血液型占いの話をまとめ。<血液型診断の祖・古川竹二氏の論文が予想以上にひどい 根拠以前の問題>、<現在なら認められない…小学生の自由研究レベルの「論文」だった!>、<古川竹二氏、血液型診断をアイヌ・台湾人差別と迫害正当化に使用>などをまとめています。
2022/10/20追記:
●古川竹二氏、血液型診断をアイヌ・台湾人差別と迫害正当化に使用 【NEW】
●血液型診断の祖・古川竹二氏、東京帝国大学出身の教育学者・心理学者
2014/11/29:血液型診断の祖と言える古川竹二さん。
古川竹二 - Wikipedia(2014年8月17日 (日) 02:24)によると、東京帝国大学文科大学教育学科卒の教育学者、心理学者で、東京女子高等師範学校 (現お茶の水女子大学) 附属中学校で教諭をしていたそうです。
こちらのWikipediaでは、一連の論文や著作で、血液型と性格の関係を本格的に論じた人として知られるとありますが、短い内容であまり記載はありません。しかし、
血液型性格分類 - Wikipedia(2014年11月14日 (金) 08:56)では、もっと詳しいです。
血液型性格分類の方のWikipediaでは、教育学者古川竹二が、血液型と気質の関連を科学的な研究対象にしようとする一連の試みが広く注目を浴びたとしています。
最初の論文は、1927年に『心理学研究』誌上に発表された「血液型による気質の研究」というもの。後に一連の試論の集大成として1932年に『血液型と気質』が出版され、この本の内容が古川学説とされることが多いそうです。
●結果ありきでの捏造?生徒の親の指摘で作った論文という説も
このうちの最初の論文「血液型による気質の研究」について書かれていたのが、
【やっぱりいい加減?】血液型診断のルーツはわずか11人を対象にした実験! – しらべぇ(2014/11/16/ 10:00 アサトー)です。
こちらによると、古川教諭が入試の場面では、本番に弱いタイプ、あがり症の者には不利であると不平等を感じたのが、研究のきっかけだとしています。入試の知能検査で、そういった不平等を失くすために、"生徒の性格を簡単に図る手段として、血液型に着目した"という話でした。
また、Wikipediaには、一説として、"児童の親などから何か言われたような節があり、根拠を説明するために気質論が必要になった"という話も。血液型診断を導入したところ、生徒の親に文句を言われて慌てて根拠を作り出したのでは?という話ですかね。
これだと結果が先にあって、それに合わせて論文をでっち上げたという感じで極めてイメージが悪いです。ただ、これは飽くまで一説。血液型性格診断をおとしめようとする陰謀かもしれません!
●血液型診断の祖・古川竹二氏の論文が予想以上にひどい 根拠以前の問題
こうした疑いが本当かどうかは不明なのですけど、実際、この論文が本当ひどかったんですよ。古川さんは、まず、親族11 人を対象に血液型と性格の関係を観察。すると、0 型は外向的、進取的、B型もO型に似て、外交的、進取的であるが、主我的(ワガママ)、注意力散漫であり、A 型は内向的、保守的であることが分かった…としています。
タイトルでわかるように、元記事ではこの調査対象が僅か「11人」というところを、一番いい加減だと取り上げていました。確かにサンプルが少なすぎてまともな論文ではありません。しかし、私が一番ひどいと思ったのが、この次のところ。さらにひどいんですよ、これ!
何と"
AB 型は親族にいなかったので、「まぁA型と同じだろう」ということにした"とのこと。こうなると、もう根拠もクソもありません。それ以前の問題で、データが無いのに適当に決めたという、いい加減ここに極まれり!といった感じ。ひどすぎてめちゃくちゃ笑いました。
●現在なら認められない…小学生の自由研究レベルの「論文」だった!
ただ、まあ、これは一応前段階であり、この結果をベースに"質問紙を作成"。そして、"他の人に対して実験を行なっても、11人を対象とした実験通りの結果が認められた"と結論づけて、論文を発表したのだそうです。もう少し多く検査しているんですね。
じゃあ、何人に聞いたの?というのは書かれていません。Wikipediaにも記載はありませんでした。ただ、Wikipediaには、"これとは別に、職業別にABO式血液型を調査して、職業特性と比較した"ものについての人数が書かれています。何と"
被験者の数は30人未満"だったそうな。
Wikipediaでは"現在の統計学からすると有効なデータではない"とクソ真面目に書いていますが、はっきり言って小学生の自由研究レベルの「論文」です。予想以上にひどいですね。
●血液型性格論信仰が広まったのは、当時の日本人が馬鹿だったから?
2020/04/07:
馬鹿な信仰 〝血液型性格論〟はこうして形成されてきた|健康・医療情報でQOLを高める~ヘルスプレス/HEALTH PRESS(2016.01.21)という記事でも古川竹二さんが登場。記事では、当時の日本人の教育レベルが低かったことを指摘していました。ただ、それを言い出すと、今でも信じている人が多いですから現代日本人も低レベルって話になりそうです。
<古川説が提唱されて間もなく、日本で血液型という言葉がひろく知られるようになった。1930年11月14日、浜口雄幸首相の遭難事件が起ったのである。(中略)搬送先の東大病院でさらにO型の輸血を受け、(中略)奇跡的に一命を取りとめた。この一連の事件報道により、一般庶民は初めて「輸血と血液型」というものを知った。
「輸血により首相の生命が助かった」という話が広く知れわたり、患者や家族から「輸血してほしい」という医師に対する圧力も高まった。(中略)
つまり、「輸血と血液型」という当時の医学の最先端の話に、通俗的な古川の「血液型と気質の相関」という話が安易に結びついた。当時の庶民は「尋常小学校」卒がほとんどで、「人間が血液型で4型に分かれる」という話と「気質が血液型と関係している」という話はすぐに「腑に落ちた」のである>
●当時の教授の中には古川説の支援者もいた!法医学の古畑種基・教授
当時も、古川説に対して医学者として真っ向から批判していた学者がいたそうです。京大医学部解剖学の助教授金関丈夫(後九大教授)という方は、「血液型が遺伝することははっきりしている。もし血液型により気質が決定されるのであれば、気質もまた遺伝しなければならない。しかし親子の間でさえ、メンデルの法則にそうような気質の遺伝関係ははっきりしない」としています。
記事では、これは古川説の弱点をついていたと指摘。そもそも「古川のデータは、気質の決定法も統計処理法もデタラメ」だと一刀両断されていますけどね。また、法医学の分野では金沢医大の正木信夫さんや守安直孝さんが、実際に健康人の血液型と気質を調べたところ、古川さんのいうような相関は認めらませんでした。
ただ、古川説にとどめを刺したのは、別の人だったといいます。むしろ古川説の支援者だった法医学が専門の古畑種基・教授が、古川説批判の論評を連載したのがポイント。結婚差別、就職差別、職業に対する偏見など多くの社会問題を生んだ古川説はこれで終焉したとされていました。今また復活しているんですけどね。
●古川竹二氏、血液型診断をアイヌ・台湾人差別と迫害正当化に使用
2022/10/20追記:古川竹二さんについて検索していると、
古川竹二に見る台湾とアイヌ民族への「まなざし」 | ほたるいかの書きつけというページが目にとまりました。アイヌ民族の話は血液型性格診断と関係ないように見えて、共通点がある…というのが作者さんの見方です。
まず、現代において、血液型性格判断を批判する際の視点として、優生学や差別との関連が語られると指摘。一方で、古川竹二さんの著書『血液型と気質』(1932年)を読むと、差別と関連どころか、差別的な視点に満ちていることがよくわかるとしていました。そもそも最初から差別的な研究だという見方です。
なお、<無論、古川には自分が差別をしているという自覚はなかったろうし、また彼を取り巻く人々の間でも、それが差別であるという発想はなかったかもしれない>とも指摘。差別する人って差別しようと思っているわけではなく、差別ではないと思ってナチュラルに罪悪感なく差別するものなんですよね。
このページでは、古川竹二さんの著書『血液型と気質』(1932年)を引用。古川竹二さんは、アイヌ民族は気が荒い血液型であるO型が23%で、日本人の31%より少ないから、日本による「自然の圧迫」に抗する気力無く自滅しているとして、日本がアイヌ民族を迫害・侵略していたことを正当化していました。
一方、この「O型は気が荒い」理論は台湾にも適用。台湾人は日本好き…と今言われていますが、実際には激しい抵抗があったんですよ。そのため、日本人と台湾人を結婚させて民族改造することにより、気が荒いO型を減らすように提案。優生学的な思想の他、日本の台湾侵略に強く賛同する姿勢が見えます。
また、台湾の人々をこともあろうに馬と比較して貶めていることも指摘。一方で、O型の多い日本の陸軍大学出身将校団と比較する際は、わざわざ「智能に於ては勿論比較すべくもない」とし、ダブルスタンダードに日本の軍人を賛美しつつ、台湾の人々を貶めていることも指摘されていました。
当初やっていた話によると、古川竹二さんが血液型診断について研究し始めたのは、入試の場面では、本番に弱いタイプ、あがり症の者には不利であると不平等を感じたため…という優しさを感じられなくはない説明でしたが、こうやって見ると、実態は全く違っていた感じですね…。
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