テスラ・モーターズのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は学生のとき、「地球環境は危機にひんしている。人類を火星に移住させなければならない」と言っており、周囲には「クレージー」だと相手にされなかったそうです。私も「クレージー」だと思います。ただ、そんな彼だからこそできるということもあるのかもしれません。
2014/11/30:
●EVは普及しないという業界の常識をイーロン・マスク氏のチャレンジ
●いわゆる文系ではない…物理学出身で技術重視の経営者という特徴
●マジでクレージー「人類はAIによって悪魔を呼び出そうとしている」
●「実存する最大の脅威はAI、規制と監視を行うべき」といった主張
2020/08/03:
●スペースXがアメリカ政府もボーイングもできなかったことに成功
●EVは普及しないという業界の常識をイーロン・マスク氏のチャレンジ
2014/11/30:上記の話があったのは、
テスラは序の口 今、最も危険な「経営者」の破壊力(2014/9/30 7:00 日本経済新聞 電子版 日経エコロジー 大西 孝弘、日経ビジネス 山崎 良兵)という記事。こちらによると、"自動車業界において、EVは普及しないというのが長年の定説"でした。以下のような理由です。
・1回の充電当たりの航続距離が短い。
・航続距離を伸ばすためには大量の電池を積まなければならず、コストが膨らみすぎる。
しかし、テスラのイーロン・マスクCEOはこの"航続距離が長い高級車"の開発に挑戦しました。定説からすれば既にチャレンジすることすら「クレージー」でしょう。
航続距離の問題は、上記のうち2つ目の"自動車用では高価な専用電池を使う"という常識を打ち破ったことです。電池には"ノートパソコンなどで使われるサイズの安価な民生用電池を大量に使う方法"を採用。これによって、「ポルシェ」並みの加速性能"も達成し、評判になりました。
●いわゆる文系ではない…物理学出身で技術重視の経営者という特徴
このマスクCEOは、「起業家は毎週100時間、地獄のように働くべきだ」が持論とのこと。正直、こういう激務を売りとするタイプの経営者は他にもたくさんいらっしゃって、全然珍しくありません。ベンチャー企業の社長さんは大体こういうタイプです。
ただ、おもしろいのが"経営者でありながら70~80%の時間を設計や技術関連の仕事に割き、エンジニアと毎週議論を交わす"ということ。開発への関わり方が深いのです。
マスクCEOはテスラ以外の事業でも、独創的な発想が見られます。ロケット・宇宙船の開発のスペースXもまた注目の会社ですし、ペイパル(前身であるX.com社を1999年に設立した人物)のウェブ決済サービスも画期的であり、アメリカではなくてはならないサービスになっています。
そのすべてがマスクCEOの発案でなかったとしても、設計・技術的なところから深く関わることによって、方向性の決定や技術・機能の取捨選択に関わってきたのかも…と思わすところがあります。
また、大学では物理学を学んでいたそうですので、それがアドバンテージになっていそうです。ただ、常に現場に関わっていないと、感覚も錆びついてしまうものではないかと思います。大学で学んだだけで誰もが一流になれるわけではありませんからね。
こういった現場との関わりというのは、逆に年齢を重ねるときっついのではないか?とも思います。いずれにせよ、なかなかいないタイプの経営者で、真似できないことだと感じました。
●マジでクレージー「人類はAIによって悪魔を呼び出そうとしている」
ここまではすごいなぁ…と感じた部分だったのですが、やはり良くない意味でクレージーだと感じる部分も、正直言うと、ありますね。たとえば、
「人類はAIによって悪魔を呼び出そうとしている」:E・マスク氏、再び懸念を表明 - CNET Japan(Eric Mack (Special to CNET News) 翻訳校正: 編集部 2014/10/27 10:56)という記事の話です。
「冗談じゃないの?どう受け止めて良いのやら?」と思ったのですが、こちらによると、イーロン・マスク(Elon Musk)さんは、"6月、映画「ターミネーター」シリーズのようなことが起きると不安を述べ、同氏はAIを監視できるようにする目的のためだけに同テクノロジを扱う企業に出資していると話し"ました。
また、"8月には、ツイートで再び懸念を表明し、AIは「もしかすると核兵器より危険かもしれない」と述べ"ています。そして、"数週間前には、Musk氏は別のイベントで、スパム撲滅の仕事を課された未来のAIシステムがそのタスクを完遂する最高の方法は人類を絶滅させることだと判断するかもしれない、と"語っていたそうです。
●「実存する最大の脅威はAI、規制と監視を行うべき」といった主張
ただし、このうちの最後のもおははっきり冗談半分だと書かれていました。他も本気なのか嘘なのか見分けがつかないのですが、10月27日の記事はこれらのAI危険発言の新作が加わったという話でした。マスクさんはこの記事の書かれた前の週に、"米マサチューセッツ工科大学(MIT)航空宇宙工学科で開催の「2014 Centennial Symposium」で"、次のように発言したそうです。
「AIによって、われわれは悪魔を呼び出そうとしている。五芒星と聖水を持つ男が登場する物語は皆さんもご存じだろう。その男は悪魔を操ることができると確信しているが、実際にはそれは不可能だ」
う~ん、さらに次のものなんか読んでしまうと、やっぱり本気なのかもしれないと感じさせます。
「実存する最大の脅威は何かを推測してほしいと言われれば、おそらくAIだと答えるだろう。人類が愚かな過ちを犯さないようにするため、国家レベルと国際レベルで、何らかの規制当局による監視を行うべきだと私は考えており、その思いをますます強めている」
「天才と馬鹿は紙一重」というひどい格言(?)もありますが、やっぱり火星に人類は移るべきだと考えている人の言うことは、凡人にはよくわからないと正直思います。
●スペースXがアメリカ政府もボーイングもできなかったことに成功
2020/08/03:<アメリカ 民間の有人宇宙船「クルードラゴン」が地球に帰還 2020年8月3日 6時44分 NHK>という記事が出ていました。読み直してみると、個々の事業の話は全然書いていなかったのですけど、「スペースX」の話はここしか書いていないので、ここに追記。以下はまず、無事に行って戻ってきたという話です。
<アメリカの民間企業「スペースX」がNASA=アメリカ航空宇宙局の後押しを受けて開発した「クルードラゴン」は試験飛行としてことし5月に打ち上げられ、アメリカとしては9年ぶり、民間企業の宇宙船としては初めて国際宇宙ステーションに2人の宇宙飛行士を送り届けることに成功しました>
<宇宙船は3日午前3時ごろ軌道を離れるため最後のエンジン噴射を行って地球の大気圏に突入し、上空でパラシュートを開いて減速しながら落下して、午前4時前(アメリカ東部時間の2日午後3時前)にフロリダ州沖のメキシコ湾の海上に着水しました>
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200803/k10012547391000.html
アメリカの有人宇宙開発を支えたスペースシャトルは、事故の影響で1回の打ち上げが500億円から1000億円と言われるほどコストが高騰し退役となっていました。このため、民間を活用する方針に変更。「スペースX」は「ボーイング」とともに最終的な競争にまで残りました。
この「ボーイング」との競争の中で、多くの関係者の予想を覆し、急速に技術力を高めた「スペースX」が先に宇宙船の開発に成功し、重要な宇宙関連企業に成長。スペースXの「クルードラゴン」は飛行士1人当たりの打ち上げがおよそ58億円程度にコストが抑えられているとのこと。まだまだ高いものの、スペースシャトルからは格段に安くなっています。
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