2019/12/04:
●戦闘どころではなかった日本軍、太平洋戦争の餓死者数と割合
●餓死者の多さ指摘に不思議な反論「前々からわかっている話だ」
●戦争は一つの選択肢とあり得る!戦争という手段が有効な場合
●本当の敵は誰?元陸軍軍医中尉「日本軍兵士の敵は別の日本軍兵士」
●戦闘どころではなかった日本軍、太平洋戦争の餓死者数と割合
2019/12/04:
太平洋戦争は日本の思い上がりのせい 産経新聞が証言を載せるに追記しようとしていたのですが、餓死者を中心とした話でひとつあって良いかなと思ったので新規作成することにしました。
日中戦争以降の軍人・軍属の戦没者数は約230万人。諸説あるものの、餓死に関する藤原彰さんの研究によると、このうち栄養失調による餓死者と、栄養失調に伴う体力の消耗の結果、マラリアなどに感染して病死した広義の餓死者の合計は、140万人(全体の61%)に達すると推定されています。
例えば、支那駐屯歩兵第一連隊の部隊史の日中戦争以降の全戦没者は、「戦没者名簿」によれば、2625人ですが、かなり時期が偏っています。1944年以降の戦没者は、敗戦後の死者も含めて2008人なのです。約76%が終戦前の約1年間に集中しています。さらにその内訳を見ると、戦死者=533人、戦病死者=1475人。やはり圧倒的に餓死者が多かったことがわかっているそうです。
(
飢餓、自殺強要、私的制裁--戦闘どころではなかった旧日本軍:日経ビジネス電子版より)
これらは、吉田裕・一橋大学大学院特任教授の著書
日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実 (中公新書)
で出ているデータ。吉田裕特任教授は、「敗戦色が濃厚になるにつれ、兵士たちは戦闘どころではなく、生きることに必死だった様子がうかがわれます」ともしていました。
●餓死者の多さ指摘に不思議な反論「前々からわかっている話だ」
諸説あるために、太平洋戦争を美化する人はこれに反論するのかな?と思ったら、妙な反論の仕方でした。まず、こうした指摘は以前から言われていこだと攻撃。まるで新しい意見以外は認めてないという不思議な態度ですね。毎度違うことを言わなくちゃいけないんでしょうか? 変です。ただ、この妙な反論の仕方からすると、とりあえず、餓死者が多かったことは、太平洋戦争肯定派でも認めているようでした。
また、この人はさらに、以前からわかっていることで戦争を批判するなら、戦争を回避できたのかについて触れるべきというわけのわからんことも言っています。意味不明でこれに乗っかる必要はないのですけど、そもそも戦争をしなくてはいけない状況ではなかったこともすでに過去に指摘済み。どの投稿で書いたか忘れちゃったのですけど、日本側が戦争やむなしの理由として主張する最後通牒は全く最後通牒ではなかったとされています。
あと、「そもそも追い込まれて戦争してOK」なら、「制裁を受けている北朝鮮は、韓国や日本やアメリカを攻撃してもOKってことになるんじゃないの?」とも思います。他でも書いているように、日本の右派って北朝鮮とよく似た考え方をしているんですよね。
●戦争は一つの選択肢とあり得る!戦争という手段が有効な場合
また、たとえ戦争を一つの手段として認めるとしても、それはメリットがデメリットを上回っていた場合に限ります。戦争を行うデメリットが、戦争を行わないデメリットより大きい場合は、戦争という選択肢を選ぶことを正当化できません。
この点でも、太平洋戦争はダメでした。
国家予算280年分使った太平洋戦争 預金封鎖・財産税で戦後も23年分の税金でやったように、相手国が戦争による出費をコントロールしていた一方で、日本は国内をめちゃくちゃに壊すほどの費用をかけていました。「国民を守るためにやむなし」と正当化しようとしても、実際に国民を攻撃していたのは政府自身なんですね。この路線でも太平洋戦争を肯定するのは不可能でしょう。
さらに、前述の餓死者の多さは、やはり日本がリスクコントロールできていなった証拠と言えそうな感じ。また、兵士を大量に殺しているわけですから、この点においても「国民のためになっている」とも言えなくなっています。たいへん無理がある擁護ですね。
●本当の敵は誰?元陸軍軍医中尉「日本軍兵士の敵は別の日本軍兵士」
元陸軍軍医中尉の山田淳一さんは、日本軍の第1の敵は米軍、第2の敵はフィリピン人のゲリラ部隊、そして第3の敵は「われわれが『ジャパンゲリラ』と呼んだ日本兵の一群だった」と言っています。後世の人が言っているのではなく、陸軍軍医がこのように「日本人の敵が日本人であった」と言っているんですね。
このジャパンゲリラが具体的にどのようなことをしたか?ということも、当然記録にあります。他部隊の食料の窃盗、横領、強奪、さらには殺人強盗、また、屍肉さえも食らうといった非人道的な行為を行う一部の日本軍兵士がいたと、山田淳一軍医中尉は書き残しています。
さらに兵士たちは飢餓に苦しむだけでなく、自殺を強要されたり、命令によって殺害されたりすることもありました。例えば、ブーゲンビル島エレベンタ泊地に到着していた参謀次長が、生存している3割の兵士のうち身動きのできない傷病兵は自殺させた上で、単独歩行の可能な者だけを撤退させる方針を報告しています。
それ以外にも、陸軍上等兵による初年兵への執拗な私的制裁によって、彼の班に属する初年兵28人のほとんどが「全治数日間を要する顔面打撲傷」を負うといったいじめもあったことも、陸軍軍法会議判例に記録されているとのこと。ここらへんも「日本人の本当の敵は日本人」といった感じ。日本人を多く死なせる戦争を開始してしまったことまで含めて、多くのことにこのことは言えそうです。
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