イーロン・マスクさんの話をまとめ。<クレージーな天才イーロン・マスク テスラ,スペースX,ペイパルで活躍>、<マジでクレージー「人類はAIによって悪魔を呼び出そうとしている」>、<「実存する最大の脅威はAI、規制と監視を行うべき」といった主張>などの話をまとめています。
その後、<ツイッターで問題発言繰り返し利用制限された人がツイッター買収>、<テスラのイーロン・マスク氏「人口が減るから人型ロボットだ!」>、<ウクライナ防衛の生命線の停止示唆 マスク氏がロシア寄り発言連発>、<ツイッター、ライバルや嫌いなマスコミへのリンクを制限し始める?>などといった話も追記しました。
2022/10/30追記:
●ウクライナ防衛の生命線の停止示唆 マスク氏がロシア寄り発言連発
2022/11/21追記:
●親ロシアで批判されたマスク氏、Twitterの批判は多数派工作と主張
2023/08/30追記:
●ツイッター、ライバルや嫌いなマスコミへのリンクを制限し始める? 【NEW】
●EVは普及しないという業界の常識をイーロン・マスク氏のチャレンジ
2014/11/30:テスラ・モーターズのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は学生のとき、「地球環境は危機にひんしている。人類を火星に移住させなければならない」と言っており、周囲には「クレージー」だと相手にされなかったそうです。私も「クレージー」だと思います。ただ、そんな彼だからこそできるということもあるのかもしれません。
「人類を火星に移住させなければならない」という話があったのは、
テスラは序の口 今、最も危険な「経営者」の破壊力(2014/9/30 7:00 日本経済新聞 電子版 日経エコロジー 大西 孝弘、日経ビジネス 山崎 良兵)という記事。こちらによると、"自動車業界において、EVは普及しないというのが長年の定説"でした。以下のような理由です。
・1回の充電当たりの航続距離が短い。
・航続距離を伸ばすためには大量の電池を積まなければならず、コストが膨らみすぎる。
しかし、テスラのイーロン・マスクCEOはこの"航続距離が長い高級車"の開発に挑戦しました。定説からすれば既にチャレンジすることすら「クレージー」でしょう。
航続距離の問題は、上記のうち2つ目の"自動車用では高価な専用電池を使う"という常識を打ち破ったことです。電池には"ノートパソコンなどで使われるサイズの安価な民生用電池を大量に使う方法"を採用。これによって、「ポルシェ」並みの加速性能"も達成し、評判になりました。
●クレージーな天才イーロン・マスク テスラ,スペースX,ペイパルで活躍
このマスクCEOは、「起業家は毎週100時間、地獄のように働くべきだ」が持論とのこと。正直、こういう激務を売りとするタイプの経営者は他にもたくさんいらっしゃって、全然珍しくありません。ベンチャー企業の社長さんは大体こういうタイプです。
ただ、おもしろいのが"経営者でありながら70~80%の時間を設計や技術関連の仕事に割き、エンジニアと毎週議論を交わす"ということ。開発への関わり方が深いのです。
マスクCEOはテスラ以外の事業でも、独創的な発想が見られます。ロケット・宇宙船の開発のスペースXもまた注目の会社ですし、ペイパル(前身であるX.com社を1999年に設立した人物)のウェブ決済サービスも画期的であり、アメリカではなくてはならないサービスになっています。
そのすべてがマスクCEOの発案でなかったとしても、設計・技術的なところから深く関わることによって、方向性の決定や技術・機能の取捨選択に関わってきたのかも…と思わすところがあります。
また、いわゆる文系ではない物理学出身で、それがアドバンテージになっていそうです。ただ、常に現場に関わっていないと、感覚も錆びついてしまうものではないかと思います。大学で学んだだけで誰もが一流になれるわけではありませんからね。
こういった現場との関わりというのは、逆に年齢を重ねるときっついのではないか?とも思います。いずれにせよ、なかなかいないタイプの経営者で、真似できないことだと感じました。
●マジでクレージー「人類はAIによって悪魔を呼び出そうとしている」
ここまではすごいなぁ…と感じた部分だったのですが、やはり良くない意味でクレージーだと感じる部分も、正直言うと、ありますね。たとえば、
「人類はAIによって悪魔を呼び出そうとしている」:E・マスク氏、再び懸念を表明 - CNET Japan(Eric Mack (Special to CNET News) 翻訳校正: 編集部 2014/10/27 10:56)という記事の話です。
「冗談じゃないの?どう受け止めて良いのやら?」と思ったのですが、こちらによると、イーロン・マスク(Elon Musk)さんは、<6月、映画「ターミネーター」シリーズのようなことが起きると不安を述べ、同氏はAIを監視できるようにする目的のためだけに同テクノロジを扱う企業に出資している>と話したといいます。
また、8月には、AIは「もしかすると核兵器より危険かもしれない」とツイートで再び懸念を表明。数週間前にも、イーロン・マスクさんは別のイベントで、スパム撲滅の仕事を課された未来のAIシステムがそのタスクを完遂する最高の方法は人類を絶滅させることだと判断するかもしれない、などと語っていたそうです。
●「実存する最大の脅威はAI、規制と監視を行うべき」といった主張
ただし、このうちの最後のものははっきり冗談半分だと、今回の記事では書かれていました。他も本気なのか嘘なのか見分けがつかないのですが、今回出た2014/10/27の記事のメインは、これらのAI危険発言の新作が加わったという話だったんですね。マスクさんはこの記事の書かれた前の週に、米マサチューセッツ工科大学(MIT)航空宇宙工学科で開催の「2014 Centennial Symposium」で、以下のように発言していたとのことです。
「AIによって、われわれは悪魔を呼び出そうとしている。五芒星と聖水を持つ男が登場する物語は皆さんもご存じだろう。その男は悪魔を操ることができると確信しているが、実際にはそれは不可能だ」
「実存する最大の脅威は何かを推測してほしいと言われれば、おそらくAIだと答えるだろう。人類が愚かな過ちを犯さないようにするため、国家レベルと国際レベルで、何らかの規制当局による監視を行うべきだと私は考えており、その思いをますます強めている」
2つ目の方なんかを読んでしまうと、ジョークではなくやっぱり本気なのかもしれないと感じさせます。よくわかりません。「天才と馬鹿は紙一重」というひどい格言(?)もありますが、やっぱり火星に人類は移るべきだと考えている人の言うことは、凡人にはよくわからないと正直思いました。
●スペースXがアメリカ政府もボーイングもできなかったことに成功
2020/08/03追記:<アメリカ 民間の有人宇宙船「クルードラゴン」が地球に帰還 2020年8月3日 6時44分 NHK>という記事が出ていました。読み直してみると、個々の事業の話は全然書いていなかったのですけど、「スペースX」の話はここしか書いていないので、ここに追記。以下はまず、無事に行って戻ってきたという話です。
<アメリカの民間企業「スペースX」がNASA=アメリカ航空宇宙局の後押しを受けて開発した「クルードラゴン」は試験飛行としてことし5月に打ち上げられ、アメリカとしては9年ぶり、民間企業の宇宙船としては初めて国際宇宙ステーションに2人の宇宙飛行士を送り届けることに成功しました>
<宇宙船は3日午前3時ごろ軌道を離れるため最後のエンジン噴射を行って地球の大気圏に突入し、上空でパラシュートを開いて減速しながら落下して、午前4時前(アメリカ東部時間の2日午後3時前)にフロリダ州沖のメキシコ湾の海上に着水しました>
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200803/k10012547391000.html
アメリカの有人宇宙開発を支えたスペースシャトルは、事故の影響で1回の打ち上げが500億円から1000億円と言われるほどコストが高騰し退役となっていました。このため、民間を活用する方針に変更。「スペースX」は「ボーイング」とともに最終的な競争にまで残りました。
この「ボーイング」との競争の中で、多くの関係者の予想を覆し、急速に技術力を高めた「スペースX」が先に宇宙船の開発に成功し、重要な宇宙関連企業に成長。スペースXの「クルードラゴン」は飛行士1人当たりの打ち上げがおよそ58億円程度にコストが抑えられているとのこと。まだまだ高いものの、スペースシャトルからは格段に安くなっています。
●マスク氏がツイッター買収で不正?当局の調査や株主の集団訴訟
2022/05/17追記:マスクさんがすごいのは事実な一方、良い意味のクレージーさとして擁護しきれない問題行動も多数。ここらへんはたとえられることがあるアップルのジョブズさんと同じですね。ただ、ジョブズさんはブラック企業的な内部の悪さだったので、外部でトラブルを起こすマスクさんの方が悪目立ちしています。
これはまだ不正確定ではないものの、例えば、<イーロン・マスク氏のツイッター株取得 証券取引委が調査 米紙>(NHK 2022年5月12日 13時25分)がトラブルを伝えるニュースの一つ。不正の可能性があるというものですから、普通に悪い話であり、「クレージーだから」と擁護できるようなものではありません。
<アメリカの電気自動車メーカー、テスラのCEOで世界一の富豪とされるイーロン・マスク氏は、ことし1月からツイッター株を買い進め、3月14日には所有する株式が5%を超えました。
アメリカでは5%を超える株の保有について、取得から10日以内に証券取引委員会に報告しなければならないルールがあります。
しかし、マスク氏が実際に届け出たのは、先月4日になってからで、アメリカの有力紙ウォール・ストリート・ジャーナルによりますと、証券取引委員会がマスク氏の調査に乗り出したとしています>
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220512/k10013622541000.html
この件をめぐっては、報告を遅らせることで株価の上昇を防ぎ、株式を買い進める際に日本円で180億円余りを節約したとして、ツイッターの投資家がマスク氏を訴える集団訴訟も起きているとのこと。なぜ報告が必要か?と言うのも、こうした株価の取得価格の問題があるのだと思われます。
●ツイッターで問題発言繰り返し利用制限された人がツイッター買収
2022/06/11追記:イーロン・マスクさんのツイッター買収に関しては、別の問題も見えました。イーロン・マスクさんはツイッター買収の目的について、一見良いことに思える「発言の自由のため」といった発言をしています。ただ、ツイッターで問題発言を繰り返してきた方なので、真意はどこに?という疑問がありました。
<注視しなければならないのは、「言論の自由の絶対主義者」を自称するマスク氏の「言論の自由」への考え方である。マスク氏は、サイト運営側による投稿の管理やアカウント停止などは極力避けるべきだと訴えてきた。買収目的を「言論の自由の確保」としているが、デマや差別投稿への考え方は明確にしていない>
(
社説[ツイッター買収]公共性守られるか危惧 | 社説 | 沖縄タイムス+プラスより)
イーロン・マスクさんは、カナダ首相をヒトラーに例える投稿をし、物議を醸したことがあるそうで、単に自分が好き勝手発言したいだけでは?という話。前回と同じテスラの株価操作的な問題でツイッター社判断ではないのですが、何度も問題ツイートをして発言を制限されるなどトラブルを起こしてきた方です。
また、大統領選で不正があったというデマを繰り返し、議会襲撃事件をあおる発言をしたトランプ大統領のアカウント永久凍結について、マスクさんは投稿が法律違反とは認定されていないと問題視していたそう。これでうーん…と思っていたら、普通に左派を敵視していた感じ。動機が不純そうでした。
「ツイッターは左派に偏り」 マスク氏が開くトランプ氏凍結解除の扉:朝日新聞デジタル<米電気自動車大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は10日、買収合意した米ツイッターが「永久凍結」にしたトランプ米前大統領のアカウントについて、買収完了後に凍結を解除する考えを明らかにした>
●「テスラ株はもう売らない」嘘をつきテスラの株価維持はかる?
2022/07/12追記:ツイッター買収は断念した模様。これに絡み、テスラの株価に影響する嘘の発言もしていたようでした。とりあえず、断念の経緯については、<イーロン・マスク氏、ツイッター買収撤回 狂ったシナリオ>(ITmedia ビジネスオンライン / 2022年7月11日 10時20分)という記事で、以下のように書かれています。
<イーロン・マスク氏は7月8日、ツイッターに対する総額440億ドルの買収合意を撤回すると発表した。
4月25日にツイッターと合意したのちも、マスク氏がツイッターに求めたmDAU(収益対象になる日間アクティブユーザー数)に占める偽アカウントやスパムの量の正しい情報提供に応じなかったことが背景にある。ツイッター側は、この偽アカウントやスパムの比率がmDAUの5%以内と主張しているのに対し、マスク氏側はこの調査に正確さを欠き、5%をはるかに超える数値の場合に重大な不利益を被ると主張する>
https://news.infoseek.co.jp/article/itmedia_bizmakoto_20220711060/?tpgnr=busi-econ
テスラの株価問題が絡んでくるのは、ツイッター買収額440億ドル(当時の為替レート1ドル130円で計算、約5兆7500億円)のうち、210億ドル分を銀行借入ではなく自己資金でまかなう計画の関係。マスクさんは4月26日、27日両日で約440万株のテスラ株を売却しまず40億ドル相当を捻出。ただ、この後が問題だったのです。
<売却の結果、テスラの株価(終値)は、25日に998.02ドル、26日、27日は876.42ドルまで値下がりした。直後にマスク氏は「本日以降テスラ株の追加売却の計画はない」とツイートしたが、29日には追加で約45億ドルのテスラ株を売却したことも判明した>
テスラの株価を下げないために「売らない」と嘘をついた形です。記事では問題視しておらず、法的にも問題ないのかもしれません。ただ、嘘をついて株価を維持することができるのは問題で、その場合は法律に不備があると言えるでしょうね。また、この株価値下がりはさらに大きな影響をもたらしていました。
<ここまでで、約90億ドル分のテスラ株を現金化したこととなる。残り120億ドルをマスク氏はどう捻出するのか? 市場はいやでも追加のテスラ株売却懸念と、その結果の値下がりを予想する。その後、5月に入ってからはテスラの株価(終値)は10日の800.04ドルを最後に連日800ドル割れとなっている
テスラ株の値下がりは、買収資金のうち255億ドル(約3兆3200億円)を引き受ける銀行団へも影響を及ぼす。およそ半分の125億ドル(約1兆6300億円)はマスク氏が保有するテスラ株の価値を担保に貸し出すからだ。株価が上がれば担保に差し出すテスラ株は少なく済むが、下がれば株数は積み増される。しかも、テスラ社内はマスク氏の持つ株式のうち25%までしか担保にできないルールを設けている>
このように資金的な問題が出たというのが、一番大きな断念の理由のようでした。また、イーロン・マスクさんが「膨大なリスクを背負うこととなっていた」一方で、ツイッター社の事業価値は高くないというのも関係しそう。そもそも慢性的な赤字企業ですからね。買収断念というのは、当然かもしれません。
●テスラのイーロン・マスク氏「人口が減るから人型ロボットだ!」
2022/10/03追記:米電気自動車(EV)大手のテスラは9月30日、ヒト型ロボット「オプティマス」の試作機を披露しました。うちの投稿タイトル<クレージーな天才イーロン・マスク テスラ,スペースX,ペイパルで活躍>的に言うと、また新分野!という話であるとともに、クレージーさも多少感じる話となっています。
<テスラが30日夕方に米カリフォルニア州パロアルト市の研究開発拠点で開いた人工知能(AI)イベント「AIデー」。登壇したマスク氏はヒト型ロボットの開発表明から約1年で試作機の完成にこぎ着けた技術陣をねぎらった。
試作したオプティマスの高さは170センチメートル程度で、重さは73キログラム。EVの運転支援システムで使うAIや半導体などの部品を活用した。人体の構造を模した手足の関節を持ち、荷物の運搬などの作業をこなすことができる。
21年8月に公開したCG(コンピューターグラフィックス)映像で示したなめらかな外観とは異なり、試作機は関節などの機械部品がむき出しで、歩き方はまだぎこちない。技術を完成域に高めるにはさらに時間がかかるという>
新分野はともかくなぜクレージー?と不思議に思うでしょう。しかし、
テスラCEO、ヒト型ロボット披露 将来価格290万円未満: 日本経済新聞(2022年10月1日)によると、世界の人口減に警鐘を鳴らすイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の指揮で2021年に開発が始まったものだということ。労働力不足の解消につなげる構想だといいます。
<マスク氏はかねて世界の出生率の低下傾向に危機感を示し、人口減が人類にとって最大のリスクになると指摘してきた。30日のイベントでは安価なロボットの供給は「文明にとって根本的な変革になる」と強調。「豊かで貧困のない未来」の実現をテスラの新たなパーパス(存在意義)に加える考えを示した>
<マスク氏はヒト型ロボット事業について「最終的に自動車事業よりも価値があることが分かるだろう」と予告する>
●ホンダのアシモやペッパーくん…人型ロボットが失敗してきた理由
マスクさんは上記のような主張ですが、記事では「ヒト型ロボットの普及に成功した事例は乏しい」と指摘。1986年に基礎研究を始めたホンダは18年に「アシモ」の次期モデルの開発を取りやめたと報じられました。しかも、説明を見ると、オプティマスはまだしょぼい感じ。「日本のロボット技術の方が高い」と威張れるかもしれません。
また、ヒト型ロボットの失敗に関しては、日経新聞の専門家コメントがおもしろいですね。蛯原健・リブライトパートナーズ 代表パートナーは、以下のように指摘していました。身も蓋もない話ではありますが、要するに「ヒト型ロボットを作っても使い道がないから欲しがる人が少なすぎ」という指摘です。
「ソニーAibo(引用者注:これは犬型ロボット)、ホンダのアシモ、ソフトバンクのペッパー等々、ヒューマノイドに対する人類の取り組みは失敗の歴史と言って過言ではない。これは結局のところ用途開発の問題が大きい。つまり今現在出せる性能に対する現実的に有用な用途が乏しいのだ。(中略)
同氏が言及する自社EV工場における活用については常識的にはアーム型等が向いておりヒト型である必要が良く分からない。やはり同氏の取り組みにおいても用途開発が要ではなかろうか」
一方、佐藤一郎・国立情報学研究所教授は、「テスラとしては仮に人型ロボットがビジネスにならなくても人材確保できれば十分という読みもあると考えるべき」としていました。日経新聞記事本文ではAI分野での人材確保でテスラはグーグルなどより遅れているとされており、それを踏まえたものでしょう。
個人的には、そういう「深謀遠慮」(遠く先々のことまで考えて、深く計画をめぐらすこと)よりは、マジで「人類のためには人型ロボットが必要なんだ!」と信じ込んで猪突猛進に突き進んで暴走してしまう方が、クレージーなイーロン・マスクさんのキャラにマッチしていて好きなんですけど…。
●ウクライナ防衛の生命線の停止示唆 マスク氏がロシア寄り発言連発
2022/10/30追記:イーロン・マスクさんのクレイジーさは笑って許せるところと、許されないところとの両方があります。笑って許されないところでわかりやすいのは、ウクライナ侵攻を行ったロシアに味方するようなところが多いということ。これをロシア側にも利用されて、ロシアの侵略正当化に一役買ってしまっています。
ここらへんに関しては、
マスク氏、ウクライナへのネット衛星提供停止を示唆(毎日新聞 2022/10/15 ワシントン鈴木一生)などの記事が関連するところ。後に幸い撤回しているのですけど、「イーロン・マスクさんならやりかねない」ということで、到底、笑って許すことができないクレイジーさでした。
<米宇宙企業「スペースX」を率いる実業家イーロン・マスク氏は14日、同社がウクライナに提供している衛星通信サービス「スターリンク」について、「無期限に資金を出し続けることはできない」とツイッターに投稿した。ロシアによるウクライナ侵攻後、スペースXはウクライナの通信インフラを支える重要な役割を果たしてきている。
米CNNテレビは13日、スペースXが9月に国防総省に書簡を送り、米軍が毎月数千万ドルの費用を負担しなければスターリンクによる支援を停止する可能性を示唆したと報じていた>
<スターリンクは小型衛星を活用したネットシステム。小型アンテナでネットにアクセスできる。ウクライナの防衛面でも必要不可欠になっており、AP通信によると、無人航空機が標的の照準を定めることなどにも役立っているという>
前述の通り、その後これは撤回。これを伝えた
マスク氏、ウクライナ通信網で米政府に負担求める書簡を撤回 - CNN.co.jpでは、以下の通り。ウクライナでのスターリンクの費用はスペースXだけが負担するわけではなく、多数の国際団体が大半をカバーしていることも指摘されていました。
<スペースXは先月、ウクライナに向けたスターリンクの端末とサービスの無償提供を無期限に続けることはできないとして、国防総省への書簡で負担の引き継ぎを要請していた。(中略)
マスク氏は15日、ツイッターに「もうどうでもいい」と投稿し、一転してサービス提供を続ける姿勢を示唆。17日のツイートではさらに一歩踏み込み、国防総省への要請を撤回する手続きが取られたと言明した>
関係者2人によると、ウクライナ防衛に重要なためか、同国防総省がいったん要請を受け入れていたとのこと。また、EUの外務理事会でも一部の国がスターリンクの必要性を重視する立場から、資金拠出に意欲を示していたそうです。それだけ重要なところをイーロン・マスクさんが人質にとっていたということがわかります。
ところで、最初の毎日新記事の最後では、<マスク氏は今月初旬に、ウクライナ侵攻を終結させるための「和平案」をツイッターに提示。「ウクライナが勝利する可能性は低い」などとして停戦を呼びかけ、ウクライナのゼレンスキー大統領らから反発を招いていた>という話も書いていました。
イーロン・マスクさんの「和平案」では、ロシアが一度目のウクライナ侵攻で2014年に併合したクリミア半島を正式にロシア領とする…といった項目が含まれており、内容がロシア寄りすぎるとして、ウクライナからだけでなく、多くの人から批判を浴びていたようです。ロシアに味方するような行動を連発しています。
あと、不思議なことにロシア寄りな行動をしてきた人ってなぜか右派が多いんですよね。イーロン・マスクさんは左翼を敵視しており右派的ですし、トランプ前大統領もそうでした。リベラル・民主党支持者と比べて、アメリカの右派・共和党支持者は、ロシアへの制裁を支持する人が少ないという調査結果も出ています。
日本でもなぜか同様で、ウクライナ侵攻前後に親ロシア的な行動をした人は、右派ばかり目立っていました。元日本維新の会系の橋下徹・元大阪市長、日本維新の会現役の鈴木宗男議員、元自民党の森喜朗・元首相、自民党の安倍晋三・元首相、同じく自民党の西田昌司議員…といったあたりです。本当なぜなんでしょうね?
●親ロシアで批判されたマスク氏、Twitterの批判は多数派工作と主張
2022/11/21追記:イーロン・マスクさんは、ツイッターはリベラルのボットだらけだと信じている…という話を読みました。「ボット」というのはロボットの略であり、ツイッターの場合はツイートを発信するなどの動作を自動的に行うプログラムのことをいいます。なので、おそらくリベラルが多数派工作しているという主張ですね。
ただし、実を言うと、イーロン・マスクさんがこうした発言をしたということを確認できる情報を私はまだ見ていません。一方、少しこれと似た発言は確認できました。前回書いたように、イーロン・マスクさんはウクライナ侵攻で親ロシア発言を連発。ツイッターでも当然ながら多くの批判が集まりました。
しかし、こうしたツイッターの批判をイーロン・マスクさんは「ボット攻撃」だと主張していた模様。イーロン・マスクさんは、ロシア批判の多くが見せかけの捏造による多数派工作で、多くの人は批判していないと思っている感じです。この調子でツイッターはリベラルが操作している…と妄想している可能性はありそうでした。
なお、ロシアのメドベージェフ元大統領はツイッター上で、イーロン・マスクさんに「よくやった」と称賛の言葉を送っていたとのこと。ロシアのウクライナ侵攻正当化戦略に組み込まれてしまっていて、本当害悪ですね。「よくやった」という訳語のイメージからすると、ロシアの幹部が部下のスパイを褒めているような感じにも見えました。
<米実業家イーロン・マスク氏が3日、ツイッター上で提示したロシアによるウクライナ軍事侵攻の「和平案」に対し、ウクライナ側が強く反発している。
マスク氏がツイートで提案したのは、(1)ロシアが併合を宣言したウクライナ4州での住民投票を国連の監視下でやり直す(2)2014年にロシアが一方的に併合したクリミア半島を正式にロシア領とする(3)クリミア半島への水の供給を保証する(4)ウクライナは中立を維持する、の4点。この案への賛否を投票するようユーザーに呼び掛けた。
だがウクライナや世界各国の多くは、ロシアがウクライナの侵攻先で主権を掌握する可能性を断固否定してきた。
ツイートへの投票は「反対」が大半を占めているが、マスク氏はこれを遠隔操作による「ボット攻撃」のせいだと受け流す立場を示唆した>
(
イーロン・マスク氏が「和平案」をツイート、ウクライナ猛反発 - CNN.co.jp 2022.10.04より)
●ツイッター、ライバルや嫌いなマスコミへのリンクを制限し始める?
2023/08/30追記:イーロン・マスクさんのツイッター(現在のX)買収は右派的な趣味なのかと思っていたら、わりと本気のビジネスだったようで相次ぐ変更は「利益を出すため」というので大体説明できそうなものです。ただ、改悪や利益至上主義と思われるそうなネガティブな変更が多く、性格悪い経営者の典型みたいになってきました。
今回読んだ
X、競合SNSや一部サイトへのリンク制限を開始 | 気になる、記になる…(2023年8月16日)も、「性格悪っ!」というもの。また、ライバルサービスだけでなく、一部のマスコミも標的とされており、嫌いなマスコミつぶしという政治的な意味合いもありそうで、これもまたひどい話。親ロシアの世論工作などされるとまずいでしょう。
<Xが、ThreadsやInstagram、Blueskyなどの競合SNSや一部ニュースサイトへのトラフィックの制限を開始したことが分かりました。
制限の詳細は、XにInstagram、Facebook、Threads、Substack、New York Times、BlueskyなどのURLを短縮URL「t.co」で投稿すると、そのリンクをクリックして各サービスやサイトにアクセスしようとした際に、各WebサイトのURLの読み込み開始が5秒間遅延するといったもの。
この制限はHacker Newsのユーザーによって最初に発見され、その後、The Washington Postが独自に分析して確認し、制限を受けているNew York Timesの広報担当者からも事実であることが確認されました。(中略)この制限が開始されて以降、XからNew York Timesへのトラフィックが減少しているようです。>
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