるのだろうかと心配する方"に関する
ボーナス支給後に「辞めます」と言ったら… -教えて!goo(2010年07月05日)という記事を読むと日本的なものを感じます。ここにはボーナスが支給されてから辞めた方が有利だということをまず指摘。一つは、「退職後はなにかと金銭がかかるもの」という理由です。
そして、もう一つは転職先の企業においては、「タイミングによっては査定期間が短くなってしまうことが多く、かつ評価も試用期間などがはいり、よほど実力主義の会社でないと、賞与が他の社員より低くなってしまう」という指摘でした。なるほど、そうですね。辞める会社でもらっておかないと、実質2シーズンもボーナスが貰えないということになりかねません。
ただ、記事では上記のように書いておきながらも、「しかし、そうはいっても…」として、角が立たないように「つい賞与支給前か、支給されてしばらくたってから退職意思表示する人も多い」と書いていました。これは「賞与の支給日を狙って退職したな」「賞与は頑張ってほしいとの会社からの激励金なのに裏切った」と思われ、心証が悪くなるのでは…と考えてしまうためという話です。何とも日本的ですよね。
途中で書いたように、私は外資系金融機関のように遠慮無く受け取っておくという方が、望ましいと思います。途中退社の退職金は驚くほど少ないものですから、退職金代わりだと思って、最大限貰えるものを貰っておくべきでしょう。退職時期とボーナス支給との関係は企業の規定や考え方によるため、退職者にボーナスを支払わなくても非合法とは言えない場合が多いんですが、退職者にも気持よく支払ってくれる社会が来るといいですね。
●外資系企業にボーナスはない?ボーナスは日本型企業の特徴という説
2015/11/21:外資系や海外のボーナスについての話は、過去にもやっています。最近ですと、
ボーナスが貰えて当然…ではない 中小企業や海外のボーナス事情で、フランスのボーナスに関する話がありました。ここで私はそもそも日本人だってボーナスを貰えて当たり前じゃないですよと、気になって仕方がなかったんですが、フランスでは日本よりボーナスに馴染みが薄く、金額も少ないといった話がメインでした。
海外ではなく今回のテーマである外資系そのものと言うと、このページの上の方で<外資系金融機関のボーナスは高い?当の従業員らは金額に不満気>をやっています。ここで出てきた話は、「外資系企業のボーナスがすごい」といったイメージがあることを前提として書かれたものだったと思います。
ところが、今回
ボーナスに依存するのはキケン! - 賢いボーナスの活かし方とは!? | マイナビニュース(回遊舎 2015/11/17] 伊藤加奈子)という記事で見つけた話は全く逆…というか、外資系企業だとボーナスがないことが多いという認識で書かれていて驚きました。
<平成24年の厚生労働省がまとめた「就労条件総合調査」によると、従業員30人以上の会社でボーナスの支給があった企業は83.1%。金額の多寡は別として、ほとんどの企業ではボーナスが賃金形態に組み込まれていることになります。これは、日本型企業の特徴で会社の利益還元を従業員に回すという家族的な経営姿勢の名残ともいえます。このような考え方がない外資系企業においては、利益還元は株主に回され、従業員はあくまでも個人の実績、成果によって評価されることがほとんど。そのため賃金形態は、年俸制が多く、もともと日本のようなボーナスという概念がありません>
一応、上記の説明ですと、ボーナスはあるけど、日本型のボーナスはないという意味かもしれません。個人の実績によるボーナスならある可能性があります。上の方で書いた<外資系金融機関のボーナスは高い?当の従業員らは金額に不満気>のタイトルになっているように、従業員が不満だというのも評価に不満だからとも考えられます。
また、これもタイトルをよく見るとわかるように、単なる外資系企業ではなく、外資系金融機関ですからね。金融機関とそれ以外でボーナスの扱いが著しく異なるという可能性もあるかもしれません。それから、最初にしたフランスの話の場合も、日本型のボーナスはない系のもの。ただ、ここは主に金額が少ないといった違いを強調していました。
●「ほとんどの企業ではボーナスが組み込まれているって本当か?
あと、外資系企業のボーナスの話から逸れますが、記事の「従業員30人以上の会社でボーナスの支給があった企業は83.1%」という記述は、かなり注意が必要です。まず、非正規雇用者はボーナスの扱いが異なる可能性があること。多くの場合、パートなどの非正規雇用者にボーナスはないと思われます。
この話の前提条件とされた「従業員30人以上の会社」というのは、さらに問題があります。記事ではこれをもって「ほとんどの企業ではボーナスが賃金形態に組み込まれていることになります」と言い切っているものの、「従業員30人未満の会社」がかなりたくさんあるため、例外が多いのです。
そもそも多くのボーナス調査で用いられる資料では、ほぼ必ず「従業員5人以上の会社」という基準で調べられています。ボーナスの話をする場合、「従業員30人以上の会社」という分類はまず使われないものです。
例えば、以前の投稿<2015年は夏に続いて冬のボーナスも減少、「実態は減っていない」は無理がある 第一生命経済研究所のレポート>で用いたレポートも以下の通り。日本型企業ではボーナスが支給されることが多い…というところはたぶん嘘じゃないと思うんですが、多少問題も感じた記述ですね。
(PDF)2015年冬のボーナス予測~前年比▲1.5%と、夏に続いての減少を予想~ 発表日:2015年11月10日(火)第一生命経済研究所 経済調査部
(出所)厚生労働省「毎月勤労統計」より第一生命経済研究所作成
(注)1.民間企業は従業員規模5人以上、パートタイム労働者含むベース
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