多くの賛同を集めていたというのは、時事通信の以下の記事でした。
時事ドットコム:男女は「平等にできず」=大統領発言で波紋-トルコ
トルコのエルドアン大統領は24日、イスタンブールで開かれた女性の権利に関する集会で、「女性と男性を平等にはできない。自然の法則に反しているからだ」などと演説し、生物学的な違いから同じ条件下で働くのはふさわしくないと主張した。トルコのメディアが伝えた。
大統領は「妊婦に男性と同じ条件を課すことはできない」と例示した上で、「女性に必要なのは、平等であるより対等であることだ」との持論を展開した。大統領の発言に対し、ツイッター上では批判の声が上がっている。(2014/11/25-06:06)
通信社の記事は短いことが多いんですけど、後述するように今回の件はかなり説明不足になったと思われます。他の記事を見ても結局わからなかったんですが、「平等であるより対等」が具体的に何を指しているのかもわかりません。
とりあえず、上記だけ読むと「妊婦に男性と同じ条件を課すことはできない」なんかは、一見むしろ女性を気遣っているようにも見えます。以前書いた
フィンランドの「男女平等」は、女性が男性化することではない的な感じですね。
これがあったせいなのか、「平等であるより対等」があったせいなのか、別の何かのせいなのかは不明ですが、とにかくツイッターでは賛同の声が多かったです。
Ceron.jp - Yahoo!ニュース - 男女は「平等にできず」=大統領発言で波紋―トルコ (時事通信)
偏ったタイトルである種の誘導をしているようにしか見えないんだけどな。時事通信さん、何でエルドアン大統領のまっとうな演説側を記事にしないんだろう?
なんで批判されるんだ正論じゃないか?
発言の内容は的を射ている。波紋が広がるのは記事のタイトルのつけ方が悪かっただけなんじゃ…
男女は、平等ではなく対等であるべきという発言は正論だと思う。
生物学上全く同じではない男女を同じように扱うには限界がある。
そう
大統領の
平等ではなく対等って意見に賛成。
この記事が変な形で伝わりませんように🙏
この上なく的を射ている。どうせ批判してるのは全文読んでない奴がほとんどでは?
今の社会でこれほどの正論はひさびさじゃないか?
大統領の発言は、性差を無視した平等は出来ないと言ってるだけ。
平等と言うならば、男性も子を産めと言ってるようなもの。馬鹿ばかしいにも程がある。
私は大統領の話を支持します。
『平等』ではなく『対等』。こうあるべきだと思う。絶対に異性で平等なんてありえないと思うし。
どうせ批難してるのは生理で休みますって言って女性専用車両に乗ってレディースデイで映画観てる女性でしょ?
見出しで端折りすぎて誤解を拡散する例。まとめサイトなら故意に端折ると分かってるけど通信社でこれはどうよと。
これについて、「報道元によって受ける印象が違う」と指摘している人がいました。この報道元というのは、ブルームバーグと朝日新聞のものです。
男女平等あり得ない、「本来の性質」が異なる-トルコ大統領 - Bloomberg
11月24日(ブルームバーグ):トルコのエルドアン大統領は男女平等という概念は人類の「本来の性質」に反すると述べた。イスタンブールで開かれた性差に関する会合での発言。
女性のいるべきところは家庭だと、同大統領は女性団体のメンバーで溢れる会場で述べた。「女性を男性と同等にすることは不可能だ。なぜなら、本来の性質が異なるからだ」と発言。「われわれの信仰では女性のステータスは母親であり、それは変わっていない」と続けた。
トルコ大統領、男女平等は「自然の摂理に反する」:朝日新聞デジタル
イスタンブール=春日芳晃 2014年11月25日10時48分
エルドアン氏は「妊婦に男性と同じ条件の仕事をさせることはできない。子どもに母乳を与える母親を男性と同じにできない」と述べたうえで、「正しいのは、女性の間での平等であり、男性の間での平等だ」と強調した。
さらに、「我々の信仰(イスラム)では女性の地位は母親」「母親であることが(女性の)最高の地位だ」などと述べ、女性は結婚して出産すべきだとする持論を繰り返した。
朝日新聞については「ここで怒ってる人らは、こっちの記事 を読んでも同じこと書くかい?これは明らかに朝日が朝日ってるだろ。明らかに情報を限定して煽ってる」と書いていました。
「朝日が朝日ってる」「明らかに情報を限定して煽ってる」というのは、前述の「平等であるより対等」がなかったせいだと思います。
しかし、むしろ重要な情報を書いていなかったのは、時事通信の方でしょう。エルドアン大統領の発言におけるポイントは、「男女平等の否定」ではなく「女性の役割の固定」です。
昔、自民党の議員さんが「産む機械」とたとえてしまったために問題になりましたが、エルドアン大統領の力点が置かれているのは「女性=母親」という考え方の部分でしょう。
時事通信では「ちょっと待て、これだけ読むと何が問題なのか謎なくらい当然のこと言ってると思う」という感想もありましたが、実際、"何が問題なのか謎な"記事になっていました。
ここらへんの不備は
CNN.co.jp 「男女を平等な立場に置けない」 トルコ大統領の発言が物議(2014.11.26)でもあり、良くない記事でした。
ポイントを抜かしているために、トルコ大統領に一方的に有利なものとなってしまっていますが、この記事では大統領側の情報がもう少し詳しいです。
それは"半国営のアナトリア通信によれば、大統領は一方で「政府は常に平等な権利を求める女性たちを支援してきたし、今後も支援する」と強調した"という部分。男女平等へ向けた姿勢を否定しているわけではないという主張ですね。
結局情報が偏っているので全然良くない記事なんですが、この記事でもう一つ良かったのが「平等であるより対等」の意味を少し想像できそうなものがあったことです。"重要なのは男女が実際に平等であるかどうかでなく、法の前で同等であり得るかどうかだとする持論を展開した"という部分です。
この言い方だと「実現するのは機会の平等であり、結果の平等ではないよ」という風にも聞こえます。エルドアン大統領の他の発言からすると、本当にそういう意味なのかは不安なんですけどね。
その他、訳が独特で異なっていたのが、
「女性は男性と平等ではない」、トルコ大統領の発言に非難殺到:AFPBB News(2014年11月25日 19:58)でした。この記事の場合は、大統領の真意が母親という役割の固定であることをちゃんと伝えています。
大統領は24日、(中略)同国のフェミニストたちは母親という概念を拒んでいると発言した。(中略)
同大統領はさらに「自然の法則に背くことになるため」、女性と男性を平等に扱うことはできないと続け、「男女の性格や習慣、体格は異なる。赤ん坊にお乳をあげている母親を、男性と平等の立場に置くことはできない」、「共産主義体制のように、男性と同じ仕事を女性にやらせることはできない。女性たちにシャベルを与え、仕事をしろとは言えない。それは女性の繊細な気質に反する」と語った。
最後に
トルコ大統領、男女平等を「否定」 :日本経済新聞(2014/11/25 22:33 カイロ=共同)。ここのタイトルが一番大統領全否定な感じですね。
"エルドアン氏は過去にも「女性は少なくとも3人の子どもを産むべきだ」などと女性差別と受け止められる発言を繰り返したことがある"という過去の発言を紹介していたのが、日本経済新聞の特徴でした。
特に通信社の記事というのは大体たいへん短いんですが、今回の件はマスコミ各社の伝え方がかなり悪かったと思います。
悪かった点の一つは、大統領の発言のポイントを見誤ったこと。ポイントは「男女平等の否定」ではなく「女性の役割=母親」です。タイトルも本来こちらの話を持って来た方がわかりやすかったです。
もう一つはこのポイントの取り違えにより、関連する発言を省略しているところが出ていたことです。おかげで、なぜ大統領が批判されたのか?という部分からわからなくなっている記事がありました。
あと、この全体の流れを見ても、大統領の発言は問題ないと思われた方のために補足。私が想像した、大統領の発言で問題となるであろう点は、二点です。
一つは、「女性の役割=母親」と固定することで、子供を産まないもしくは産めない女性を否定しかねないということ。そして、もう一つは、大統領の発言が女性の「職業選択の自由」を否定する方向に働きかねないということです。
男女の体の作りが異なるうんぬんは別として、ここらへんを問題視する人がいても別に全然不思議じゃないでしょう。
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